蛙が鳴いたら雪が降る   作:星森アキラ

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13.暴走

ポロポロと流す涙をルッスーリアがハンカチで拭ってくれた。

ありがとうって言うとニコッと優しい笑顔で返してくれるからまた涙が出てきた。

 

「で?ノエルの怖いってのは人と違うと思ったらからってだけかい?

他にも理由がありそうに思えるんだけど」

 

マーモンがヒョイっとベルの手から離れノエルの近くまできてからそう問いかけた。

 

「えっと…ボクは…フランとあの家に住む前までの記憶がサッパリないの…

けど、ママとパパがいたっていうのはなぜかハッキリわかる!

だから…この炎のせいで…」

 

ズキっと頭が痛む感覚がする。

思い出せそうで思い出せない…あの忌々しい感覚

 

「嘘だね。本当は少し心当たりがあるんじゃないのかい?」

 

顔に出てるよと鼻をぺちんと叩かれた。

本当はほんの少し…ほんの少しだけ嘘か本当かわからない記憶がある。

否、嘘だって信じたくて忘れようとしていただけなんだと思う

この赤ん坊には隠し事がなにも出来ないな…なんて思ってしまった。

 

「…ボクが微かにある記憶だとね…ママとパパが床に倒れてるの…周りはぐちゃぐちゃで壊れてたりして…

ボクはいっぱい泣いて…それだけ…」

 

「自分の炎で殺したとでも思っているのかい?」

 

頷きたくなかった。

唇を噛んで必死に堪えるとマーモンの方から折れてくれた。

 

「てかさ、指輪使って炎が灯せるかどうかやってみたほうが早いんじゃね?

ボスみてーに他の属性の炎が混じってるなら灯しやすいんじゃね?」

 

「…まぁ、やらないこともないか。部下に配ったランクが低い指輪だったらまだ残っているだろう」

 

「そういうと思って!ちゃーんと持ってきてあるわよ!」

 

ぱかっと開けた箱の中には宝石がはめ込まれてる指輪が7種類ありどれも色が違ってとても綺麗だった。

 

「あっ、この色ボクの炎と一緒の色だ!」

 

「紫…そうね、その色も薄っすらと混じっていたわね。付けてみる?」

 

うん!と大きく頷いて渡された指輪をはめてみる。

大人用だから少しぶかっとしたけど綺麗だから気にしないでおく

 

「その指輪に目一杯力を込めてみろぉ」

 

「力…」

 

グッと力を込めても特になにも変化が見られずダメだーと大きく息を吐いた。

 

「…あんまりいいたかねぇがぁ…ボンゴレ風に言えばお前があの時なんで炎を灯せたか考えてみろぉ!」

 

あの時…ベルにナイフを投げられた時…

ボクは死にたくないとかってわけじゃなかった。

ただ、フランを傷つけて欲しくなった。

 

「…フランを…守りたかった。傷つけないで欲しくなった!」

 

力強く願うとボッと紫色の炎が指輪に灯った。

小さいがしっかりとした炎だ。

 

「まぁ!凄いわ!ちゃんと灯せたじゃない!

色は全然違うけど感覚は掴めたんじゃないかしら?」

 

そういってルッスーリアは頭を撫でてくれた。

褒めてくれることが嬉しくてまた口元が緩んでしまった。

スッと指輪を外すと炎が消えたのでそのまま元の位置に戻す。

念の為と他の指輪もはめて試してみたけど炎が灯ったのは雲のリングと呼ばれる紫色の指輪ただ一つだけだった。

 

「へぇ、雲属性なんだ。あの時見た炎とは色が逆になったぐらい違うじゃん

これじゃあダメなんじゃねーのボースっ」

 

「…フンッ」

 

カチリという音と共に目の前には銃口が突きつけられた。

ノエルにではなくルッスーリアにだ。

 

「あららら!?ちょちょっと待ってボスゥ!まだこの子は小さいんだしもう少し時間をあげてもいいんじゃないかしら!!」

 

両手を挙げて冷や汗をかきながら懇願していたがそんな台詞耳にも入っていないようでボスはノエルを睨みつけていた。

 

「おいガキ!嫌ってるから怖がってるとかそんなんじゃ逆に炎に取り込まれて死んじまうぞ

本気で守りたきゃ、常に死ぬ気で挑む気持ちをもて!

