ストさん事、ストロンガーの朝は早い。最近、電波人間である嫁がバルタ○星人と付き合っていた事から別れ、今ではストロンガー一人が家事、洗濯を行っている。
いつも雑用をこなしている時「アイツがいればなぁ……」と呟く事があるが、それを呟く度に首を思いっきりブンブン横に振った。
仕事がある日は愛用のバイク『カブトロー』で署まで直行、そして何度か刑事である身ながら事故り、相手と喧嘩が起こる事もしばしば、その度にボスにこっぴどく雷を落とされる。
反省はしているが、この街のバイクは数百キロ超えてるシナモノが多いので仕方ないだろうと反論する。
ライダー課でのストロンガーの主な仕事は取り締まりである。理由は色んな言語をマスターしているのは自分以外ライダー課の中にはいないからだ。
いつも相手の言葉を聞き取るのにストレスが溜まる。
「イーッッッッッツ! イーッ!」
「なんだぁ!? 街を一つ吹き飛ばす爆弾を作りやがったぁ?」
「イーッ! ショッカーの科学力は世界一イーッッッ!」
「最初からそれで話せよぉぉ電パァァァンチィ!」
「グロンギグベサグリントパバギギャンギャヂョグ(グロンギが狙うリントは会社の社長)」
「バビ、パヂョググガパバギジャヅゾボソグ!?(なに?波長が合わない奴を殺す?)
「お前が万引きをやったんだろ!」
「ウェ!? オベバァナニモヤッテバゼェンヨ!」
「このオロナミンCはなんだ?」
「ウソダドンドコドコド-ン!」
「コションジャミャションアフォショカデュショディジエジョファンシュイファン、デョブリョファエジュベシェシュンボリャエアダジュジョジャシャバリャフェン……(我が友がお腹を空かせていたのだ、人間の一匹ぐらい襲ったところで……)」
「なにぃ!? そんな理由でお猿さんを襲ったのかてめぇ!」
そのストロンガーの奮闘を取締室の外から眺めていた晴人は。
「何言ってんだあの二人」
「ふっ、ストさんの通訳は素晴らしいだろ」
「いやいや凛子ちゃん、あの二人話どころか言葉すら噛み合ってないようにしか見えないんだけど」
しまいに容疑者側がジェスチャーでストロンガーに何かを伝えようとしていて今にも喧嘩が発展しそうだった。
「ハッハッハ、何を言う。ストさんは色んな言語をマスター」
「ぎゃあああああああ!」
「いいからさっさと吐けぇ!」
ストロンガーは容疑者に電気を喰らわせていた。
いつか彼自身が容疑者になってしまいそうだ。
「マスターしたのは入門編だけだろ?」
本当に大丈夫かと不安になり止めに入る晴人だった。
「うぃー…………俺様は天も地も泣く子も黙るストロンガー様だぞ!」
「ストさん飲み過ぎですって……」
晴人は何杯も焼酎をガバ飲みしたストロンガーの肩を持つ。
「ウィザード……お前もよぉ……俺の事情けない先輩だって思ってんだろ?」
情けないより暴れん坊な先輩だなぁとしか。
「ハイハイ、いいから歩いてください」
「今日もよぉ……通訳ミスしちまってよぉ……俺本当にこの仕事向いてんのか不安になるぜ……」
今度は泣き上戸だった。
こんなってしまってはめんどくさいと感じ、晴人は慰める事に専念した。
「ストさん……俺はあんたの事、ボスよりは信頼してますって。通訳だってあんた以外やれる人はいないんだし」
「うう……そんな事言ってくれるのはお前だけだ……!」
ストロンガーが腕で顔の涙を拭った、仮面の目から涙は流れる物なのかと思ったが、まあ気にするのはやめよう。
「あっ……」
ふとストロンガーが電撃でも受けたようにピタリと止まった。何が起きたんだとストロンガーは見ている方向を見つめると。
「あんた……また酒飲んでたのかい?」
「まさかあれって……」
話に聞いていたストロンガーの元奥さんである。
「お、お前は……ふ、ふん! 今更あった所で俺とお前は関係ないだろ!」
「まだ言ってたのかいあんた……私は謝りたくてあんたの事を探してたんだよ?」
そう言うとストロンガーの心がかなり揺れた。あいつから謝ってくるのなら許してやると何度も思っていたのだ。
「お、お前が謝るって言うんなら……ま、またやり直しても……」
その時、ストロンガーの元奥さんの後ろから赤い蜘蛛男のスーツを着た男がやってきた。
「あっ、言うの忘れてたけど私、この人と結婚したの」
「えっ…………」
「あっ…………」
晴人も釣られて言葉を失った。
「もっと酒を持ってこい!」
「ストさん……気持ちはわかりますけど、流石に身体を壊しますよ?」
「俺は改造人間だ、この程度で死ぬかよハハハハハハハ!」
「ダメだ、完全に箍が外れてる」
いつもなら無理矢理にでも酒を止めようとするが、今回は流石に仕方ないと晴人もヤケ酒に付き合う事にした。