蛙が鳴いたら雪が降る   作:星森アキラ

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7.幻覚という言葉を知りました

村のみんなの目を盗みこっそり出てきたのはいいものの暑さのせいもあり体力がどんどん奪われていった。

はぁはぁと息を切らすが休んでる暇はない…本当に夢の通りならあの人達より早く着かないと間に合わず連れていかれてしまう…。

 

「そんなこと…させないんだから!…なにっ!?」

 

意気込むと同時にボッと白い炎が手に灯った。

その勢いに驚き思わず尻餅をついてしまった。

 

この前と違い紫色の濃度が高くより強く揺れている…。

しかし不思議と前と違い何かに取り込まれそうな感じもせず怖くもなかった。

スッと両手を合わせ指を絡ませて握り頭にくっつけ願い事をする時の格好をした。

この炎なら叶えられるかもしれない…。

 

「お願い…フランに会わせて…」

 

グッと力を込めてから手を離し一度顔を手でパンッ!と叩く

よしっ!と気持ちを切り替え立ち上がり目を開ける。

 

「あ…れ?なんで…見えるの?」

 

辺り一面ボヤけて見えにくかったのに今や遠くの景色まではっきりと見える。

音も小鳥のさえずりがクリアに聞き取れる程戻っている…。

いや…今は気味悪がってる暇は無い。

 

早く追いつかなきゃいけないんだから!

 

グッと足を踏み込むといつも通りの力のはずなのに先程とは比べものにならないぐらい速く走れた。

それもそのはず、視界がクリアになった分足を頭の処理さえ追いつければなにも躊躇せずに走り込めるからだ。

木々を掻き分け上流までついた…と思った。

 

「な…もう…いないの…?」

 

滝が水面に打ち付ける音が凄いこの場所は五感の鈍っていたノエルにとってあまり好きでは無い場所でいつも震えていた。

滝の音以外なにも聞こえなくなり水で感覚が鈍るからだ。

いつもはフランがいるからまだしも今は一人で周りに誰もいない…ふと滝を見上げてみた。

さっきまで走ってきた道を目で追っていきあることにノエルは気付いた。

 

「フランの行ってた川の上流って…もしかしてこれよりも上にあるの…?」

 

グッと首を真上にあげて確認する周りから周り込もうかとも思ったが坂道など何処にも見えず、この崖を登るほかないと判断するのにそう時間はかからなかった。

でもどうやって登ろうか?

手を出っ張っているところに置いていき一つ一つ登って行くぐらいしか思いつかない…。

やってみるしかない!と試しに数段飛び上がってみる…が3つ目の出っ張りにしがみついた瞬間その岩がポキリと外れそのまま地面へと落下した。

 

その瞬間炎が激しく地面の方へと伸びるように燃えていった。

「きゃあっ!!」と声を上げたが痛みはなにも感じない…。

前にも感じた感触に恐る恐る足元をみる…氷だ。

フランを探しに行った時にできた氷の道と同じものだ…冷たくないし滑らない変な氷…。

しかも今回はノエルを包み込むような形になっている。

 

「…またフランのところまで連れて行ってくれるの…?

お願い、この滝の上まで私を持ち上げて!!」

 

途端にぐんっと氷が空高く伸びていき一気に滝の上までやってきた。

が、その勢いが私の気持ちと比例して凄まじくノエルはうわあぁぁ!!と変な声を出さずにはいられなかった。

ぽいっとその氷から投げ出されそのまま川の中へと墜落する。

バシャンと音がなり水の中に落ちた。

驚きのあまりいつのまにか炎が消えていたからだ。

炎が消えると同時に氷の塊も消えていた。

 

ゲホッゲホッと飲み込んでしまった水を吐き出し顔を手で拭う…が視界がまたボヤけていた。

何度も拭ってみるが治るどころか酷くなったので元の視力に戻ったのかとすぐに察した。

…にきてもさっきから誰かいるような気がする…。

話し声もうっすらと聞こえるが川の音でかき消されて聞こえない…。

誰か近付いてくるが怖くて上を向けない。

 

