GoGoがんばれ!ヘイローちゃん   作:竹林の春雨

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長くなりすぎたので分割するか悩みましたが1話として投稿しました


トレセン昔話と学園の怖い噂話

 緑が生い茂る芝コースと異なり、サラサラとした砂地が広がる場所――ダートコース。

 観客たちは真剣勝負を見せてくれたウマ娘たちに声援を送る。

 ウマ娘たちもまだゴールしたばかりで荒い息を吐きつつも、各々が反応を返す。

 その中で特に多くの声を受けている少女が笑顔を浮かべながら観客たちに手を振り返していた。

 

「みんな応援してくれてサンキュ~の、ちゅっ! この後のウイニングライブも是非見ていってねぇー! マヤノのとびっきりのダンスを披露しちゃうよっ♪」

 

 他の子よりも小柄ながら陽光に照らされて反射する明るい黄褐色の栗毛――ツーサイドアップとロングヘアーの髪は非常に良く目立っていた。

 人懐っこそうな笑みに人々も魅了されたのか口々に、「凄い子が出てきたな」「小っちゃくて可愛い!」など称賛の声は止まない。

 ぴょんぴょん跳ねながらあちこちの観客に反応するサービス満点っぷりで、会場はほのぼのした空気が形成されつつある。

 そんな様子に応援席にいたキングヘイローは驚いていた。

 

「……マヤノ先輩、凄いですわね」

「身体の基礎が仕上がってきたというところじゃな。7戦2勝だが、2位とは7バシン以上を付けての大勝。レースも最初は中盤に控えてラストは1位を捉えながら差し切る強い勝ち方じゃ。キングヘイローと併せた効果が早速でた感じだのう」

 

 隣にいた坂戸トレーナーも大きく頷く。

 2着以下を完全にちぎっての勝利。文句の付けようがないだろう。

 

「マヤノ先輩の戦法は先行か差し、と言ったところでしょうか」

 

 ウマ娘のレース展開には大まかに4種類の戦法ともう1種類の特殊な戦法がある。

 大体はレースが開始されてから道中の集団で、何処に自分が存在するかで呼び方が変わる。

 今回のマヤノトップガンだと道中は集団の中央――中段に位置していたためキングヘイローは先行か差しだろうと考えていた。

 

「ふむ……ときにキングヘイロー。レースにおける戦法とはいくつあるか知っておるか?」

「もちろん把握していますわ。常に先頭かその横に付いていく『逃げ』。集団の中央から前方、あるいは2、3番の好位を位置しながらラストで追い抜く『先行』。集団の中央かやや後ろに付きながら脚を溜め、足が疲れてきた先行集団のウマ娘を後ろから一気に抜き去る『差し』。そして集団の後方からゆったりと脚を使いながら徐々に進出し、溜め切った末脚で相手をゴボウ抜きして勝利する『追い込み』ですわね。あとは特殊なパターンとして逃げの更に前を行く『大逃げ』というのもありますが」

 

 唐突な戦法講義に、キングヘイローは難なく言葉を返す。

 彼女にとっては常識といっていいレベルの知識である。

 

 坂戸トレーナーの元でトレーニングを開始して半月が経った。

 当初はさん付けだったが「トレーナーなのだから呼び捨てでいい」というキングヘイローから申し出て以降、坂戸トレーナーは、呼び捨てで彼女の名前を言うようになっていた。

 

 そんな優秀な教え子に坂戸は嬉しそうに眦を下げる。

 好々爺然とした様子で坂戸が続きを話す。

 

「その括りでいうとマヤノの戦法は『自由自在』じゃ」

「自由自在――――って、もしかして!?」

「あの子は非常に器用な子でな。その日の気分で戦法を変えるんじゃが、それがどれも当てはまるという空恐ろしいウマ娘なんじゃよ。天才肌なのだろう」

「逃げから追い込みまで何でもできるって、想像以上に凄いことしてますわね……」

「本当にな。うちのチームになぜ来たのか不思議なくらいじゃわい」

 

 以前の併走トレーニングで感じた違和感。

 天真爛漫(てんしんらんまん)だがどこか母親たちにも似た雰囲気を(まと)っていた。

 もしかしたら想像以上の大物だったのかもしれない。

 その事実に思い至るも、自身も負けてられないと彼女は密かに決意する。

 どんな相手でも勝利してこそキングヘイローなのだから。

 

 グッグッと足を踏みしめ、ちょっとだけ走りたくなってしまうものの気持ちは抑えておく。

 さすがにトレーナーの指示無しで動くわけにはいかなかった。

 そんなキングヘイローだが、気にせず坂戸の講義が続いている。

 

「戦法については及第点じゃが、細かい差異もあるので注意するようにの。特に圧倒的ハイペースで『逃げ』のウマ娘の更に前を行く『大逃げ』は、見た目も派手でレースの華とも言われておる。不安定だが炸裂すると強力な戦法じゃ」

