仮面ライダーキネシス   作:ホルンでごぜーます

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仮面ライダーとして変身し、超能力を使う謎の怪人を倒した楠木彩人は、
幼馴染の堀木絵理子と共に、橘信二、梓薫に連れられ、彼らのドーナツ屋兼研究所へとやってきた。
そこで2人は超能力者とは何かを知る。


超能力者!!(前篇)

車を降り、彩人はお店の看板へ目を向けた。

「Doughnut(ドーナツ) shop(ショップ) Shinanon(シナノン)……?」

「無駄に発音がnative(ネイティブ)だね、えっと……?」

「あ、遅れました。楠木彩人です」

彩人の発音の良さに薫がそれを褒めようとしたが、名前が分からなかった。

自己紹介をするのを忘れていた彩人は、遅れたことを詫び、薫に名前を教えた。

 

信二は足を引きづりながら、薫は怪人になっていた男性を背負いながら、店内へと入る。

「今はお客さんとか来ない時間だから遠慮しないで入って入って!」

薫に招かれ、続いて彩人と絵理子が店内へ入る、

洋菓子特有の甘い香りを感じると同時に、2人が硝子戸の扉をみると、closedと立札がされているのに気付く。

 

木造で作られた店、作られてから少し時間が経ったであろうドーナツが置かれている。

花やアンティークが飾られ、華やかな店内を通り、店の奥へ進んで行く。

そして、とある壁の前で立ち止まった。

壁には不自然にもドアノブが付いている。

「どうしたんですか?」

「あ、普通はそうだよね!えっと……そこの……」

「あ、私、堀木絵理子です」

「絵理子ちゃん!分かった、覚えるねー。

んで、絵理子ちゃん、そこのドーナツが描いてある額縁の裏にあるコンソールに、

ドドドドドドドーナツって打ってもらえるかな?」

 

「え?ドドドドドドナーツ……ですか?」

「ドドドドドド、ドーナツ」

絵理子は片手の指で数を数えながら。額縁の裏に隠されていたコンソールを叩いた。

すると、目の前の壁から軽い音が聞こえた。

「開けてもらっていい?」

「あ、はい」

薫が、壁の前から少し退き、彩人に何かを開けてもらうように頼む。

「なるほど、隠し扉か~!!」

彩人がドアノブを捻り、隠し扉を押す。

 

……扉はビクともしない。

 

「あ、あれ?」

今度はドアノブを捻りながら扉を引いた。

 

……扉はビクともしない。

「あれ、開かない……あれ?」

何度もドアノブをガチャガチャと捻っていると、薫が開いている手で口を押さえ、笑いを堪えている。

「もう、ちょっと退いて彩人」

絵理子が強引に彩人の前に出ると、ドアノブを捻らず、隠し扉を横に引いた。

扉は何の抵抗もなく開いた。

「ごめんごめん、反応が見たくてさ!」

薫は笑いながら片手で謝罪のジェスチャーを彩人にした。

 

中に入ると、6人ぐらいなら乗れるサイズの昇降機があるだけである。

全員が乗ると、薫は開いた片手で扉を閉じ、昇降機についているスイッチを操作する。

昇降機は下降を開始した。

 

「なんか昔のエレベーターっぽいな」

「今でもホテルとかで使われてるみたいだけどね。

でもこれはただの昇降機だけど」

 

1分ほど下降すると、下降が終わり、目の前にまたドアノブがあった。

「……引き戸?」

「引き戸引き戸」

彩人が引き戸を開けると、そこには上の店とは違い、鉄筋コンクリートで造られていた。

研究所の机には、英語や何らかの言語で書かれた本が積み重なって置いてあったり、

薬品の入った瓶や、ビーカー、試験管が乱雑に置かれている。

 

研究所はそこそこ広く、地下1階と地下2階に分かれており、

地下2階へ降りるのは1階の端に付いている螺旋階段を降りることで繋がっている。

 

地下2階からは、何らかの機械音が地下1階まで聞こえていた。

 

「さっきの隠し扉と言い……研究所と言うより秘密基地ですよね?」

「俺もそう思うが、責任者が研究所と言って利かないんだ」

いつの間にか椅子に腰掛けている信二はそう言いながら薫に目線を向ける。

薫の方を彩人が見ると、薫が壁に貼り付けられている看板を、手で強調していた。

『栄市☆梓薫研究所♪』

「あぁ…………。」

彩人は約10秒程看板を見た後、信二へ目線を戻した。

 

 

「それで、一体あの怪物はなんだったんですか?

それにこれも……」

彩人はリュックサックからブレインドライバーとプレートと呼ばれたものを取り出した。

「あれはプレートを使った超能力者の……」

「お姉さんが説明しましょう!!」

彩人の疑問に信二が答えようとした時、薫が来ていなかった白衣を着て、ホワイトボードを持ってきた。

「いや、お前が説明すると無駄な混乱が起きるだろ」

「怪我人は早く手当てしなよ、説明って博士とかがするものでしょ?

