仮面ライダーキネシス   作:ホルンでごぜーます

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ある日、楠木(くすのき)彩人(あやと)の元に、行方不明となった父から荷物が届く。
荷物の中にあった地図を頼りに、そこへ向かうと、『プレート』と呼ぶものを探す男性、
橘(たちばな)信二(しんじ)に出会うが……。


サイコキネシス仮面ライダー!!(前編)

春、春眠暁を覚えずと言うことわざがあるが、この日、楠木(くすのき)彩人(あやと)は、

家のベルと宅配便の人の声で目が覚めた。

『楠木 彩人さーん、宅配便でーす。……楠木さーん?宅配便なんですがー!!』

「んん……、ああ~……!!よく寝た。ん?」

彩人が壁掛け時計に視線を向けると、時計は13時過ぎを示していた。

「……んん?見間違えか?」

見間違いでも、寝惚けているわけでもなく、時計は正しく13時を過ぎていた。

「やっべ……!!バイト遅刻じゃん!!」

 

彩人はわずか1分で着替えを終えると、家のドアを勢い良く開けた。

『楠木……ガッ!?』

「あ、大丈夫ですか!?」

勢いよく開いたドアは、宅配便のお兄さんの荷物を持つ手へ直撃した。

「お、お荷物……ッ!!」

アパートの廊下に倒れながらも、受領届を彩人に差し出す宅配便のお兄さん。

「え、あ、はい」

気押されながらも、受領届を受け取る彩人。

「着払いで1630円です……ッ!!」

「……まじで」

「はい」

「畜生、今月あんまり金がないって時に……、誰だよ荷物送ってきたやつ!!」

財布から小銭を取り出しつつ、彩人は差出人の名前を確認した。

差出人の名前は『冴木(さえき) 透(とおる)』

「いや、まじで誰だよ。……透?」

首を傾げ、聞き覚えのある名前に彩人は答えを出した。

「父さん?」

 

 

 

 

 

 

『今月入って何回目だと思ってるんだよ20歳っていい年して……』

家に戻り、アルバイト先へ連絡を入れている彩人。

連絡先の人物がその場にいないにも関わらず、その場で頭を何度も下げる。

「本当にすみません!!気付いたらもう昼で……!!」

『はぁ……、幸いほかのバイトの子が出てくれたから良いけど、次寝坊したら……』

「はい……はい……、本当に申し訳ありませんでした……」

電話を切り、ソファーに勢いよく座り込むと、大きくため息を吐いた。

テーブルの上には先ほど送られてきた、段ボールが置かれていた。

「行方不明になった父さんから荷物が来るなんて……」

差出人の名前以外、何も書いてはいないその荷物の前に彩人は立った。

「……開けるしかないよな」

 

それなりの重さがある段ボールを開封する、

箱を開けると、中には紙が一枚、

それに緩衝材に埋もれている大きさに表すと大人の両手ほどの何かの機械。

そして、その機械の下に、手のひらサイズの板が入っていた。

 

紙にはこの街の地図が描かれており、中央に赤い丸が書かれていた。

「なにも言葉は無し……か」

彩人は部屋の端に置いてある仏壇の扉を開ける。

そこには幼い彩人と共に微笑む女性の写真立てが置いてあった。

リンを鳴らし、両手を合わせる彩人。

「行ってきます母さん」

 

彩人はリュックサックに段ボールの中身を全て入れ、地図を片手に家を出た。

 

 

 

 

 

 

「くっそ!!迷った!!」

家を出て早々に、彩人は道に迷っていた。

「おかしいな……確かにこっちで合ってるはずなんだけどなぁ」

 

「何してるの?」

 

スマートフォンの地図アプリを眺めている彩人に、背後から女性の声が掛けられた。

「うおッ!?」

吃驚しながらも振り返ると彩人の幼馴染、堀木(ほりき)絵理子(えりこ)が立っていた。

「なんだ絵理子か、大学の帰りか?」

「うん、講義の先生がお休みだから早く帰ってこれたの。

……でも彩人はどうしたの?まだアルバイトの時間じゃなかったっけ?」

「あぁ……まぁ、ね」

「もしかしてまた寝坊……?」

絵理子が彩人に疑いの眼差しを向ける。

「いやいや、寝坊じゃないって!!ちゃんと休み!!」

「へぇ、まぁいいけど……、あ!!休みならさ、これから一緒に遊びに行こうよ!!