「ですが、その破滅的な逃げの大半は成就しないと思いますが」

「ん……確かにそうなんじゃが。まあ、今はまだいいかの」

「?」

 

 坂戸の何かを匂わす言動にピクリと彼女のウマ耳が反応する。

 この半月で多少なりとも彼の人となりを知っていったが、しかしこの老トレーナー――思わせぶりな態度が割と多い。

 本人曰く、深く考えてから喋りたいとのことだったが、そのせいかたまに喋ろうとして止めたりすることもある。

 

(指導自体は納得がいくものなので良いのですけど……。知り合ってまだ半月ですし、おいおい知っておけばいいのかしら?)

 

 マヤノトップガンなどは無邪気に信じるタイプなので坂戸の態度を気にすることは少ない。

 毎日が楽しければ良いというスタンスのようなので、それを乱さなければ良いのだろう。

 ただ元々相手の態度や言動などを観察する癖がついているキングヘイローだとそうはいかない。

 小骨が引っ掛かったように感じでしまうのだ。

 仕方なく釘だけは差しておこうという結論になった。

 

「坂戸トレーナー、連絡事項があるならハッキリ(おっしゃ)った方が良いかと思いますわ」

「ふむ、まあそうなんじゃが、こればっかりは性分なのでな。ただマヤノが帰ってきたら、その時に一緒に話した方がええじゃろうという判断だ」

「それならいいですけど……」

「済まんのう」

 

 暗に喋る気がないとも取れる謝罪に、軽く溜息を吐いて追及を止める。

 普段はウマ娘たちの好きなようにさせるトレーナーとしても有名らしいが、どうにも自分の中の基準があるらしく、たまに頑固者になるときがある。

 

(まあ確定事項じゃないお話かもしれませんし、気にしても仕方ありませんわね)

 

 適当なところで割り切る。

 キングヘイローも話題ひとつでギスギスするような雰囲気は作りたくない。

 そう考えて坂戸への視線を切ったところ、少し離れたところからせり上がってくる舞台を目撃する。

 ウイニングライブを行うための特設ステージだ。

 

 レースに勝利した者と2、3着のウマ娘たちは、ウイニングライブというレースにきたファンのために歌とダンスを披露する文化がある。

 それがいつ出来たのかは分からない。

 ただ昔からやっている風習という話だった。

 

 今日は遠出をしていることもあり、ウイニングライブが終わって、マヤノを迎えないと帰れない。

 これも後学とのんびりとライブの様子を見ていた。

 弾んだ声でマヤノトップガンの歌も聞こえてくる。

 

『うーーー☆ うまだっち♪ ~~~~~♪』

 

「……それにしても、改めて見るとせり上がってくる舞台装置ってとんでもないことをやってますわね」

 

 壇上で踊っているウマ娘たちよりも、その下にある装置が気になってしまう。

 普段は邪魔にならないよう地下に格納されているというステージ。

 トゥインクルシリーズが行われるレースの会場では大体の施設が似たようなものを持っているというから驚きだ。

 地方になるとさすがに維持費や建設費などの兼ね合いから、予めレース会場の近くに手作りの舞台があるらしいと、レヴァティ内の違うグループの女の子から聞いていた。

 

 舞台に上がっているのは、本日勝利したウマ娘たち。

 その中央には専用の青と白のドレス姿に身を包んだマヤノトップガンもいる。

 彼女はウイニングライブが非常に楽しいらしく、笑顔を観客たちに振りまいていた。

 そんな愛らしいウマ娘たちの姿に会場のボルテージが一気に上がり、歓声が一際大きくなる。

 

 文字通り大地を揺らすというレベル。

 今日は人が集まるような重賞レースはなかったはずだが、それでも客の入りは目算でも数万人ほどはいる。

 邪魔にならないよう隅っこに退避していたはずなのだが、一足先に夏が来たのかと思うほどの熱気が立ち込めていた。

 その空気の中で坂戸トレーナーはしみじみと話す。

 

「…………昔は、こんなに人が集まる行事になるとは思わんかったのう」

 

 不意に横から声が聞こえた。

 年老いたトレーナーの独り言。哀愁に満ちた声だった。

 その声にキングヘイローが反応する。

 

「そんなに厳しい時代だったんですの?」

 

 坂戸トレーナーがこぼした声。丁度良い機会と彼の人となりを探ることにする。

 普段はマヤノトップガンが大はしゃぎしているので、会話のペースを作りづらい。

 別にそれはそれで悪くないが話題はなにかと脱線しがちだ。

 しかし当の少女は現在、ウイニングライブ中。トレーナーとサシで話すには絶好の機会だった。

 

「ん? ……まあ、そうじゃのう」

 

