この力、この世界で役立つか? in 魔法科高校の劣等生   作:zaurusu

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第8話

昼休みに入った。

 

学校での楽しみといえば、給食が挙げられるのだが、今の時代、その文化は殆ど機能していない。

 

殆どの学生は弁当か学食で済ませる。

 

申請すれば給食も出るのだが、あまり美味しくないらしい。

 

次狼としては、なんでなくなったのか。と少しさみしい思いだった。

 

給食当番を変わる代わりに嫌いな物を食べてもらったり

 

牛乳瓶の蓋を開けようとして失敗して牛乳が飛び散ったり。

 

牛乳を飲んでる時に笑かして来るやつがいたり。

 

誰かが休んで、余った惣菜を取り合ったり。

 

サラダドレッシングを最初のやつがかけすぎて後の人の分が無くなって喧嘩になったり

 

と色んな思い出があり、揉め事も起きたりもしたのだが、普段あまり喋らない人と話す機会が出来て、仲良くなったり、クラスメイトとの絆が一段と深まったりなど、最も効果のあるコミュニケーションだと思っている。

 

現に、この教室でも魔法師は魔法師と一般人は一般人としか飯を食う光景が多く見られる。

 

例外もいるが、距離を置かれているのが現実。

 

同じ釜の飯を食う事と互いに食卓を囲む大切さを学ぶべきだと思う。

 

そういうところから意識を変えていかないと、いつまでたっても変わらない。

 

以前、烈に話したこともそうだが、なんで、こんな小学生でも思いつくことが出来ないのか理解不能である。

 

それはさておき、本題の戻ろう

 

次狼はレオに誘われて、屋上で昼食をとっていた。

 

次狼とレオ、そしてこの前体育館の修繕を手伝ってもらった際仲良くなった体育会系の魔法科所属の生徒10人。

 

合計で12人とかなりの人数だ。

 

その中で一般科なのは俺一人だが、疎外感は感じない。

 

「その唐揚げよこせ!」

「やるかバカ!」

 

とか

 

「隙あり!」

「あ、俺の卵焼き!!」

 

 

「セロリやるからその肉巻きベーコンと交換しようぜ?」

「お前、セロリ嫌いなだけだろ」

 

など、どこにでもいる中学生同士のやりとりから、全くそうは思わない。

 

平和だなーと思っていると、後ろのドアが開く音がしたので振り返るとレオがいた。

 

その手には、大量の惣菜パンを抱え、手には重箱をぶら下げでいた。

 

「おお、やってるな」

 

「遅いぞレオ」

 

「わりー。ほら、これやるからよ」

 

といって、パンを俺めがけて投げてきたので、それを掴む。

 

テリ玉トンカツサンド……文字通りテリ玉とトンカツをサンドし、ハンバーグとトンカツを同時に食べることができる、あるようでなかった夢のコラボサンド。

 

なんじゃこりゃ。

 

他にも、レオが買ってきたパンの中には焼きぞばパンならぬ焼きうどんパンや麻婆豆腐が入った麻婆パンなど多種多様な物があった。

 

ここの学食は大丈夫なのだろうか?

 

まぁ、レオ本人は美味そうに食べてるし、俺も食べて見たが、案外美味しかった。

 

ただ、レオが苺ジャムならなぬ梅ジャムパンを食した時は悶絶してたのは余談だ。

 

そんな悶絶したレオを皆が大爆笑しつつ、皆がそれぞれ最近の出来事や話題について語り合う。

 

とは言っても殆どがアレについてだ。

 

「そういえば、去年の7月だったか?2年B組の綾崎が風紀委員会に捕まったの」

「あー、知ってる。下校時にゲーセンで遊んでるところを現行犯逮捕されたらしいな」

「あー俺のクラスも三人が逮捕されたっけ。理由が買い食いしてたからとかおかしくねぇか?」

「他にも、髪型が乱れていたから、丸刈りにされた奴もいるらしい。後から聞いた話だが、それはただの寝癖だったらしい」

「地獄の3ヶ月だったよな。仲には司法取引を持ちかけて仲間を売ったやつとか、スパイ活動してる奴もいて、クラスの雰囲気とか正気の沙汰じゃなかったぜ」

「強化月間が終わるまで、一言も喋らなかった……いや、喋れなかったクラスもあったしな」

 

風紀委員会の強化月間の話だ。

 

なんか、話してる全員が上の空だ。

 

特に最後の二人の話は本当かと疑ったが、レオ曰く本当にあったらしく、なかには停学になった生徒もいるらしい。

 

何故、そこまで風紀委員会が権力を持っているのか聞いて見たところ、レオが答えてくれた。

 

「それはな、学校の格を上げようとする過激派の教師陣の息がかかってるからだ。特に風紀委員会顧問の教頭はその筋では有名だぜ?」

「教頭?…….あー、あの爽やかイケメンね。たしか、二十九(つちや)家の次期当主だっけ?」

「そうそう、百家の一員とあって、誰も奴には逆らえないのさ。影の校長なんて呼ばれてるよ」

 

風紀委員会の顧問、教頭二十九信春。

 

十師族専属のボディーガードの家系で百家内の序列は低いが多種多様な魔法を使いこなすことでライバルを蹴落とし、成り上がった家系だ。

 

特に次期当主の信春は二十九家の歴史において最高傑作と言われるほどの実力者だ。

 

だが、この男、色々と怪しいのだ。

 

次狼は学年集会ぐらいでしか見たことないが、壇上に出てきた時にはどす黒い底なし沼を感じさせさ、何やら邪悪な気を感じた。

 

魔法科の生徒からはかなり信頼されているみたいだが……きみがわるいというか、時々差別するような発言をするなど、ここにいる皆は教頭の事が好きではないらしい。

 

友達がバカにされた気がして、許せないんだとか

 

お前ら……

 

あれ、なんか目から汗が……

 

何やともあれ、俺はいい友達を持ってよかった。

 

次狼は放課ギリギリまで友との会話を楽しんだ。

 

 

 

 

 

だがここで思わぬハプニングが起きた。

 

それは、昼食を食べ終わり皆がそれぞれの教室へ戻る際

 

「げ、こんな時にか……」

 

「どうした?」

 

腹を抱え込んだ俺をレオが心配し始めた。

 

腹が痛くなったとか、ではなく、突如、腸が活性化し始めたのだ。

 

これは間違いなく、完全にあのテリ玉トンカツサンドだ!

 

授業まで後5分しかない。今トイレに行けば遅刻してしまう。だが、限界が近い。

 

ええい、背に腹は変えられん!!

 

「レオ、済まないが俺は行かねばならない場所(トイレ)に向かう!先に行くといい!」

 

「おう、わかった。後は任せておけ(なんとかごまかしておく)。早く戦ってこい!」

 

「レオ、すまねぇ!」

 

物凄いかっこよく言ってる気がするが、要はトイレが我慢できないので行くということである。

 

急いで、男子トイレに向かい、その勢いで扉を開けると

 

「……え?」

 

そこには、男子にしては妙にほっそりとしたスレンダーな体系を持ち、今まさに男子の制服に着替え中だった、下着姿の女子生徒がいた。

 

この出会いが波乱の幕開けだったのを今の次狼は知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、この男子の制服に着替えていたこの女子生徒の正体とは……何やら厄介ごとのにおいがプンプンする

次回お楽しみに!!

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