劇団での戦闘が始まり、何とかジュリエットと合流したロミオとマキューシオだったが、同じ国の兵士でもある彼らを、二人は斬ることが出来ず守りに徹していた。
「マキューシオ!!どうすればいい!」
「さぁな!っと!とりあえず一目惚れの相手と合流出来たんだ、ここから逃げるとしようぜ」
迫る神王軍の兵士を躱し、拳を兜ごしに殴りつけ無力化させたマキューシオが返事を返す。
「あ、あなた達はいったい」
「下がれ!ジュリエットここは危険だ。オレの後ろに隠れていろ・・・・・・それとキサマら!モンタギューの者だろう?なぜ俺たちを助ける」
協力する形でジュリエットと付き人である婦人を守る三人。
なぜ、モンタギューの兵士である彼らが協力してくれているのか、分からないティボルトは攻撃の手を緩めずに彼らに向かって声をかけた。
「なんでと言われてもねぇ~俺はコイツについて行くだけさ」
そう言ったマキューシオは行動を起こした人物…ロミオに視線を向ける。
「話しは後だ。とりあえずここから逃げるとしよう」
そのロミオは、確かな決意を抱いた目で現状からの打開策を考えていた。
「ふん、それで?何処に逃げ-っ!!」
彼らが会話をするため意識を向けた一瞬。その瞬間を狙ったように神王軍の兵士の三人が同時にティボルト迫る。
なんとか、同時に二人の攻撃を押さえ込んだティボルトだったが、その二人が囮だったことに気がつく。
三人の内の残りの一人があっという間にティボルトの脇を抜け、今まさにジュリエットを斬りかかろうと剣を振り上げた。
「クソ!!ジュリエット!!!」
大声で叫ぶティボルト・・・・・・だが、間に合わない。
振り上げられた剣がジュリエットに向かって振り下ろされる。
迫る剣に怯え、目をつむるジュリエット。
「っ!!!どけぇ!!」
相対していた兵士を押しのけ、ジュリエットの元に向かおうとするロミオ。
しかし、剣は既にジュリエットに向かって振り下ろされている途中・・・どうやっても彼ら三人では助けることが出来ない。
故に、彼女が助かることはない――――――
他に彼女を助ける存在がいなければの話しだが・・・・・・。
剣を振り下ろしていた騎士に突如現れた光弾が直撃する。
兵士を横から殴りつけられたかのように、吹き飛んでいく。兵士は自分に何が起こったのか理解する前に、大きな音を伴いながら壁に激突しその意識を手放したのだった。
突然の事態にロミオ達と兵士の動きが硬直する。辺りが一時の静寂に包まれる中、最初に聞こえた声はロミオ達には聞き覚えのある男の声だった。
「先に美女を狙うなんて、肝の小さいやつらだねぇ~女は優しく扱うもんさ」
ティボルトが自分と相対していた神王軍憲兵を倒し、ジュリエットを助けた光弾の出所そして攻撃を行ったと思われる男の声を探し、先ほどの攻撃を放った男・・・コブラに視線を向けた
「お前はあの時の――」
「ジョーどの!助太刀感謝する」
ティボルトの声は隣にいたロミオの声によってかき消される。
コブラはサイコガンを別の兵士に向けて放ち、光弾はまるで生きているかのように、瞬く間に数人の兵士を無力化させた。
サイコガンを義手に収め、ロミオ達の方に振り替える。
「とりあえず、道は確保するんでさっさと逃げるとしようぜ」
まるで、これからショッピングにでも行くかのような声で話しかけたのだった。
突然の事態に思わず、顔を見合わせるマキューシオとティボルトだったが、それも一瞬
一行は迫り来る神王軍の兵士から上手く逃げ切り劇場を抜け出したのだった。
―――なお、神王軍憲兵の大半が意識を刈り取られてものの死人はいなかったという。
「なるほど、事情は大方理解した。私でよければ力になろう」
