町に到着したグラン達は旅に必要な支度を整えてくれるというよろず屋に来ていた。
よろず屋と名乗るハーヴィンと話しているグランとルリア・・・そしてカタリナの3名
すこし離れた場所で柱に寄りかかり、こちらの視線に気がついたのか中指と人差し指を立てながらウィンクをしてくる男、名前はギリアンというらしい。
彼は、よろず屋との会話に参加せず果物にかぶりついていた。
カリオストロは一度深いため息をしたあと、見なかったふりをしてグラン達に視線を戻す。
――コイツは何かおかしい――
カリオストロのギリアンへの第一印象だった。
封印が解けた直後、カリオストロは身近に脅威を感じウロボロスを出現させて殺害の命令を飛ばした。
命令通りウロボロスが煙の奥に消えていく。
煙の奥で鈍い音が聞こえた時、確かに殺したとカリオストロは確信した。
しかしカリオストロの予想は裏切られるた。
ウロボロスに吹き飛ばされ、こちらに飛んできたのは身体にぴったり張り付いた赤いTシャツとレギンスの男
本来死ぬほどの衝撃を受け吹き飛ばされているにもかかわらず、視線はカリオストロを見ており、既に銃を構えていた。
カリオストロはすぐさま理解した。この男はワザと攻撃を食らって自分の元に飛んで来たと。
男から放たれる銃弾
即座に土の壁を作り飛んで来た銃弾を受け止めることに成功し、男の着地点にウロボロスを飛ばす。
再び鈍い音が響く。
ウロボロスの叩きつけで男の体はバラバラになっているはずだった・・しかし吹き飛んでいるのは
男は攻撃を左手で受け止めた後ウロボロスを投げ飛ばしたのだった。
カリオストロの体が総毛立つ。
―――おかしい――
その男はあまりにも硬すぎた。さらに・・・自分の身長以上のものを投げ飛ばす、普通の常識にはあてはまらない光景である。
その後三回ほどの攻防の末、彼の背後で爆発を起こした瞬間を狙い、なんとか組み伏せ足で押さえつけているが、この男が本気をだせば今の自分達の立ち位置は一瞬で入れ替わる。
カリオストロにはそんな確信があった。
「オマエはそこを動くな、少しでも変な動きをしたら先にお前の仲間を潰す」
この一言は一対一では厳しいと判断した、カリオストロによる苦肉の策による防衛手段だった。
その後紆余曲折があり、グランの騎空団に加わったのが今の現状である。
団の詳しい話を聞けば、駆け出しもいいとこで、いまだ船すらない状況
これを騎空団と呼んでいい状況なのか、詐欺ではないかと内心思っているカリオストロであったが、ルリアという自分の興味が引かれる対象がおり、記憶がないというギリアンの驚くべき身体能力の謎
なかなか面白いと思っているカリオストロでもあった。
「なぁ、操舵手ってんならあいつがいいんじゃねぇか?」
「あいつって、ラカムのことか。確かに腕もいいし、暇そうにしてたけど・・・」
「ああ、だってあいつはもう・・・・・・」
「気が変わってるかもしれないだろ!なぁ、トカゲ。お前もそう思うよな?」
「オイラはトカゲじゃねぇ!!」
村人達の会話から一人の男が話題に上がる。
「ラカムさんですか~・・・うん、会ってみてもいいかもしれませんね~」
「シェロさん、そのラカムさんに会うにはどこに行けばいいんですか?」
ルリアに質問に待ってましたとばかりにシェロが質問に答える。
「アンガド高原にある騎空挺の近くにいけば会えると思いますよ~」
一行の目的が決まったグランがギリアンとカリオストロのいる方に歩いていく。
「おーい、ギリアンさん、カリオストロ出発する・・・」
「だから、俺様が食べたわけじゃねぇのに、なんで金を払わなきゃいけねぇんだよ!!」
「ヘヘっ、すまねぇお金ねぇの忘れてたんだ」
