ディアンサが異変を感じたのは太陽が沈みかけていた時であった。
今日はジュリエットとパリス侯爵の婚姻パレードが開催されるとして、ディアンサの客室は城の上層にあり、客室から見えるキャピレット領が異様に盛り上がっていたのがディアンサの目からも確認できていた。
陽が沈み、そろそろソーンが戻ってくる頃合いだと思っていた時、突然無数の足音が廊下から聞こえ始め、ディアンサのいる客室に段々と近づいて来ていた。
「・・・なにかあったのかな?」
近づく足音に違和感を感じつつも自分には関係ないことだろうと思ったディアンサだったが、その考えは裏切られることとなる。
無数の足音はディアンサがいる部屋を通り過ぎる・・・・・・ことはなく、彼女のいる部屋の前で止まり、次の瞬間、大きな音を立てながら扉が開かれた。
「・・・・・・?!! ど、どうしたんですか!一体・・・ちょっと!!」
突如押し入ってきた8名の神王軍は困惑するディアンサを瞬く間に取り囲んだ。
事態に驚き危険を感じたディアンサは、この場から逃げようとしたが―――――
「痛い!痛いです!は、離してくださ――きゃっ!!!」
出入り口は一つ、さらに既に彼女は取り囲まれており逃げ場は元々存在しなかった。
兵士の一人がディアンサの手を掴まえると、容赦なく彼女を床に押さえつけた。
「うっ・・・・・・」
押さえつけられた衝撃で少女が痛ましい悲鳴を上げる。痛みに耐えつつそれでも何とか、拘束をふりほどこうと暴れるディアンサだったが、大男と少女の力の差は歴然・・・その実虚しく逃れることは出来なかった。
「目的を確保した。直ちに撤退――――――」
心がこもって居ないかのかのように冷静な声を発する神王軍の兵士の一人・・・・・・しかし、兵士の言葉は最後まで紡がれることはなった。
客室の外から・・・・・・突如、窓を割って赤色の光弾が入り込み、湾曲するとディアンサを取り押さえていた兵士の心臓を貫いた。
兵士の心臓を貫いたタイミングで割れた窓から人影が客室に飛び込んでくる。
「何者だ!!」
「ピーターパンさ」
入ってきた人影は、続けざまに二発、光弾を放ちディアンサの近くにいる兵士達を沈黙させる。
ここまでの時間は5秒もかかっておらず一瞬の出来事であった。
月明かりが差し込み、このタイミングで残り五人の兵士は入ってきた人物の姿を確認することが出来た。
赤いレギンスを着込み、金髪で長身・・・・・・そしてこの人物の代名詞・・・・・・大男の左腕、肘から下には銃が付いていた。
「さっさとソイツから離れて手を頭にのせろ!!じゃないとのせる頭がなくなるぜ」
コブラの態度・・・とぼけた口調は未だ健在だが、彼の表情・・・・・・それを見た途端、大半の人物は言葉をなくすだろう。
そこにあるのは普段からは考えられないほど凜々しい姿。
地獄が寝ぐら、悪魔が友の、本物の殺人者の顔である。
例え、サイコガンを向けられていなかったとしても、言葉を発っせた兵士はこの場にいなかっただろう。
拘束から解き放たれ、自分に覆い被さっていた兵士の死体を退かし、ディアンサは素早く立ち上がると、入ってきたコブラの背後へと素早く身を移動させた。
瞬く間に約半分の兵士を無力化され、そして蛇に睨まれたかのように動けない神王直属の兵士たちだったが、優秀な兵士なだけあり、時間がたつと共に冷静さを取り戻す。
一人の兵士が入ってきた男の命令を聞かずに剣を抜こうと手をかけた途端・・・・・・
コブラは容赦なく兵士に光弾を放ち、沈黙させた。
「残り、四人・・・動けばお前らもあの世行きだ。選べそこで大人しくしているか・・・死ぬかだ」
そう言ったコブラは、左腕のサイコガンを向けたまま、自分の後ろに隠れた少女の方を振り向いた。
「ディアンサ・・・・・・怪我はないか?」
ディアンサは顔を上げ、信頼出来る人物の登場に安堵の表情を見せる。
「大丈夫です。またご迷惑をおかけしてすいません」
「いや、問題ないね。囚われの姫様を救い出すのは慣れてるからな」
そう言って、コブラは加えている葉巻を動かしながらディアンサにウィンクをする。
「さぁてと・・・そんじゃ戻りますかね。いくぞディアンサ」