「ありがとうございます」
「この御恩は、忘れません」
「‥‥‥よいよい。ゆっくりと休まれよ」
公演艇から脱出後ロミオの進めもあり、一行が向かった先は、2つの国に間にあるヴェローナ大聖堂だった。深夜に突然現れた事の次第を、ロレンス神父に説明したところ、彼は快くロミオ達がこの場に隠れることを許可したのだ。
戦闘の際、殿をつとめたコブラ、そして彼を手伝い、遙か上空に飛び上がり援護した十天衆のソーンの活躍により、一行は一切の怪我を負わずにこの場に辿り着き、身を隠すことに成功した。
ひとまずの安心が確保できた一行は少しの休憩の後、各々の自己紹介が始まった。
・・・・・・しかし、いがみ合っている国同士。みんな仲良くとはいかない。
キャピレットから演劇を見に来たという、ジュリエット、ティボルト、デボラ。一方、モンタギュー領の兵士である、ロミオとマキューシオ。
一時共闘したとは言え、お互いに信頼することはやはり難しいようで・・・・・・結局大聖堂内でもそれぞれの陣営に別れてしまっていた。
大聖堂に到着した直後は今すぐ、キャピレット領に戻ろうとしたティボルトとデボラだったが、国境線を越えるのは難しいというマキューシオの説明により、ひとまずの決着を迎えた。
「これで、モンタギューとキャピレットの関係者は全員終わったな? 次は・・・ジョー殿とディアンサ殿、それと・・・そちらのお方もよろしければお願いしたい」
二国の関係者が自己紹介を終えると、会話の音頭を取っていたロミオが会議に参加している全員の視線を他所から来たであろう3人に集める。
一同の視線に向けられ、ロレンス神父睨まれているのを知りながら葉巻を加えていたコブラがふと視線をあげた。
「ん? 自己紹介は終わったかい、それで俺たちの番だと‥‥‥そうだな、俺の名はコブラ、ジョーは俺の偽名だな、黙ってて悪かった…そしてコイツが仲間のディアンサ…んで、この大弓を持っている美人さんが友達のソーンだ、よろしくするぜ。俺たちがこの国に来た理由は演劇のチケットを知り合いから貰ったんで、息抜きがてら見に来たんだが…運悪くお宅らのいざこざに巻き込まれたって感じだな」
そう言ってコブラは葉巻を吹かすと、両腕を首の後ろで組んで柱にもたれかかった。再び、怪訝な表情をするロレンス神父をコブラは気にした素振りも見せない。
紹介されたディアンサはペコリと丁寧なお辞儀をし、ソーンは軽く手を振った。
「ディアンサです。よろしくお願いします」
「ソーンよ、よろしくね・・・あら?どうしたのかしらマキューシオさん」
「ジョー殿の本当の名前はコブラどのであったか、しかしその名前どこかで聞いたことがある気がする……どうした、マキューシオ?」
コブラの話しを聞いている途中から、目つきが変わり、ただならぬ威圧感を見せるマキューシオの姿にロミオとソーン、ロレンス神父を含めキャピレットの一同も困惑していた。
その中で異質な態度をとったのはコブラとディアンサ。
コブラは全く微動だにしておらず、一方、何かを悟ったのか残念そうな表情をするディアンサ。
「おい!どうしたんだマキューシオそんなに殺気だって」
突然の相棒の行動が分からず、マキューシオに詰め寄るロミオ。
マキューシオは剣から手を放さず、コブラを視界にいれたままロミオの質問に答える。
「いいか、ロミオ今俺たちは・・・いや、ここにいる全員がこの男に命を握られているんだ。‥‥‥最初から変だとは思っていたんだ。ふざけた口調の癖して、何が起きても直ぐに動ける姿勢を維持してやがった。決定打は演劇艇で見せた左手の銃と・・・この男の名前だったがな」
マキューシオの言葉で何かを思い出したのか、ロミオ・・・そしてティボルトが視線をコブラに向けた。
