特殊鎮守府の艦娘   作:黒つ羽

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約一年ぶりです。生きてました。
今回少し、書き方を変えました。
もしまだ、読んでくれる方がいたら嬉しいですね!


異常艦:初風

 朝、目が覚めると()()()()()に添い寝されていた。

 

 

 

うおぉっ!?

 

「「おはよう、提督さん。目は覚めた?」」

 

 

 

 枕元の両脇に生首二つが鎮座し、一対の瞳がそれぞれ此方を向いている。ニヤニヤと気味の悪い笑顔を浮かべている辺り、性根の悪さが透けて見える。心臓に悪い。

 

 

 

「…初風、何をしている」

 

「「じー…見てるだけよ?いけないの?」」

 

「何故見て…いや、なぜ首だけなんだ」

 

「「酷いこと言うのね、分かってるくせにー」」

 

()()()()はどうした」

 

()なら執務室、だから早く起きて」

 

「…了解」

 

 

 

 のそのそと着替えはじめると、後ろから刺すような視線を感じる。じろじろ見られているような感じがするが努めて無視する。いつも通りぴしりと決め、部屋を出ようとする。

 

 

 

「「ちょっと置いてかないでくれる?」」

 

「お前達を持っていたら扉を開けられないだろう、先に開けるだけだ」

 

 

 

 勿論、嘘だ。置いていくつもり満々だった。

 

 

 

「「その割には体の半分は出ていたみたいだけど」」

 

「周囲の安全確認だ」

 

「「ふーん、そういうことにしておいてあげる」」

 

 

 

 二つの生首を両手で抱え、執務室に向かう。途中、安定感がない、もっと丁寧に運べなど、ちょいちょい文句が出たが無視する。何だろう、両手に少女の生首を抱えていると著しく倫理観が破壊される。というか普通に重い。一つはサッカーボールにした方が運びやすいか…

 

 

 

「「妙高姉さんに切られたような悪寒が」」

 

「気のせいだろう、ほら執務室に着いたぞ」

 

「「「提督、開けたわ」」」

 

「おう、ご苦労」

 

「「「提督、私を私に渡して」」」

 

 

 

 執務室の扉が開かれ、中から顔を出したのは体がある初風。彼女に生首たちを渡すと執務室の机、それぞれの定位置に晒しくb…コホン、安置する。とりあえず、座るか。

 

 

 

「「「8時。今日もいい天気になりそう」」」

 

「もう、8時か。朝食は食べ損ねたか」

 

「「「大丈夫、サンドイッチがあるわ!」」」

 

「…朝食を食べ損ねたな」

 

「「「提督、私もまだ食べてないから食べさせて」」」

 

「おう、無視か」

 

「「「この前は私が食べさせて貰ったから、今日は私に食べさせて」」」

 

「おい、指をさせ、誰だ」

 

「「「私よ」」」

 

「はぁ、お前だな」

 

 

 

 ちょうど手が届く位置にあった首を持ち上げ、目の前に置く。初風からサンドイッチを受け取ると生首にそれを与えながら、自分も食べ始める。嫌な図だ。

 

 

 

 

 ここには三人の初風がいる。正確には体が一つで首が三つだが…明石曰く、一つの体に三つの首をリンクさせているので食事や補給等は一人分程度で済むらしい。一応、首は別々の意思を持っているため、並列思考ならぬ並列意思で三人それぞれの考えはあるらしい。

 

 

 まあ、喋るときは体の方に声帯が一部残っているため、同時に同じことを喋るらしいが…どういう原理なのか。明石が言うに、どこでもドアに首を突っ込んでいるのが一番近いらしいが、よくもまあそんなおかしなことができるものだ。妖精さん様々だな。

 

 

 彼女たちがここに来た理由はそれぞれだ。一人は深海棲艦との戦いで戦艦の集中砲火が奇跡的に全弾首に直撃し、首がもげた。そのあと錯乱した他の艦娘が初風を鎮守府に運び、バケツをぶっかけると首だけ復活した。

 

 

 二人目は建造された時点で首がポロりと取れていたらしい。一応、くっつけることはできるが砲撃の衝撃で首が落ちるため、ここに異動してきた。

 

