沢山の方に読んでもらい、嬉しいです。
感想、満足に返信できずすいません。
久しぶりに小説情報みたら、評価バーやお気に入りなどすごいことになってビックリしました。
まずは、ことの始まりを話そう。何事も始まりが肝心だ。長くなると思うが、付き合ってほしい。
『俺』という存在は、いわゆる転生者と呼ばれるものだ。といっても、前世の記憶は殆ど無いに等しい。覚えているのは、自分が死んだということと前世で培った膨大な知識だけ。自分に関する記憶がすっぽり抜け落ちていたのだ。自分が死んだと解っているのに、これ如何に。
昨今の転生ブームの話しに合わせれば、『俺』の場合『憑依転生』というのに当てはまるのだろう。当時5歳であった門谷司の肉体に宿ったのが、全ての始まりであった。
この頃、門谷司は交通事故に遭い命に関わる重傷を負っていた。しかも、頭部へのダメージが大きく昏睡状態になっていた。事故から約一ヶ月、唐突に病室で眠っていた門谷司は意識を取り戻した。『俺』という魂が宿り、眠っていた意識を起こしてしまったのだ。
ざっくり、思ったことを言わせて戴きたい。
──神様、余計なことすんなや。(激怒)
別に、第二の人生を得られて嬉しくないのかと言えば嘘になるけど、せめて赤ん坊からのリスタートの方がまだマシだと思えた。
だってさ、有るんだよ司くんの記憶が……。めっちゃ、優しそうな両親と笑って過ごしている司くんの思い出が
あ゛る゛ん゛だよ゛ぉ゛(泣)
もう、未来ある子供を殺したことに対する罪悪感バリバリであった。意識を取り戻したと聞いて、すっ飛んで来た司くんの両親と対面したときはその場で土下座をして謝罪したかった。しかし、泣きながら安堵し喜ぶ両親の姿を見て何も言えなくなり、混乱を避けるためにただ状況に流された。
両親は、元気がない息子を心配していたが、医師がまだ事故のショックが抜けきれないのだろうと話されていた。まあ、生死の境をさ迷う状態だったのだ。精神に大きな変化があるのは当然であろう。
──結果、両親の愛情値がフィーバー。過保護になりました。
ヤブ医者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(酷い暴言)医師として当然の事を言ったのだろうが、俺には追い討ちにしかならんわ!?やめて、両親の愛情がとても心苦しい。これ以上は『俺』の心が耐えられない。遠くない未来に、鬱病患者になる姿を幻視した。
こうして新たな人生というには、余りにも過酷で重すぎるスタートであった。
退院後も我が心中は暗雲晴れること叶わず時が過ぎていった。入院中はもしかしたら残留している(と思いたい)司くんの意識が目覚めるのに一縷の希望を抱いていたが、そんなこと全然ありませんでした。
もう自棄になって脳外科と精神科の医師に相談したが、お菓子とジュースを奢らせられながら病室に帰された。解せぬ。ちくせう、生暖かい目で見やがって。こちとら真面目に相談したのにっ。これだから大人は……。
結局、何も改善策を見出だすことなく小学校に入学。無気力な学生生活を送っていた。学校の勉強がつまらないとかじゃなくて、このときになっても『俺』はこの転生にウジウジと悩んでいた。友達もできず、しかも笑うことがないから『笑わない子』として周囲から煙たがられた。
成績はとりあえず問題なかった。こちとら人生1回分を経験しているのだから。小学校の問題なんて余裕綽々よっ。しかし、三者面談は辛かった。母親の前で担任がクラスに馴染めていないことを話すと、涙を浮かべながら何も言わず頭を撫でてくれた。ちゅらい(号泣)
帰りの道中なんて、何て言ってくれたと思う?
「だーいじょうぶ♪司は優しくて良い子なんだから、きっとすぐに友だちが出来るわよ♪友だちが出来たら、お母さんに紹介してね?」
もうね、限界です。(ナニがとは言わない、察しろ)
家に帰った後、母が父に面談の内容を報告。父にも励まされて、『俺』の涙腺は崩壊し、盛大に泣きまくりました。両親が優しくて抱き締めてくれたのを覚えています。
こうなったら、メモリブレイクだ。『俺』に。そうすりゃ、司くんの意識も戻るだろ(錯乱)
そんな『俺』に転機が訪れたのは、8歳の頃テレビでやってた国連の重大発表の生中継を視聴していたときだ。
『今日この日、有史以来の謎の存在を、認定特異災害ノイズに認定しますっ!』
認定特異災害ノイズ、ね〜〜。どっかで聞いたなーその単語、とジュースを飲んでいた。
その時、不思議なことが起こった!