「なんだい?なんだい?もったいぶったいい方しやがって・・・」
「っ!!」
コブラの挑発ともとれる言葉に反応するマキューシオとティボルト。二人が今にも斬りかかりそうなタイミングで制止の声がかかる
「ティボルト!!それにマキューシオさんもいきなりどうしたんですか!!私は貴方達が何を危険視しているのか分かりかねますが、まずは話し合うと決めたばかりです。ここではそういった事は辞めましょう」
ジュリエットの怒りの籠もった声に驚き、怯む2名。一方ロミオは、そんなジュリエットに感心し、心に秘める思いをさらに強くしたのだった。
「ヒューッ! やるねぇ~お嬢さんもう少しで惚れちゃうところだったぜ」
このコブラの言葉に眉をひそめる人物が4人いたというのは別の話。
「この男は帝国に賞金をかけられている男だ。その賞金額は国家予算並だ。犯罪例でも帝国から秘宝を強奪、大量殺人と・・・・・・まぁ切りが無い」
「そ、そんな」
マキューシオの言葉を聞き段々と、顔を真っ青に変貌させるジュリエット。しかしここでマキューシオがジュリエットの思考を止める。
「だが、どれもこれも帝国軍が言っているだけだ。商人の話しによれば、殺したのは襲ってきた帝国兵のみで、少女の誘拐も・・・まぁ彼女のことだろうさ」
マキューシオの言葉で、少し冷静さを取り戻すジュリエット。
「これで、宝石などの窃盗まで嘘でなければ良いんだがな?どうやらコイツは黒らしいぜ」
「なるほど、だからマキューシオはコブラ殿から事実を聞こうとさっきの行動を起こしたのか」
「ああ、そうゆうことだ」
相棒の行動に納得がいき安心したロミオ。
「俺は帝国の話を鵜呑みにするつもりはねぇ、一時期、秩序の騎空団もコイツを指名手配していたが・・・なぜか、今は取り下げられている。…だが、俺はこの男から事情を聞いてから判断したいと思ってる」
マキューシオは一度言葉切った後、再びコブラに視線を向ける。
「で? 本当のところはどうなんだ――コブラさんよ?アンタはタダの観光客か?」
今まで静観を決め込んでいたソーンも、不安そうにしていたディアンサもコブラに視線を向ける。
全員の視線が集まり数秒、しばしの静寂の後コブラは口を開く
「俺に向かって泥棒かだって聞く奴がいるとは思わなかったぜ。 返答?そんなの――――」
コブラが問いに答えている途中、突然ディアンサが腕に付けているリストバンドから機械音が響きコブラの言葉をかき消してしまう。
「何で今なのかな?あ、レディさんだ。。―――・・・すいませんレディさん、今少し取り込んでて・・・・・・はい、そうです演劇の始まる直前で・・・はい。いつ戻るかですか?えっと、すいません遅くなるかもしれません。・・・・・・分かりました伝えておきますね・・・」
小型の通信機を知らない人達には、突然ディアンサが一人言を言い始めたとしか見えていない。コブラの言葉の続きよりも気になるのか、不思議な行動を見せるディアンサに皆の視線は向かっていた。
タートル号で待機しているレディとの通信を終えたディアンサが、視線を戻した時に向けられた視線の数々に驚くディアンサだった。
この後、必死に事情を説明しようとしたディアンサだったが、その全てが無駄に終わり、おかしな子という印象は拭えず・・・・・・最終的に隅っこで膝を抱え、いじける彼女を慰めようとするソーン。笑いを堪えるコブラの姿があった。
この、ディアンサの行動により、コブラの言葉はうやむやになり自己紹介は終わり、各々の休憩時間となった。
各々の行動をしていたところ、ロレンス神父にロミオが呼び出されていた。
「ロミオ・・・・・・疲れているところすまないな」
