ゆるふわ仮面ライダーワールド   作:空飛ぶマネッキー

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アマさん、疲労(つかれる) 中編

 

 

 銀行強盗で現在分かっている情報はこれだ。

 まず、犯人は三人の男、午前12時丁度銃弾を発砲し銀行のシャッターを閉め内部は不明。

 人質は18名で犯人からの要求は現在不明。

 今の状況はとどのつまり立てこもり犯だ。

 

「ボス、一体どうします?」

 

 晴人はパトカーの中に座る、見た目はアマゾン、中身はボスに質問をしたがボスは悩ましい声を出している。

 

「今の俺はアマさんそのものだ。地位的に俺の発言力はそこまで高くはない。ウィザード、ストロンガー、大門、力を貸してくれ」

 

 そう頼むボスに三人は「了解」と声を出した。

 

「けど状況が悪い事には変わりないな」

 

 晴人は遠くに数名の刑事に囲まれる見た目はボス、中身はアマゾンのアマゾンを見た。

 どう見ても言葉が上手く話せずモタモタ慌てている。

 それをじれったいと思ったのか、後ろからストロンガーがアマゾンに近づき始めた。

 

「後は俺に任せとけ、この手の通訳においては超一流なんだ」

 

 歩いていくストロンガーを後ろに見ながら晴人は「本当か?」と呟いた。

 

「フッフッフッ、ウィザード。彼はショッカー戦闘員の言語やグロンギ語等、色んな言葉をマスターしたプロフェッサーなのだ」

 

 大門が自信ありげにストロンガーについて説明し始めた。

 

「普通に英語とか覚えた方がいいんじゃ」

 

「彼にアマさんの言葉など昼飯前……」

 

「ああ!? いいからちゃっちゃっと話せよ! だあーっ! だからよ、アンタは俺に何を伝えたいんだよ!」

 

 ストロンガーの怒声が鳴り響く。

 

「あれのどこがプロフェッサーで超一流だよ…………」

 

 大門はげふんと咳き込みながらもサングラスを外し。

 

「ストさんがマスターしたのは入門編だけなの。テヘッ」

 

「凛子ちゃん、テヘッじゃないよ」

 

 苦い表情をしながらも、晴人はストロンガーとアマゾンの元に歩いて行った。

 

「二人共、ちょっと落ち着いて」

 

「ああ!? 丁度いいとこに来たな、お前が代わりに通訳をやれ!」

 

 押し付けられん感じでこちらの意見を無視されたまま決められた。

 

「アマさん、落ち着いて、ゆっくりでいいんです。ボスが後ろから指示を出しますから、ボスのそのままを言えばいいんですよ」

 

「アマゾン、ワカッタ……イウトオリ……スル」

 

 その時、黒電話を持った一人の刑事が近くにやってきた。

 

「あのー! 犯人からの通話が来ました!」

 

「何っ!? 今が説得のチャンスだな、ボス……じゃなかったアマさん……頼んだぞ」とストロンガーが声をかける。

 

 ボスは今よりずっと昔の過去に何人もの立てこもり犯を説得させ傷つけず逮捕させた実績があるらしく、現在ボスの姿をしたアマゾンにそれを押し付けられているのだ。晴人はそんなボスの姿を見た事は一度もないが。

 

 晴人はケータイを取り出してボスにかけた。

 

「ボス、犯人からの要求がかかってきました。アマさんに指示を頼みます」

 

「分かった、今すぐアマさんにこう言うのだ。まずは人質は大丈夫なのか? と」

 

「了解」と答え、晴人はアマゾンにぼそりとボスの言葉を伝えた。

 

「ワ、ワカッタ。ハンニン…………ヒトジチ、ダイジョウブ?」

 

 すると犯人から帰ってきた言葉が。

 

「イーッ!! イーッ! イーッ!」

 

 まるで意味が分からない。

 

「犯人……ショッカー戦闘員かよ……」

 

 他にこの言語を通訳できる刑事を探したが、誰もいなかった。

 晴人が溜息を零しそうになった時、希望が現れた。

 

「フッ……俺の事を忘れてもらっちゃ困るぜ」

 

「ス、ストさん! でもアンタ入門編しか覚えてないんじゃ」

 

「フッ、甘く見てもらっちゃ困るぜ、入門編とはいえ最低限会話できるぐらいには覚えてるぜ……ナニナニ、ふーむ人質は無事だそうだ」

 

 この際、頼れる綱がストロンガーしかいないのは事実だ。綱が太いか細いか賭ける必要がある。

 

「わかった、ストさんアンタのことを信じてみる」

 

 晴人は説得の続きを聴くためケータイを耳に置いた。

 

「ボス、人質は無事らしいっす、続きを」

 

「分かった、次は犯人の要求を聞くんだ、なるべく慎重にだ」

 

 アマゾンにその事を伝える。

 

「エ、えーと……ハンニン、オウシュウ、キク」

 

「押収じゃなくて要求だ!」

 

「ゴ、ゴメン、ヨ、ヨウキュウ……」

 

「イーッ! イーッッッッッツ!」

 

 相変わらず理解できない。

 

「ストさんなんて?」

 

「もっとテキパキ話せ、それとリアカーと今朝採りたての鶏の卵を寄こせ、だそうだ」

 

 その内容を聞いて晴人は首を傾げた。

 リアカー? 鶏の卵?