「あんた、知り合いだろ?この男が払えないなら仕方ないだろう」
「・・ちぇ、・・・・・オラよ、これでいいんだろ?」
「へい、まいどあり」
グランがギリアン達のいる場所に行くと、商店の村人と口論していたカリオストロとギリアンがこちらに向かって歩いてきた。
「どうしたの、カリオストロ」
「あぁ、グランか・・・コイツが金もねぇのに食ったのを俺様に払えって言って来やがったんだ」
「へへッ、すまねぇ・・この借りはこんど返すぜ・・・・・・たぶんな」
「ギリアンさん、次から気をつけてね」
「あぁ、それで次の目的地は決まったのか?」
「うん、アンガド高原に向かうことになった」
悪びれた様子のないギリアンとそれに対して文句を言うカリオストロを含めグラン一行はアンガド高原に向けて出発した。
アンガド高原に到着したグラン達は無事に騎空挺に到着したが、その付近にはエルステ帝国の軍隊がいた。
グラン達は物陰に隠れていたのだが、町を壊滅させるという帝国軍の声を聞き我慢できずカタリナが飛び出してしまった。
「オイオイ飛び出しちまったぜ、どうすんだグラン?」
「もともと隠れる必要なんてないとカリオストロは思うな☆」
「いや、ここは逃げよう」
敵の人数を確認したグランの判断は撤退だった。
「――申し訳ない」
「もういいよ、カタリナ。あの人達に怒ってたのは、カタリナだけじゃないもん」
落ち込むカタリナをルリアが励ましながらグラン達。帝国軍が話していた襲撃の事を町に知らせるために来た道を戻っていた。
「追ってきてるぜあいつら」
ギリアンが後ろから迫る帝国の兵士に目を向ける。
「とりあえず今は逃げよう」
再び逃げることを選択したが、次第に追いつかれ始め、戦闘を行い、隙をみつけては撤退を繰り返していた。
しかし。追ってくる兵から逃げていた影響で再びグラン達は騎空艇の側に戻ってきていた。
「あれ!?なんだい、戻ってきてくれたの?」
先ほどから帝国軍の中で偉そうにしていたフュリアスがグラン達に呼びかけた。
「嬉しいなぁ!君達ってウチの国から指名手配を受けてるんだってね!」
嬉しそうにこちらに話しかけるフュリアス、すでにグラン達は囲まれており、逃げ場はなかった。
「みんな戦う準備を!!」
グランの一声でカタリナが剣を抜いた。
「ねぇグラン、私は☆あそこの二人を相手にするね☆」
カリオストロが指指す方向には確かに他の兵とは違った二人組がいた。
「わかった、お願い!くれぐれも無茶はしないでね」
「任せて☆もう、グランは心配性だなぁ~」
「へへッ、俺も今回は少し真面目にやるとしますか」
銃を取り出した。ギリアンの顔には今までと違っておちゃらけた姿はなく凛々しい顔立ちになっていた。
「ルリア、側を離れないで」
「うん」
頷くルリアを確認したグランは一同を見渡しのち
「いくぞぉ!!!」
攻撃を指示しそれぞれが行動を開始した。
戦場となった騎空艇の付近では乱戦になってた。
戦いの場所は主に2箇所
グランとカタリナはお互いの背中を預けルリアを庇いながら迫る帝国の兵士を倒していた。
「いくら倒しても切りがないな」
帝国の兵士を倒しながらカタリナが呟いた。
「なにか突破する方法を考えないと」
こちらに斬りかかってきた攻撃をいなし、首筋に打撃を食らわせながら帝国の兵士をダウンさせながらグランが答える。
すでに彼らで倒している人数は20を超えていたが、いまだに辺りは敵だらけであった。
「頑張ってください!グラン、カタリナ」
「やっちまえ姐さん!グラン!」
ルリアとビィの応援をうけつつグランとカタリナは突っ込んでくる兵士たちと戦い続けた。
グラン達から少し離れた場所では帝国の兵士たちだと思われる二人組と一人の少女が戦っていた。