 

 三人目は悲惨だ。何でも妙高との訓練中、衝突する事故があった。それで首が飛んだらしい、文字通り*1。その後、首が付かなくなり、ここに来た。体の方は興味深いと言うわけで明石が無断でバラし、改造した後、倒錯的な趣味を持つお偉いさんに言い値で売りつけたらしい。初風には体の方は完全に死んでいたため、解体処分したと報告*2している。

 

 

 明石のヤツ好き勝手やり過ぎだな、いつか注意しとくか。さて、そんなこんなで首だけここに送られてきた二つの初風とデュラハンしながらやってきた初風の体と首をリンクさせて今に至るというわけだ。

 

 

 初風達曰く、考える時間が増えたため色々と思うところがあったが現状を受け入れた…らしい。明石曰く、正確には頭の中身を弄り、混乱や自己崩壊を起こさないようにして現状を受け入れるよう暗示をかけた…細かいことは気にしてはいけない。

 

 

 ここは基本的に法の及ばない無法地帯のため、多少人権を無視した行為をしても、処分すればなかったことになるのだから気にしてはいけない。因みに初風の体を買ったお偉いさんは最近になって不祥事が公になり、比喩なく首が飛ばされたようである、南無。

 

 

 

「そろそろ始めるか、書類を寄越してくれ」

 

「「「はい、どうぞ」」」

 

「…終わってないか、これ」

 

「「「本気を出したわ」」」

 

「判を押せば終わりだな」

 

「「「退屈~!、甘いもの食べたいなー」」」

 

「3時のおやつには早すぎるな」

 

「「「提督」」」

 

「なんだ」

 

「「「そろそろ本気出しますかぁ」」」

 

「はあ、ちょっと待ってろ」

 

 

 

 こんな感じに急かされ、書類を確認しながら判を押す。…毎度思うが必要あるのだろうか、これ。ここの書類仕事は形だけで中身は全く意味を成していない。どっかの淀さんが中身を検閲し、書類全てを破棄したあと、嘘っぱちの書類をコピペして大本営に届けているからだ。

 

 

 しかも、大本営もそれを容認している。上から下までまっくろくろすけなわけだが、不思議と埃を叩けば姑もうぐぐと言わんばかりにまっしろしろすけだ。

 

 

 その辺りの情報操作・改竄は夜戦狂いやどっかの淀さんが行っているらしいが、詳しくは知らん。知る必要もないがはっきり言ってこの無意味な書類仕事をやめたい。まあ、これを形だけでもやらないと面倒なことになるからやめないが…お、最後の一枚

 

 

「終わった」

 

「「「お疲れさま、提督」」」

 

「あぁ、判を押すだけの簡単な仕事だったからな…何をしている」

 

「「「ジャグリングよ、これはカスケード」」」

 

「へぇ」

 

「「「他にもあるわ、シャワー」」」

 

「それなら私もやったことがあるな、シャワーと言うのか」

 

「「「リバース、ジャグラーズ・テニス、インフィニティ、コラム、ウィンドミル、ミルズ・メス、ペンギン、カスケードに戻して…フラッシュからのピルエット!トーテムポール!」」」

 

「おお!」

 

「「「成功したわ、トーテムポールはバランスがシビアね」」」

 

「素直に凄いな、全て実際にある技なのか?」

 

「「「トーテムポールはオリジナルよ、個人的に一番気に入ってるのはペンギンね」」」

 

「なるほど、他の連中には見せたのか?」

 

「「「いいえ、提督が初めてよ」」」

 

「ほう、いいものを見せてもらった。また頼むよ」

 

「「「ふふ、分かったわ、楽しみにしてて」」」

 

「ああ、楽しみにしている」

*1
黒ひげ危機一発と言えば馴染み深い

*2
死んでいたのは本当らしい。バレたら吹雪に殺されそうだが




さて、皆さんお気づきでしょうが、提督の台詞にも「」を付けるようにしました。いかがでしたか?

提督の「」について

  • いる(4話のやり方が良いと思うよ)
  • いらない(1~3話のようにしてくれ)
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