「いえ・・・・・・私は大丈夫です」
ロレンス神父の言葉に元気に返事を返すロミオ、演劇艇での戦闘を行ったが、彼の表情に疲れはみえない。
そんな彼を知ってかしらずか、ロレンス神父は笑顔を見せた。
「ふふ・・・・・・しかし・・・・・・お前の性格はよく知っているが、まさか、突然こんな日を迎えようとは・・・・・・」
「ロレンス様?」
含みのあるロレンスの言葉に疑問を感じるロミオ。しかし次のロレンス神父の言葉に目を見開くこととなる。
「お前もようやく・・・・・・真実の恋をみつけたようだな」
大聖堂の荘厳な雰囲気の中、ロレンス神父の言葉に驚きながらも冷静に受け答えをするロミオ。
静かな大聖堂内、聞こえる声は二人だが、この会話を盗み聞きしている人物がいた。
「何やら大事な会話と思って後を付いてきたら、コイツは不味い、人の恋路に手を突っ込むのは目覚めが悪ぃぜぇ~・・・・・・しかし・・・・・・臭うな」
そう言って盗み聞きしていたコブラは大きな欠伸をする。
コブラの声は幸い聞かれる事は無く、ロミオは胸の内を吐き出すように言葉を紡いでいる。
「・・・・・・ボクは今まで、国のことを第一に考えて生きてきました。今この瞬間に生きる恋よりも・・・・・・国の未来を見据えていたい。それに・・・恋よりもマキューシオのバカとつるんでる方が楽しかった」
ロミオの言葉は止まることはなく、崩壊してたダムのようにあふれ出続ける。
「ジュリエットと出会った瞬間。僕は確かに永遠を感じたんです。でも・・・・・・彼女が僕と同じ思いかどうかはわかりませんが・・・・・・」
コブラは柱に体重を預け、葉巻を加え、腕を組んだ。その後コブラは2人の会話が終わるまで静かにその場に立ち続けていた。
ロレンス神父との会話を終えたのか、ロミオは大聖堂の方向へと歩きさっていき、即座に物陰に隠れたコブラに気がつく事は無く通りすぎていった。
ロミオの独白を最後まで聞いていたコブラはロミオの率直さに笑みを浮かべていたが、ふと、一瞬のうちに顔を引き締めたかと思えば、ロレンス神父が消えていった扉を睨み付けた。
「あの表情は・・・あれはちがう。アイツはロミオを祝福していない。あの笑み・・・・・・あれは周りを不幸にするものだ」
普通の人が聞けばただの人生相談だっただろう。だが、コブラは盗み聞きを始めた直後、驚いた神父の表情を見た瞬間。コブラは一瞬サイコガンを撃つか、悩んでいたのだ。
コブラの今までの人生での直感が、ロレンス神父を警告していた。
結局撃つことを選ばす、最後まで話しを聞いていたが―――――
「どうやら、俺の知っている話とは違うみたいだな」
コブラは、ロミオが歩き去っていた通路・・・ではなく、神父が消えた扉へと手をかけ中へと消えていったのだった。
―――――――――――――――――――
「僕は・・・・・・ジュリアの気持ちが知りたい」
ロレンス神父との話を終えたロミオは、考え事をするため、大聖堂から夜道へと歩みを進めた。
するとそこで、考え事の理由であるジュリエットが夜道の段差に腰をかけ何か呟いているのを発見する。
「ああ、ロミオ、ロミオどうしてあなたはロミオなの?モンタギューと縁を切り、ロミオという名もお捨てになって」
ロミオの存在に気がついていないジュリエットは何かに願うように呟いている。
「それが無理なら、せめて私を愛すると誓って・・・・・・そうすれば、私もキャピレットの名を捨てましょう」
彼女は自分の思いを本人に聞かれているともしらず声に出し続ける。
「ロミオ、その名を捨てて。名前とあなたは関係ない・・・・・・名前を捨てて、私を取って!」
彼女の呟きに、ロミオは我慢出来ず、ジュリエットに向かって声を張り上げる。