パンッとほっぺを叩かれ上を向けさせる。

その瞬間ブワッと目から涙が溢れた。

 

「ほんっとノエルはバカだって今みたハッキリ分かったよー。」

 

「フラン…っ!よかったぁー!!会いたかったよー!!」

 

フランの手の上に自分の手を重ね本物だということがわかり安心したのか、うわぁぁんと声を上げながらいつのまにかポロポロと涙を流していた。

 

「はっ!そうっ、いえば…フランのこど、赤ちゃんが探してだ!!連れてかれると思っでボクは!!」

 

「あーとりあえず落ち着いてー…どーどーっ。赤ちゃんがなにか知らないけどなーんか変な人に命を狙われてるんだよねー…」

 

クイッとまた顔を向けさせられるとボヤけていたが数名の影がハッキリと見えた。

片方は色とりどりだったからわかりやすかったけど片方は真っ黒で見分けがつきにくかったが四人ほど影が見えた。

グッとフランの手を借りて立ち上がる。

そのまま離さないように心配をかけた罰も込めて力一杯手を握ってやった。

イッ!て声が漏れてたけど握り返してくれないから知らんぷりしておくことにした。

 

「う゛おぉい!誰だぁそいつはぁ!?」

 

やっと耳に入った言葉は怒鳴りつけるような声でその声の主に近づいてようやく薄っすらとだが顔がわかった。

この人、前にフランに魅せてもらった人達にどこか似ているような気がする…!

 

「今この妖精たちはなぜか怒っているので早急に答えたほうがいいよー」

 

「ぜーんぶお前のせいらびょん!」

 

「な、なんかよくわかんないけど大きくなったフランがお世話になった人達だよ…ですよね!」

 

私のその言葉にその場が一瞬硬直した。

やっぱり言葉遣いがおかしかったのかと少ししょぼくれながらノエルは再び口を開いた。

 

「えっと…ボ…ボクの名前はノエルなのです。フランと同じ家に住んでる…家族です!」

 

「ふぅん、家族…ね…全く似てないわねぇ…。」

 

「ミーたちは血が繋がってないですからねー

なーんで一緒に住んでるのかとか知らないですけどー。」

 

「その頭に被っているものは…貴方が見せているものなんですか?」

 

は?という顔をして振り返ってしまったので凄く睨まれてしまった。

スッと頭に手を置いてみたが特に濡れているということ以外なにもない…。

 

「被りもの…?ボクなにもつけてないはずなんだけど…

あっ、フランまたなにかイタズラでもしてるの?」

 

「イタズラじゃなくて常日頃からやってることだったんだけどなー…

ノエルはやっぱりわからないんだねー」

 

「う゛おぉおい…どういうこった?」

 

「もしや…幻覚が効かないとでも言うのですか?」

 

さっきよりも怖い顔になってノエルのことを全員が見ている。

やっぱりボクはおかしい子なの…?空いている右手で服を胸の辺りでグッと握りしめた。

 

幻覚ってなに?被りものってなに?

いろんな考えで頭がパンクしそうになる。

 

「つーかさ」

 

そんな空気を引き裂くかのように口を開いたのは前髪が長く頭にティアラを乗せている人だった。

引きちぎれるんじゃないかってぐらい大きな口をニンマリとさせながら話す姿はとても怖かった。

 

「幻覚効かねー人間って相当ヤバくね?王子キョーミあんだけど!」

 

ししっという笑い声をあげながらその人はキラリと光るナイフを指に挟んで睨んできた。

 

「だから待てベル!!」

 

ビュッ!!と投げ出されたナイフに私は反応することも出来ず、ただ真っ直ぐ立っておくことしか出来なかった。

 

 




場面的にはフランがチーズの角で頭を打ったと説明し終わったところでみんなが悩んでる時にノエルは飛んできました。
現在ノエルはフランに依存してるので離れそうになると不安定になります。
フランはそれを分かってるので無理に離れろとは言いません。
そしてそのことをノエルもわかってるのでフランは優しいって思ってます。
共依存ではないとだけ覚えていただけたらなと思います。
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