 少女の言葉に一度黙るトレーナー。いつも通り、慎重に考えているのだと察せられた。

 一度、言葉を区切った坂戸は思案気な表情で髭をなぞり、過去の記憶を掘り返す。

 

「ご飯一杯に沢庵(たくあん)と焼き魚」

「……どういう意味ですか?」

「ある日の一日の献立じゃよ。一食ではなく、一日に喰える量だ。当時はウマ娘に限らず、多くの者が腹を空かせてた時代だったからのう」

「戦後の頃、ということですか」

「うむ。東京大空襲で府中も焼野原になってしまってな。物も少ないから昔は色々苦労したもんじゃ」

 

 「物心ついた頃には広いだけの荒地という印象しかないがな」と苦笑いしながら語っている。

 既に豊かなだった時代に生まれたキングヘイローにとってはピンとこない。

 ただ歴史自体は好きな方なので興味が沸いてしまう。

 内容が内容だけに気を使いつつ、質問を続けることにした。

 

「そうすると、やはりその、トレセン学園も大変だったのでしょうか?」

「大変も何も焼け落ちてしまったからのう。餓死するウマ娘も続出しておったし、皆日々を生きるのに必死だったよ。運び屋(・・・)をするウマ娘も出るくらいだ」

「運び屋?」

「ウマ娘は荒廃した都市では物流の主力にもなっていたんじゃよ。車と違って喰うものさえ貰えればいいしの。だから色んな場所で彼女たちが活躍していた。手紙を届ける者もいたから、ウマ娘専用の道路が出来ていたくらいじゃよ。…………中には農家と通じて物々交換した米を、闇市のブローカーに渡している者もおったから手放しに喜べない部分もあったがな」

 

 食料不足のせいもあって当時、米は配給制だった。

 下手に個人へ渡すと米の値段にも関わるため、違法だったということをぼんやりと思い出す。

 当時を生きた人ならではの知識なのだろう。

 興が乗ったのか、それとも会場の熱に当てられたからか、坂戸は当時を思い出すように饒舌な様子で語る。

 

「そんな腹が空いた者ばかりの時代で、食料に困っていたウマ娘たちの収入源がグッズ販売だったのじゃよ」

「グッズ販売? そういえば、会場では良く売っている光景を見ますけど」

「それは昔の名残りみたいなものだの。儂の父もトレーナーだったんじゃが空襲で仕事を失ったトレーナーとウマ娘たちが協力して、手作りのコースを作り、レースを開催していた」

「……もしかして今のトレセン学園にある場所って」

「ああ、まんま手作りコースがあった土地じゃよ」

「なるほど。とても勉強になりますわ」

「当時の新聞を調べれば分かるぞ。……まあ賭け事をすると面倒ごとになるから、屋台で稼いだり、裁縫(さいほう)が得意なものはヌイグルミを作ったりと、今の前身になるようなことをやっていたが、なかなか大変だったわい。まあ周囲の住民もみんなで支えあったから、なんとか成り立っていたのかもしれんな。ウマ娘と聞くとすぐサービスを始める太っ腹な店主も多かった――たまにやり過ぎて人間の客から、自分たちにも飯を寄越せと、冗談交じりにツッコみを受けていたよ」

「ああ、それで地域振興組合が出来ますのね」

 

 納得したようにキングヘイローは頷く。

 やはり当時からウマ娘にサービスをする店があったのだろう。

 シンボリルドルフとした会話を思い出し、知識が掘り起こされる。

 その時代なら稼ぐためにウマ娘を集めようとする店主が出てきても仕方ないのかもしれない。

 そう思っていた彼女だったが坂戸はというと、その発言にきょとんとしていた。

 

「……もしかしてウマ娘地域振興組合のことかの?」

「? ええ、そうだと思ったんですが。確か、ウマ娘に対する過剰なサービス合戦で地域経済が悪くなったと」

「――はっはっはっはっは! なるほど、なるほど」

「え、え、なんですの?」

 

 突如として坂戸が大笑いしながら自分の膝を叩く。

 おかしくてたまらないといった様子だ。

 余りに可笑しかったのか、目の端に涙まで見せている。

 

 そのことにキングヘイローは困惑してしまうが、「すまんすまん」と顔を崩したまま坂戸。

 少し待ってくれと言わんばかりに老トレーナーは皺だらけの手で制しながら、息を整えていた。

 

「そりゃ勘違いじゃよキングヘイロー。あれは本当にただの善意でやっていたサービスよ。サービス合戦は単純にウマ娘の飯を食べる姿が見たいというだけのな」

「……でも、少しでも稼がないといけない時代だったのでは?」

「――――孫や息子を失った者が多かったからな」

「あ……」

 

 少し悪いことを聞いてしまっただろうか。

 逡巡するキングヘイローだったが坂戸は気にした様子はない。

 