「ジュリア!!!あなたの気持ち確かにうけとった!僕を恋人と呼んでくれ、それが新たな僕の名だ!モンタギューだの・・・・・・キャピレットだの・・・・・・そんな意味の無い名前は・・・・・・これからはもう関係ない!」
「ロ・・・・・・ロミオ様!?い、今の言葉を・・・・・・聞いていらしたのですか!!」
ロミオが聞いていたのに驚きの声をあげるジュリエット・・・・・・しかし
「やるねぇ~あの仕事一筋だったロミオが?こうも変わりますか?・・・その変どう思うよティボルトの旦那」
「ふん、俺が知るか。俺はジュリエットが幸せならそれでいい。だが・・・・・・あのロミオという奴の思いの強さは認めてやる。なんせ、次期国王筆頭が名前は入らないと言うぐらいだからな」
「あ、あの私・・・盗み聞きって良くないと思うんですけど~」
「いやいや、お嬢ちゃんも興味あるでしょ?さっきまで羨ましそうに見てただろ?」
「う、羨ましくなんかありませんよ!からかわないでくださいマキューシオさん」
男の相棒と、聖王軍の指揮官・・・そして2人に巻き込まれた少女が物陰に隠れていたのに気がついていなかった。
そんな時――――――
彼らの頭上にキャピレットの同盟国の侯爵を勤めるパリスが騎空艇に乗って現れる。
「ジュリエット様! ただいまお迎えに上がりました!」
突如姿を表した騎空艇だったが、各々の行動は素早かった。
即座にジュリエットの元に走っていったティボルト。キャピレットの関係者だと判断し、ロミオに駆け寄ったマキューシオ。
そして、何処からともなく、ディアンサの背後に現れるソーン。
「あらあら、大変なことになったわね。大丈夫?ディアンサちゃん」
「ソーンさん!いったいいつから?」
「ん~ディアンサちゃんが、大聖堂からあの2人と一緒に抜け出してからかしら」
パリスの乗って現れた騎空艇から聖王軍の兵士たちが止めどなく現れジュリエットと騒ぎで駆けつけたデボラを確保すると、即座に乗り付けた騎空艇に連れていってしまう。
やがて、ロミオとマキューシオ・・・そしてソーンとディアンサを聖王軍が包囲した。
「ティボルト殿・・・ジュリエット様の護衛ご苦労であった。貴殿も艇の中で待っていてくれて構わない」
そう言ったパリスはマキューシオ・・・そしてロミオ。ディアンサを守るように立つソーンに視線を向ける。
「事態は我々もある程度は把握している。ジュリエット様を殺害しようとしたのが、貴様らモンタギューの者であること。・・・・・・ロミオ様ご一行がジュリエット様を誘拐して何か企んでいるらしいが・・・・・・その企みは私が全て潰すため、なんら問題にはならない」
自信にあふれる言葉。しかし、パリスの言葉はこれで終わらない。
「だが・・・・・・演劇艇で暴れていたと噂されている人物。左腕に銃を持つ男――海賊コブラ・・・そしてその関係者だと思われるそこの小女がこの場にいるのは些か問題だ」
そこで、パリスはディアンサ自信も知らなかった事実を告げた。
「・・・・・・そこの少女は海賊コブラに誘拐されている人物として、帝国軍が捜索願いを出している。見つけてしまったのなら仕方無い。ジュリエット様の救助は成功し、当初の目的は達成しているが、誘拐されている少女を無視して帰ることは出来ん」
「・・・・・・わ、私がコブラさんに誘拐されて捜索願い・・・ですか?」
「そこの女性・・・・・・コブラの仲間ではないのなら・・・・・・大人しくその少女をこちらに渡してもらおうか。私の要求に従わない場合、貴殿もコブラの仲間と判断し、この場で討ち取らせてもらう」
突然告げられて事実に困惑しているディアンサ。しかし彼女の表情はソーンの影に隠れてしまっており、パリスは困惑しているディアンサの姿を見ることはなかった。
