ゆるふわ仮面ライダーワールド   作:空飛ぶマネッキー

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クウガ、被害者(くるしむ)

 ここは全てのライダー達が住むとされているライダーワールド。

 しかし、どの世界にも平和を打ち砕く『悪』が存在する。だがそれに抗う市民の味方も存在するのだ。

 それが俺達『ライダー課』通称『仮面ライダー刑事』である。

 のはずなのだが……

 

 ドーナツを呑気に食べる操真晴人、ラジオで競馬を楽しむストロンガー、愛用のショットガンを磨く大門。

 

「ええい! お前達幾ら事件が起こらないからと言って……たるみすぎた!」

 

 このライダー課のボスである1号は、 部屋の中央に集まっているデスクをドンと叩いた。

 ドスの効いた声でグラサンをかけた大門は。

 

「ボス、何もないと言うことは良いことですぜ」

 

「凛子ちゃんに同じく」

 

 晴人もそれに同意した。

 ボスはストロンガーに目を向けた。

 

「走れぇぇぇぇぇブラックサタン! お前に全額つぎ込んでんだよォォォォ! あっ、やめろ、走れっ! もっと……あっあァァァァァァァァ!」

 

「お前は勤務中に何やってる!」

 

 ボスは馬券を持ちながら慌てふためくストロンガーにライダーキックをかました。

 

「うるせぇ! 今それどころじゃねぇんだよ!」

 

 するとストロンガーはすぐムクリと立ち上がり、拳にビリリと電撃が走ったのを見た。

 

「電パァァァァァァァァンチィィィ!」

 

「や、やめろストさん、その拳をおろ……ぐわぁぁぁぁぁ!」

 

 あっ、これは長引くな。

 ライダー課に初めて配属された頃は異常事態にツッコミまくりで疲れたが今となってはこの光景は日常茶飯事になってしまった。

 そんな二人の喧嘩を観ながら、晴人はドーナツを加えながら部屋から逃走しようとした瞬間。

 

 コンコン。

 

「びょうぼー(どうぞー)」

 

 ドアが開いた時に取っ組み合いになっていたとボスとストロンガーは「げふん!」と咳払いし、何事も無かったように窓の外を眺めた。

 

「入りたまえ」

 

「お久しぶりです、ボス」

 

 赤いボディに肩から担ぐタイヤの上に、ぴっしりとスーツを着こなした仮面ライダードライブがその場に立っていたのだ。

 

「うん? その声はもしかして『ドライブ』か! 久しぶりだなハハハッ、捜査一課ではどうだ?」

 

 ライダー刑事達はコードネームという物が存在する。

 例えばストロンガーはストさん、過去にストライキを起こしたからだそうだ。そして俺はウィザード、特に理由は無いと思われたがボスに聞くと「お前は30経っても何もなさそうだからなハハハッ」という酷い理由で決めつけられたのだ。

 

 そしてドライブは仮面ライダードライブ、だからではなく昔ドライブスルーでナンパをしたが相手にすらされなかった事がトラウマになっているからだそうだ。

 

「ボス、急ですみませんがこの事件を引き受けて頂けませんか? 本来なら俺も手伝いたいんですが……」

 

 ドライブは茶封筒をボスに差し出した。

 ライダー課が承る事件は大抵が怪人絡みの事件である。今回もそれなのだろう。

 

「君も忙しい身なのは理解できる。ドンと俺に任せたまえ!」

 

 安心しろと胸を思いっきり叩くボスであった。

 

 

 

 

 

 

「さぁて、あいつが残していった事件を拝見させてもらおうか」

 

 もう勤務中に競馬しませんとマスクに書かれたストロンガーが乱暴に茶封筒の中身を取り出し資料を読みだした。

 晴人もついでに後ろから覗いた。

 

「こ、これは…………」

 

 晴人が呟く。

 

「さ、殺人…………」

 

 ストロンガーも呟く。

 

「「きゃーっ!!!!」」

 

 二人は乙女のように叫んだ。

 その背後に鬼教官のような顔をした大門がショットガンで。

 

「二人共、黙れ!」

 

 晴人とストロンガーは思いっきり叩かれた。

 

「ちょ、凛子ちゃんショットガンはやめて!」

 

 頭にタンコブができるのを感じながら、晴人は捜査資料をもう一度読み始めた。

 