最早、失われた前世の一部の記憶がリカバーし、言葉に出来ない情熱が胸の奥に灯った。そして、その情熱の熱が何故か下半身に集中した。
「認定特異災害ノイズ、ノイズ、……ノイズ、ノイ……ズ?…………ハッ」
思い…出した!
「戦姫絶唱シンフォギアァァァァァァァァァァァァァァ(ここ、シンフォギアの世界だったんかい!)!!!!」
転生してから、約三年。『俺』は初めて喉がはち切れんばかりの雄叫びを上げた。あ、両親は共働きなんでこの時はお家にいらっしゃいません。
説明しよう、『戦姫絶唱シンフォギア』とはという長ったらしい説明する気なし!アニメ見ろ、円盤買って見ろ!適合者は円盤を買うのデース!
どうしてもというなら、説明してやらぁ!
・モブが大量に死ヌぅ!
・美少女たちが歌いながら、ノイズと戦ウぅ!
・ゲッターなOTONAが登場人物で最強ぅ!
以上!
この時、俺は確信した。前世の俺は相当なアニメ・特撮オタクであったのだろう。シンフォギア以外にも数えるのがアホなくらいの作品数が、頭の中で渦巻いていやがる。特に仮面ライダーへの思い入れが深い。甦った前世の断片的な記憶には、将来の夢は「仮面ライダー」になりたいとほざいている自分の姿が。やだ、恥ぢゅかちい。
って、恥ずかしがってる場合じゃねぇ!今の『俺』は全てのオタクが夢見ている、アニメの世界に行きたいという願望を現在進行形で叶えているのだ。
ならヤるっきゃねえな!(唐突な使命感)
それはつまり──
「シンフォギアキャラの女の子とにゃんにゃんしたい」
それは正に、生きる希望を失っていた俺に相応しい今世の新しい目標であった。それを邪魔する奴は、たとえ神だろうが仏だろうがOTONAだろうが、排除してやらぁ。……やっぱりOTONAは来ないでください。
とにかく、こうして『俺』は本当の意味で『門谷司』として新生した。降って湧いたチャンスを物にするために。フッフッフ、溢れ出るリビドーが下半身に集中していくぜ……。
という訳で、司くんキミはゆっくりお休み(にっこり)。これからは、『俺』が門谷司になってキミの分まで生きていくから(ゲス野郎)。むしろ目覚めんな(悪魔)。
…………………………………………………………………………………………………………すんません、調子乗りました。
いや、確かにそういう欲望はありますけど、まだ司くんの意識が戻るのを諦めてませんよ?ただね、だらだら過ごすんじゃダメだと思ったんで、とりあえず目標を掲げただけなんです。でも、最終的にはそうなればイイナーと思ってるんですけど、ってああ!
やめて!オーロラさん!ノイズの影をちらつかせながら、ジリジリ近づかないで。俺、今お風呂入ってんのっ。全裸なの、ZENRAなの!?南極大陸という極寒の地で戦って、冷えた体を暖めている最中なんだけど。俺に安息はないんですか、オーロラさん?
というより、今日の昼前からノイズさんたちと戦い続けていたんですけど……。いつも通りにオーロラを潜ったら、いきなりエジプトの砂漠に放り出されて大変でしたよ、もう。足場は悪いし、ガチの蟻地獄に遭うわで。極めつけはあれだな、巨大ピラミッドが近くにあったことだ。もしあれに傷をつけたらファラオの怒りを買いかねん。スフィンクスに踏まれたくないです。
その後は、日本に帰国しまた本日二回目のノイズ殲滅戦を開始。すぐに終わらせたけど。だってさ、スレンダー美少女な風鳴翼さんが近くにいると分かればお近づきになりたいだろ?だっつーのによおぉ、蓋を開ければ風鳴は風鳴でもむっさいおっさんとお近づきになるってどゆこと?俺にはイケメンおっさんとのBとLな趣味はねえし、おっさんのタマを守る気もなかったんですけどぉ?ノイズが襲ってきて(俺を)、仕方なく戦って守ってあげましたよ。死なせたら翼さん悲しむだろうし。……死ぬよね?
