初めて投稿するので、まだシステムに慣れていません。おかしな部分があれば教えて下さると有難いです。
また、出てくる艦娘の多くは原作を著しく逸脱した存在です。
ちょっとした出来心で書くので、駄目だと思ったら即座に消去するのでご了承下さい。
提督の朝は早い、まだ太陽が顔を出していない、暗い時間からいつも通りの一日が始まる。
身を起こし、備え付けの洗面台まで歩く、ぼうっとした自分がこちらを気怠そうに見ていた。歯を磨き、顔を洗う、すると少しシャンとした自分がこちらを見ている。
いつもの軍服姿になるころには、目はギラリと正面を見据え、壁に貼られた今日の予定表を確認している。それが終われば朝食の前に一度執務室に向かうため、まだ薄暗い静かな廊下に出る。
「司令官、おはようございます」
背後から
おはよう…吹雪、そうか今日から吹雪が秘書艦だったな、よろしく頼む
「はい、よろしくお願いします。司令官、本日の書類はこちらになります。執務室に向かわれるのでしたら私も同行します。」
あぁ、その封筒大本営からだよな、わざわざ悪いな、かなり早く起きたのだろ?私の寝室の前で待ってた程だからな
「いえ、秘書艦として当然のつとめです。いつもは司令官が朝食を取る間に用意しますが、時間に余裕がありましたので最初に確保しました。」
では執務室にそれを置いたら一緒に食堂に行こうか
「喜んで」
彼女はすっと目を細めながら、薄く笑う。相変わらず声に感情がこもることはないが、それは感情がないのではなく、生来の気質のようなもの。
異端艦、建造や引き上げられた時点で他の同型の艦娘とはかけ離れた存在。本来の吹雪と比べ、元気な性格とは打って変わり、秩序を重んじる軍人気質な落ち着いた人格と声に感情をこめられないのがこの吹雪の特徴だ。
それでも吹雪らしくまじめで努力家なのは変わらない。性能自体もそこまで変化はないが、戦場においての戦略眼と冷静な判断力には目を見張るものがある。
しかし、彼女が異端艦たる理由はそんなことではない。むしろその程度なら「例外」として通常の鎮守府に籍を置くことが可能となる。
この特殊鎮守府では「彼女たち」を「例外」であるかを判断する場所。必要であれば解体処分を行い、戦場へ送り込む事で轟沈させることも許された鎮守府だ。
そのような艦娘保護法を真っ向から無視した鎮守府に、彼女は実に三年もの間籍を置いている。勿論、相応の理由がある。それはある事件が原因だ。
彼女はかつて、他の特殊鎮守府で「例外」と判断された事がある。そのため一度だけ通常の鎮守府に異動したことがあるのだが、そこで問題が発覚した。
彼女が異動したその鎮守府は、所謂ブラック鎮守府だった。そこでは異常艦、とりわけ艤装に異常をきたし、普通の少女と変わらない艦娘の人身売買や四肢が欠損した艦娘を「モノ」として売買し、私腹を肥やしていた。
そして、そこの提督(以下、B提督)の趣味であろう地下倉庫の艦娘達は、言葉にすることもはばかられる、悲惨な状態にあった。
『なんですか、これは…』
彼女はその惨状を目の当たりにし、弾けた。元々正義感の強い艦娘だ。それは彼女も変わらない。憤怒という感情に身を震わせ、B提督を射殺した。それが問題だった。
確かに、人間や味方の艦娘を殺そうと思えば、殺すことができる。それが兵器としての存在意義であるためだ。
しかし、艦娘には決して反することができない、絶対不変のルールが存在する。それは文字に起した紙のルールなどではない。艦娘の根源、本能とも誓約とも言うべきものがあった。その中には『提督と妖精を殺すことはできない』というものがあった。
ルールは艦時代に起因する。自分に乗船する提督や兵士に自らの砲身を向けることができないように、艦娘も提督や乗務員である妖精を、殺意を持って砲身を向けることはできない。
『こんなこと、認められません』
『ぐふふ、無駄だよ、吹雪ちゃん。艦娘は提督を殺せないし、首輪も着いてるでしょ』
それに加え、彼女は「処置」が施されていた。他の異常艦と同じように「首輪」がつけられていた。
「首輪」は特殊鎮守府でしか使用が許されない、提督の命令に対して絶対遵守の枷。本来は「例外」が特殊鎮守府以外で行動する際、万が一問題行動を起こさないための必要不可欠の「処置」であった。