駅前に出来たドーナツ屋さんとか、お洒落で……」

疑いの眼差しを向けながらも、彩人の言葉に絵理子は思い付きの言葉を言った。

「あぁ……ごめん、ちょっと行かなきゃいけない場所があってさ、また今度の休みに行こうぜ」

彩人は手に持った地図をひらつかせ、申し訳なさそうに断った。

「……うん」

「本当にごめんな」

「いいよ、また今度行こうね」

 

落胆する絵理子を見る彩人、ふと見るとその絵理子の手に何を持っているかが気になった。

「ん?何持っているんだ?」

「えっ?……あっ、これは……」

「いや、そんな慌てて隠さなくても良いだろ……。

な~に持ってんだっ!!」

絵理子の前へ回り込み、それを強引に奪い取る彩人、取ったものを見ると……。

「なんだ、普通の雑誌じゃん、隠す必要ないだろこんなの」

ごく普通の女性雑誌であった。

「恥ずかしいものなの!!デリカシーないよもう……」

「ははは……、あーなるほど、これだろ?これ買った理由」

彩人は表紙にでかでかと書いてる文字を指差し、絵理子に見せる。

「そー言うところがデリカシーがないって言ってるんだけどな……。

……でも、お目が高い!!それが今話題の『占いの館 クレア』の記事だよ!!

まるで超能力のクレアボヤントのように、その人の未来を透視……しちゃうんだよ!!

今や有名な芸能人から政治家までクレアに来るようになり、その予約は1年越しにまで!!それに……!!」

 

完全に自分の世界に入ってしまった絵理子に、両手で自分の耳を塞ぎながら彩人は別れの挨拶をした。

「あー、はいはい、デリカシーのないこと聞くんじゃなかったよ。

じゃあ俺、もう行くから、今度ちゃんとドーナツ屋いこうな、じゃ」

彩人は再び地図を睨み付けながら、目的地へと歩いて行った。

「クレアに訪れた人はみんな幸せになるって言われて、カップルでもクレアに訪れる……ん?

あれ?彩人がいない……」

絵理子が気付いた時には、彩人が居なくなってからすでに3分が経っていた。

 

 

 

 

 

 

絵理子と別れ、20分後、彩人は地図に書かれていた場所へ辿り着いた。

「ここ、か?」

何度も地図を照らし合わせ見ても、目的地は現在の場所を示していた。

「『栄市(さかえし)文化財研究所』……」

彩人の目の前には廃墟となった栄市文化財研究所があった。

門には『当研究所は閉鎖されました』と立札がされており、鍵が掛けられていた。

「んー……。」

周囲を確認し、両手を合わせると……。

「ごめんなさい」

と、一声掛け、門をよじ登り、研究所の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

時刻はまだ昼、しかし電気の通っておらず、日の光も入って来ない研究所の中はとても暗い。

「だ、誰かいますか~?……居るわけねぇよ……」

怖さを紛らわすため、一人で受け答えをしながら、研究所の奥へ入って行く彩人。

「はぁ、誰もいるわけないよなそりゃ……。

きっとあれだ、昔出した手紙が今届いたとかだきっと。

人に見つかって怒られる前にさっさと帰ろ」

 

と、来た道を引き戻すため、踵を返すと、目の前に男の顔が現れた。

 

「ギャーーーーーッ!!」

「おい」

「ごめんなさいごめんなさい!!悪霊退散!!南無阿弥陀仏!!」

彩人は咄嗟に屈み込み、現れた幽霊を必死に追い払っていた。

しかし、いつになっても襲い掛かってこない幽霊に怯えながらも顔を上げる。

「うぅ……?」

「俺はお化けじゃねぇよ」

目の前には幽霊ではなく、彩人が見た限り年上に見える男性が立っていた。

「はぁ……良かったぁ……お化けじゃなかったぁ……」

「そうだな良かったな。ところでお前、こんな閉鎖された研究所になんで入ってんだ。」

「え……?あ……。」

「とりあえず、外に出るぞ。」

 

 

 

 

 

 

男性の手で、研究所の外へと連れられて行く彩人。

そんな2人を、研究所の奥の暗闇から、怪しげな眼差しが見つめていた。

 

 

 

 

 

 

研究所の敷地内だが、日の光のある外へ出た2人。

しかし、外へ出た瞬間、男性が彩人を壁に押し付けた。

「ガッ……!?なにするんです!?」

「『プレート』はどこだ?」

「ぷ、プレート……?何ですそれ?」

男性は彩人を押し付ける力を強める。

「知らないフリか……?『アイツ』から貰っただろう?

