戦闘を終えグラン達一行は合流しお互いの無事を確かめた後、空から降りてきた少女に視線を向けた。
既にルリアは少女に声をかけており、仲良くなっているようだ。
「この人はディアンサさんです!コブラさんに付いてきたみたいなんです」
「あ、あの私・・ディアンサって言います。貴方がグランさんですか?」
「うん、僕がグラン・・・一応、団長をやっているよ」
グラン自己紹介を聞き、間違ったいなかった事にほっとした顔を見せるディアンサ。
「オイオイ、グラン!一応じゃねぇお前さんはしっかり団長やれてるぜ!」
「その通りだ、もっと自分に自信を持った方がいいなグランは」
ラカムとカタリナも褒められ照れくさそうに自分の頬かくグラン。
「あはは・・グランさんはコブラさんの言っていた通りの人ですね。それと、ラカムさんとカタリナさん・お二人の事を聞いています。優しくて強い人達だって・・・」
顔を見合わせ照れる二人を見てグランとルリアは笑う。
ディアンサはその後自分がコブラに助けられ、彼の後をついてきたことを伝える。
簡単に一通りの話はしたディアンサは、グランに向き直ると緊張した面持ちで口を開く。
「グランさん、いえ団長さん・・突然のお願いだとは思うんですけど・・どうか私も貴方の旅に加えてください! お願いします」
ハキハキした声でグランに向かって90度頭を下げるディアンサ・・グランの答えは聞くまでもない。
「もちろん!これからよろしく、ディアンサ」
「わーい、ディアンサさん、これからよろしくお願いします!」
ディアンサは頭をあげ安堵した表情を見せ‥‥。
「うん、よろしくね ルリア」
明るい声で返事をした。
ルリアは新しい仲間が増えた事に飛び跳ね喜んでいる。
すると…タイミングを見計らっていたのか2人の人物がディアンサに近づいてくる。
「わ、私はイオ・・よろしく・・・・・ディアンサ」
ディアンサに声をかけた少女はイオ。彼女はバルツ公国での一件でグランの旅の仲間に加わった。声が小さいのは緊張しているせいだろう。
「おっと、イオの嬢ちゃんは最初から呼び捨てかい、やるねぇ!」
「もぉ~オイゲン!!そういう事は言わないでよ!!私だって緊張しているんだから」
「おっと……わりぃわりぃ」
指摘され顔を真っ赤にしてオイゲンに突っかかるイオ。
「俺はオイゲン……しがない老兵さ、よろしくな」
「はい!よろしくお願いします。イオさんにオイゲンさん」
彼らも自己紹介を軽くした後、自分達より先に団の仲間になった、この場にいない人物の名を上げる。
「そ、それで、ディアンサが付いてきたっていうコブラって男はどこにいるのよ?」
イオは辺りを見渡しコブラを探す素振りを見せる。一方オイゲンは心当たりがあるのか、海に向かって目を向けている。
コブラに大きく反応したのはラカムとカタリナ
「そ、そうだコブラ殿は!!あのリヴァイアサンに直撃したあの光はコブラ殿の攻撃だろう」
「ほんとアイツの銃おかしくねぇか?」
彼らも気になっていたのだろう。彼らの視線は次第に何処にいるか知っているであろう人物…ディアンサに目を向ける。
ディアンサは、オイゲンが見ている箇所に目を向けながら呟く。
「コブラさんは‥‥‥海の中です」
「オイラも見たぜ、コブラが海に頭から突っ込むのを」
素っ気なくビィは応えた。
「えぇ!!?海ですか?」
驚くルリア。
ディアンサはコブラと小型の騎空艇に乗っていた事・・そこから突然自分を抱え、自分と違いパラシュートを付けずに飛び降り、リヴァイアサンに向かってサイコガンを撃った後、早い速度のまま海に落ちたと・・・。
グランとビィ…そして話しているディアンサを除く一同の顔が真っ青に変わる。
「そ、それじゃ…コブラって男は私達が戦ってるのを見て、飛び出して…」
イオの頭の中ではコブラが命をなげうって自分達を助けたと思ったのだろう。
ラカム達も目を伏せる。
だが……。
「あ、ですが コブラさんなら多分大丈夫かと‥‥‥」
「コブラは大丈夫だとオイラも思うぜ?」
ディアンサとビィに賛同するようにグランも力強く頷く。
グランとビィは知っている。ザンクティンゼルで記憶が無かったコブラがやってきたことを。
ディアンサも知っていた。
彼女は艇の中やバルツ公国で買い物中にコブラの話しが聞きたいとせがんでいたのだ。