その後、部屋で四発銃声が響いた後、窓の外に浮遊してた2輪車に跨がりコブラとディアンサは颯爽とモンタギュー城を去って行く。
銃声を聞きつけ、駆けつけた神王軍の兵士は、地面に倒れる仲間と、淡い水色の光に包まれ動く素振りを見せない四人の仲間の兵士を発見するのだった。
まるで、水色の光の中では時間が止まったかのように動かない。
謎の現象の報告を聞き、ディアンサを取り押さえる命令を出した神王は、自分は判断を間違えたのではないか?と心の内で考え始めるのだった。
淡い水色の光の原因・・・・・・その正体は彼らの知るよしもないもの。
これは以前、コブラ本人も喰らった経験があるもので、非常に厄介なものである。
時間弾・・・・・・ディアンサが以前の戦いの途中、自衛の為とコブラが貸し与えた武器で、この国に来て以降も一度も手放さなかった、肩から斜めがけしていた赤色の銃の弾薬である。
時間弾・・・撃たれた者の周りの時間の進む速さを10000分の1に遅くなる。モンタギューの者がどれだけ調べようとしても、答えに辿り着くことは出来ないだろう。
太陽が沈み月明かりに照らされながら、空を移動する2輪車が一台。
コブラ達が跨がって移動している二輪車・・・それは、ディアンサがタートル号内で何度も見かけたことがあるもので、コブラがたまに整備していたのを見ていたのを思い出す。
「コブラさん、今更ですけど・・・これ飛べたんですね」
「おうよ、言ってなかったか・・・へへへ、まぁここら一帯じゃオーバーテクノロジーだろうがな。どうする?ドライブとしゃれ込むかい」
「もう、コブラさんは・・・また今度、連れて行ってください・・・・・・それよりも自ら捕まってまで、今回は何を貰ってきたんですか?」
「これさ――まだよく調べてねぇが、飾り物じゃなくて普通に使えるものらしいぜ」
ディアンサの質問に自分の宝を自慢するかのように、どこからともなく黄金に煌めく大弓を取り出し、ディアンサに投げ渡すコブラ。
「おっと・・・また変なの見つけてきたんですね・・・・・・なんですかこの弓、矢は無いんですか?」
「ああ、矢は無かった・・・さっぱり分からねぇぜ。まぁソーンにでも聞けば分かるんだろうさ」
会話をしつつ、二人は日が沈んだ暗闇の世界へと姿を消していったのだった。
なんとかモンタギューとキャピレットの争いを止めようとするロミオ達・・・二人はヴェローナ大聖堂で夫婦の近いを飼わした者は決して離婚が許されないという決まりを利用し、ふたつの国のすれ違いを正そうというロレンス神父の計画を立てていた。
しかし、モンタギュー王がコブラにジュリエット暗殺の罪を擦り付けた事を知り、急遽ディアンサを助けようと動き出していたロミオとマキューシオだったが・・・・・・
コブラが、颯爽とモンタギュー城に侵入しディアンサを救出し終えていることが知れ渡り、コブラの凄さに驚愕しつつも、予定通り、ジュリエットに仮死状態にする薬をロミオがジュリエットのもとに向かったのだった。
翌日。一行のもくろみ通り。ジュリエットの葬儀は、ヴェローナ大聖堂で密やかに行われた。
ロミオは作戦が成功したことに一安心しながらロミオとマキューシオは葬儀の様子をソーンと共に陰から伺っている。
泣き崩れるデボラや、怒りに拳を握りしめるパリス。そして無言で立ち続けるティボルトの姿を見つつ、ロミオは隣に佇む昨晩突如姿を消していたシスター服を身にまとうソーンに言葉を投げかけた。
「ソーン殿・・・・・・一体貴方は今まで何を?」
パレードでロミオとマキューシオを助けた後、ソーンは突如姿を消したと思いきや、ジュリエットの葬儀が始まったタイミングで再びロミオ達の前に現れたのだ。彼がソーンの行動に疑問を持つのも頷ける。
「ふふ、すこしコブラに頼まれてね。この国で大罪を犯した人物と不自然死した人達の墓の場所を調べてたのよ。それで、ここの地下の石桶を調べてたってわけ」
ソーンの言葉に、なぜコブラがそのような事を頼んだか皆目見当が付かないロミオは首を傾げる。
「いいのよ・・・コブラの考えすぎかもしれないから。私には彼がなぜ調べろと言ったのか理由は分からないし」
「そうゆうものか・・・しかし、不自然な死に方は分からないが・・・・・・神王に反逆した者たちは、確かにここの石桶に安置されると聞いています」