隠しても無駄だ、お前から反応が出てるんだよ!!」

何を言っているのか、さっぱりわからない彩人。

 

しかし、不意に押し付けられる力が弱まり、拘束が解かれた。

彩人の眼には、苦しい表情をした男性の顔が映っていた。

「ど、どうしたんですか……?」

急に倒れ込んだ男性に、先ほどまで拘束されていたとは言え、心配する彩人。

男性が抑える手の先を見ると、足から血が流れているのが分かった。

「怪我してるんですか!?」

彩人が声を掛けると、男性は彩人には聞き取れない声で何かを呟いた。

「何ですか?」

彩人が耳を男性に近付けると、男性は言った。

「逃げろッ……!!」

「逃げろって……、何から?」

 

彩人は男性の言っている意味が分からず、顔を上げ、周囲を見渡すと、それを見た。

まるで特撮番組で見るような怪人の姿を……。

しかし、特撮番組の着ぐるみのような印象は無く、生物感と醜さを感じる姿であった。

「う、うわああああああーーーーッ!?」

彩人は咄嗟に男性を引き、怪人から逃げ出す。

 

怪人は何故か歩み寄ってくるだけで、走ってこなかったため必死に逃げ出し、

何とか建物の陰に隠れる事が出来た2人。

彩人が建物の陰から怪人を見る。

人のような何かに、まるで折れ曲がったスプーンのようなものが幾重にも重なった物を服として着ている。

彩人は、再び建物の陰に隠れると自分を落ち着かせるために深呼吸を繰り返した。

「一体、何なんだよあれ……!!」

「あれがプレートを使った奴の末路だ……、分かったらさっさとプレートを俺に渡して逃げろ!!」

「だから、そのプレートも何のこと言ってんだって!!」

「……これだよ!!もってんだろ!!」

男性はズボンのポケットからプレートと呼ばれるものを取り出し、彩人に見せた。

それは彩人に送られてきた荷物の1つである金属の板に酷似していた。

彩人はリュックサックを開き、中からその金属の板を取り出した。

「まさか、これのことか……?」

彩人が見比べると、細部に違いがあるものの、金属の板と、男性のプレートは同一の物だと分かった。

「そうだ、やっぱり持ってるじゃないか……」

「でもこれ、俺は宅急便でも送られてきて……」

「なんだと!?」

「静かに……!!」

 

彩人は再び建物の陰から怪人を見てみると、先ほどまで迷っていた怪人が、まっすぐこちらへ向かってきている。

「何でこっち来るんだよ……!!」

彩人が怪人の足元を見ると、そこには男性の流した血液が、自分たちのいる場所へと、道しるべになっていた。

「しまった……やばいやばい……!!」

「どうした?」

「アイツがこっちに向かってきてます……」

「何!?……くそ、この足じゃあ……?おい、お前これは」

「何ですかもう!!」

彩人が男性の方を見ると、男性が彩人のリュックサックに入っているはずの機械を持っていた。

「勝手に人のリュックから物盗らないでくださいよ!!」

「お前、なんでこれを持っているだ?」

「だからさっきのやつと同じで宅急便で送られてきたんですって……!!着払い1630円で!!」

「送られてきた!?」

彩人は咄嗟に自分と男性の口を手で押える。

 

しかし……。

 

「あれ?アイツ、こっちに来てないような……」

歩いているとは言え、明らかに遅い怪人。

今度は2人で怪人のいた方へ顔を出す……が、そこには怪人は居なかった。

「ほっ、なんだただの勘違いかぁ……焦ったぁ~」

「撒いた……か?……よし、待ってろ、今車を呼んでやる。

お前の話を聞かなきゃならなくなったからな」

「もう勘弁……」

そんな2人に、水を差すように……。

『きゃああああーーーッ!!』

悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

悲鳴が聞こえた方へ、何とかやってきた彩人達。

建物の陰に隠れながら、先ほど現れた怪人を見ると、怪人はどうやら彩人達とは別の人間を襲っていた。

その人物は……。

「絵理子!?なんでこんなところに!?」

「知り合いか!?

