何日か前に夢を見た。
フランが誰かに連れていかれて離れ離れになるというおかしな夢だ。
この夢を見たのは…確かフランが未来がわかるようになったかもしれないなどと変なことを言っていた為、いつものマジックで景色を見せてもらいながら詳しく話を聞いた日なのでよく覚えている。
多分、長時間見せてもらってたからかフランも私も気分が悪くなりその日は丸一日寝込んでしまった。
その時に見たのがあの奇妙な夢…話を聞いたばかりだから見たんだって割り切ってたけど妙にリアルだったのでよく覚えてる。
そんでもって今も変な夢を見てる。
お城のようなお部屋に黒い服を着た人がいて…それで壊されないようにとか話してる。
そしたら黒髪の男の人が出てきて喧嘩し始めて…しかも殴り合いで血も出てる。
やだ、こんな夢早く覚めて…これ以上痛いのは見たくない。
黒髪の男の人がこっちにくる。
やだ怖い…助けて…助けて!
「…けてっ!!フラン…!?イッ!!」
慌てて飛び起きたせいで何かに思いっきりぶつかった。
めちゃくちゃ痛い…目頭が熱くなってきた。
「うぅ…痛いー…なにするんだノエルー!うなされてるから何事かと思って頬っぺた引っ張っただけじゃないかー」
「そんなこと言ったってぇ…変な夢を見てたんだもん…てか重いから退いて」
あぁと思い出したかのように馬乗りしてたフランが横にずれた。
悪夢を見たのはこいつの重みのせいじゃないのか…とか思ったりしたけどフランのことだ。
また同じようにされたくないため黙っておくことにする。
「夢はわかるよー。うなされてたって知ってるしー…とりあえずどんな夢だったー?」
ぶつかったであろう頭を痛い痛いと抑えながらフランは尋ねてきた。
遠回しに謝れって言ってるみたいなので絶対謝ってやんないとか考えながら夢の内容を話した。
わかる部分を正確に話すと前に見せてもらったようにマジックで形を作ってくれる。
前とは違ってお人形みたいなのでだしてくれたので気分は悪くならなかった。
「その時ミーはそこにいたー?」
「ううん、この夢ではいなかった。なんか黒い服ばっかで怖かったし…殺すとか聞こえてきたから本当…怖かった…。」
ふーんと興味無さげな返事をしつつもちゃんと手を握ってくれる辺り心配はしてくれてるようだ。
「ま、気にしなくてもいいんじゃない?ミーが前見た夢みたいにどこかに行ったとしてもノエルならすぐ見つけれるしー」
「え…?どういうこと…?」
ギュッ…と握る手が強くなる。
なんでわからないんだって呆れた顔をしながらはぁと溜息をつかれた。
「ノエルはいつもミーを見つけるし、どれだけ離れても絶対見つけて連れ戻すからグレようにもグレれないしー」
「そ、それは仕方ないでしょ!フランの見せるものはボクにとって綺麗に見えすぎるの!それにフランのマジックだって分かれば元通りに景色はぼやけだすし…」
んー…と握る手と逆の手を顎に当て考えるポーズを取りながらフランは立ち上がった。
ので私も一緒に立ち上がることにする。
部屋から出てとりあえず朝ごはんを食べに行くようだ。
部屋から出るとちょうどおばあちゃんがいたのでおはようと声をかける。
フランはボーッとまだ考え事をしているようだ。
椅子に座っても手を離さないのが何よりも証拠だ。
「おやおや、今日はどうしたんだい?」
「なんかフランが考え事をして止まらないみたい。あ、後で洗い物一緒にするから見ててほしい!」
「あらま、お皿はまだ危ないからね…夜スープでもしてその時の木の皿なら洗ってもらおうかね。」
おばあちゃんはなによりも私のことを傷付けないように気を付けてくれる。
それもそのはず、来たばかりの時おいてもらうのだからできることは手伝わなきゃ精神でなんでもやろうとしてお皿を思いっきり落としてそれを手で拾っていつのまにか血塗れになってたことがあるのだ。
ある意味トラウマなのだろう。
私は感覚が鈍いため痛みもなにも感じられなかった為ポタッと落ちた血を見るまで気付かなかったのだ。
それからは力加減がわかるまで子供は子供らしく外で目一杯遊んでたくさんそこで怪我をしなさいと怒られた。
お皿を割ったことに謝ったがそこは気にしなくていいからフランが悪さをしないよう見張っててちょうだい。それがノエルに出来る一番いいお手伝いだよ。と言ってくれた。
それからは出来るだけお手伝い…というよりリハビリ感覚で色々とするようになった。
といっても包丁や火元などには近づくことは禁止されてる。
はい、と軽く焼いてもらった卵とベーコンが置かれる。
パンを取りたいがフランの握っている手が邪魔で取れない…
「フランーご飯食べるよー」
おーいと顔の目の前に手をブンブン振る。
するとハッ!と気付いたかのようにフランが口を開いた。
「ミーずっと考えてたんだけどねーなんで五感が鈍ったーとかいってるのにミーが魅せるものは綺麗に見えるのか…」
「ん?どういうこと?フランが見えてる景色がボクに見えてるんじゃないの…?」
「ミーもそう思ってるんだけどねー。他の人に聞くとそうでもない人もいるみたいでー…まぁ、考えるのもめんどくさいからいっか。いただきまーす。」
「あ!私もいただきます!」
パッと離された手が少し震えたので慌てて手を合わせて私もいただきますをする。
あれ…震えた…?なんでだろう…嫌な予感がする…?
よくわからないけどとりあえずごはんを食べようと目の前のパンに手を出す。
すると横からスッと手が出てきて取ろうとしたのを取られる。
「あー!私のパンー!」
「違うよーこれはミーがとったからミーのパンなんですー!」
いつもの光景と言い争いにさっきの嫌な予感なんてすぐ忘れてしまった。
こんな日々がずっと続いたらいいのにーなんてわがままだったのかもしれないね。
あの夢は私の予知夢だったと知るまで後もう少し-
幻覚って単語が出てくるまでマジックorイリュージョンと変換して書いてます。
後、常にノエルには見えてませんが二人とも幻覚の被り物をしています。
村の人はリンゴのフラン、オレンジのノエルのようにして覚えてます。