『許せない、赦せない、ゆるせない、ユルセナイ』
『なんで艤装が使えんだよ!?くそっ止まれよ!な、ちょっま『ドォッッン!!!』ぎぃっう゛ぇ』
「首輪」の停止命令は確かに機能した記録があり、一時的であるが彼女の動きを止めており、正常に機能していたことが判った。その後の記録はエラーを起こしているが、おそらく命令を無視できた弊害と予測された。
吹雪の異端艦たる理由、それは「首輪」の機能を無視及び提督を殺害可能とする意思能力の強さとされた。
この問題はすぐに発覚した。彼女が大本営に報告を行ったからだ。提督を殺害した彼女は、本来なら解体処分、または自沈処理だ。だが、そうはならなかった。彼女が所属していた特殊鎮守府がブラック鎮守府とグルだった為だ。
特殊鎮守府は二つに分けられていた。一つは異端艦と変異艦を担当する特殊鎮守府。もう一つが異形艦と異常艦を担当する特殊鎮守府。元々艤装を使えなかった彼女は後者に所属していた。それがこの件によって異端艦へと変更された。
負担を減らすため二つに鎮守府を分けていたの特殊鎮守府は、元々特殊な艦娘が少ないため、態々二つに分ける必要が無くなった。最終的に、特殊鎮守府は一つに統合され、この特殊鎮守府に全ての特殊な艦娘が籍を置くようになった。
そして、彼女は被害者として処理され、この事件も闇に葬られた。
まったく、ひどい話もあったものだ
「司令官、執務室に着きましたよ」
おう、あ、そういえば
「どうかしましたか」
いや、少し聞きたいことが…あー、仮に、仮にだぞ?吹雪は、今度こそホワイトな鎮守府に行けるとしたらどうする?
「行きません」
即答か、何故?
「ここには無事だった仲間やお世話になった方が居ます。恩は返さないと…それにあの時のようなことは、二度と起きてほしくはありませんから」
…遠回しに私に言ってるのか?
「いえ、司令官。貴方のことは信頼しています。処分されるはずだった私を引き取るどころか、皆を…解体を望む仲間が殆どでしたが、一人もかけることなく助け出してくれました。おかげで金剛さんのように、前向きに生きようとする方も少なからず居ますから」
こちらを真っ直ぐ見据える。透き通る黒い瞳に嘘は見られない。信頼と慈愛の感情すら宿っているようにも見える。しかし、こちらが裏切るような事をすれば、即座に行動に移すという確固たる意思も見えた。
目は口ほどものを言う…か。さて、くだらないことを聞いたな、執務室に封筒を置いて食堂に行こうか
「はい、司令官…私からも一つよろしいでしょうか」
なんだ?
「同意の上なら結構ですが、泣かせたり、あまり節操がないようなら切り落としますから、そのつもりで」
ヒィエッ!?
「さ、食堂へ向かいますよ。そろそろ他の皆さんも集まってくる頃です。急ぎましょう」
執務室の机にポンと封筒を置くと、先ほどまでのやりとりが一切なかったかのように、スタスタと一人歩いていく。対して稲妻のような悪寒を感じ、一人呆然としている彼はポツリと言葉をこぼした。
ビビった、マジだったよあの娘。…しかし、なるほど、今日届いたはずのあの
彼は机に置かれた封筒の中身を想う。それは吹雪の
一昔前の戦争劣勢期ならともかく、今は艦娘保護法も制定された。文明が衰退した日本の復興のため、艦娘の戦うアイドルグループなんてもの存在する。いくら特殊鎮守府が艦娘保護法の一部を無視しているとはいえ、通常の鎮守府まで絡んだ問題は表沙汰にはできなかった。
それでも、なかったことになったとはいえ、提督を殺害した吹雪を受け入れる鎮守府などあるはずがなかった。一部を除いて…
しっかしまあ、あのイかれ元帥。いくら吹雪が旗艦として優れているとはいえ、限度があるだろうに。命の危険があった方がボケ防止になってちょうど良い?アホかあのじいさん…まあ、
私もさっさと行くか、吹雪は…見事に置いていかれたな。さて、今日は何を食べようか
いかがでしたでしょうか
文才があるかどうかは他人が評価しないと分からないのでなんとも言えませんが、まあまあの出来だと思います。設定的にまだ甘いところもあると思いますが、許してください。
気が向けばまた書くので、その時はよろしくお願いします。