「まあ、別にどうこう言うことはないわい。あれはそういう時代だった。ただまあ、残されたもんは子供――せめて若い者たちだけは一杯飯を食わせたい、ただそれだけの想いでやっていたというだけ。……孫に小遣いをやりたがる老人がいるじゃろう? そういう感じだ」

「そういう感じですか」

「うむ」

 

 最後に雑とも言える適当なやり取りを挟む。

 別に気を使わないでいいと、雰囲気で語っていた。

 その後、話題は自然に打ち切られ、2人ともウイニングライブをのんびりと鑑賞する。

 ちらりと横顔を覗くが、もう話すことはないといった様子だった。

 

 坂戸といくらかやり取りをしたことで、何となく彼の人物像が描けてきた。

 

(……ご苦労なさったトレーナー、という感じのようですわね)

 

 チーム<レヴァティ>は健康管理に優れているという話があった。

 おそらく幼少期の苦労から、ウマ娘に対しても過保護気味になってしまうのだろう。

 のびのびとした育成方針を掲げているのも納得できる。

 本人は凡骨トレーナーと自身を卑下していたがキングヘイローはそんな彼に対し、信頼しても大丈夫そうだと考え始めていた。

 とはいえチーム選びは慎重にするようにとのお達しもある。

 

(リギルか、レヴァティか。ゆっくり答えを出すようにと言われてますし)

 

 すぐに判断するわけにもいかない。

 最善を尽くし、最高の決断をする。

 キングヘイローはそう自身を納得させ、今後に想いを馳せていた。

 

 

 

 

 気付くとライブも終了していたのか、人がまばらになり始めている。

 坂戸も分かっていたのか周囲をキョロキョロしながらマヤノトップガンを探しているようだった。

 

「ヘイローちゃーん! おじーちゃーん!」

 

 甘ったるい調子の声が響く。

 どうやらいつもの元気娘がやってきたようだった。

 踊ったばかりのせいか頬を紅潮させている。

 しかしレース後なのに疲れた様子はない。

 そんな少女に2人は穏やかに笑う。

 

「あら、賑やかな子が来ましたわね」

「ほっほっほ、まったくじゃわい」

「んー?」

 

 2人の様子に首を傾げるマヤノトップガン。

 人差し指を口に当てながら、少し悩んだあと、

 

「2人とも仲が良い感じ?」

「さて、分かりませんわね。普通な感じかしら」

「そうじゃのう、いつも通りという感じじゃろ」

「むむむ、打ち解けている気がするっ。マヤノも混ぜて、混ぜてっ!」

 

 歩き出す2人の間に割り込むようにマヤノが入ってくる。

 傍から見ればさぞ微笑ましい光景になっているだろう。

 いつものフレンドリーさと賑やかさが展開され、先ほどの湿っぽい空気は完全に霧散していた。

 どのみちあまり続けても気分がよくなる話題でもない。

 

 キングヘイローは先ほどのことを忘れるように声を挙げる。

 

「さて! マヤノ先輩も勝ちましたし、祝勝パーティでもやりましょうか」

「ほう、それはいいのう」

「いいの!? じゃあじゃあ、特上寿司が食べたいっ」

「なかなか良いチョイスね。では行きましょう」

「……儂の財布だということを忘れんでくれよ」

「足りなくなったら援助して差し上げますわよ」

 

 ヒラヒラとブラックカードを振って見せる。

 こういう祝い事なら使っても文句は言われないだろう。

 昔は昔、今は今。気にしすぎても仕方ない。

 努めて明るく振舞いながら彼女たちは歩き始めた。

 

 栗毛を翻しながら早く行こうと騒ぐマヤノトップガン。

 それを呆れた様子でキングヘイローが見つめる。

 

 さてこれから行こうか――と思った矢先、トレーナーの携帯がおもむろに鳴り響いた。

 着信音なのか古めかしい演歌が流れる。

 そのことに気付いた2人は立ち止まり、坂戸を見つめる。

 水を差された気分だったが人数が多いチーム<レヴァティ>だ。

 彼に連絡がくることも多いのは知っていたので、用事が済むまで待つことにした。

 

「坂戸だがどうした」

「――――」

「……そうか、うむ、うむ、分かった。じゃあ手続きは任せるぞ」

「――――」

 

 そう言って携帯を切る。

 何の連絡だったのか――そう思っていたところ。 

 

「例の新しい子の移籍が決まったようじゃ。今度レヴァティにやってくるぞ」

「それって私たちと一緒に、ということかしら」

「うむ。相手チームのトレーナーと話し合ってな。本人の希望もあったらしいから丁度良かったわい」

「え、それってマヤノたちと一緒に走れる子なのっ!?」

「癖はあるが、かなりの快速の持ち主と聞いておる。一緒に練習しても十分付いてこれるじゃろう」

「やったー! 楽しみだなぁー♪」

 

