ゆるふわ仮面ライダーワールド   作:空飛ぶマネッキー

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ボス、入れ替わる(アマさんになる) 前編

 

「お、俺とアマさんの身体が…………」

 

「アマゾン……メノマエ……いる……」

 

「こ、これはまさか……」

 

 ボスは自分の頭を舐め回すように触った。

 いつもはつるっ禿げのバッタマスクのはずなのだが、突起物や急カーブした部分があった。

 

「入れ替わっているだとォォォォォォぉ!?」

 

 ボスの叫び声はライダー課の部屋前の廊下から、どこまでも響いて行った。

 

 

 

 

 これは今から数分前、物事が起きる前ボスはライダー課の部屋で一人ブラインドの隙間から窓を眺めていた。

 

「遅いな……」

 

 他の部下達は昼休みでここにはいない。いるのはカツ丼を頬張っているストロンガーだけだ。

 ボスは別の店の天丼を頼んだのだが、どうやら手が離せないほど忙しいらしいのだ。

 

「ボス、まだメシ来ねえんすか? もういつものところで食べたらいいんじゃ」

 

 いつものとはおでん店の『天堂屋』だ。

 古き良き昭和の香りがする店で、ボスはよくその店に顔を見せる。

 

「うむ…………仕方ない、注文はこちらから取り消せられるか電話してみよう」

 

 電話のダイヤルを回し、耳に受話器を当てるとすぐに繋がった。そしてすぐに取り消しを了承してくれた。

 

「さて…………しまった、もう休憩時間が……」

 

 ボスは財布を取り、すぐドアを開け飛び出したのだが。

 

「キキーッ!」

 

 突然人影とぶつかり、身体がひっくり返った。

 尻餅ついた痛みを感じながらもボスは「危ないじゃないか!」とバッタマスクの男に言った。

 

「ゴメン……イソイデタ……」

 

 カタコトの日本語だった。どうやら外国の人らしい。

 その外国人の素晴らしい肉体や惚れ惚れとするバッタマスクは確かに外国のハリウッドスターを連想させる。

 

「うむ? よく見ると2号か私と似ているな……? もしかして伝説の3号か?」

 

 ボスは少し首を傾げながらも時間が短い事に気がついた。

 

「しまった! 時間が……」

 

 このまま直行しようと思ったが、ストロンガーの一言に足を止めてしまう。

 

「アマさん……あんたそんなに話せたのか?」

 

「何を言っているストさん、アマさん等どこにもいないだろ」

 

 そう言うとストロンガーはポロっと手に持ってる箸を床に落とした。

 

「もしかしてアマさん、今ので頭やってしまったか!?」

 

「だから、アマさん等どこにも……!」

 

 叫ぶ寸前にブレーキがかかった。ドアのガラスに少し写る自分の姿が、いつもとは違っていたのだ。

 

 自分に似たバッタマスクの男をもう一度見つめた。どう見ても自分である。

 

「お、俺とアマさんの身体が……」

 

 以下略。

 

 

 

 

 

「人格が入れ替わるってそんな魔法みたいな事が……」

 

 晴人が呆れながら両手を広げた。

 

「晴人君、あなた魔法使いでしょ」

 

「そういえばそうだった」

 

 アマゾンと思わしき人物が晴人に近づいてドン! とデスクを叩いた。その振動でライダーマンであるマンさんの遺影が飾られた写真立てが倒れた。

 

「ウィザード! 俺はふざけてるわけじゃない!」

 

「いやいや、そう言われましてもそう簡単に信じる事なんて無理ですよ」

 

 その言葉にストロンガーや大門もうんうんとうなづいた。

 

「ええい! アマさんがこんなに喋ってるとかおかしいと思わないのか!?」

 

 確かに日本語を流暢に話せないアマゾンがペラペラと話すのは違和感がある。ただアマさんは朝ドラが好きで言葉を覚えたのだ、アマさんという名も海女さんが主人公のドラマから取ったものだ。

 何度もドラマを見てペラペラ話せるようになったとも考えられる。

 それなら少しカマをかけて見るか、と悪知恵が晴人の頭で働いた。

 

「それならアマ……ボス、先週連れて行ってくれたキャバクラでの指名した女の子? の名前は?」

 

「いや何故それを今、言う必要があるのだ」

 

「本物のボスならそれに答えられるはずなんですけどねーあれ? 答えられないんですか?」

 

 そういうとボスは小声でこう呟いた。

 

「………………キョウスイ……」

 

 ストロンガーも続けてカマかけに乗り出した

 

「酔った勢いで頼んだドンペリの金額は? まさか、ボス答えられないんじゃあねぇよな」

 

「………………20万」

 

「よし、本物だな」

 

「そうっすね」

 

「お前達……後で覚えておけよ……」

 

 この事はストロンガーと晴人とボスしか知らないのだ。まず、悲惨な目にあったボスが自ら言いふらす事なんてあり得ないし晴人自身話す気はない。

 ストロンガーも酷くボスから厳禁されていてその事については口を固く閉じていた。

 

「もしそうだとしたら、これは一大事すぎる! 本当にアマさんとボスが入れ替わったと言うのか!?」

 

 大門の驚愕した表情にボスが口を挟む。

 

「だからそう言っているだろ! 俺はどんだけ信頼されていないんだ!」

 

「それは信頼以前の問題じゃないかしら……」

 

 ボスは溜息をつきながら自分の椅子に座り、昼飯を食べ損ねた事やアマゾンと入れ替わった不運に嫌気がさした。

 ふと今の自分の姿でも見て心を落ち着かせようとしたが、ふとアマゾンが急いでいた事を思い出した。

 アマゾンを観ると今もアマゾンは何かを伝えたい様子で、よほど自分の姿が入れ替わった事よりも重大な事らしい。

 

「そういえばアマさん。さっき急いでいた理由はなんだ?」

 

「ショッカー………えーと、えーと……アマゾン、ニホンゴ、キライダ!」

 

「落ち着けよアマさん、俺がフォローしてやるからよ。ふむふむ…………なんだよただの銀行強盗か……」

 

 ストロンガーが呆れながら言った。

 

「銀行強盗かぁ~」

 

 晴人も呆れながら言った。

 ふと、二人は今言った言葉を確かめる為にお互いを見つめ合って。

 

「「銀行強盗!?」」

 

 

 

 

 

 

 

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