コブラは、最初は断っていたが、ディアンサに根気負けして渋々ながら昔話や相棒のことを話していた。その話しの中にはこのような出来事もあったのだ。
「オイオイ、そいつは流石に無理だ、そんな高い場所から海に落ちたら――――」
彼らの言葉を否定しようとしたラカムだが、突然咥えていた煙草を落とす。
その顔は驚愕で目を見開きながら海を見つめている。
一同もラカムにつられ海に視線を向け、オイゲンやイオ、カタリナが驚いた顔をしている中、グランとディアンサは海から現れた男に笑顔を向ける。
「へへッ、どうした 一同揃って幽霊を見たような顔してぇ?」
コブラは体に昆布を巻き付けて海岸から姿を現し、咥えていた葉巻をしまいグラン達に向かって歩いてくる。その歩き姿は400mの高さから落ちてきた様には見えない。
「コブラさん!怪我は!?」
大丈夫だと言っていたディアンサだったが、それでも不安だったらしい。現れたコブラに向かってディアンサが駆け寄っていく。
「無いねぇ、この通りピンピンしてるぜ」
そう言ってコブラは新しい葉巻を取り出し、火をつけた。
オイゲン達は苦笑いを浮かべつつ、ディアンサと話しながらこちらに向かってくる男を出迎えたのだった。
カリオストロを除く全員が集合したところで、海から先ほど、コブラのサイコガンによって倒されたはずのリヴァイアサンが姿を現す。
しかし、すでに正気を取り戻しているようで、敵意は感じられない。
「――ごめん、痛かったよね? でも大丈夫だよ」
リヴァイアサンはルリアに視線を向ける。次第にリヴァイアサンの体が粒子のように消え、ルリアの体に吸い込まれていく。
「悪いがその力……こちらにも渡してもらうぞ」
「黒騎士!?なぜ貴様がここに!?」
カタリナは突如姿を現した黒騎士に向かって剣を構える。彼女に続くように各々が自分の武器を構える。
ディアンサはコブラの後ろに隠れるが、そのコブラは武器を構えず。腕を頭の後ろに組んでいる。
「言ったろう?我々には役割がある、と…さぁ、人形。お前もその力を食らえ」
「ん‥‥‥いただき、ます…」
ルリアに流れ込んでいこうとしていた粒子の一部が黒騎士に人形と呼ばれていた少女に吸い取られていった。
「な‥‥‥どういうことなんだよ!?その子はルリアと同じなのか!?」
グラン達は、少女がルリアと同様にリヴァイアサンの力を吸収したことに驚く。
その少女が何者かイオが訪ねるが、黒騎士は語らず。少女を連れてグラン達がいる場所から去っていく…だが、ふと足を止め振り向いた。
「おい、そこの赤い服の男」
「なんだい、俺か?」
ディアンサがコブラの背後で体を強張らせる。しかし黒騎士に視線を向けられてもコブラは平然と葉巻を吸っている。
「……貴様が持つその左手の銃はなんだ?」
コブラは左手の義手を少し外しながら答える。
「これか? アクセサリーさ」
コブラがまともに取り合わないと判断したのか、黒騎士は一言も発さずグラン達に背を向けその場から立ち去っていった。
その後アウギュステ列島から撤退していく帝国軍の戦艦を一同は見送った。
帝国軍がこの島から撤退したことによりアウギュステ列島は平和が戻る。
黒騎士を追いかけることも案には上がったのだが、多数の戦艦に対しグランサイファーだけでは不可能だと判断。そして合流していないカリオストロが心配というルリアの意見があったため島が歓喜で盛り上げる中、グラン達はグランサイファーに戻ってきた。
一同がグランサイファーに戻り、グランとコブラそしてディアンサが船内に入ると既にカリオストロは研究施設から帰ってきており、施設から持ってきたらしい書類に目を通していた。
グランが帰ってきたことに気が付き、カリオストロが顔を上げる。
「あぁ~団長さんお帰り☆無事リヴァイアサンの怒りは鎮められたらしいね☆」
グランが頷いて返事をかけそうとするが、そこに割り込む声がある。
「へへッ、久しいな嬢ちゃん元気だったか」
「コブラか……テメェもう帰ってきたのかよ」
この早変わりを初めて見たディアンサは何ともいえない表情をしていた。
「ディアンサ、コイツが話していたカリオストロだ」
そう言ってコブラはディアンサをカリオストロに紹介するように正面に立たす。
「は、初めましてカリオストロさん……私ディアンサって言います! よろしくお願いします」
