この力、この世界で役立つか? in 魔法科高校の劣等生 作:zaurusu
遅刻はしたが、レオの弁明のお陰で授業には参加することができたのだが、そのかわり、授業中の質疑応答は全て次狼がすることになった。
「お疲れさん。ほら、これやるよ」
「お、レオにしては気が利くな!」
「一言余計だ!!」
と投げ出されたキャラメルをキャッチし、それを口にする。丁度、甘いものが欲しかったので、これはとてもありがたかった。
キャラメルの味を堪能しつつ、次狼はレオと軽く世間話をする。
とはいっても思春期男子の会話が殆どで、ごく稀に風紀委員会についてだ。
しばらくすると、チャイムが鳴り、皆が席に戻る。
次は確か、数学だったなとタブレットで専用のアプリを開こうとしたところ、学内メールが届いた。
どうやら、クラスメイト全員にも届いているようで、何事かと心配したのだが、内容は次の数学の授業は担任の先生が急遽用事ができたので自習になったとのこと。
特に緊急性はなかったので、一安心だ。
さて、この突然出来た時間をどう潰そうかと考えていると、いつのまにか後ろにいたレオに話しかけられた。
「次狼、自習時間はどうすんだ?」
「んー、工房に行こうかと思ってるよ。新しいCADを試そうかとおもってね」
「お、いいな。俺も暇だしついていっていいか?」
「ああ、丁度レオに試してもらいたいとおもってたしな。じゃ、今から教務課に行って申請してくるから先に工房に行っててくれ」
「わかった!」
そう言って、席を立ち上がると
ピンポンパンポーン!
突然、校内アナウンスが鳴った。
先程まで、談話していた生徒も会話をやめ、何事かとアナウンスに注目し始める。
「お知らせします、2年6組、次狼。繰り返します、2年6組、次狼」
その瞬間、クラスメイト全員が俺をみる。
その目は言わずとも語っていた。
今度は一体何をやらかしたんだ……と。
全く、なけるぜ!
そんな中、レオはいつもの事かといった調子で次狼の肩にポンと手を置いた。
「なんだ、次狼?お前、何かやらかしたのか?」
「まさか、今日は何にもやらかしてない……はず」
「はっきりしないところが、怪しいな。お前は、話題が絶えないしな」
なまじ否定できない。
しかし、今回は本当に心当たりがない。
あるとしたら……昼間のトイレのことぐらいか。
でも、あれは個人の趣味の問題だから呼び出される訳がない。
でも、何故かさっきから悪寒がしてならないのは気のせいだろうか?
「風紀委員会会長、鳴神勇人がお呼びです。直ちに風紀委員会本部に来てください。繰り返します。風紀委員会会長、鳴神勇人がお呼びです。直ちに風紀委員会会長に来てください。繰り返します……」
「……………」
「……………」
無慈悲にも放たれたそのアナウンスに次狼を含めた、クラスメイト全員が固まった。
レオもどう言葉をかけていいかわからないのか、目を見開いていた。
「……さてと」
誰よりも早く立ち直ったのは、呼び出された本人である次狼だった。
ここは言われた通り、素直に風紀委員会本部へ
ガラガラ
と向かうのではなく、何故か窓ガラスを開けると
「あばよ!」
とここが三階にもかかわらず飛び降りて逃げ出した。
「「「「………えぇぇぇええええ!!」」」」
その光景に全員が驚いた。
「おい!あいつ、逃げたぞ!!」
「てか、ここ三階だぞ……」
「……って、あいつ足早!!」
風紀委員会の恐ろしさを知っている彼らは、アナウンス通り素直に従うかと思っていたのだが、逃げるという次狼の行動には驚きを隠せなかった。
「おい、追い駆けるぞ!!」
真っ先に行動に出たのはレオ。
「もし、あいつが逃げたら……俺たちが匿ったとかでとばっちりを食らうかもしれないんだぞ!!」
「「「「「それだけはいやだ!!」」」」」
レオは真っ先に窓から飛び降りて次狼を追いかける。それに続く形で他の生徒も窓から飛び降りる。
ちなみにだが、、窓から飛び降りたのは魔法科の生徒であり、一般科の生徒は階段を使った。
そして……
「「「「「まぁぁぁぁあてぇぇぇええ!!」」」」」
「うぉ!? 」
全員、目が充血して血まなこになって追いかけてくるとは……
そのあまりの必死さに驚いてしまった。
つか、なんで追いかけてくるのだろうか?