ここはお姉さんが引き受けた!」

「はぁ……じゃあお姉さん、さっさと説明してやってくれ。

こっちは巻き込んでしまった側なんだからな」

「合点承知の助!じゃあ君たち、そこへ適当に座ってくれー」

薫の言葉に素直に従い、空いている椅子に座る彩人と絵理子。

 

「薫お姉さんによる研究講座『クエスチョン1?超能力者!!』

それじゃあ説明するよ!まずはそのプレートについて説明しようか。

これの名前は正確に言うと『サイキックプレート』。

ある人によって、プレート状にされた超能力の力の塊だよ」

薫は自信が言った言葉をホワイトボードに書き込みつつ、話を続けていく。

「簡単に言うと、このプレートを使用すると超能力が使えるようになるよ。彩人君のは……」

「サイコキネシスだ」

薫が言い淀んでいると、信二が自身の怪我の処置をしながら答えた。

「サイコキネシスね……まぁ変身して戦ったから分かると思うけど、

プレートの超能力が使えるってことね」

 

「そしてこのサイキックプレート、つまり超能力は……私たち人間の頭の中に例外なく存在してるよ!

超能力は1人につき、1種類、同じくプレートも1種類しか出来なくて例外は今のところなし。

超能力の力は互いに反発し合う特性があって、

同じ種類の超能力のプレートでも、別の種類の超能力のプレートでも複数使用することはできない。

まぁ、例えると、彩人君がそのサイコキネシスのプレートじゃなくて、別の……。

パイロキネシスだとかテレパシーとかのプレートを使うのはドライバーで使うとしても無理なの。

これはその人が生まれた時からその超能力しか使えない身体になっているんだと思うよ。

……ここまではOK?」

 

「まぁ、なんとなくは」

「大丈夫です」

 

「うん、じゃあ続けるね。

それで、彩人君と怪人になってしまったあそこの男性で違う点があります。

それは、ブレインドライバーを使うか、自身の頭にプレートを差し込んだか……」

薫は自身の頭に手を当て、少しだけ真剣な顔でそう言った。

「頭にプレート差し込んだら自分で抜くことは出来ず、個人差はあるけど、

徐々に理性や知能が無くなっていって、怪人化、人を襲うようになる」

そして、怪人化してから長時間経過すると手遅れ……

脳と身体が超能力に耐えられなくなって死んじゃうよ。

怪人になってしまった人を助ける方法は唯一つ、プレートを頭から排出させること。

じゃあ怪人になってしまった人から、サイキックプレートをどうやって排出させるか」

 

薫は机の上にもう一個のブレインドライバーを置き、言った。

 

「仮面ライダーになって怪人を倒すこと」

 

まるで漫画やアニメのヒーロー物のようなシンプルな答えであった。

「超能力で作られたプレートは、他の人の超能力の力を受けると反発するってさっき言ったでしょ?

その特性を利用して、こっちの超能力の力を怪人に叩き込んで、

頭に差し込まれたプレートを吐き出させちゃおうってこと」

 

「それが正義の味方、仮面ライダー、君が変身した姿だよ」

薫はそこまで説明した瞬間、目を細める。

「でもおかしいんだよね」

「何がおかしいんですか?」

「なんで君が私しか作れないブレインドライバーを持ってたの?」

「なんでって配達されてきたんですよ」

「配達……?誰から……?」

 

彩人はブレインドライバーが、ここにいる薫が送ってきたものではないと知り気落ちしたが、

薫の質問に答えた。

 

「まだ分からないんですが、恐らく父からです」

「彩人君のお父さん?」

「はい、今日の朝に宅配便で届いて……」

彩人がリュックにしまっていた宅配表を出す。

「んんッ!?ちょっと見せて!!」

薫は彩人の手から奪う様に宅配表を取ると、差出人の名前を目を皿にして凝視している。

「えっとー、えっとー……なんだっけな……」

辺りをうろうろと歩き回り、思い出せない答えを自分の頭の中から探っていると、

ついに答えが出た。

 

「……思い出した。冴木透ってお父さんのと研究してた仲間じゃん。てか研究のチーフじゃん……」

「なんだと……?」

その言葉に、信二が立ち上がり、彩人に詰め寄ってきた。

「父親は今どこにいる!!」

「ど、どこにいるって言われても、父さんは子供の頃に行方不明になってて……。

今日まで生きているなんて全然……」

「……そうか、すまない」

 

「彩人のお父さんが、どうしたんですか?」

絵理子がそう聞くと、薫が嬉々として質問に答えた。

「彩人君のお父さんの名前は、私のお父さんが関わっていた研究のチーフの名前と同じなんだよ。

そして、このたった一つのブレインドライバーの設計書を書いた設計者でもあるんだ。

君のお父さんがそのチーフの人と同一人物なら、君がドライバーを持っているのも納得できるんだよ」

 

信二が先ほどよりも柔らかく彩人にある人物を尋ねた。

「聞いてばかりですまないが、円(まどか)始(はじめ)という人物に心当たりはあるか?」

彩人は聞かれた人物の名前を記憶の中から探したが、まったくもって知らない人であった。

「すみません、誰です?」

「……そうか、知らないか」

答えが聞けると、信二に薫が近付き、話し合っている。

「止められてはいないけど、妨害はしているから、やり方が変わってきているのかも知れないよ?