じゃなきゃ目の前でこいつの首が飛ぶぞ」

 

ドクンドクンと鼓動が早まる。

ダメだとか嫌だとかじゃ絶対にやめてくれない…この人は本気なんだ。

本気で殺そうとしているんだ。

 

「時間だ。死ね」

 

「っ!?だ、ダメぇ!!!」

 

バンッ!!と撃たれた銃はルッスーリアのこめかみを擦り止まった。

ピキピキと音を鳴らし飛ばされたであろう弾が無残にも粉状になり消えていった。

 

ピクリとボスの眉が動き拳銃をホルダーにしまいノエルに近づいてきた。

 

「フンッドカスが。そのやり方を忘れるな。」

 

ガシッと頭を強く撫でそのまま部屋から出て行った。

…ん?撫でられた?

 

「ノ…ノエルちゃ…怖かったわぁ!」

 

ノエルは自身の手を白い炎を灯したのだ。

やり方を忘れるなと言われてもルッスーリアが傷つくのが怖くて必死になっていただけでなにもコツなんて掴んでいない。

それにまだ鼓動はどんどん早くなっていくばかり…それに…

 

ノエルの手にはまだ炎が灯ったままだ。

 

ブンブン手を振っても擦っても消えようとしない

はぁはぁと今度は息まで上がって苦しくなっていく…

 

「やるじゃんボス喜んでたぜ?…おいチビどうした?」

 

今度はベルが近付いてくる。

ダメ、今は来ないでーー

 

「…うぅっ…消えない」

 

「は?」

 

「これの消し方わからないの!!」

 

ブワッとノエルの周りを氷が包み棘がベルの首元まで伸び後一歩のところで刺す寸前で止まった。

ゾクっとノエルは背筋が凍る感覚に怯え息は苦しく、もう叫ぶことしか出来なかった。

 

「いやああああ!!!!」

 

バンッとベランダが開き氷が道を作る。

そうだこの氷の上を歩いていけばみんなから離れられる。

 

誰も傷つかなくて済むんだ。

 

ダッと誰の呼び掛けにも振り返らずに走り去り、ノエルが走った後の道はどんどん消えていった。

 

「ノエルちゃん待って!レヴィはスクアーロを呼んできてちょうだい!」

 

「ししっ!ルッスーリアは晴れクジャクの準備な!王子に喧嘩売るなんて上等じゃん」

 

ベルがナイフを構え追いかけようとしたその時、また扉がバンッと開かれた。

 

「すみません!緊急事態で失礼します!!レヴィ隊長は…!?もう屋敷内に敵が侵入したんですか!?」

 

「敵…?敵とはどういうことだ」

 

「失礼しました!ただ今森林の警備隊がやられこちらに反組織の何者かが接近中とのこと!

恐らくこないだ滅ぼしたマフィアの生き残りかと!」

 

「そんな…!?ノエルちゃんはその方角に向かったわよね!?」

 

「オレその敵もーらい!ついでにクソチビも捕まえにいくからさ、後処理は任せたぜ」

 

それだけを伝えヒョイとベランダから降りノエルの氷の跡をベルは追っていった。

ルッスーリアはベルが血を流してノエルを殺さないかが心配で顔を青ざめていたがそれよりもボスにすぐ知らせなくてはと足早に部屋を後にした。




指輪は外すだけで勝手に炎が消えたけど腕は外すことができないから消し方わかんない!って話です。
ツイッターにて場面ネタバレイラストを投稿しているのでわかる方はわかるかも…?
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