ドラゴンクエスト ダイの大冒険~裏の章~   作:山いもごはん

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今回も勢いとノリだけで書いています。


いざ!!大破邪呪文~アポロ&マリン編~

ダイたちアバンの使徒一行は、大魔王バーンに挑み、敗走した。

彼らを救出したのは、魔王軍によって壊滅したはずのカール王国の女王フローラであった。

フローラはかつてのカール王国の地にアジトを構え、打倒大魔王バーンのため密かに準備を進めていた。

アバンをよく知るフローラが、5人目のアバンの使徒として認めた、パプニカの王女レオナ。

大魔王バーンの居城である大魔宮(バーンパレス)は空を自在に飛行でき、また大魔王バーンの魔力による結界があるため瞬間移動呪文(ルーラ)でも突入することはできない。

大魔宮(バーンパレス)へ突入する唯一の方法として、フローラは伝説の破邪呪文、大破邪呪文(ミナカトール)の習得をレオナへ指示する。

仲間たちの助けもあり、見事大破邪呪文(ミナカトール)を習得したレオナ。しかしそんな折、大魔王バーンによって捕らえられたアバンの使徒ヒュンケルと元百獣魔団長クロコダインの処刑が伝えられる。

しかしフローラは、処刑の際に大魔宮(バーンパレス)が処刑場の上空に留まることを見越し、ヒュンケルたちの救出と大破邪呪文(ミナカトール)による大魔宮(バーンパレス)への突入を同時に行うことを計画していた。

 

 

~1~

 

「ねえ、アポロ」

「なんだマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか。まあ、わからなくもない」

「そりゃ、姫様には、私たちが不在の間パプニカの安全を確保してー、なんて言われたけどさ」

「魔物たちも最終決戦の気配を感じ取って怯えているのか、大人しいものだしな。国の復興を手伝おうにも、我々はイマイチちからが低いから、力仕事には向いていないしな。そのせいで兵士達にも逆に気を使われる始末だ。まったく、あの時はいたたまれなかった」

「なんだかさ…こういうこと言っていいのかわからないけど…私たちって最近影薄くない?」

「マリン、君もか。私も薄々そうではないかと感じていた」

「カール王国って南東だっけ?となるとあっち…なんかデカい鳥みたいなのいるし」

「あれが恐らく大魔宮(バーンパレス)だろう」

「あんなデカいのがあると距離感狂うわー。カールまで結構距離あるはずなんだけどなー」

「それで、影が薄いという話だが」

「そうそう。賢者といえば職業の花形、パーティーの要よ!一般的な勇者・戦士・僧侶・魔法使いのパーティーが、勇者・戦士・賢者で済むのよ!余った枠にはバダック辺りを放り込んでおけばいいわ。勇・戦・賢・バ、なんて結構な縛りプレイよ」

「ふむ。バダック殿のくだりはともかく、賢者が花形というのは全面的に同意できるところだな」

「でしょ?そんな賢者、ましてやパプニカ三賢者なんて国を代表する賢者であるところの私達がお留守番なんて、人材の無駄遣いじゃない?そもそも、『バ』だって決戦場に行ってるのに…」

「とは言え、姫様のお言葉だ。すべてに優先する」

「その言い方、悪役っぽいわよ」

「私とて冗談も言いたくなる」

「ああ、冗談だったの。あんたマジメだから、冗談と本気の区別がつかないのよね。ともかく、私たちの目下の目標は、最終決戦が終わるまでに如何にして目立つか。それを考えるのよ。『賢き者』の頭脳をフル稼働して」

「まったく、キミってやつは…」

 

 

~2~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか」

「ところで、さっきの影が薄いって話だけど、やっぱり納得いかないのよね」

「というと?」

「私たちパプニカ三賢者って、わりとみんな対等みたいなところあるじゃない?キャラ的に」

「キャラ的に」

「実際、この25巻『いざ!大破邪呪文(ミナカトール)』の背表紙なんか、三賢者一緒に映ってるのよ。写真撮ったでしょ?」

「25巻とかはわからないが、写真は、あの時のアレだな」

「なのにさ…。いまやエイミばかりが目立ってさ…。そもそもなんなのよあの子。やっぱりアレ?元敵とのロマンスとか、キャラの差別化にはそういうのが必要なわけ?」

「マリン、少し落ち着け」

「ごめんなさい、ちょっとなんか興奮しちゃって。あの子も昔はね、お姉ちゃんお姉ちゃん、って、私の後ろをついてくるかわいい子だったのよ。あの子が賢者になったのも、お姉ちゃんが賢者になるなら私もなるー、ってほんとになっちゃったぐらいだから」