 マヤノトップガンが喜びながら跳ねるようにして戻ってくる。

 レヴァティのトレーニングは基本的にグループごとで行われる。

 以前の合同トレーニングが行われる場合もあるのだが、キングヘイローとマヤノトップガンだけで練習することが多かった。

 一緒に走るメンバーが増える。

 自分の周辺は更に賑やかになりそうだった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 マヤノトップガンのレースから一週間ほど経ったある日のこと。

 6月になり、梅雨特有のジメジメした湿気の多い日々が続いている。

 授業が終わり、現在は昼休み。

 しかしキングヘイローは教室で少しぐだっていた。

 

「雨は多いし、湿気が多いし、更に暑いしで都会は本当に面倒ですわね……」

 

 雨は好きじゃないうえに暑い日も苦手だった。

 しかも元は北海道暮らしだったため、余計にちょっとした気温の上昇でも気が滅入る。

 自慢のウマ耳もへたってしまった。

 

 机に突っ伏しながら顔だけ、外の方に向けて眺めてみる。

 一言でいえば曇天。厚い雲が府中の空を見事なまでに覆いつくしていた。

 さりとて雨が降るかと思えば、たまに降ったり止んだりの繰り返し。

 雨が長続きすれば多少は冷えるはずだが、中途半端に雨水が蒸発するため不快指数は上がりっぱなしだ。

 

 微妙に不快な日々に、心がストレスという炎でじっくり(あぶ)られているのを感じていたとき、横合いから声を掛けられた。

 

「キングヘイローは、梅雨が苦手みたいだねぇ~」

「むしろ好きな方が珍しいでしょう……セイウンスカイさん」

「まあ確かにここまで曇りだと嫌だねぇ。たまには青空が見たいよ」

 

 相変わらずゆるい口調で喋るのは近くの席にいたセイウンスカイ。

 ライバルではあるが、雑談くらいなら日常的にしている。

 

 会話相手であるセイウンスカイは、左の前髪には黄色い花のアクセサリーに、右のウマ耳には薄緑のカバーを付ける少々変わったファッションだ。

 その自慢の耳も連日の湿度が高い日々には敵わなくかったのか、困ったようにくの字に折れている。

 

 ウマ娘の頭部の耳は意外とデリケートだ。

 感情がストレートに反映されやすいのもそうだが、雨や砂が入るのを嫌う者も多い。

 キングヘイローも普段から青い耳カバーで、そういったゴミが入らないようにしていたのだが。

 

「こんだけ湿気が多いと蒸れて仕方ありませんわ。まったく許可が降りるなら秋まで、避暑地にでも暮らしていたいわね」

「ほんとだねぇ~」

 

 時折、耳カバーを外しながらパタパタと振る。

 湿気を逃すにしては雑だが、やらないよりはマシだ。

 昼食も既に取ったし、やることがない。

 いや、探せばあるのだが、それをする気力がガッツリ削られているという方が正しいか。

 

「いい加減、晴れて欲しい……って、あら?」

「――ん? お、おぉ~、ちょっと雲がなくなってくれるねえ」

 

 そんな願いが届いたのか、厚かったはずの雲の隙間から青空が見え隠れしていた。

 席を立って換気用に開け放たれた窓に近づくと、涼やかな風を感じる。

 まだ湿度の高さはあるものの外ならが気持ちよさそうにも見える。

 

(そういえばレヴァティの拠点であるビルまでの屋外通路って、屋根が付いてましたわね……ベンチも確かあったはず)

 

 普段通っている通路はレヴァティの関係者以外はあまり通らない。

 そして今は昼休みなので、ビルへ行くウマ娘は皆無のはず。

 緑が生い茂る木々の下を屋根付きの通路が潜るようにして建っているため、意外と穴場なのだ。

 席に戻ってカバンを探ると、暇つぶし用の本が一冊ある。

 

「どうしたのキングヘイロー」

「折角、晴れ間が見えてきたんですから、外で読書も良いと思いましてね」

「また雨が降っても知らないよ~?」

「ふふん♪ 絶好のポイントを知っているから平気ですわ。それでは」

 

 セイウンスカイとの会話を早々に打ち切ると、さっそくとばかりに動き出す。

 まだ午後の授業まで時間はたっぷりある。

 清涼な風を受けながらする読書はさぞ気持ちよいだろう。

 久しぶりに良い気分になれそうだと思いながら、彼女は目的の場所へと歩き出した。

 

 

 

「なるほど、そういうこともあったのね」

 

 雲の合間から日差しが降り注ぎ始めた昼の一時。

 キングヘイローは気分よく読書に勤しんでいた。

 木々がそよ風に揺らされ、葉音が囁くように騒ぐ場所はとても気持ち良い。

 

