カリフォルニアドリーム
(アウギュウステ列島)
「うわぁ~これが海ですか、ホントに水がいっぱいあるんですね!」
ディアンサはガラス越しに見る、海と白い浜辺に目を輝かせている。
「なんだいお嬢ちゃんは海が初めてかい」
運転席に座り小型の騎空艇を操縦する老人は、楽しそうにしているディンアンサに気分を良くしたようだ。
コブラとディアンサはバルツ公国にいた人物からグランがこのアウギュステ列島に向かった話しを聞き、小型の騎空艇の操舵士に依頼してここまで連れてきて貰っていた。
「爺さんこの島の海は、いつもこんなあれてんのかぁ?」
ディアンサが見つめている窓と反対側に付いている窓の景色を見て、コブラは目を細めていた。
ディアンサは初めて見た海で海の異常さに気がつかなかったが、コブラは何度も海を見ている。この島の海の異常さに気づいていた。
老人もコブラが見ていた方に視線を向け驚いた表情を見せる。
「あん?・・・いやぁ儂の知る限り、こんなに荒れてるのは初めてじゃわい……この島はリヴァイアサンの加護に守られているはずなんじゃがな……」
「こんな荒れた海じゃ、サーフィンは難しそうだ」
「リヴァイアサンってなんです――――!!コブラさんあそこ、ショロトル様が暴れてた時みたいに瘴気が!」
ディアンサが聞いた事の無い単語の事を質問しようと口を開いたがコブラが見ている窓に映る光景に驚き、窓に張り付いた。
機内は狭い。ディアンサが窓を見るには座席に座るコブラの膝の上を越える必要がある。
つまり、今のディアンサの全体重はコブラに預け体を横にして窓を眺めている。
「お~ぅいディアンサ、重くはねぇが邪魔だ」
コブラは片手でディアンサをつまみ上げ元の座席に座らせた。
「す……すいません、コブラさん……でもあの瘴気凄いですよ。何が起っているんでしょう?」
「さぁな~分からん」
コブラが見つめていた先……そこにはある一箇所が凄まじい濃度の瘴気に覆われた箇所があった。
コブラ達が乗る船は高度を上げ、瘴気が一番濃い場所の付近を通過しようとする。
「あの瘴気じゃ、艇の発着場には着陸できそうにないのぉ~一度引き返す方が賢明じゃ」
船の発着場は丁度瘴気が濃い場所にあり着陸には危険が伴うと判断した運転手は戻ることを提案するが……。
「いや、着陸はしなくていいが、瘴気の一番濃い場所の真上を飛んでくれ」
運転手の老人は抗議しようとコブラに視線を向けるが、彼の表情を見て理由があると判断し言われた通り瘴気の濃い場所の上空に向かって舵をきった。
コブラの目は確かに捉えていた。巨大な水竜の姿、そして3メートルを超えそうな巨人、そして数多の帝国の兵士たちと対峙し、剣を地面に突き立て懸命に立ち上がろうとするグランの姿を。
さらに、彼を助けようとする人物とルリアとビィの姿も確認できる。
「あれ……いま瘴気の隙間からたくさんの人達の姿が見えた気が……」
ディアンサも同じように何かを発見したようだ。
「コブラさん、大きな竜みたいのが見えた気がしたんですが……」
「ああ、いるな、爺さん……ここまででいい……ディアンサこれを背負え」
コブラは当たり前の様に返事をしてリュックサックのような物をディンアンサに差し出しながら席を立つ。
「なに?おまえさん一体何を……」
コブラが差し出した物を見た運転手が驚くような声を上げる。
「コブラさん……これ背負いましたけど何ですかこれ?」
コブラに手渡され、とりあえず言われた通り鞄を背負ったディアンサが首を傾げコブラを見ていた。
コブラは黙々と天井に付いている大きなバルブを回している。それに気がついた運転手は止めようとするが……。
制止がかかる前に、コブラは天井に作られていたバルブを持ち上げ脱出口の扉を開けた。直後に大量の風が艇に流れ込んでくる。
コブラは困惑しているディアンサを脇に抱えると脱出口に手をかけた。
「え……えっ!? 嘘ですよね、コブラさん!待ってください!」
ディアンサは今の状況から起きるであろう未来を理解し、コブラの腕から逃げようと暴れる。
「爺さん、コイツの荷物はまた今度届けてくれ」
返事を待たずにコブラはディアンサを抱えながら艇の外に出る。今だに、艇は陸地や水面まで400メートル以上の高さがある空を飛んでいる。風が暴風のようにコブラを叩きつけてくる。