「それは…ある意味すごいな。センスがあったのか?」

「ううん。むしろ賢者のくせに脳筋。攻撃魔法と剣で戦う方が得意なのよね。回復魔法はもう、からっきしの三級品。前衛でガンガンいっちゃう分にはいいんだろうけどね。あ、なんか地面から光の柱が出てる」

「あれは恐らく姫様の大破邪呪文(ミナカトール)だろう」

「あーあ、消えた。上手くいったってことなのかな?それにしてもエイミよ。私が今、なんて呼ばれてるか知ってる?」

「いや…知らんが…」

「『三賢者のエイミじゃない方』。ひどくない!?メチャメチャひどくない!?」

「それは…さすがにキツいな…」

「今回の決戦だって、しれっと姫様についていってるしさ。下の子ってやっぱりそういうところあるのかしらね」

「アレは驚いたな。姫様が当然のようにエイミを連れて行かれたからな」

「アポロや私はさ、産まれたときから賢者になることを宿命づけられてたわけじゃない」

「まあ、私たちの名前もそれを表しているしな」

「そう、太陽の賢者アポロ、海の賢者マリン。アポロの養父も、私の両親も、そう願って名付けたはず。ところがエイミよ。Aimiよ。なに?エイミって。もうお父さんたちが、賢者じゃない、普通の女の子として生きてほしいって気持ちが見え見えじゃない。なのに無理して努力して、賢者になって…。バカみたい」

「そうは言っても、可愛くて仕方がないんだろう?」

「そりゃまあ、妹だしね。それも自慢の」

「まったく、キミってやつは…」

 

 

~3~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか」

大魔宮(バーンパレス)の方も動きがないし…ヒマつぶし付き合ってよ」

「かまわんが…何をする?」

「ヒマつぶしの王道と言えばしりとりでしょ」

「なるほど。一理ある」

「で、せっかく私たち賢者なんだから、魔法縛りでいきましょ」

「いいだろう。受けて立とう」

「じゃあ私から。『しりとり』の『り』からね。リレミト」

「トベルーラ」

「ラリホー」

「ホイミ」

「おお、基本ね…。ミナカトール」

「君こそ最新の魔法じゃないか。る…る…ルーラ」

「ラリホーマ」

「『ま』!?『ま』だと!?」

「ほらほら、どうした太陽の賢者?」

「ま…。ま…。見えた!マヒャド!」

「おー、やるわねー」

「何かが降りてきた。天啓かも知れん」

「ドラゴラム」

「『む』!?『む』!?『む』!?む…む…。なあ、キミには慈悲の心というものがないのか?」

「私には慈悲の心というものがないのだー。はい10…9…8…」

「ちょっ!カウントダウンは卑怯だぞ!む…む…」

「2…1…0!はい、私の勝ちー。敗者には罰ゲームがありまーす」

「くっ…。くそっ…。しかし敗北は敗北。罰ゲームとやら、喜んで受けようじゃないか」

「いち、24時間耐久トベルーラ。に、薬草早食い大食い選手権(参加者1名)。さん、ベギラマ熱湯風呂」

「どれもこれも結構えげつないな…。その中から私に選べというのか?」

「んー、とも思ったんだけどね。ヒマつぶしに付き合ってもらったわけだし、今回は罰ゲームなしでいいわ。ありがと」

「まったく、キミってヤツは…」

 

 

~4~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか」

「なんかモノマネやってよ」

「『老いたりとは言えこのワシはパプニカにこの人ありとうたわれた剛剣の使い手じゃぞうっ!』」

「ブフゥ!クッ…ククククッ…。イーッヒッヒッヒッヒ!」

「マリン、前々から思っていたが、キミは笑い方に品がないな」

「グフッ…!ブククククッ!ウイーッヒヒヒ!」

「マリン…。ちょっと心配になってきたぞ」

「イヒィ、イヒィ、ヒィイイイイ…。あー、ヤバい。まさか顔まで寄せてくるなんて…。あなた、かなり光るもの持ってるわね」

「ふむ、私のできる唯一のモノマネだからな。喜んでもらえて光栄だ」

「しかも一瞬のためらいもなく披露するなんて…。大物だわ…。イヒッ…イヒヒヒヒっ…!」

「マリン、大丈夫か?」

「イー、ヒー。大丈夫、ただの思い出し笑いだからブフゥ!」

「マリン…」

「ごめん、もう大丈夫。あー、強烈だったわ。アポロ、他にできるモノマネないの?」

「先ほど言っただろう。唯一のモノマネだと」

「あなた、きっと才能あるわよ。ちょっと他のも練習してみない?」

「まったく、キミってヤツは…」

 