でも納得シネー。何で念願の原作キャラの初邂逅がおっさんなんだよ?こういうのは普通、女の子の筈なんだけど。
おかしい、俺の中ではこんな風になるはずなのに……。
〜門谷司の頭の中〜
ノイズに襲われて、絶体絶命な原作キャラの美少女!(この際誰でもいい)
そこに颯爽と現れる長身脚長なイケメンの男!(つまり俺のこと)
かっこよくディケイドに変身し、ノイズを華麗に倒す!
そして、変身を解いた俺に抱きついてくる原作キャラの美!少!女!それに対し、静かに微笑む俺!(おにゃの子の柔らかい肉感を堪能しながら)
そして、原作キャラの美少女からこう言われるんだ。
『かっこよくて優しいだけじゃなく、凄く強いなんて!素敵!抱いて!』
『イイゼ、なら俺の城でたっぷり愛してヤるぜ』
お姫様抱っこで俺の城(2LDKのマンション)に連れ込み、キャッキャ・ウフフのイチャイチャ・ネチャネチャなズッコン!バッコン!による清純ラブストーリーが始まるのだ!
〜注意:これはあくまで妄想です〜
そうか、これは罰なんだ。未だに原作キャラの女の子に逢えず、むさいおっさんとしか関わっていない不甲斐ない俺への……。だから南極大陸に飛ばされたんだ。
……南極大陸で思い出したが、マジ最悪な!あそこほど戦い辛いと思ったのはこの2ヶ月で初めてだったよ!だって滑るもん!一つの動作する度にツルッて足が取られたよ。滑り転ばないように踏ん張ったら腰がグキッてなりましたよ。完璧に腰痛めたなって思いました。でもさ、俺頑張ったよ?じいさんみたいに腰曲げながらノイズと戦いましたよ?腰の痛みに耐えながら戦っていたら、いつの間にか我が家であるマンションの部屋に居た。
時計を見れば午後の21時になっていた。がむしゃらに戦っていたが、物凄く時間が経っていて吃驚としたよ。まあ、全滅させたと思ったらその場で新たな
それで帰って来た俺は、疲れを癒すために風呂場に直行。寛いでいたら、地獄の案内人と化したオーロラさんが現れて今に至る。
ほら、俺ってもう充分戦ったでしょ。だから一回くらい休んでも罰は当たらないと思うのですよ。それに俺、裸だし。いくら長身で脚が長くて顔がイケメンで「マゼンタのトイカメラがあれば門矢士じゃね?」くらいの容姿でも裸は不味いよ。オーロラの先で命が終わるどころか、社会的にも終わるわけでして、だからこっち来んなオーロラさん!?
イヤだぁ、もう限界なのぉ。死にたくないんだよぉ(2つの意味で)。
……………………わかりゃぁしたぁ、やりゃぁいいんでしょう、殺りャァ(ぶちギレ)。だからまずは服を着させてくださいと言ったそばからヤメローーーーー!!!!!!
■■■
天羽奏という少女にとって、ノイズとはこの世から絶対に駆逐すべき害物である。
それは、ノイズが人類の天敵だからという一種の防衛本能から来る思いからではない。極めて誰もが持っているであろう、個人的な感情だ。
幼き頃、天羽奏の家族はノイズに殺された。
両親は、幼き自分たちを守るために、身を呈してノイズの攻撃から庇い煤へと変わった。そして、自分が守るべきだった妹は、自身が気づかぬ間に命を奪われていた。
今の時世、ノイズによって身内を亡くすのは珍しくない。家族をノイズに殺された遺族は、大小違えどノイズに憎悪を懐くのもまた珍しくない。
ただし、天羽奏という人間を知っているものからすれば、彼女の憎悪は常軌を逸していた。
家族を亡くした天羽奏は、生前に両親と縁があった人物の伝手でとある組織──特異災害機動対策部二課に保護されていた。
そこで天羽奏は、二課がノイズに『対抗できる力』が在ることを知った。当の本人は記憶が薄れているが、当時はかなり暴れていたらしい。その話を聞いた途端に、天羽奏は司令官に着任したばかりの風鳴弦十郎に掴み掛かっていた。
制止する大人たちを殴り飛ばして、噛みついたりと暴れまくっていた。仕方なく椅子に拘束させ、弦十郎は彼女を説得しようとした。
──俺たちが君の家族の仇を討つ、と。
結果から言わせもらえば、逆効果であった。むしろこれが天羽奏の人生を決定付けてしまったのではないかと、当時も今も弦十郎はそう思って後悔している。
『あたしがぁ、やらなきゃいけないんだよっ。ノイズを、殺してやる………。この世から、一匹残らず駆逐してやるっ!』
その後も、説得という名の奮戦は虚しく弦十郎たちは折れてしまった。
そうして、天羽奏が力を手にする機会を得てから時は流れ──。
今現在、天羽奏は夜の戦場に姿を現していた。
場所は自衛隊の演習場。時間は既に午後の21時半を過ぎていた。
天羽奏が此処にいる理由はただ一つ。この場に現れたノイズを倒すためである。
奏が辺りを見回すと、無数の煤の山が出来上がっていた。それが、元は人間
この光景を見るたびに、家族を失ったあの日を思い出す。それだけで、奏の心身は怒りと憎悪に染まっていく。此処に来るまでは緊張や恐怖などが小さく湧いていたが、今ではすっかり消え失せた。
「──アタシはもう、あの時の無力なアタシじゃない。こうして力を手に入れて、再び地獄に戻ってきた……。
蠢くノイズの大群を睨みながら、奏は首に描けてあるペンダントを握りしめる。
──今から此処はアタシの
一体のノイズが奏を見つけ、高速で近づく。だが、遅い!