知らない間にプレートを作られたか、あるいは忘れ去られたか……」

「あの、円始って一体?」

「知らないなら良い、気にするな」

彩人が円始について聞くが、信二ははぐらかしてしまい。質問には答えなかった。

 

「……あれ、ここは」

その時、奥のベッドで眠っていた、男性が目を覚ました。

男性は辺りを見渡し、見知った場所ではないことを確認していた。

 

「あ、起きた。ちょっとごめんねー」

薫はそう言うと、男性の元へと歩み寄り、男性と会話を始めた。

 

「すまないが、楠木君は今日に何か予定は?」

「特にないですけど」

「なら、できれば今日一日はここに泊って行ってくれ。

君の身体を調べたいのもそうだが、初めてドライバーを使ったんだ。

精神的、肉体的疲労や副作用がないか確かめたい、いいか?」

彩人は信二からの提案に少しだけ思考すると、答えを出した。

「はい。お世話になります」

「……あの、私はどうすれば?」

「君はただ襲われただけのようだから、責任を持って自宅まで送る。ただ……」

「大丈夫です、今日のことは誰にも言いませんから」

「助かる」

 

「信二君ー、診察が終わったよ。問題なし」

「大丈夫なのか?プレートが完全に元に戻っていなかったり、超能力を使用した際の副作用は……」

「私の判断に間違えはないよ、それじゃあ送って行くからね、絵理子ちゃんも送っていくよ」

 

「ありがとうございます……けど、すみません。

風に当りたいので、自分で帰ります」

「……分かった。ただ何かあったら大変だから、必ず人通りの多いところ選んで帰ってね?

ただでさえ絵理子ちゃんかわいいんだから」

そう言うと、薫は再び男性の元へ戻り、まだ十分に一人で歩くことの出来ない男性に肩を貸している。

 

「彩人」

絵理子が不意に彩人に近寄り、名前を呼んだ。

「ん?」

「言い忘れていたけど、助けてくれてありがとね。嬉しかった」

「当然だろ、友達なんだし」

彩人の答えに、絵理子は笑顔を向けた。

しかし、彩人にはその笑顔は少し、切なさが混じっているようにも見えた。

まだ襲われた時の恐怖があるのだろうと、彩人は心配をした。

「……うん、今度なにかお返しするから。それじゃあまたね」

しかし、次の瞬間にはそんな切ない表情はどこにも残ってはなく、単なる思い過ごしかと彩人は思った。

 

薫、絵理子、そして男性は昇降機を登り、部屋から出て行った。

彩人は研究所に泊り、しばらくし、男性を送ってきた薫によって軽い診察を受けた。

その後、夕食等も研究室で取り、ベッドに横になると、今日の疲れからか、まるで死んだように眠った。

 

 

 

 

 

 

薄暗い緑色の照明が、部屋を仄かに照らしている。

その部屋の中央に、高さ2m、縦横1mの大きなケースがある、その前にとある男性が立っていた。

白衣を着た男性の胸には『円 始』と書かれたネームタグがついている。

「やあ、やはり来たね」

男性は身動き一つ立てず、そう言うと、背後から彩人が会った怪人とは別の姿ではあるが、

異形の姿をした怪人が姿を現した。

大きな単眼が顔にあり、植物の蔦の様なものが、女性の形の人型に巻きついている。

「…………」

怪人は何も言わない。

 

「そう怒らないでくれよ、別に死んだわけでもないだろう?

それに私と君の仲じゃないか、これぐらい許してくれると嬉しいんだけどね」

男性は振り向き、怪人を見つめる。

「それに、君がきちんと彼を見ていれば止められたんだよ?

君が超能力に覚醒してから毎日彼を超能力で見ているのに、

それを止められなかったは君のせいでもあると思うけどね……

えっと、彼が5歳の時から見ているから……15年間も見ているのか。愛があるねぇ」

怪人はその身を包んでいる蔦を伸ばし、男性の足元へ振り下ろした。

「……ごめんごめん、君にとっては愛する者だもんね。からかって悪かったよ。

能力を使って君の監視を邪魔したのも謝るよ。でもさ……」

 

男性は手を怪人へ向けると、怪人は頭を押さえ悶え苦しむ。

「ここには大切なものがあるんだ、威嚇とは言え、ここで暴れるのはやめてもらいたいものだな」

男性が手を下すと、怪人が苦しむことはなくなり、よろよろと立ちあがった。

「さぁ、君も見ようじゃないか。彼がどれほどの超能力者になるのか。

これを手にするほどの……ね」

その時、男性の背後にあるケースの中から、紫色の光が走った。




次回、超能力者!!(後編)
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