 

~5~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか」

「アレやってよ。パプニカ音頭」

「パ~~っプニっカパっプニっカパっプニっカハァ~~ア!」

「ハイ!ハイ!」

「た~~いようっとう~みっとかっぜとっがハァ~~ア!」

「ハイ!ハイ!」

「…」

「どうしたのアポロ?ここからがいいところでしょ?」

「いや…少し王のことを思い出してな…」

「ああ、王様…。王様、パプニカ音頭お好きだったものね…」

「うむ。宴の度に半裸になって踊られて、よくバダック殿に制止されていたものだ…」

「そのせいでパプニカ音頭は半裸で踊るものだって民衆に認知されて、あっという間に廃れていったものね…」

「今となっては姫とバダック殿、我ら三賢者ぐらいしか踊れるものはいないからな…」

「姫様…か。姫様も、いつまでも姫様のままじゃよくないよね。大魔王バーンを倒したら、時期を見て戴冠式を執り行って、女王様になっていただかないとね」

「確かにそうだな…外交的にも王女のままでは格好がつかないからな」

「前にサミットやった時も、ベンガーナのクルテマッカ王がやたらとケチつけてきてたもんね。ベンガーナのクルテマッカ王が。クルテマッカが」

「キミ、『クルテマッカ』って言いたいだけだろう?」

「あ、やっぱりわかる?」

「まったく、キミってヤツは…」

 

 

~6~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「キミがそう言うと思ってだな、これを用意した」

「これは…フリップ!?」

「そうだ。回答の時にお手元にある、あのフリップだ」

「本物初めて見た…。アポロ、こんなのどこで手に入れたの!?」

「ちょっとツテがあってな…。それより、このフリップの使い方だ。キミは先ほど、私たちの影が薄いと話していたな?」

「そうだけど…それがどうしたの?」

「そんな影の薄い我々でも、輝いていた瞬間は必ずあるはずだ!それをこのフリップに書いてお互いに発表しようというわけだ!」

「ええ…なんだかそれ、とてもイヤな予感しかしないんだけど…」

「大丈夫だ。自分を信じろ、マリン。とりあえずベスト3を挙げるぞ。では、お手元のフリップにお書きください」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…。さて…私は書けたが…マリン、キミの言葉の意味がわかったよ…」

「でしょ…?やめた方がよかったのよ…」

「しかし、せっかく書いたのだから発表するぞ!セオリーから外れるが1位から発表しよう…。まず第1位!てーれん!フレイザード戦、防御光幕呪文(フバーハ)で味方を守る!」

「あー、アレはすごかったわね。さすがは太陽の賢者アポロって感じだったわ」

「ふむ、そうだろうとも」

「ま、その後あっさり魔法で突破されちゃったけどね。防御光幕呪文(フバーハ)は魔法には無力だし」

「くっ…!なぜキミは痛いところをついてくるのだ…。キミには慈悲の心というものがないのか?」

「私には慈悲の心というものがないのだー。で、2位は?」

「屈託は残るが…まあいい。では第2位!てーれん!フレイザード戦、『貴様…女の顔になんということを…!』だ!」

「ああ…フレイザードが私の顔を焼いた時に言ってくれたセリフね。でもあなた、そのセリフ持ってくるって私に対して結構エグいことしてると思わない?」

「思わない。私は私の立場を守ることで精一杯だ」

「言うわね太陽の賢者…。まあいいわ。次、3位」

「3位…。3位ね…。よかろう、男アポロ、意地を通して見せるッ!第3位!なし!」

「ん?今、なしって言った?」

「うむ。ないのだ。どう捻っても、ないのだ。先ほどから顔で笑って背中で泣いていた」

「だからやめとこうって…」

「もっと考えてからフリップを持ってくるべきだった…。とは言え私の手番は終わった。今度はキミの番だ」

「さっきあんな惨劇があったのに、ほんとにやらなくちゃダメ…?」

「うむ。いくらキミでもこれは譲れんぞ」

「じゃあ、1位ね。フレイザード戦後、姫様に顔の治療をしていただく。2位、魔法の聖水を取りにきたポップ君にスカートずり下ろされてパンツ丸出しになる。以上」

「以上?3位は?」

「あなたに言われたくないわね」

「そ…そうか…。しかしこう言ってはなんだが、どちらもキミの影が濃くなるエピソードではないな…」

「そうなの…。しかもやっぱり、どっちのエピソードもエイミとごっちゃにされるの…」

「私が浅はかだった…。単に二人とも傷をえぐってしまっただけだな…」

「ま、でも大丈夫!いつか目立てる日が来るはず!前向きに考えましょう?」

「まったく、キミってヤツは…」

 