「──Croitzal ronzell Gungnir zizzl──」
心の奥底から浮かんだ
変化は一瞬であった。光が収まると、オレンジ色をベースにしたスーツを身に纏い、身体の各部にはヒーロー物を連想させる機械が装着されていた。そして、姿を変えた奏の手には一振りの槍が握られていた。
──FG式回天特機装束。通称、シンフォギア。
二課に所属する、女科学者『櫻井了子』が造り上げた、対ノイズ決戦兵器である。神話に名を残した道具──聖遺物の欠片を加工し、現代の科学力と櫻井了子の技術によって誕生した。
これの最大の特徴は三つ。
一つは、ノイズの炭素変換を無効化するバリアコーティング機能。
二つは、シンフォギアから放たれる特殊音波でノイズを強制的に実体化させる調律機能。
三つは、シンフォギアを装着した者──『装者』が歌うことによってポテンシャルが上がる特殊機能。
歌いながら、奏は高く跳び上がる。シンフォギアによって格段に身体能力が向上している今、一っ飛びで3M以上まで跳び上がるのは造作もないことだ。
空中で投擲の姿勢を作り、間髪いれずに奏は槍をノイズの大群に向けて投げ落とした!
持ち主の手から離れた槍が、大量に複製され文字通り槍の雨と化して、ノイズに降り注いだ。降ってきた槍がノイズを刺し貫き、身体を煤へと変えて次々に消滅していく。
宙を蹴り、奏は地に刺さっている槍の傍に降り立つ。槍を持ち直し、討ち漏らしたノイズを奏の槍が殺していく。一つ振るえば、複数のノイズが切り裂かれていく。
シンフォギアに内蔵された通信機に、二課本部から通信が入ってくる。
『──奏、あまり飛ばすな。余力を残しながら戦うんだ』
二課の司令官にして、天羽奏の現在の保護者である風鳴弦十郎からであった。
入ってきた通信の内容に、一瞬顔をしかめた。
一応、自分は冷静に努めているが弦十郎からはそう見えないらしい。
ノイズを殺す手を緩めず、奏は弦十郎に言葉を返す。
「分かってるよ、旦那。でも、アタシが此処でペースを緩めたら、コイツ等のせいで被害が拡大しちまうぞ?」
『後から増援が来れば、先にお前の方が力尽きてしまうぞ。そうなれば、今よりも被害が拡がる』
「──それは、【時限式】であるアタシへの皮肉かい?」
『違う!もっと自分の身を大事にしろと言ってるんだ!』
我ながら、何て嫌味を言ってしまったのだろうと、奏は内心で後悔する。風鳴弦十郎の人柄について、奏は充分に理解していた。彼の言葉が、真に自分のことを想って言ってることを。
しかし、彼の言葉は奏の怒りを治めるには至らない。ノイズに相対すれば、頭で考えるより先に憎悪によって身体が突き動かされる。
半ば弦十郎の言葉を無視するように、戦闘に専念する。
奏の手にしている槍の穂先が回転し、竜巻を生み出して集団で固まっているノイズに向けて放たれる。コンクリートの地面を破壊しながら、竜巻に捕らわれたノイズは刃と化した風に切り刻まれていく。
「ちくしょうっ、まだ多く残っているな……」
到着した時に比べれば、大分数は減っている。だが、未だに数は五十はいる。
その時、手に持っている槍が重く感じ、腹部から熱い何かがせり上がり、堪らず吐き出してしまった。
「ゴフッ……、もう、時間切れなのか?」
地面に吐き落とした自身の血を見て、奏は呆然と呟いた。次第に身体がだるくなり、力が抜けて膝をつく。
『奏ちゃんのバイタルに異常発生!大丈夫?奏ちゃん!』
あおいの安否の問い掛けに返す力が、今の奏にはなかった。口を動かすのも、億劫だった。気を抜けば、身体が倒れてしまう。
