この力、この世界で役立つか? in 魔法科高校の劣等生   作:zaurusu

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第9話

「………」

「失礼しました」

 

そっと扉を閉めて、入口へと戻る。

 

「男子トイレだよな……」

 

女子トイレと間違えたかと思い確認したが間違いなく、男子トイレだった。

 

では、俺が見たのはなんだったのだろうか。

 

幻覚にしては妙にリアルだった。

 

それに、ちゃんと声も聞こえたから少なくともそこに人がいたのは間違いないだろう。

 

トイレで着替えるのは別におかしなことではない。体育の時間とかで利用する生徒もいるので、学校ではよくあること。

 

ただ……男子トイレでまさか着替え中の女性下着を着けた生徒を見るとは思わないだろう。

 

「なんで、女性の下着なんかつけてたんだ?」

 

そもそも、なんで男子トイレに女性がと思うところがあるのだが、今の次狼にはその事でいっぱいだ。

 

一瞬見たときはスレンダーな女性かと思ったが、男子の制服を着てる途中で、何より声が男の子ぽかったから男子生徒なのは間違いないだろう。

 

となると……あれしかない

 

「うん、多分彼は特殊な性癖の持ち主(ヘンタイ)なんだろう」

 

次狼はそう結論づけた。

 

随分強引な気がするが、それ以外理由が思いつかないのだ。

 

とりあえずこれ以上深く考えるのはやめよう。趣味は人それぞれだからとやかく言う理由はない。

 

「やべ、もう10分経ってる!」

 

ふと、時計を見ると知らずのうちに時間が過ぎていた。

 

トイレに駆け込んだのが五分前だから、授業が始まって五分は立っている。

 

知らぬ間に、出るものも出なくなったので、このまま教室に行こうとした

 

その時

 

「見たな……」

 

後ろから、ドス黒い声がしてきたので、思わず、ギギギと振り返るとそこには先程の男子生徒がいた。

 

「あ……その……」

 

「見たな……」

 

禍々しいオーラを放ちながら一歩、また一歩と近づいてくる。

 

冷え汗が止まらない。

 

「ん、確か君は……次狼……そんな名だったな?」

 

どうやら、向こうは俺の事を知っているようだ。

 

なぜ、知っているかはともかく、この場からいち早く逃げたいと思う衝動から次狼は黙り込んだままだ。

 

「黙るのか……まぁ、それはいい。僕が聞きたいのはただ一つ……」

 

ゴクリと生唾を飲む

 

「お前、僕の下着を見たな?」

 

ああ……やっぱり。

 

彼にとって、あれは見てはいけないものだったのか。

 

「もう一度聞く、僕の下着をみたな?」

 

「さぁ?俺は何もみてない……ぞ?」

 

「なんで、最後が疑問形なんだ?」

 

「え、えっと……」

 

素直に言っても無事じゃ済まなさそうだから、誤魔化そうとして思わず疑問形が出たとか言えるわけがない。

 

「舐めるように僕の身体を見つめてたのにか?」

 

「アホ!誰が好き好んで変態野郎の下着なんか見るか!!」

 

「ほら、やっぱり見たんだな?」

 

「……あっ!」

 

あっさりと誘導尋問に引っかかってしまったために、もうごまかせなくなった。

 

ここは一旦落ち着いて話し合いで解決するのが良案だ。

 

「と、とりあえず話を……」

 

「黙れ、変態」

 

どうやら、向こうにはその気はないようだ。

 

「ついでに、君には色々と聞きたいことがあったんだ。ここで、拘束させてもらう!!」

 

制服の袖をめくると手首のCADがあらわになった。

 

それを見た次狼は確信した。

 

「CAD!まさか、風紀委員会か!」

 

校内でCADの携帯が許可されるのは教員かごく一部の生徒のみ。それ以外の生徒は基本校内では所持する事が禁止となっている。

 

ごく一部の生徒というのは、生徒会か風紀委員会に所属している者たちの事を言う。

 

しかしそれだけでは、この生徒が風紀委員会所属とは限らない。生徒会役員の可能性もある。

 

だが、基本的な生徒会は荒事はしない。

 

それに、生徒会役員は全員が美形で顔が知れている。

 

次狼はこの生徒を見たのが初めてなことと、CADを携帯している事から風紀委員会の役員ではないかと思ったのだ。

 

「ああ、その通りだ!!」

 

見事、その予感が的中したのだが……出来れば外れてほしかったと思ったのは余談だ。

 

CADを操作し、術式が構築。それが発動する。

 

次狼は魔法師ではないため、想子の活性や魔法の術式を読み取りそれが何魔法かを判断することは出来ない。

 

一瞬にして距離を縮め、次狼の脇腹めがけて拳を放つが

 

「おっと、危ないな」

 

それを難なくかわす。

 

かわされたことに驚いたのか、相手は目を見開き一瞬だけ止まってしまった。

 

だが、その一瞬を次狼は見逃さない。

 

「一般人相手にやりすぎだ、少し反省してろ」

 

人差し指をおでこに当てると、相手は全身に電流が走ったような衝撃と共に身動きが取れなくなった。

 

「悪いな、これ以上遅れるわけにはいかないからな。安心しろ、五分でとける」

 

そういうと、次狼はその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

僕は訳あって男子生徒として学校に通っている。

 

その間、女性だというのは絶対にバレてはならない。

 

なので、細心の注意を払っていたのだが、油断していた。

 

しかも、その相手が前々からマークしていた問題児、次狼だった。

 

彼は、僕の身体を舐め回すかのように見物した後、逃げるようにトイレから出て行った。

 

しばらくボーっとしてしまったが、気を取り直し、急いで着替えて彼を追った。

 

運がいいことに、彼はすぐ近くにいた。

 

最初は僕の下着を見てないと言っていたが、見事誘導尋問に引っかかって自爆した。

 

僕が女性だということはどうしてもバレてはいけない。

 

見たところ、彼は一般人だが僕の秘密を守るためならやむを得ない。

 

CADを見せると彼は少し、驚いた。

 

その間に、術式を構築。魔法師ではない彼にはわからないが、私が発動するのは加速魔法だ。

 

加速魔法で次狼との距離を一瞬で縮め、脇腹めがけて拳を放つ。その間に、拳に硬化魔法をかける。

 

すでに、間合いに入っているから避けるのは不可能。

 

そして、あまりの痛さに悶絶してるところを、重力魔法で床へ押し付けその間に拘束する。

 

そして、今日の記憶を消させてもらう。

 

これが僕の考えたシナリオだ。

 

すぐに終わる。

 

そう思っていた。

 

「おっと、危ないな!」

 

彼は身体を少しひねり、紙一重でかわしたのだ。

 

バカな!避けれるはずがない。

 

驚きのあまり、一瞬止まってしまった。

 

それが仇になった。

 

「一般人相手にやりすぎだ。少し反省してろ」

 

先程よりも強い口調になっていた彼が僕のおでこを少し触れると電流が流れたかのような痺れと共に気づけば身体の自由が奪われていた。

 

何をされたのかわからなかった。

 

「悪いな、これ以上遅れるわけにはいかないからな。安心しろ、五分でとける」

 

そういうと、彼は去っていった。

 

必死で後を追おうとするが、身体がいうことを聞かない。

 

結局、彼のいう通り、五分経つまで僕のこの身体が動くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少しだけ戦闘シーン

次回、この生徒の正体がわかります。多分、ほとんどの人がわかってると思いますが……お楽しみ!

ちなみに、この話はあるアニメの1話のシーンを元に前々から合わせて見たいと思いやってみた限りです

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