 本は図書館から借りたトレセン学園の近代史。

 過去にあった様々な出来事を取りまとめており、非常に興味深い内容だった。

 授業までの時間を気にしつつも次々とページをめくる。

 中にはトレセン学園に限らず、過去に活躍したウマ娘などにも触れていた。

 

 そうして集中して読んでいたが、一度(しおり)を挟んで休憩する。

 授業で勉強したこともあって多少だが目に疲れを感じたからだ。

 そのまま何気なしに周囲を見渡す。あたりに人気はない。

 やはり自分の考えていた通り、良い穴場だと考える。

 良い気分転換が出来ていると微笑んでいた。

 

「自然の中で読書……とても優雅で、有意義な時間の使い方ですわね」

 

 一度目を閉じ、目を休ませる。

 新緑の匂いが漂っていて、とても安心できる空間だ。

 そして息を吐いて目を空けると読書の続きをしようと再度、本を開いた――のだが。

 

「――っ! ――――っ」

「? なにかしら?」

 

 何処かで悲鳴みたいなものが聞こえた気がした。

 しかし周囲を見ても誰もいない。

 空耳かと思い、視線を落とそうとしたところ、

 

「勘弁してくださいっすよぉー!」

「はっはぁ! それを決めんのは俺だぁ!」

「……何をやっているのやら」

 

 どうやら少女が二人――遠めなのだが小柄そうなウマ娘たちが走っている。

 かけっこでもしているのだろうか。

 「子供ね」と呟く。

 

 自分が関わることはない。

 適当に無視して本を読み進めるつもりだった。

 しかし、

 

「うちは用事があるんで帰ってくださいってばぁー!」

「おめー速ぇじゃねえか、ちょっと競争に付き合えよ!」

 

 ピクンと耳が反応する。

 静寂の中で他者が奏でる不協和音。眉間にシワが寄り始める。

 

「ひぃ……ひぃ……もうギブっす! 無理っす!」

「限界超えろー! そんなんじゃオリンピックに行けないぞー!」

「トレーナーでもないウマ娘に言われても知らないっすよー!」

 

 ピク、ピクン。

 幼い子特有の甲高い声が響き渡る。普段ならまだ許せる範囲。

 マヤノトップガンのような友人なら別にいい。

 しかし特に親しいわけでもない人物が、喚き散らしている場合を許せるほど寛容でもない。

 ただ突風みたいなものだし、もう少し待てば他所へ行ってくれるかもしれないと我慢する。

 

「マジでリームーっす! シースーっす!」

「無理でも寿司でもねえぜ! オラオラ、ダッシュしやがれぇ!!」

「誰か助けてくれーっす!」

「ヒャッハー! 誰も助けなんてこないぜ!」

「ぎゃああああ、追っかけてこないでー!」

 

 ブチン、と何処か切れる音がした。

 堪忍袋の緒が切れるという表現があるなら、まさにそれがキレた瞬間だろう。

 近くにあった円形の道をハムスターよろしく延々を走って騒がれたのだから、キングヘイローにとっては堪らない。

 無言で立ち上がる。

 

 元々ストレス解消も兼ねて読書していたのに、散々邪魔されたのだ。

 最近の不快な日々も重なっていたせいかキングヘイローはかなり気が立っていた。

 当の騒音をまき散らす、二人に向かって叫ぶ。

 

「そこの騒音製造機!!!」

「ひゃあ、ごめんなさいっす!」

「おわ!? いきなり大声出すなよっ」

 

 騒ぎの原因である首謀者を睨みつける。

 

 一人は前髪で両目を隠した少女――青いゴーグルを付けていてかなり小柄だった。キングヘイローと同じ茶褐色の鹿毛。ロングヘアーで綺麗に切り揃えられた姫カット。体格はマヤノトップガンより更に小さい。

 追いかけられていたのか、涙目で頭を押さえている

 

 もう一人もなかなか小柄だ。そちらはマヤノトップガンと同じか少し上くらいだろうか。

 黒髪で同じくロングヘアーの少女。ただ髪は乱暴に後ろで結んでおり、(ほうき)みたくなっていた。

 見るからに小生意気そうな雰囲気を放っている。 

 一度はキングヘイローの怒声に引いていたようだが、落ち着いたのか反論してくる。

 

「どこのクラスか知らねーけど――」

「黙りなさい」

 

 反論などいらぬとばかりにシャットアウトする。

 この手合いは会話させると面倒だ。

 さっさと終わらせた方がいい。

 

「だから――」

「反論は、ハイかナアムかハゥダかのいずれかだけ受け付けるわ」

「それ全部ハイじゃねーか!」

「あら、アラビア語や台湾華語も知っているのね。まあそれはどうでもいいのだけど、私は静かに読書していたいから、さっさと帰ってくれないかしら」

「てめえなあ」

「――――」

「――っ!」

 