「始めまして☆ 私はね、世界一可愛い美少―――いや待て、なんだそのフリフリの服装は」
挨拶していたカリオストロが手にもっていた書類を落とし、興味深そうにディアンサの服装を凝視している。
椅子から立ち上がりディアンサに向かって歩いてくる。近づいたカリオストロはディアンサの周りをグルグル歩き、服を引っ張り……スカートの中を見ようとめくろうとして……。
小さい悲鳴を上げたディアンサを守るように、コブラとグランは二人の間に割って入ったのだった。
「それで、カリオストロ……何か分かったの?」
カリオストロの暴走を止めて暫くした後。グランがカリオストロに声をかける。
「ん……そうだな、分かったことと言えば、帝国と錬金術師の一部が結託して何かをやろうとしているって、ことぐらいだな」
カリオストロは分かったことを簡単に説明し始める。
どうやら調べた書類の中には重要な書類はほとんど残っておらず、詳しいことは分からなかったようだ。唯一大きな手掛かりといえば一つの研究所の場所ぐらいだと。
「なるほど、だったら近いうちにその研究所に向かおう」
「いいのかよ?オレ様なら別に一人で向かってもいいんだぜ?」
グランの提案にあまりカリオストロは乗り気でないようだ。グランは、今は全く今後の予定がないので向かうなら今しかないと伝え……。
元々団員には、このアウギュステ列島近くで体を休めて貰い、余裕あったら依頼をこなして貰おうと考えていることを伝える。
そして最後に一人より二人のほうが危険は少ないと……。グランの粘り強い説得によりカロストロはグランと一緒に向かうことを決めたようだ。
「そうか……ならさっさとこの研究所を壊してくるとするか」
カロストロは研究所の所在が書いてある書類を手に持ち呟いた。
「うん……手伝うよ」
二人の会話を見守るコブラとディアンサ。
「へへッ、分かったかディアンサ……あれがグラン……世界で稀にみるお人よしさ」
「ははは……私には出来そうにないです」
乾いた笑い声を上げるディアンサだった。
その後、グランサイファーの一室に団員全員が集まり、ディアンサとオイゲンの歓迎会が行われることになり、それぞれが必要なものを買い物にいくこととなった。
カタリナやルリア……が買い出しに出かけている間に、オイゲンやラカムそしてコブラによる歓迎会に備えた酒飲みという訳が分からない飲み会が始まったりと、団を結成してから初めて和やかな時間が流れていく。
机に溢れんばかり乗っかる料理、大量の飲み物にお酒の数々。そして……既に酔いつぶれ机に頭を投げているラカム。
準備が出来、歓迎会の音頭を取るグランがカリオストロにも話したように、暫く休みにしたいという意向を団員に伝えた。
グランは既に3つの島を休みなく救っており、ここまで帝国軍や魔物との連戦続きだったから皆に休んでほしいと。
グランの意見は団員一名(寝ているため)を除く全員に受け入れられ、一週間ほどの休暇となった。
「それじゃあ!オイゲンさんとディアンサの加入を祝して乾杯!!!」
「「「「「乾杯!!!! 」」」」」
歓迎会は明るいムードで進められる。
イオとディアンサそしてルリアが食事をしながら会話をして親睦を深める。
酔っぱらったコブラとオイゲンが暴走し、外で上半身裸になり相撲を始め、それを見て呆れるカリオストロやカタリナなど皆それぞれが歓迎会を楽しんでいた。
歓迎会の終わりでカリオストロとグランが研究所に向かう事を説明したところ、団員たちが皆手伝うと言い出し、それでは休みにならないとグランが宥めた結果、ルリアとビィだけが一緒に行くことが決まった所で、歓迎会は終了した。
朝になり、グラン達がグランサイファーで飛び立っていったのを一同は発着場で見送った。
アウギュステに残ってメンバーは軽く挨拶を済ませ、各々が別行動を開始する。
カタリナとイオは自己鍛錬に励むようで、浜辺に向かって歩いていった。
オイゲンは軽い依頼をこなしながら帝国軍の動向を探るようだ。
残るコブラとディアンサはアウギュステ列島で一番大きな街で買い物をしていた。
街の機械屋に入りコブラは真剣な様子で何かの機械部品を見つめている。
「コブラさん その部品はやっぱり」
コブラは部品から目を離さず、ディアンサの質問に答える。
