学戦都市の傾奇者と呼ばれし者   作:zaurusu

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第2話

学戦都市の傾奇者と呼ばれる慶二は今日も、歓楽街のカジノで賭けを行なっていた。

 

結果は惨敗で、数千万円を失う羽目になった慶二。だが、いつものことなので気にはしていなかった。

 

カジノ直営の飲食店で飯を食べていると

 

「相席いいか?」

 

「ああ、いいぜ。お嬢さん」

 

いつのまにか、ボサボサの赤毛で少し目つきの悪い女の子が慶二の前にいた。

 

よく見ると、レヴォルフの制服をこれでもかってくらい改造し、着崩していた。

 

まぁ、歓楽街でこの時間にカジノにくる学生なんて、レヴォルフぐらいしかいない。……まぁ、例外はいるにはいるが

 

だが、そんなとこは気にしないのが慶二だ。

 

柄の悪いことで有名なレヴォルフだが、別に暴れたりしなければ慶二にとってはやんちゃ坊主にすぎない。

 

むしろ最近は、一部のレヴォルフの学生から「慶二のアニキ!」なんて慕われている。

 

なので、断る理由もないし、むしろ目の前の女の子がこれまた美少女で特に二つのスイカがたまらなくって……

 

んん、とりあえずここは軽く世間話でもして……

 

「ん、よく見たらお前、前田慶二じゃねぇか?」

 

と思っていたら、向こうから話しかけられてきた。

 

「お、俺の名を知ってるとは、嬉しいねぇ。もしかして、俺に気があったり?俺はいつでもウェルカ……」

 

「いや、それはねぇよ」

 

「おっと、こいつは手厳しい」

 

あはは!センスを肩に叩きながらと笑う慶二。

 

「あはは!、私を見て、そんなことを言った奴はお前が初めてだよ。私はイレーネ・ウルサイスだ。お前の見たとおりレヴォルフに所属してるよ」

 

つい、彼女もつられて笑ってしまう。

 

2人は初対面なのだが、そこには壁など存在しなかった。周りからは、仲のいい恋人、もしくは兄弟に見えていた。

 

「ところで、お前、あそこの台でいくらスった?」

 

しばらく、食事を楽しんでいると彼女がいきなりこんな事を言い始めた。

 

彼女が指差したのは、先程まで慶二が遊んでいたルーレット台。

 

「うーん、大体二千万ぐらいだな!」

 

「ぶふぅ!! に、二千万!?」

 

予想よりも大きな額で負けていたことに驚いたのか、イレーネは口に含んでいたジュースをおもいっきり吐き出した。

 

慶二は咄嗟に避けて、濡れはしなかったが、テーブルはびちょびちょになっていた。

 

「す、すまん。てっきり五万か多くても、十万かと思ってな。てか、そんなに負けておかしいと思わなかったのか?あれ、完全にイカサマしてるぜ?」

 

そう、あの台は完全に細工されている。どういう原理かはわからないが、必ず指定した数字の的から外れるようにしてあるのだ。

 

「あー、どうりで今日は運がないなーと思ったらそういうことか。これは一本取られたな!!あははは!!」

 

「お前、騙されてんのに何笑ってんだ!?」

 

それを見てイレーネは声をあげた。普通なら、怒るところであり、不正を暴けばこの店で暴れに暴れ、潰されたとしても向こうは文句を言えないだろう。

 

だが、慶二はこう言った。

 

「騙されたのには俺に落ち度がある。なーに、あれは俺を騙したあいつらへの報償金だ。それに、失ったならその分また取り返せばいいだけの話だ」

 

 

イレーネはそれを聞いて驚き、こう思った。

 

こいつは馬鹿だ。どうしようもない大馬鹿ものだ。

 

当然だ。二千万なんて金は簡単に手に入るものではない。むしろ、人生が終わるかもしれないのに、この男はゲラゲラと笑うだけだからだ。

 

「さて、もうひと遊びするかな。」

 

慶二は席を立ち上がると、歩き出した。

 

そこは、先程、二千万騙し取られたところだった。

 

それを見て、イレーネは止めようとしたが慶二がそれを目で語りかけて止めた。

 

まぁ、見てなと。

 

そもそも傾奇者と呼ばれる男が黙って二千万取られるわけがない。

 

「よう、さっきは調子が悪くてな。今度は勝たせてもらうぜ!」

 

慶二の傾奇物語が幕を開けた。

 

 

四時間……

 

 

「まじかよ……」

 

イレーネはその光景に呆れていた。

 

最初は予報どうり負けていた慶二だが、チップが残り一万円になったとき、動き始めた。

 

玉が慶二の要素した的に次々とピンポイントに止まり始めたのだ。

 

最初は何かの偶然か、それとも細工をし忘れたかのよう思われたのだが、それからというもの的外れなし。

 

あれよあれよと勝ち進め、なんと、残り一万円だったチップが五千万円に化けたのだ。

 

これには、会場が盛り上がり、誰もがその勝負を見ていた。

 