しかしそれはあまりにも一方的であり、どちらが優勢かは明白だった。
人数の差が勝敗を分けるとは限らない。
「・・オイ!ドランクしっかり援護しろ!」
赤いマントを身につけ、二本の刀を持ったドラフの女は息を整えながら相棒のエルーンの男に向かって声をかけた。
「いやぁ援護してはいるんだけどねぇ? 隙がなくてさぁ、あの蛇厄介だなぁ~」
そう言った男も常に警戒しているようで、余裕はないようだ
「ねぇ☆おねぇさん、もうおしまい?」
彼らが敵対している少女の周りには蛇が浮いており、可愛い口調からは想像できない威圧感を放っていた。
「これは、ちょっと本格的にやばいかもねぇ~スツルム殿、そもそもあの強さはおかしくない?」
ドランクは軽く汗をかきながらそう呟いた。
しかし、そんな彼らの戦闘は突如響いた銃声により唐突な終わりを迎える。
「なんだい君は?」
「お前がこの場で一番偉いやつか?」
ギリアンはフュリアスに向かって声をかける。
ギリアンは帝国の兵士の隙間を縫うようにしてフュリアスの下にたどり付いていた。
一人で来たのがおかしかったのか、フュリアスは笑いをこらえているようだった。
「もしかしてさぁ、あの船で逃げようとか思ってた?あたり?ねぇねぇ!」
「まぁ、それも考えの一つにはあるぜ」
「こんな! こんなボロ艇がさぁ!空を? ぎゃはははは!!」
「気持ち悪い笑い方しやがる。無駄口を叩くその口はチャックで閉じておくんだな」
ギリアンの答えが気に入らなかったのかフュリアスは不機嫌になっていく。
「なんでそんな君は偉そうな口調なの?僕が誰だが分かってる あぁ~馬鹿の相手は腹が立つ」
「腹を立てるとなにをするんだ? うさぎとワルツでも踊るのか」
ギリアンの挑発は大成功、フュリアスの機嫌が最悪になった瞬間である。
「あー誰でもいい、さっさとこの馬鹿の頭を落としてこの艇をぶっ壊せ!」
しかしフィリアスの声に反応する兵士はいない、まるで声が届いていないかのように立っているだけである。
様子がおかしいとフェリアスは辺りを見渡し、隣にいる兵の声をかける。
「オィ!僕の声が聞こえ・・・・」
彼の周りにいた三人の兵士が一斉に倒れる。
「悪いがそいつらにはもうオマエの声はとどかねぇよ」
倒れた兵士たちには的確に急所を射貫いている銃弾の後があった。
ギリアンが使った思われる銃はすでにもとの位置に戻っている。
自分の周りの兵士が一瞬で倒れたことがどういう事なのか気がついたのか、フュリアスの顔には焦りが見えはじめる。
しかし、彼が焦ったのはほんの一瞬・・・倒れる兵士を見ていた他の兵が駆けつけ、フュリアスを守るように立ち、複数の兵士がギリアンを囲む。
囲まれている状況でも彼はまるで”相手にもならない”と言うように余裕そうに葉巻をくわえ火をつけている。
ギリアンは葉巻をくわえながらふと帝国の艇が砲弾直撃した時から、たまに頭をよぎる風景を思い出していた。
その中の自分は別の名前で呼ばれており、様々な冒険をしていた。その風景がなんなのか彼には既に見当がついている。
意識を戻すと帝国の兵士の守られながら騒ぎ立てるフィリアスがいた。
「な、なんなんだよ!なんなんだよ、オマエは!僕にこんなことをしてタダですむと思うなよ!」
「俺か?俺の名前は――――――――」
そう言って右手で左手首を掴んだ時
突如銃声が響く。
グラン達に迫る兵士もカリオストロも何事かと手を止めた。
「てめぇら俺の艇の前で何してやがる!! よそでやれよ!よそで!」
グラン達が探していた、操舵士による銃声と声が響いた。
次回ティアマト戦 奴の左手に注目
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