 

「いや、絶対要求内容間違ってるでしょそれ」

 

「ああ!? 俺の通訳が間違ってるって言うのか!?」

 

 スーツの襟を掴まれ、落ち着かせる為になだめようとした。

 

「いやでも、ストさん。常識的にそれはないですよね」

 

 そう言うとストロンガーはフンとそっぽ向いて小さく呟いた。

 

「そんな小さい性格だからいつまでたってもウィザードなんだよ……」

 

 その言葉を晴人は聞き逃さなかった。晴人の頭の大切な所がキレた気がする。

 この世で触れてはならない領域に触れてしまったのだ。

 

「ストさん……普通リアカーよりパトカーを要求すんだろ! しかもなんだよ缶を寄越せって!」

 

「はぁ!? 戦闘員がそう言ってるからそうなんだよ!」

 

「あれれー? 誰かな!? さっきアマさんの通訳できなかった刑事は?」

 

「てめえっ! 俺とやるってのかぁ!?」

 

 とヒートアップしそうな瞬間に二人の顔面に強烈な痛みが走った。

 

「グエッ!」

 

「グエッ!」

 

 二人が鼻をさすりながら何が起きたのかと思うと、アマゾンが両手でバッテンを作っていた。

 

「フタリハトモダチ、ケンカ、ダメ、アマゾン、ケンカキライ」

 

 そう言われ二人とも、何か心のシコリが取れ落ちた気がした。

 

「ストさん……さっきはすまない」

 

「ウィザード、俺もウィザード(笑)とか言って悪かった」

 

 こうして二人な手を取り合い新たな友情が芽生え始めたのだった。

 

「ってそんな事やってる場合じゃない。立てこもり犯の要求を」

 

 晴人は黒電話を耳に掲げると下っ端のライドプレイヤー刑事から「もう切れましたよ……」と何か失望の意味が篭った言葉混じりで言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええい! 貴様ら何をやっている!」

 

「すんません」

 

「サーセン」

 

 一発ヤキでも入れられそうな雰囲気だが、今はそんな状況ではない。このまま立てこもり犯をどうにかしなければならない。

 

「仕方ない……このまま強行突破を開始するしかない」

 

 ボスがそう呟き「マジかよ」と苦い表情を浮かべる晴人、大抵、強行突破する時は自分が『スモール』の魔法を使って、身を小さくして潜入するまでがお約束なのである。

 

「お前ならやれる!」

 

 ボスの応援が少々嫌味ったらしく聞こえる。もしかしてさっきキャバクラ暴露の事を根に持ってるのではないかと思いながらリングを取り出すのだが。

 

 ダーン! ドギャン! ゴガァァァン!

 

 銃声と何か破壊される音が聞こえ、その場にいた刑事皆がヤバイと感じ、言葉が苦手なアマゾンでさえ強行突破の命令を下そうとした時。

 

 シャッターが開いた。そして三人のショッカー戦闘員が逃げ出した。

 その様子に刑事たちは首を傾げた。

 

「イーッ! イーッ!! イーッ!!」

 

「早く逮捕してくれよ刑事さん、だそうだ」

 

 犯人が怯えている異常な雰囲気の中、一人の男が銀行から歩いて来る。

 灰色の作務衣を着こなしている和風チックな男だった。

 そしてその男は人差し指を天に掲げてこう言った。

 

「おばあちゃんが言っていた。不味い飯屋と悪の栄えた試しはない、ってな」

 

「イーッ! イーッ!」

 

「アイツは強すぎる、もうこんな事はやめる、だそうだ」

 

 その男は立てこもり犯の要求で一応用意した今朝の採りたての卵を籠ごと自分のもののように手に持った。

 一つ一つ手に持ち、何か満足したのかそのまま歩き出そうとした。

 

「お、おい待てよ! お前何持ち出そうとしてんだ」

 

 ストロンガーが謎の男の肩を掴み止めようとした。

 

「これは俺の卵だ、可愛い妹の為に料理を振舞わなければならくてな」

 

「いや、だからよぉ…………うん、まさか……お前が卵を要求したのか?」

 

 ストロンガーの頭の中がパズルのピースのように繋がった。

 

「ああ、買い物が遅れた分だ。リアカーはくれてやる、大切に使うんだな」

 

 最後にそう言い、片手に卵を持つ謎の男は夕焼けに溶けるように歩いて言った。

 

「ストさん…………すんません、本当にそうでしたね……」

 

「ああ、そうだな……」

 

〈スモ-ル!〉

 

「電ショッ……! ってどこ行きやがった! 逃げんじゃねぇぞ!」

 

 ストロンガーの怒声の中、小さくなった晴人はユニコーンに乗って逃げ出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……問題は解決したが、俺の身体はいつになったら戻るのか……」

 

 パトカーの中溜息をつく、ボスの前にある男の影が見えた。

 

「ボス、いい案がありますよ」

 

「お、お前は! マンさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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