「嫌です。嫌です!ま、待って―――――――!!!!」
脇に抱えられている暴れるディアンサの抗議を一切聞かず投擲のように彼女を放り投げた。
悲鳴を上げながらディアンサが飛び、そして落ちていく。
その後コブラもディアンサを追いかけるように艇の上から飛び降りた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁショロトル様助けてぇぇぇえええ!!!」
ディアンサは風でめくれ上がる自分のスカートのことなど考えることが出来ないようで、悲鳴を上げながら海面に向かって落ちていた。
ディアンサを信奉するイクニアの人達が見ていたらどんな反応をするだろうか……とりあえずコブラは襲われるであろう。
しかし彼女は偶然だが落下耐性の姿勢をとっていた。そんな彼女の元に空に放り投げた人物が上から近づいてくる。
「ヘヘッ、大丈夫だディアンサ、そいつはパラシュートさ。地上に近づけば勝手に開く」
そう言い残しディアンサと同じスピードで落下するのを維持していたコブラは、直立不動の姿勢をとり、どんどん加速し瘴気に向かって猛スピードで突っ込んでいった。
やがて、弾丸のように濃い瘴気の中に突入し海竜……リヴァイアサンと戦うラカムとカタリナの姿を確認したコブラは、右手で左手を添えた。
その構えはこの世界の誰よりも速い早撃ちの構え。
コブラは義手を外し、サイコガンをリヴァイアサンに向かって撃ち放った。
その威力は記憶を取り戻した直後に放ったものとは段違い、光弾は6つに分裂しリヴァイアサンの体に迫る。
六つの光弾の一発目が直撃しリヴァイアサンは大きく仰け反った。
そこを追撃するかの如く、残りの五発の光弾が炸裂しリヴァイアサンは海大きな水しぶきを上げながら崩れ落ちていった。
コブラは自分の上でバサッとディアンサのパラシュートが開く音を確認し、彼女のパラシュートが無事に開いた事に安堵した後、目の前に迫っていた海に頭から突っ込み。
頭上をパラシュートで降下していたディアンサを濡らすほどの高さの水しぶきを上げたのだった。
―――――――時は少し戻る。
グラン達は、アウギュステ列島に到着し浜辺で水遊びをしていた所、警備隊をしていたオイゲンと遭遇する。
その後帝国の兵器開発により汚染された海を取り戻すため協力し、施設を無事沈黙させた。
しかし、その施設でグランの旅の仲間であるカリオストロが錬金術関係の書類があることを発見し帝国軍と錬金術師が結託し何かを起こそうとしている事実を知る。
カリオストロは調査のためその場に残り、グラン達はアウギュウステの兵士と帝国軍が衝突するザニス平原に向かった。
向かう途中オイゲンに一同はルリアの秘密を教え、グランの覚悟を知ったオイゲンが旅に同行することになった。
ザニス高原でアウギュステの兵士と帝国軍が衝突し、クラン達は暴走するリヴァイアサンを沈めるため、海岸に向かう。
しかし、リヴァイアサンの元に辿り着く直前、ポンメルンとフィリアスに遭遇し、ラカムとイオ、そしてカタリナがリヴァイアサンの元に向かいグランとルリア、そしてオイゲンが魔晶の力によって変身したポンメルンと戦っていた。
ポンメルンと戦っていたグラン達は劣勢だった。なぜならグラン達の周りはポンメルンだけではなくフィリアスの部下の帝国の兵士がグラン達を包囲していたためだ。
さらに、兵士たちは陰湿でグラン達よりもルリアを狙うため、オイゲンとグランは攻勢に踏み出せないでいた。
そんなグラン達を遠くからフィリアスが笑いながら眺めている。
ポンメルンの攻撃をなんとか反らすことで耐えたグランだが、既に体力は限界のようで膝を着く。
膝をついたグランに向かって帝国の兵士が剣を振りかぶり迫る。
「グラン!前です!」
ルリアの声で危険が迫ったのを悟ったグランは素早く立ち上がり迫る剣を弾き、自分の剣を帝国兵士の首元に突き刺した。
その光景を見て一瞬怯んだ周りの帝国の兵士の隙を見逃さず、オイゲンの大砲のような銃弾を直撃させ、周りの数名の兵士をはじき飛ばした。
「大丈夫かグラン!」
「オイゲンさん僕はまだ戦えます!!」
オイゲンがグランに走り寄る。二人は軽く言葉を交わした後、自分達の目の前に佇んでいるポンメルンに目を向ける。