 

~7~

 

「ねえ、アポロ」

「どうしたマリン」

「ヒマなのよ」

「そうか」

「そういえば私の知り合いの魔法使いがね、地底にトンネルを掘ろうとしたの。普通の土と泥と石でできた地面にね。そこを魔法で掘ろうとしたのよ。どうしたと思う?」

「魔法使いの使う魔法を使ってか?皆目見当もつかん」

「それがね、火炎呪文(メラ)で掘ったって言うの」

「…火炎呪文(メラ)で?」

火炎呪文(メラ)で」

「どうやって?」

「私もそこがわからないの。『火炎呪文(メラ)で掘った』としか言わないの」

「しかし、地底で火炎呪文(メラ)を使うなど…」

「そう。周りは全部石焼き芋の石みたいになるし、火炎で酸素はなくなるし…。超低濃度の酸素下の超高熱のサウナよ。はっきり言って人が死ねるわ」

「それで、具体的にどのような対策をとったのだ?」

「ただ、火炎呪文(メラ)で掘った、とだけ」

火炎呪文(メラ)で掘った」

「しかもそのトンネル、4人で通ったらしいわ」

「4人で…だと!?どうかしている!」

「でしょ?だから、トンネルのサイズもわからないの。ただ、火炎呪文(メラ)で掘った、とだけ」

火炎呪文(メラ)で掘った」

「まあ、その人って結構ムチャなこと言いながらも実行しちゃう人だから」

「なるほど。かなりの実力者なのだな?」

「あと、工夫が上手いのよね。私たちもパプニカ三賢者だなんて言われてるけど、上には上があるんだから。まだまだ精進しないとね」

「まったく、キミってヤツは…」

 

 

~8~

 

「なあ、マリン」

「どうしたのアポロ?」

「ヒマだな」

「そうね。お、大魔宮(バーンパレス)に雷落ちた。ダイ君の電撃呪文(ライデイン)かしら。もう一発。さらに一発。ガンガンいこうぜ。なんかヤケクソになってないかしら」

「ところでマリン」

「なに?」

「やはり我々は、賢者という優位性を生かして行くべきではないかということに気付いたのだ」

「というと?」

「一般的な賢者といえばどんなことをイメージする?」

「やっぱり、攻撃魔法と回復魔法が使えて、後はある程度剣も使える…。ってところかしら」

「そうなのだ。しかし、魔法については僧侶と魔法使いを経験した者であれば両方使える。そして剣は戦士には敵わない」

「確かに言う通りね。あ、雷やんだ。それで?」

「新たな賢者の優位性、それは破邪呪文だ!」

「な…なるほど!破邪呪文は賢者にしか使えない。僧侶+魔法使いや戦士には逆立ちしたって使えっこない。優位性どころか特異性だわ!」

「姫様が大破邪呪文(ミナカトール)を習得された破邪の洞窟という場所がカールにあるらしい。この戦いが終わったら一緒に修行しに行かないか?」

「ふふ…。いいわね…。あの色ボケの妹とここで完全に差別化を…」

「…」

「…」

「聞こえたか?」

「ええ。ダイ君の声だったわ」

「無差別攻撃…ピラァ・オブ・バーン…黒の核晶(コア)…地上の消滅…氷系呪文(ヒャド)…。時間がない…!」

「それにしても…アレ、『ピラァ・オブ・バーン』って名前だったのね。魔族のセンスってダサい…」

「それどころじゃない!マリン、ベルナの森へは瞬間移動呪文(ルーラ)で行けるか?」

「大丈夫よ!」

「よし、では私はバルジ島へ行こう!ロープは?」

「持ったわ!」

「魔法の聖水は?」

「ありったけ!」

「よし、マリン!」

「なに?」

「今度こそ…目立つぞ!」

「まったく、あなたって人は…。もちろんよ!」

「では行こう!」

「「瞬間移動呪文(ルーラ)!」」




最後までお付き合いくださりありがとうございました。
お楽しみいただけたなら幸いです。
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