「そうなのよ。私も見てきたけど・・・中々の人数がいて驚いたわ。貴方の国は大変ね」
「お二人さん。話すのは構わねぇと思うが、もう少し声を落としたほうがいいぜ。みろよティボルトの旦那がこっち睨んでるぜ?」
小声で話す二人だったが、声が大きくなっていることをマキューシオが注意し、三人は睨み付けるようにこちらを見ているティボルトの姿を視界にいれ、会話を中断させた。
それからしばしの時間が流れ――――――
「これよりジュリエットは地下の霊安室に安置される」
そう言って、ロレンス神父はジュリエットの葬儀を終わたのだった。
仮死状態のジュリエットを霊安室に運び込み、その場に向かったロミオとソーン・・・・・そしてティボルトの姿。
マキューシオはにらみ合う両軍を偵察しに向かった為、この場にはいない。
ティボルトがこの場にいる理由・・・・・・それは昨日、ジュリエットの元に向かうロミオをティボルトが発見した為である。運良く直ぐに戦闘にはならず、話し合いの据え、彼はジュリエットの幸せを願い、ロミオ達の作戦に協力することを選んだのだった。
「ここなら・・・・・・ひと目にもつかないだろう」
「本当にジュリエットは無事なんだろうな」
心配そうにジュリエットに視線を向けるティボルト。仮死状態と分かっていても不安で仕方が無いのだろう。
「大丈夫だとも。さぁ・・・・・・ロミオ。ジュリエットをその石桶の上へ・・・・・・」
「はい・・・・・・」
そして、ロレンス神父は薬がきれるまでは決して目覚める事が無いと言うが・・・その直後目覚めの呪文があると言い始める―――――
「今から私が・・・薬の効果を払う・・・覚醒の呪文を唱えよう・・・・・・ロミオは、ジュリエットが目覚めた時に危険が無いようにその体を支えてくれ・・・・・・」
「はい!分かりました」
そう言って、ロミオはジュリエットの体を優しく抱きかかえようとして―――――
「そう、ロレンス神父、貴方はやっぱり―――」
そう小さく呟いたソーンは手に持つ弓を強く握りしめた。三人ともジュリエットに意識が向いており一番後方にいたソーンのつぶやきを耳にした者はいなかった。
彼女がここまで、神父を気にしていた理由・・・・・・それは演劇があった日の夜。コブラが自ら捕まる直前・・・通信機を渡すと同時にロレンス神父を警戒しろとの話しが、あったからである。
ソーンは別の目的で動くコブラの代わりにロレンス神父について調べるのと、同時に定期的に連絡を取り合っていた。そのため、ディアンサの危険を知ったソーンがコブラに連絡をとり、素早い救出劇が展開されることになったのである。
二人の体が重なるのを見届けたロレンス神父は、呪文の詠唱を始めていた。
ソーンは静かに弓を構えると矢を出現させ、神父に狙いを定めたのだった。
「汝・・・・・・覚醒した眠れる獅子・・・・・・凍える補のを巻き起こす・・・・・・汝――――」
目が覚めるのを今か今かと待つロミオだったが、偶然、後ろに目を向け困惑することになる。
すると視線の先には修道服を脱いでおり、いつもの服装に戻っているソーンがロレンス神父に向けた弓を構えているのが目に入る。
急ぎ視線をロレンス神父に向けたロミオだが、ロレンス神父とティボルトは今もジュリエットの方を向いており気がついていない。
「惹かれ合う陽極の標をもって・・・・・・今・・・・・・ここにその姿を―――」
「ロレンス神父!!!!」
突如ロミオの視界が全てスローモーションに変化する。
ジュリエットを抱えた状態でロレンス神父を突き飛ばす。すると突き飛ばされたロレンス神父の頭部があった場所を高速で矢が走り抜ける。
回避に成功した事を安心したロミオが、背後から弓を引いたソーンに敵意を向ける直前。
今まで見たこともない邪悪な笑みを浮かべたロレンス神父が瞳に映る。
「・・・・・・え・・・」
彼は邪悪な笑みを浮かべながら最後のことばを呟いたのだった。
「表せ・・・・・・」
その後、自分と手に抱えるジュリエットが、目映い光に包まれていくのをスローで他人ごとのように見ていたロミオ。
光が収まった直後・・・彼の体を内側から焼き尽くすかのような痛みが駆け抜けたのだった―――