一方のカジノスタッフは慌ただしくなり、ディーラーは汗が吹き出て止まらなくなっていた。

 

そして慶二は、一億まで勝ち進め、最後は全額を男の一点賭け

 

結果はもちろん、慶二の勝ち。

 

なんと百億を勝ち取ったのだ。

 

これには、スタッフもディーラーも青ざめていた。

 

しまいには店はおしまいだー、とこの店のオーナーの声が聞こえる。

 

すると、おもむろに慶二はオーナーの元へ向かった。

 

「これに懲りて、こんな事はやめることだな。ほら、ご苦労賃だ。」

 

と言って、勝ち取った百億分のチップが入った袋をカジノのオーナーにぶん投げた。

 

オーナーはしばらくぼーっとしてはいたが、しばらくすると慶二に頭を下げていた。

 

「イレーネ、遊び疲れたから帰るぞ。」

 

「あ、おい」

 

イレーネは慶二の後を追った。

 

「なぁ、なんであんなことしたんだ?せっかく一生遊べるだけの金を手にしたのに、あいつらなんかに変えしちまってよ。てか、最初から細工されてたのしってたな?」

 

「うん? まぁ、いかにも細工してますよ感が出てたしな。」

 

イレーネは納得出来なかった。

 

二千万も騙し取られているのだ。あんなことをしているのだから、店が潰れるレベルまでぶんどられたって文句は言えないはずだ。慶二に百億を払う義務があるのだから。

 

これは、あいつらがはらってきたツケだ。

 

なのに、なぜ慶二はこいつらのツケを立て替えたのか。

 

わからなかった。

 

すると慶二はこう言った。

 

「確かに、あいつらは最低なことをした。だが、奴らにも養わなければいけない家族や恋人がいるはずだ。もしかしたら、そうしないといけない訳があったかもしれない。俺は、他人の人生を壊してまで金をもらうつもりはない。まぁ、これに懲りて奴らも反省したろ。あ、でも、やっぱり全額返したのは惜しかったな。せめて、一億くらいは換金しとけば……」

 

イレーネはこれを聞いてこう思った。

 

やはりどうしようもない大馬鹿だ。

 

だが、どこか憎めない奴……

 

この出会いが、イレーネの今後の人生にどう影響与えるかはわからない。

 

だが、確実に彼女の中で何かが変わった気がした。

 

その後、2人は慶二行きつけの茶の専門店で茶道を体験(正座と作法に慣れないイレーネを見て、慶二は爆笑してしばかれた)し、彼女を家まで送り届けると、丁度妹のプリシラ・ウルサイスと鉢合わせになり、勘違いしたプリシラをイレーネが必死に弁明していたのには、慶二は笑わずにはいられなかった。

 

歓楽街のことを話すと、プリシラが

 

「すみません、慶二さん。少し、姉と話してきます」

 

と部屋の奥へと連れ込んでいった。

 

その時の、プリシラの顔は物凄く笑顔だった事に、流石の慶二も顔を引きつらせた。

 

一時間ぐらいったときには、イレーネはもぬけの殻となっていた。

 

話によると、この前、歓楽街のカジノで一悶着あったらしくカジノへ行くのを禁止されてたらしい。

 

全く正反対な性格の姉妹に慶二はどうやったらここまで正反対になるんだと疑問を抱いたのは言うまでもない。

 

しばらくして、イレーネが復活すると、プリシラから

 

「せっかくですのでご飯食べていきませんか?」

 

と言われたので、慶二は遠慮せずにいただく事にした。女子の手料理など世界の歌姫からもらったクッキー以来、五ヶ月ぶりだ。

 

その後、慶二はプリシラとイレーネと夕食を楽しみつつ、世間話で盛り上がり、2人のメールアドレスを手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

イレーネの日記より

 

噂の学戦都市の傾奇者、前田慶二。最初はふざけた奴だと思ったがそれは違った。

私は奴のことをこう思う

それはどうしようもないくらい大馬鹿者だが、誰よりも強い力を持った男だ。

 

あ、それはそうと、あのカジノ店潰れたらしい。まぁ、あんなことをしてたしな。でも、直ぐに新しい店が立ったそうだ。店の名は傾奇者の茶会だったか。

世界各国の有名なお茶っ葉を揃えているらしく、界龍の万有天羅が足繁く通うとあってすごく繁盛しているようだ。

驚くことにこの店のオーナーもといスタッフはあの潰れたカジノ店で働いてたやつらだった。

なんでも、オーナーが慶二の性格に感銘を受け、真っ当に生きる事にしたんだとか。

一件落着とでも言うのか、慶二の強さを改めて思った日だった。

ただ、いくら感銘を受けたとはいえ店の名前はどうにかならんのかと思ったのは余談だ

 

後、、慶二の奴、最近、星導館の自称ジャーナリストとか言うやつから追われてるそうだ。

 

なんでも、学校の新聞記事にしたいから取材をとか。

 

ご愁傷様とでも行っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




自称ジャーナリストといえば、あいつしかいない。

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