「待ちやがれ次狼!お前が逝かないと俺たちに矛先がむくんだ!!」
先頭はまさかのレオ。
しかも、自己加速術式でスピードを上げている。
てか、そのほかの魔法科生徒も使用していた。
校内での魔法使用は授業以外では基本禁止じゃなかったのか!?
それよりも、行くっていう字が違う感じがする!
みんなには悪いが、俺は捕まるわけにはいかないのだ。
なんとしても逃げ切ってやる!
と、思っていたのだが……
「やべ、つった!足つった!」
左足がつり、その勢いで倒れる。
「捕まえろ!」
それをチャンスとばかりに次々と次狼の上に覆いかぶさって逃げないようにしがみついてきた。
「離せ!離せばわかる!!」
「それをいうなら、話せばだ!」
「というか、何をしたんだ!」
「何もしてない!!」
「じゃ、なんで逃げたんだ!!」
そりゃ、お前らがあんだけ風紀委員会は恐ろしい言うからだと次狼は叫びたくなったが重みで叫ぶことができない。
というか、苦しいから早くどいてくれ
「おい、次狼。本当に何もしてないのか?」
耳元でレオが本当かどうか確かめるかのように質問してきた。
「してないよ!」
「じゃ、なんで逃げるんだ?」
「だって……お前が散々関わるなっていうし、なんか面倒しかない予感がしたからさ!」
「それについては謝る。でも、何もしてないなら大丈夫だろ?ただの呼び出しかもしれないし、それにお前、会いたがってたろ?」
成る程、その可能性もある。
俺が会いたがっているというのが鳴神勇人に伝わって、呼び出したのかもしれない。
なら、仕方ない。これ以上、騒ぐわけにもいかない。
「それもそうだな……」
「わかってもらって何よりだ。それと、タックルして悪かったな」
「いいよ、逃げたこっちが悪い。みんなもごめんな」
謝罪すると、皆がどいてくれた。
次狼は埃まみれになった制服を叩いて埃を落とす
綺麗に夏またのを確認すると深呼吸し……
はるか上空に指をさして
「あ!空飛ぶおにぎりだ!!」
と言って、再びダッシュで逃亡!
しかし……
「逃すか!!」
颯爽とレオに捕まった。
「そこは振り向くとこだろ!!」
「空飛ぶおにぎりなんてあるわけないだろ!!てか、そんなんで振り返るなんてアホしかいねぇよ!!」
皆が頷くが、若干数名の生徒が振り向いたのを次狼は見逃さなかった。
だが、一番引っかかると思っていたレオが引っかからなかったのは意外だ。
「よし、じゃ、連れてくぞ!」
結局ロープで縛られて、泣く泣く連行される羽目になった。
しばらくして……
「いてて、あいつら強く縛りやがっで……」
身体がギシギシ言って色々な所が痛い。
結局あの後、騒ぎを聞きつけた先生が来たのだが、先生いわく、何かしたから呼び出されたのではなく、鳴神勇人本人が前々から次狼に興味があり、次狼本人も会いたがっているとの噂を聞いて呼びだしたそうだ。
だから、罰則とか説教の話ではないらしく個人的に話し合いたいんだとか。
全く、飛んだ勘違いだった。
案内された通りに進むと、風紀委員会と書かれた看板を見つけた。どうやら、ここが本部のようだ。
「思ったよりも普通なんだな……」
目の前の扉は次狼の教室にあるものと同じもので、もっとゴツゴツした金属の自動ドア的な物があるかと思ったのだが、思いの外、普通であった。
ネクタイが曲がってないか、制服がたるんでないかを確認して扉をノックする。
「入りたまえ」
凛とした声が扉越しに伝わる。
「失礼します!」
恐る恐る扉を開けると……
「やぁ、先程ぶりだな。次狼」
「え?」
「僕の名前は鳴神勇人。君は来たばかりで知らないだろうが、風紀委員会会長だ」
くるっと椅子が回転するとそこには、先程トイレで出会った