奏の攻勢が止まり、生き残ったノイズはゆっくりと
『適合値は安定しているのに、何でこんな急にっ』
『それは多分、奏ちゃんの肉体が先に限界を迎えてしまったのね。LiNKERの効果が切れる前に……』
あおいの疑問に答えるように、色気を感じさせる女性の声が、奏の耳に入る。シンフォギアを開発した張本人、櫻井了子だ。
『今までのLiNKERの過剰投与のせいね。いくら体内除去をしても、確実に身体へのダメージが蓄積されていたようね。……だから、訓練を控えるよう言ったのに』
『呑気に解説している場合か、了子君!今すぐ撤退できるか、奏!?』
弦十郎の焦った声を聞き、朦朧とした意識が少しだけ覚めた。
「いや、無理っぽい……」
全身が鉛のように重く感じ、立ち上がる気力すら起きなかった。この危機的状況を奏は、どこか他人事のように思えた。
『朔也、翼に至急奏の救援に向かわせろ!』
『了解!』
別地区に発生したノイズに対処している、もう一人の装者──風鳴翼に応援を頼むも、奏は間に合わないと確信している。
だって、ほら──
「まさ、か。最期、に、目にする、のが
既に一体のノイズが、奏の眼前に佇んでいた。
ノイズの顔らしき部分を眼に捉えると、殺意が膨れ上がっていく。それとは裏腹に、身体はちっとも動いてくれない。
シンフォギアがいくら防御力に優れていようと、ダメージは無効化できない。五十余りのノイズに攻められれば、想像を絶する苦痛が待ち受けるだろう。ならば、自分が死ぬまでコイツ等を呪い続けてやる。それが、自分にできる最後の足掻きだ。
覚悟を決めて、奏はノイズを睨む。そして、ノイズも奏を喰らわんと覆い被さろうと──しなかった。眼前のノイズは突如として、動きを止めた。周りのノイズも、一斉に停止した。
この状況の変化に奏は、困惑するもすぐに察した。
「まさ、か?」
その声を合図に、全てのノイズが奏を無視してまったくの別方向に動き出した。まるで、すぐ其処に極上の餌が在るかのように。
マゼンタ色の無数の光弾が、ノイズのみを狙い撃ち貫いていく。風穴を空けられたノイズが、呆気なく炭素の山に変わり崩れ落ちる。風が吹き、煤が舞い上がっていく。
「……ハハ」
渇いた笑い声を上げながら、奏は光弾の発射元に顔を動かす。その瞳に、確かにその姿を捉えた。
「──
気づけば身体を蝕んでいた倦怠感が消え失せ、奏はその存在から目を逸らさないまま立ち上がった。
「……ふざけるな。お前は断じて、救世主じゃない」
「お前は、悪魔だ!──────ディケイドォ!!」
月明かりに照らされ、佇んでいるディケイドに迫る。ディケイドは、何も語らず殺意を纏った奏をただ見つめていた。
「──────────(悲報、初対面なのに奏ちゃんから悪魔呼ばわり。てか何で、奏ちゃんからこんなに憎まれてんの?危なかったから、助けたのにぃ(泣)……なるほど、これがお礼参り、というやつか。て、ふざけている場合じゃねぇ。今ここでダメージ喰らって、変身解けたら命が終わる前に社会的に終わる。だって、ライダースーツの中、俺、全裸だもん!)」
中途半端な終わりかたですいません。
ここで少し補足を、現時点の天羽奏はシンフォギアを手に入れてからそんなにたっていません。そして、LiNKERも天羽奏用に調整されてないほぼ初期の頃のものです。ですから、身体への負担が大きく効果が切れる前にダウンしてしまった……という設定です(震え声
時系列的にはまだツヴァイウィングを組む、一年前ほどに当たります。