「ゔお゛ぉおい…なんだ…これは…」
スクアーロ達がレヴィの部下達から情報を聞きつけ追いついた時にはもう既に辺りは血の海と化していた。
そこに血でベトベトになったベルがノエルを抱えてスクアーロの元にやってきた。
「やだベルちゃん!血だらけじゃない!?」
「残念ながらオレの血は一滴もねーよ。それに…ぜーんぶこのチビがやった」
「なっ!?こいつ一人でこの人数を…か。」
「追いかけてた時に聞こえた叫び声はノエルちゃんのだとは思っていたんだけど…あの割れる音もノエルちゃんから出た氷の音だったのね!」
全員目と目を合わせニッと笑い合う…
普通ならズンと重い空気が漂うところだがこの人達は違うのだ。
「しししっ!こいつ暗殺にはもってこいの能力じゃね?」
「それもそうね!せっかくこっち側に来たんですものスクアーロが鍛えてあげればすぐ強くなるんじゃないのぉ?」
「う゛お゛ぉぉい!?俺は絶対やらねーぞ!!
やるなら懐かれてるルッスーリアがやれぇ!!」
「あら!私は女の子をお世話はしてみたかったけど特訓になると嫌よー!肉体美はオトコの体でなくっちゃツマンナイですものー!」
「うっせぇ!!お前の美学とかは知らん!!」
ギャーギャーと言い合いをしている二人の声を聞いてからううっとノエルの唸り声が聞こえた。
ノエルはぷらんと垂らしていた腕を一生懸命に伸ばしベルの服を掴もうとするがそれは叶わずにぽいとルッスーリアまで投げられた。
慌ててルッスーリアは受け止めるがその顔を見てゾッとした。
「ちょっとノエルちゃん!?顔真っ青じゃない!!」
「こいつ吐いたりするまで弱ってたから後の治療は任せた。」
「んまぁ!!それを早く行って頂戴!!」
ボゥッと勢いよくルッスーリアの右手の中指に嵌められてあるリングから黄色い炎が灯った。
そのリングから晴れクジャク(パヴォーネ・デル・セレーノ)と呼ばれるクジャクに近しい姿をした動物が飛び出しノエルに光を浴びせた。
みるみるうちに顔色が良くなっていく姿にホッとしたのか分からないがベルがそそくさとその場を去ろうとした。
「んじゃっオレ先に戻ってるから」
さっさと血を洗い流したいなどともっともらしいことを言うのでスクアーロは鼻で返事をし早く行けと促した。
が、忘れてたと言わんばかりにルッスーリアが声をあげたので一度立ち止まる。
「あ、そうそうベルちゃーん!報告書と一緒に後でボスのところにまた集合だって!」
「ゲッ…オレが書くのかよ…」
「当たり前でしょー!ベルちゃんしかその時のこと見てないんだから的確にお願いね」
へいへいと言いながらベルは部屋に戻っていった。
クジャクが光を浴びせるのをやめルッスーリアの腕をちょんちょんとつつくとありがとうくーちゃんと言いながらリングの中にもどした。
すると体力が元に戻ったのかノエルも薄っすらと目を開けた。
まだ焦点が合ってないからか虚ろな目をしているがきっと意識はあるのだろうと思い声をかける。
「ノエルちゃん!聞こえるー?聞こえるなら私の手握って欲しいわ」
そっと手のノエルの左手の近くに手を持っていくが一向に握り返す素ぶりは見せずただぼーっと一点を見つめるだけだった。
「変ね…体力が減っているだけじゃないのかしら…」
「お゛ぉい!!バカかお前はぁ!!そいつは殺しとは程遠い世界で生きてきたただの一般人として生きてきたんだぁ!!
こんな血溜まりを見て正気になってるほうがおかしいだろぉ!!」
「あら!それもそうね!ベルちゃんが入隊してきた歳と同じくらいだったから慣れてると勝手に勘違いしちゃってたわ!」
ここは血の匂いがキツすぎる。
そう感じたのでノエルを慌てて抱っこし早々に医務室に運ぶことになり急ぎ足でその場を後にした。
本来書いて生きたい長さにやっと収められました…
暗殺部隊なら慣れてるでしょうが自分の血ぐらいしか見たことがないはずのノエルにとってこの血溜まりは恐怖そのものでしょうね。