「その絶望しない目つき!!生意気ぃ~ですネ!!」
魔晶の力で変身したポンメルンはまだまだ余裕がありそうに佇んでいる。一方……。
「俺はコイツの目が気に入ったがな? 真っ直ぐでいいじゃねーか!」
既にグランもオイゲンも息が上がり体力の限界は近かった。
「ふん、どこまで威勢を張っていられるか楽しみですネ!!」
再び迫る攻撃……しかしルリアが呼び出したコロッサスが攻撃を受け止める。
「ッ!!」
突然出現したコロッサスに攻撃を防がれ、ポンメルンは驚くが直ぐさま後方に飛び一度距離をとった。
「私も、戦います!守られるだけは嫌なんです!」
グランとオイゲンの後ろからルリアが大声を上げる。
攻撃を受け止めたコロッサスはゆっくり姿が消えていく。どうやら出現させられる時間は少ないようだ。
「嬢ちゃんがいれば百人力だな」
「分かったルリア・・だけど無理はしないでね」
息を整え終えたグランが剣を構え、コロッサスが出現していた間に銃に火薬をつめたオイゲンはグランを援護するようにポンメルンに向かって銃を構えた。
その時、どこからか少女の悲鳴が響き渡る。
グランとオイゲンは悲鳴が聞こえ一度足を止めた。
悲鳴はどこから聞こえてくるのか探す二人は自分達のはるか上空から聞こえてくることに気がつく。
グランとオイゲン、そしてルリアは空に目を悲鳴の主を確認しようと上を向き―――。
空を覆っていた瘴気を掻き消すかのように光弾が駆け抜けていった。
グランはその光を知っていた。
一度見ていたグランは瞬時に理解して視線を戻し、ポンメルンに向かって駆けだした。
やがて光弾は遠くに見えるリヴァイアサンに迫り、全弾が直撃。リヴァイアサンを海に沈めた。
帝国軍は突然の事態に頭が着いていっておらず棒立ちになっていた。これはポンメルンも同じ。
ポンメルンが気づいた時には既に手遅れ、グランの剣はポンメルンに迫っており、グランの渾身の一振りは見事に炸裂。その一撃が決定打となりポンメルンを戦闘不能に追い込んだ。
直後、空から何かが落ちたように大きな音が聞こえた後、大きな水しぶきが上がる。
帝国軍は空を駆け抜けた一撃がリヴァイアサンを倒したことと、魔晶によって強化されたポンメルンが倒されたことにより、動揺する。
やがて帝国兵士はフィリアスの命令により撤退した。
剣を納めるグラン、そしてグランの元に駆け寄るオイゲンとルリア。
「やるじゃねーかグラン!!不覚にも俺は空を駆け抜けたあの光に驚いちまって動けなかった」
「グラン!!凄いです格好良かったですよ」
「オイゲンさんは仕方ないですよ、僕は似たような光景を見ていたから動けただけです」
オイゲンは驚く顔をする。それに対しルリアは何か分かったように笑顔を見せる。
「あ、じゃあやっぱりあの光はコブラさんだったんですね!」
オイゲンはコブラという名前を聞き、グラン達の仲間で今は別行動している人物がいる話しを思い出し、その人物に興味をもった。
一撃でリヴァイアサンを沈める人物……ただ者ではないと。
「こいつはたまげたぜ、グラン、そのコブラってやつはすげぇな」
そんな彼らの元にパラシュートがポスッと地面に落ちる。降りてきたパラシュートの真ん中で何かがもぞもぞと動いており、誰かが近くに降りたったのを理解したグランは剣を再び鞘から抜き、オイゲンは銃を構える。ルリアはその二人の後ろに隠れ、顔をのぞかせていた。
やがて何とかパラシュートから抜け出してきた人物。その姿はこの場に似つかわしくない格好をした少女だった。
「い、生きてる!! ……やった、私生きてるよ!!」
突如現れ、自分の生還を大声で叫ぶ少女。その姿を見て危険はないと判断したグランとオイゲンは武器を降ろした。
「あの~貴方は~?」
そんな叫んでいる彼女に向かってルリア近づいて声をかけるルリをグランとオイゲンは見守っている。
すると、遠くからリヴァイアサンと戦っていたラカム達がこちらに向かって駆けてくるのが目に入り、二人はやっと戦いが終わった事を理解して安堵の表情を見せるのだった。
アウギュステ列島は簡単に終わらせる予定です。
ついでに私がグラブルで一番好きなキャラはオイゲンですね。
誤字脱字の指摘、感想くださった方ありがとうございます。