 無言の睨み合いが続く。

 後ろでは状況が見えない目隠れの少女がオロオロと二人を交互に見ている。

 そんな膠着した状態がずっと続くかと思われたが、最初に折れたのは黒髪のウマ娘の方だった。

 ちっ、と舌打ちをすると目を逸らす。

 

「けっ、興が冷めちまったわ。あばよ」

 

 つまらないとばかりに手を振りながら、片手はポケットに突っ込んで去っていく。

 そして視界から消えてなくなるまで睨みつけた後、大きく溜息をついた。

 

「はぁっ……とんだ昼休みでしたわ」

 

 揉め事は好きじゃないが、つい怒ってしまった。

 しかし校内であれほど騒がしくされたら注意の一つもしないといけないだろう。

 人気がないとはいえ、普通の人間だって通行する道だ。

 疾走したウマ娘と衝突すれば、両者ともにタダでは済まない。

 

 間違ったことを言ったつもりはなかった。

 とはいえ、完全に読書をする空気も消え去っている。

 もう教室に戻った方がいいだろう。  

 

 そう考えながらキングヘイローは本を片手に去ろうとしたのだが、くいっと袖を引っ張られる。

 

「あ、あの!」

「……なに?」

「あ、ありがとうございましたっす! お姉さん凄いっすね」

 

 頭を下げてお礼を言う少女。

 ただキングヘイローは難しい顔をしながら、相手にも注意することにする。

 散々大騒ぎしていた片方は彼女なのだから。

 

「別に。それより貴女も貴女よ」

「え、何がっすか?」

「その様子だとそこら中を走り回っていたんでしょう? 他人とぶつかったらどうするのよ。相手にも迷惑が掛かってしまうわよ」

「そ、それは本当に申し訳ないっす……ただ、あの子、笑顔で追っかけてくるし、めっちゃ怖いからどうしても逃げたくて」

 

 オドオドとした様子だったが、本当に申し訳なさそうに謝る少女。

 小さいながら礼儀はちゃんとしているようだった。

 さすがにマヤノよりも更に小さい女の子を苛めるような言動を叩くのも気が引いてしまう。

 仕方なく軽く息を吐いて、アドバイスをすることにした。

 

「いいこと? 何で追われてたか知らないけど、ああいうのは調子に乗ると再現なく鼻が伸びていくものよ。今度出会ったら、適当に蹴っぽってでもして、天狗の鼻を折ってやりなさいな。反撃する姿勢を見せれば、あの手の輩なんてすぐ逃げていくでしょう」

 

 昔、キングヘイローにやたらとちょっかいを掛けてきた男子の撃退方法を教える。

 もちろん本気で蹴ると不味いので手加減は必要だが、痛い目を見ないと分からない子供というのは何処にでもいる。

 

 生意気そうな少女だったが、似たようなタイプだろうと考えていた。

 しかしアドバイスをした相手は驚いたように両手をぶんぶんと振る。

 

「え、えええ、それは無理っすよ! あれゴールドのやべーやつっすから、むしろ関わりたくないレベルなんすよ!」

「ゴールドの…………なに、その頭が悪そうな名称」

 

 オーバーアクションを取りながら否定する青ゴーグルの少女。

 見た目は切り揃えた前髪にゴーグルが掛かっているという不思議な出で立ち。

 内気そうにも見える風貌だが、口は達者なようだった。

 

 そしてゴールドのヤバい奴とは一体何なのか。

 校内の噂についてはそこまで詳しくないので、聞いてみると相手はポツポツと話し始めた。

 

「……知らないんすか? トレセン学園で、ゴールドって名前が付く連中にとんでもないやつが多いんすよ。例えばさっきのはステイゴールド――校内でやりたい放題の小さな暴君っす。その場の思い付きで、いろんな奴に絡んでいく札付きのワルっすよ」

「まあ、小さいけど確かに面倒そうな子ね。……まさか、それ以外にもいるの?」

 

 かなり面倒そうなウマ娘だったが、そんなのが他にもいるとは考えたくない。

 自分の周辺のクラスにはそんな問題児はいなかったはずだと思い返す。

 しかしキングヘイローの予想を裏切るかのように、目の前の少女が身振り手振りを交えながら話す。

 

「それがいるんすよ! 次にゴールドシチー。トレーナーの命令ガン無視で、群れるのが嫌いな孤高の狼。見てくれは尾花栗毛っていう金髪っぽい髪色の超美人さんなんすけど、言い寄ってきたやつを蹴り一発でノックアウトしまくってるとの噂もあるっす。しかも必ずといっていいほど、遅刻するやつでついたあだ名が登校時間にちなんで『午前十時の女』!。朝帰りかよってやつっすよ」

「それ卒業できる授業日数は取得できているのかしら……?」

 