「ま、待ってくれパリス殿・・・確かに我々を襲ったのはモンタギューの者だが、そこの者たちは――」
「私は今、貴殿に話すことを、許した覚えはないぞ?さっさと艇に戻るがいい」
事情を説明しようとするティボルトだったが、パリスはジュリエットの安否が分かった以上、これ以上ティボルトの話しを聞く気は無いようだ。
「話しを聞く素振りすら見せないのね。困ったは~マキューシオさんのほうが、柔軟な思考を持ってるのね」
戦闘は避けられないと判断したソーンは弓を持つ手に力を篭め、矢を出現させる。
「美人に褒められて悪い気はしないが、今はそれどころじゃなさそうだ・・・・・・ロミオ、どうする?」
「決まっている。ジュリエットを取り返す・・・・・・と、言いたい所だが、ひとまずはこの場から逃げることに専念したほうが良さそうだ。パリスは本気で俺たちを殺すつもりらしいしな」
「オーケー、そんじゃ、いっちょ頑張りますか」
「ディアンサちゃん。貴方援護が得意って聞いてるんだけど・・・お願い出来るかしら?」
「は、はい!任せてください」
ソーン達3人の態度から、ディアンサを引き渡さない事を察し、呆れるようにため息をついたパリスは号令をかける。
「ふん、ならば・・・・・・ロミオ共々この場で息絶えるがいい――――」
「騒ぐなら他所でやってくれねぇか。五月蠅くて目が覚めちまったぜ」
パリスの号令は、大聖堂がある方向から突如聞こえて来た男の声によって中断させられることになる。
「誰だ!キサマは」
「俺か?・・・そうだな、今のアンタの中では誘拐犯ってとこだな」
「そうか、キサマがコブラかのこのこ自分から出てくるとはな」
「でぇ?俺のサインでも欲しいのか?」
「いや、そこにいる連中も含めてキサ―――」
「辞めときな、少しでもそこにいる連中にでも触れてみるといい・・・・・・お前らの大事な物がなくなるぞ」
そこには、いつの間にか左手の義手を外しサイコガンを騎空挺に向けているコブラの姿があった。
「っ!!―――――人質とは卑劣な」
コブラが戦艦を破壊出来る力を持っていることは、捕まえようとする。帝国軍が自信が世界に広めてしまっている。
そのため、コブラが騎空艇を壊せてしまう可能性を持つことを理解するパリスには十分な牽制となっていた。
大聖堂から歩みを進めていたコブラが、遂に囲まれていた4人のもとに辿り着く。
「こ、コブラさん!一体どちらに行ってたんですか?」
コブラが戻ってきて安心した表情を見せるディアンサ。
「ん?・・・ああちょっとな。後で話す。それと・・・・・・おいソーン、少し耳をかしてくれ」
「何かしら?」
サイコガンを騎空艇に向けたまま、ソーンに耳打ちするコブラ。
やがて、話しが終わりソーンが頷いたのを確認したコブラはロミオとマキューシオに視線を向けた後、ソーンの後ろにいる。ディアンサに近づき優しく抱き寄せると―――――
「少し、お宝を頂いてくる。心配しないで待ってろ」
耳元でディアンサにのみ聞こえる声で呟いたのだった。
「ロミオ、マキューシオ・・・演劇艇での借りを返してもらうぜ」
そう、呟いた直後。コブラは両手を挙げ、降参の意思を見せつつ、パリスに向かって自身が投降することを宣言し周囲を騒然とさせたのだった。
感想くださった方ありがとうございます。
本小説1話、2話とすこしずつ編集しています。よかったら読みかけしてみてください。少しは読みやすくなったと思います。
実際、コブラと関わった女性の大半は・・・・・・というか男も・・・・・・
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