「今朝、事件現場はポレポレ、えーと被害者は……クウガ、死亡推定時刻は今日の午前11時から12時で現場にいた客から聞くと『店の店員さんがカレーの味見をしていた時に突然苦しみだした』らしい。カレーからは毒物が検出されたそうだ」

 

 晴人は次の資料を手に取り読み始める。

 

「容疑者は現場に居合わせたのは四名の客、全員容疑を否認しているらしい」

 

「これは難問だな……情報が少なすぎるぜ」

 

「ウィザード、カレーの仕込みはいつでも可能だ。彼らが犯人とは限らないんじゃないか」

 

 ボスの言葉に晴人は言った。

 

「いや、10時頃までにはお客さんもいて、毒物が検出されたカレーを平然と食べてたらしいですよ」

 

「ならクウガ以外の店員が入れた事にはならないか?」

 

 大門が眉にしわを寄せながらシブシブと言った。

 

「当時経営していたのは彼一人だそうだ。その肝心のマスターはチョモランマに登山しているらしい」

 

 そして刑事たちは四人の容疑者の資料を見た。

 その現場に居合わせたのは、電王、ギルス、555とギノガ………………

 

 晴人はスッと無表情のまま手を挙げた。

 

「あのー俺犯人わかっちゃったんですけどー」

 

「本当か!?」

 

「マジかよ!」

 

「本当なの!? 晴人君?」

 

「いや気づけよアンタら! どう考えてもギノガだろ!?」

 

 すると凛子はサングラスをかけて大門に変わり、ギノガについて説明をし始めた。

 

「確かにギノガは『仮面ライダークウガ第18話、第19話』でクウガを一時的にだが毒で苦しめた前歴がある」

 

「だったらそいつがホシで決まりだな」

 

「待てぇ! ウィザード……俺は見損なったぞ!」

 

 突然ボスは晴人の肩を掴み、グワングワンと何度も揺さぶりをかける。

 

「人を見かけで判断してはいけないと教わらなかったのか!?」

 

「そうだぜウィザード、人間中身が大事なんだぜ。過去の経歴よりも今だ!」

 

 ストロンガーは酷い掌返しをした挙句、ボスの肩にポンと手を置いた。

 

「うわぁー寝返ったよこの人……というか人間じゃなくてグロンギでしょ……」

 

 だがボスが言うと妙に説得力があるな……

 

「昔、とある男がいた……顔がバッタで目の下の痕が刺青と言われて銭湯に入れなかった男の悲劇を……」

 

「それボスの事じゃ……」

 

「俺はその悲劇を繰り返させないために差別はしないよう気をつけているのだ!」

 

「流石ボス! よっ殿様バッタ!」

 

 暴論だが、徐々に押され始めている。

 だがここで負けては男が廃る。

 

「じゃあ反論させてもらいますけど、電王とギルスと555が殺人を犯すように見えますか!?」

 

 そう言うと、ボスはうっ、と一歩引いたが仮面からは意地の意思を感じる。

 

「確かにそうかもしれんが……もしもの場合があるだろ! 電王が人斬りかもしれないだろ!?」

 

「どうーしてそうなるんだよぉぉぉぉぉ!」

 

「あんな生易しそうな青年は裏では犯罪行為に手を染めてるかもしれない!」

 

「さっき差別しないって言ったよなアンタ!」

 

 晴人の息が途切れ途切れとなってきた。

 このまま二体一でやられると思ったが。

 

「ボス、すみませんけど私は納得できません」

 

 大門がショットガンを肩に担ぎながら晴人の意見に賛同してくれたのだ。

 

「り、凛子ちゃん……」

 

 晴人の目が潤い、ハグしようと飛び出しそうになったがショットガンを向けられて冷静になった。

 

「ええい! ボスの言葉に背くっていうのかお前ら!」

 

「そうっすよ、ギノガが犯人だって言ってるんですよ」

 

 晴人とストロンガーの目に電撃が走る。

 

「なら、こうしよう。今から容疑者のところに向かい取り調べを行う! ライダー課、出動!」

 

 ボスの言葉が引き金となり、その場にいた全員部屋から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドライブはライダー課の部屋の前に立ち、コンコンとドアを叩いた。

 

「入ります。ボス、死んだとされていた被害者が蘇り、犯人が…………あちゃー一歩遅かったか……」

 

 

 

 

 

 

 

 




この後、結局誰が犯人だったんでしょうね
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