 トレセン学園も一端の教育機関なので授業がある。

 当然、授業を受けなければいけない。

 

 高校課程と大学課程が存在しており、希望者はエスカレーター式で大学課程へと進むことができる。

 普通のウマ娘なら大学課程を経たあと卒業して何らかの仕事に就くのだが、サボっていては不可能だろう。

 ただしレースの遠征などは公休扱いで、通常の学校に比べれば必要な授業日数は緩い。

 ゴールドシチーという少女がどれだけサボってきたかは分からないが、キングヘイローの印象としてはギリギリだろうといったところだった。

 

 目の前の青ゴーグルの少女は、なぜかヒソヒソ話をするかのように小声になる。

 いちいちアクションを取るのが好きな子なのかもしれない。

 相手の身長が低いので、少し屈みながら聞く体勢を作る。

 

「それが奥さん。授業日数や単位はやばかったらしいんすけど、不思議な力が働いてなんとか大丈夫だったとか。それも含めてやべーやつっす。そして最後にゴールドシップ。個人的にはコイツが一番危険なやろーっすよ!」

「奥さんって……いえ、それより、そのゴールドシップというウマ娘は何がやばいの?」

 

 今までチームやレースのことばかり気にしていた。

 しかし身近な危険があることも考えなくてはならない。

 興味が沸いたというより、知っておいた方がいいと考えるようになっていた。

 少女はバットでも振るような動作をする。

 

「そのゴールドシップというウマ娘、かなり奇行が目立つらしくてトレーナーの指示ガン無視は当たり前。なぜかルービックキューブを持って校内を徘徊するわ、特定の人物に襲い掛かるわ、あげくの果てに河原の土手でハンマーを振り回してたとかいう超危険人物っす。絶対、関わらない方が身の為っす!」

「そ、それは確かに危ないわね……」

 

 ルービックキューブは別にどうでもいいが、ハンマーを持っているのはさすがにおかしい。

 仮に校内で振り回していたら間違いなく刑事事件ものだ。

 というより屋外で振り回しても良いものではない。

 

 そんな人物が同じ学園に通っているかと思うと少し怖くなる。

 しかし何か理由があるのかもしれない。

 誤解である可能性もあるし、そうあって欲しいとの思いから、もうちょっと聞いてみることにした。

 

「……ちなみにハンマーを振り回して何かしてたのかしら」

「詳細は不明っすけど、去ったあと土手にはハンマーで埋め込まれたらしい丸太が何本も発見されたとか。後になって『土手に丸太を埋め込まないでください』という意味不明な看板が立ったらしいっす」

「よく分かったわ。確かにヤバい奴ね」

「はいっす、ちょーヤバい奴っす」

 

 真顔のまま速攻で断言する。行動の意味が理解できない。

 キングヘイローのなかで、危険人物トップⅢと題して3名の名前をきっちり記憶しておく。

 

 なぜそんなことをするのか理由が窺いしれないが、奇行に走るような人物の脳内を理解しろなどどだい無理な話だ。

 1+1=2という風にキングヘイローは理路整然としないと気が収まらない。

 会話してもおそらく分かり合うことは難しいだろう。

 ただ変わり者が多い学園なのかもしれないが、命の危険があるのは洒落(しゃれ)にならない。

 

(マヤノ先輩にも、それとなく教えておいてあげましょう)

 

 静かにそう決意する。

 好奇心が強い彼女だから危ないところに行ってしまう可能性もある。

 他にもそういう噂があるウマ娘がいるのだろうか。

 内心で気になってきたところ――

 

 キーンコーンカーンコーン!

 

 鳴り響くのは昼休み終了まで5分前だと告げる鐘の音。

 顔を上げて校舎の方を見る。

 十分クラスまで間に合う距離だが、急がないといけないだろう。

 

「授業が始まってしまうわね」

「急がないと不味いっすね。それじゃ、うちはこれにて失礼しまっす!」

「あんまり走らないように!」

「分かってるっすよお姉さん!」

 

 そんなことを言いながらあっという間に去っていく少女。

 結局、あの少女は何だったのか分からずじまいだったが。

 

「まあ今気にすることでもないわね。さっさと戻りましょう」

 

 キングヘイローも小走りに校舎へと戻っていく。

 今日の夕方には新しいウマ娘がやってくると坂戸から連絡を受けていた。

 面倒事には注意しよう――そんなことを考えながら午後の授業を受けるために戻っていった。

 




戦時あたりの話は非常にデリケートな話題なのでカットしようか迷いましたが、後々の展開に少し関わるので入れました

名前についてはアニメウマ娘のステイゴールドの架空名であるキンイロリョテイもなかなか味のある名前なんですが
架空名と実名が混ざると把握するのが厳しくなるので、基本的に実名オンリーでいく予定です
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