「ああ、以前話したタートル号の部品の代用品になるか見てるんだ」
ディアンサは以前にもバルツ公国で似たような光景を見ている。
コブラが乗っていた船は事故で壊れたと思われたが、コブラが記憶を無くしている間、コブラの相棒、アーマロイドレディの手によってその大半が修理されていたという。
ザンクティンゼルに一度戻ったコブラは元気にしているレディと修理されているタートル号を見て大層驚いたらしい。
お互いの無事を確認し喜ぶ二人だったが、レディによるとタートル号は元々頑丈でそのほとんどが修理できたらしいのだが、タートル号の核ともいえるエンジンは修理出来ず未だに動かせないようなのだ。
そして何より、ここが何処だか分からないようで宇宙地図やレーダーが一切反応を見せないらしい。
そこで、コブラはレディにタートル号を任せ、グランの冒険を手伝いながら、エンジンの代わりとなりそうなものを探しているらしい。
「ヘヘッ、どうやらここらの部品じゃ無理そうだ」
部品を熱心に見ていたコブラはそう言って、ディアンサを連れて店を出た。
街を歩くコブラとディアンサ。彼女の表情はいつもよりも明るく楽しそうに見える。
だが、楽しい時間はすぐに過ぎ去っていく。
「コブラさん、そろそろシェロさんとの集合時間ですよ」
「そうか、仕方ねぇ行くとするか」
ディアンサの声にコブラがめんどくさそうに答える。
昨日の歓迎会の終わった直後、シェロカルテが現れコブラに依頼をしたいとグランサイファーに来たのだ。詳しい事は明日話すと言って集合場所を言い渡されたのだった。
コブラとディアンサが集合場所の喫茶店に入ると、すでにシェロカルテが待っていて、こちらに向かって手を振っていた。
「コブラさ~んそれにディアンサさんもこちらです~」
2人はシェロカルテが座っている4人掛けの席に腰を下ろした。
軽い挨拶をすませシェロカルテは依頼の話を話始める。
依頼の内容はこの近くの島に大量の魔物が住み着いてしまい村人が困っているので助けてほしいという内容だった。
依頼を聞き終えたコブラが口を開く。
「それで、なんでその依頼を俺にするんだ?」
「それがですね~この依頼をして来た方が是非ともコブラさんにお願いしたいらしいんです~。ああ、依頼主は信用できる方なので心配はありません~」
ヒュー!!
「強烈なアプローチしてくれるじゃねーか、その依頼主は女性かい?」
机に乗り出し前のめりになるコブラ。その隣でディアンサは目を細めている。
「いえ~残念ながら男性です~」
シェロカルテの言葉を聞き、途端にがっくりと崩れ落ち背もたれに寄りかかり、だら~んとするコブラ。
「そうですか~でしたら仕方ありませんね~この依頼は元々とある女性の方にお願いしていたのでコブラさんはその方と協力して依頼をこなしていただこうと思っていたんですが―――」
「任せな、俺は魔物を倒すのが得意なんだ」
「もう~コブラさん!!」
女性と聞いてやる気を出すコブラに抗議するディアンサ。
「ありがとうございます~でしたら、すぐに艇を準備するので向かってください」
そこでシェロカルテは一度区切りディアンサに目を向け…。
「ああ、ディアンサさんも一緒で構いませんよ~」
「え、私も!?」
「はい~」
少し躊躇していたディアンサだったが、一度コブラに目を向けた後、力強く頷いたのだった。
(アウギュウステ列島編 終了)
俺とディアンサは急遽とある島に向かい依頼をこなすことになった……だが待っても待って協力者が来やしねぇ。
やっと姿を現した人物はまたまた俺の範囲外のクラリスと言う名前の小女だった。
しかもコイツが超がつくほどの元気娘、それに自分のことを美少女って何処かの誰かと似たことを言うわけよ。
無事に依頼を終わらせたんだが、突如誘拐されるクラリス。
助けに向かった俺たちは帝国軍と錬金術師が何をやろうとしている事を知ることになった。
ふざけんな!奴らの卑劣なさは許しちゃいられねぇ
次回、『アストレイ・アルケミスト』でまた会おう
感想、お気にいりしてくださった方ありがとうございます。
また誤字脱字の訂正をしてくださった方、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
なぜか、突然読んでくださる方が増え驚いております。