ロミオとジュリエットから放たれた閃光・・・・・・危険を感じ、寸前のところで瞳をそらし、回避したソーン。背後から攻撃をロミオの妨害で失敗したことを悔やみつつも二本目の矢を出現させた時―――。
「ふはは・・・・・・ここまで長かった・・・・・・ついに!ついにやったぞ・・・・・・」
「!!・・・・・・くっ!」
ロレンス神父の言葉と共に発した二度目の閃光は対処が遅れ、視界が真っ白になる。
閃光と共に地下を揺るがす衝撃の後、目の前に何かが現れたのを気配で感知したソーン。
その場に突如姿を現す星晶獣オクシロモン。
狭い室内だが、この場で倒す事も彼女なら可能だったかもしれない。彼女が光で目を一時的に潰されていなければだが・・・・・
事態が把握出来ず体に奔る激痛に、顔を歪めるロミオと困惑しているティボルト。
ロレンス神父は星晶獣オクシロモンを目覚めさせることが狙いだったと明かす。
「本当に・・・・・・本当にありがとう、君は最後の最後まで、私を助けてくれた。ロミオ!これでもう、君の役目は終わりだ。星晶獣オクシロモン。我をここから連れ出せ!」
「逃がすと思う?神父さん」
「ふふふ、君はもしかしたら、凄い人物なのかも知れないが、今の君に何が出来るようには見えないよ」
ソーンを小馬鹿にした後、ロレンス神父はは自分を主と認める星晶獣オクシロモンに命令し憑代であるジュリエットを伴いながら地下の霊安室を破壊し飛び出していった。
「「ジュリエット!!!」」
大声を上げるロミオとティボルト。
「待て!!ジュリエットを離せ!!」
ジュリエットを追って真っ先に飛び出していくティボルト。
自分もそんな彼の後を追おうとするロミオだったが、視界に端に、目を押さえうずくまるソーンの姿を見つけ駆け寄る。
「ソーン殿大丈夫か。それよりも僕は大きな間違いをしたようだ」
「いいわ、大丈夫。私の目は少し繊細なの・・・・・・しばらく動けないと思うからロミオ君はあの神父をティボルトさんと一緒に追って。このままだと大変なことになるかもしれない」
「分かった」
ソーンに返事をしたロミオは、星晶獣オクシロモンとロレンス神父の後を追いかけて破壊されて霊安室を去って行ったのだった。
ロミオがティボルトを追いかけると、外では、大聖堂で起こった異変を感じて引き返してきたパリスがおり、ティボルトと二人でロレンス神父、彼の操る星晶獣オクシロモンと向かいあっていた。
「なっ・・・・・・なんだこいつは!!!?お前は正体を知っているのかティボルト!!」
「あの化け物は星晶獣だ。あの神父が操っている・・・・・・はずだ」
そこに現れる、ロミオ。彼が来たことに気がついたパリスが驚きの声をあげる。
「ロ・・・・・・ロミオ!キサマ・・・・・・何故ここに!!」
「話しは後だ!今はあれを退け、ジュリエットを助ける!」
ジュリエットの言葉に反応し、パリスは星晶獣オクシロモンに目を向け目を見開く。
「なに!?あ・・・・・・あれは・・・・・・ジュリエットの亡骸!!」
「違う。パリス侯爵・・・・・・ジュリエットはまだ生きている。訳は後で説明します。ですから今は協力してほしい!!」
「く・・・・・・一体なにがなんだか」
ティボルトの嘘に見えない真剣な表情とあまり丁寧とは言えない言葉を受け混乱するパリスであったが、ジュリエットを心配するティボルトを信じ、協力することを選択し、剣を抜き構えたのだった。
「やれやれ・・・・・・のこのこ戻ってくるとは揃いも揃ってバカな奴らだ・・・・・・」
「・・・・・・ロレンス神父・・・いや!!ロレンス!説明を求めたい!」
パリスのロレンスという名前に苛ついた反応見せたロレンス神父は、自分が11年前の王位継承者、イアゴであると言い放ち三人を騒然とさせたのだった。
「イアゴは・・・・・・11年前に死んだはずだ!」
「その通り・・・・・・確かに我は死んだ・・・・・・いや、正確には殺されたんだがな・・・・・・」
イアゴは一度言葉を区切りロミオに視線を向けた後―――
「ロミオ・・・・・・貴様の父親、モンタギューにな!」
「・・・・・・なっ!?でたらめを言うな!・・・・・・父上がそんな卑劣な真似を・・・・・・・」
父への暴言を正そうとして、言葉が途切れてしまう。その姿を見てイアゴは笑みを深くする。