いいか、落ち着け、奴はプレートの力で超能力を……」

 

しかし、彩人が飛び出さない様に手で押さえようとした男性は、手に感触がないことに気付くと、

先ほどまで居たはずの彩人がいないことに気付いた。

「まさか!!」

男性が再び怪人の方へ目を向けると、

どこかで拾ったのだろう鉄パイプを握りしめ、怪人へ走っていく彩人の姿があった。

「うおぉおおおお!!」

雄たけびを上げ、背後から怪人へ鉄パイプを振り下ろすが、軽い音を鳴らすだけで怪人はビクともしない。

「嘘だろ……あれ……?」

怪人へ攻撃が通じなかったことに驚いていると、それとは別の驚きが彩人を襲った。

 

彩人の身体が徐々に宙に浮いていっているのだ。

 

「なんだこれ!?身体が……いや、これって……!?」

宙に浮いている彩人は浮いている原因である鉄パイプへと目を向けた。

「俺が浮いてるんじゃなくて、これに釣り上げられてるのか!?」

すでに彩人の身体は建物の3階ほどの高さまで浮いており、飛び降りることはできなくなっていた。

怪人は浮いている彩人に手を向けると、まるで手の動きに合わせるように鉄パイプを操作した。

「彩人ッ!!」

絵理子が心配から彩人の名前を呼ぶが、何も手出しができない。

そして、怪人が勢い良く手を地面に向け振った。

地面に叩きつけられた彩人だったが、多少弱弱しくだが、彩人は立ち上がった。

「ははは、何とか生きてるし、怪我もないぜ」

彩人は叩きつけられる前に、鉄パイプから手を放すことで勢いを弱めていた。

「彩人!!」

絵理子が彩人の元に駆け寄る。

彩人は必死に絵理子の前に立った。

 

そこへ……。

 

「おい!!」

声のした方へ顔を向けると、何かが彩人目掛け飛んできていた。

キャッチすると、先ほど男性が手に取っていた機械であった。

「それを腰につけろ!!」

「え……?」

「いいから言うとおりにしろ!!ベルトみたいに腰に当てろ!!」

彩人が男性に言われたとおりに腰に機械を当てると、機械の側面からベルトのように帯が彩人の腰に巻かれた。

 

『BRAIN(ブレイン) DRIVER(ドライバー)!!』

「なんだこれ!?」

まるでベルトのようになった機械から機械音声が発せられた。

「次にプレートをドライバーに差せ!!」

彩人は言われたとおりに、ズボンのポケットに仕舞っていた置いた金属の板……プレートを取り出し、

ブレインドライバーの上部の穴へ差し込んだ。

『PSYCHOKINESIS(サイコキネシス)!!』

「ダイヤルを手前に下して戻せ!!」

「はっ!?えっと……手前手前……!!」

手間取っていると、怪人が周囲にある廃材などを大量に浮かし、彩人目掛けて飛ばした。

「うわああああーーーッ!?」

焦りからか、咄嗟にブレインドライバーの側面にあるダイヤルを操作した。

 

そして、廃材の塊が彩人と絵理子に襲い掛かった、その時。

 

『GYU-(ギュー)! !……PICKERING(ピッカーン)!!』

 

廃材が彩人の目と鼻の先で静止する。

 

「今だ変身しろ!!」

「……変身ッ!!」

彩人が叫ぶと、廃材が怪人のほうへ跳ね返り、彩人の身体が変身していく。

 

『PSYCHIC(サイキック) RIDER(ライダー)!! GO(ゴー)!! PSYCHOKINESIS(サイコキネシス)!!』

 

この日、彩人は仮面ライダーに変身した。

 




次回、サイコキネシス仮面ライダー!!(後編)
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