「言えないだろう?今回の王女暗殺事件計画・・・・・・さらには助けに入ったコブラに汚名をきせ、奴が連れていた少女をも殺そうとしたんだからなぁ!!お前は気づいていながらも目を背けているだけだ」
「くっ―――――」
反論できずにいるロミオ、しかし、劣勢に立たされた彼を助ける声が聞こえてくる。
「・・・・・・だが、お前さんも人の事を言えないと俺は思うがね。そこら辺どうなのよイアゴさんとやら」
「?!何者だ」
言葉を詰まらせたロミオを助けるかのように、彼の相棒が姿を現す。聞き慣れた声に思わず顔を向けるロミオ
「マキューシオ!!」
「ああ、戻ってきたら変なことになってやがるなロミオ」
ロミオ、マキューシオ、パリス、ティボルト
遂に、この場にこの国を救える力をもつ人物が揃い立った。
しかし、マキューシオが増えても星晶獣を連れている自分の有意差は覆らないと判断したイアゴは饒舌に話しを続けた後。
「くくく・・・・・これより・・・・・・モンタギューとキャピレットを滅ぼしお互いに憎しみ会うことのない理想の国家を・・・・・・我が作ってやる・・・・・・その時にはお前らが取り合った聖女ジュリエットを我が妻に迎えるのも一興だな」
そう言い残しイアゴは星晶獣オクシロモンを引き連れ、戦闘が行われようとしてる空に向かって飛んでいったのだった。
イアゴを追おうとする4人。
「いくぞ!いま奴を見失えばたいへんなことになる!!」
ジュリエットが心配なティボルトが真っ先に後を追おうとして、マキューシオに肩を掴まれ止められる。
「まちな!・・・心配かもしれんが奴は空だ。今焦ったところで空にいくには、騎空艇をとりに行かなきゃならねぇ」
「くっ・・・・・・」
そこで、水と油だと思われていたロミオとパリスが協力し行動方針を決める。
付近にはいつのまにか大量に集まった魔物達・・・これらを倒さなければイアゴは追えない。これが2人の見解だった。
「パリス・・・俺たちが星晶獣に引きつけられた魔物の相手をしている間に艇を!!」
「ああ、分かった―――?!」
ロミオの提案を素早く理解したパリス。
「そんじゃ、俺とロミオでお前さん方が通れる道を始めに作りますかね!」
そう言ってマキューシオが剣を両手で構え、戦闘態勢を取り始める。
方針が決定し行動を始めようとした一同――――――
しかし、突如空から光線が降り注ぎ四人の周囲の魔物を爆散させる。
光線は見事に4人に当たらず魔物のみを狙い撃っていく。やがて、集まってきた魔物が全て消えた後、空から銀色の船らしきものが姿を現す。
船らしきものの側面に付いている兵器から煙が上がっており、先ほど周囲を一層した攻撃がこの船からだとここにいた者たちは全員理解する。
「なんだ!!次から次へと!おいロミオこれはなんだ?!お前と関係あるのか!」
「いや、多分だが――――――」
相談をする二人を置き去りに船のハッチが開き、四人とも見覚えのある人物が姿を表す。
ジッポを軽やかに使い、葉巻に火をつけたコブラが入り口で壁に寄りかかりながら佇んでいた。そして、ふと、視線を船内に向け・・・・・・
「ディアンサ・・・そんじゃお使い頼んだぜ?」
「はい!任せてください」
船内から黄金に輝く大弓を抱えてヴェローナ大聖堂・・・星晶獣に破壊され出来た道を辿って消えていくディアンサの姿を見送った。
葉巻を一度口から離し、煙を排出した後、コブラはやっと4人に視線を向けた。
「へへへ、ココに世界一早い船があるがどうする・・・・・・乗ってくかい?」
口元で笑みをうかべつつ、四人にとぼけながら訪ねたのだった。
ピンチのヒロインを助けるのに、もう一波乱(これはこれで好きです)
コブラはそれを、あっさり簡単そうに助けてほしい(願望)
3日前に投降してたらピーターパンがサンタクロースに変わっていたと思います。
あと1話でこの章は終わる予定です。
幕間見たいのを書きたいです。
届かないほど、近くのあなたへに入ってから、地の文がかなり増えてまして、1話の文字数が多くなってます 困った。
感想くださった方ありがとうございます。凄いやる気につながります。
次の話・・・何にしましょう・・・・・・誰登場させましょうかね