GS ヨコシマ IN HUNTER×HUNTER 作:OLDTELLER
まえがき
ミューズ「前回は本当にびっくりしたわね」
ヴェーゼ「もう、忘れてるって人もけっこういるみたいだけど」
ミューズ「ヨコシマさんたち死んじゃったら、あたし一人じゃ主役やる自身ないわ……!」
ヴェーゼ「それってアタシも試験で死んじゃうってこと!? ……ああ、でも。 心配することないんじゃない」
ミューズ「そ、そう……!? あたしでも大丈夫!? ほんとに!? あ、でも……」(ドキドキ)
ヴェーゼ「……アタシが言いたいのは、この話で読者はそんな心配しないってことよ!」
ミューズ「そんなあ……! 一人も心配してる読者がいないって言い切れるの!? 絶対に!?」
ヴェーゼ「アタシだって……アタシだってどこかにそんな人がいると思いたい……けど……」(泣)
ヨコシマ「…………」(ひょい)
15. ヒソカのゲーム
ヒソカに目つぶしは意味がない。
洗練された‘円’によって目が見えているのと同じように動けるからだ。
それ以前に、本気で戦っていれば猫だましなど通用しなかっただろう。
それくらいヒソカとヨコシマとでは身体能力の差がある。
だから、ヒソカは遊んでいた。
念を覚えたばかりらしいヨコシマが自分のおもちゃになり得るのかを探りながら。
それができるのは、ヒソカが人間というものに興味がないからだ。
何にも属さず、己を最強だと理解して全ての人間をおもちゃとしてしか見ない。
生物を分解して遊ぶ残酷な子供のまま育った孤独な快楽殺人者。
生きるということを殺しのゲームだと考える人間。
それがヒソカという男だった。
彼を哀れと思うような人間はいないだろう。
なぜなら、恐ろしさで彼を理解出来る人間が少ないからだ。
理解したとしても、おもちゃとして選ばれて尚、そう思えるほどヒソカは無力ではない。
だから、その悲劇は必然だったのかもしれない。
ヒソカがヨコシマに無数のトランプを放った瞬間に全ては起こった。
ヒソカがヨコシマの死を確信したとき、ゴンの釣竿から放たれた錘がヒソカを直撃する。
もし、その攻撃に殺気やオーラがこもっていたら、ヒソカはその攻撃を避けてヨコシマの攻撃にも気づいたかもしれない。
神眼が名付けたこの世にあるはずのない力。
自らのオーラをオーラや‘念’を破壊する性質を持った‘凝’でも見えない霊力と変質させる能力。
もし‘念’攻撃耐性を持ち‘念’の効果をほぼ無効化するその能力をヒソカが知っていたなら、あるいは霊気のオーラである霊波を感じ取れていれば、ヒソカはヨコシマが死んだと安易に思ったりはせず、こんな結果にはならなかったかもしれない。
そのオーラを見る者に小者で脅威になるような大した存在ではないと思わせ、活躍もまぐれだと感じさせ疑いを抱かせないようにするヨコシマの能力。
もし、その影響下になければ、人間離れした勘や持ち前の判断力で、トランプを弾き飛ばしながら放たれたヨコシマの攻撃を避けられたかもしれない。
だが、すべては、もしもでしかなく、起こったこれが必然。
ヒソカがヨコシマを仕留めようとした瞬間、回避のできないタイミングでゴンの錘はヒソカにあたり、ただの小石としか認識されなかった文珠は、トランプがヨコシマの体に当たると同時にヒソカを包むオーラに触れる。
霊能力を知るどころか‘念’すら知らないヨコシマ以外の三人には何が起こったか判らなかっただろうが、それはヒソカの霊的中枢、オーラを産み出すチャクラと呼ばれる霊的な器官を壊す静かな一撃だった。
文珠の‘念’破壊は、ヒソカのオーラに触れると同時に発動し、体外のオーラと
かつてヨコシマをペットとして飼った魔族の眷属達がばら撒く鱗粉のように広範囲に広がり、かつてヨコシマを愛し愛された魔族がこの世から消え去る原因となった妖毒のようにヒソカの
それは、自分自身がかつて受けた致命的な二つの攻撃を融合して再現したヨコシマにしか創れないイメージで練り上げられた運命を破壊する強力な攻撃だった。
もし、ヨコシマが死なないようにというリミットを攻撃につけていなければ、この世界のどんな存在だろうと死を免れない一撃をくらい、人が生命維持に必要な最小限のオーラを残し、99.9%以上のチャクラを破壊されたヒソカは、その瞬間全ての念能力と常人離れした戦闘力を失い、無力化された。
それは、ヒソカのゲームが終わった瞬間だった。
自力歩行も困難な身体障害者として生きることになったヒソカの今後の人生がどうなろうと、今までのような最強を信じて生きてきた無邪気さとは別のものになるだろう。
念での能力の封印ではなく、チャクラとして働いていた脳と中枢神経の一部を霊的に破壊されれば、回復は霊能者による霊的治療でも困難だ。
まして、霊的進化を遂げていないこの世界の‘念’では治療どころか原因もつかめないだろう。
念による作用も存在せず、医学的にも原因不明の衰弱と判断されればどこにも救いはない。
この攻撃は、ヨコシマの仲間が魔具で霊力を分解解析されチャクラをズタズタにされて身動きが取れなくなったことを知っていた神眼が対念能力者用に開発した必殺技だった。
荒っぽく解かれただけでそれだけのダメージを負うチャクラを完全に壊された衝撃で、ヒソカは意識を失い前のめりに倒れこんだ。
当然、いつまでたっても立ち上がる気配はない。
瞬時に決着はついていたのだ。
目が回復してもしばらく警戒していたレオリオとクラピカ。
そして残心のまま釣竿を構えていたゴンも、しばらくしてやっとその事を理解した。
何も知らないレオリオやクラピカにはゴンの錘がヒソカを倒したように見えたのだろう。
「うおおお、ゴン!! やったなっ!!」
喜びの声をあげて、ゴンの頭をくしゃくしゃにするように荒っぽくなぜながらレオリオが叫び。
「みごとな一撃だったぞ、ゴン!」
クラピカも素直な賞賛の声をあげる。
「え、えーっと……」
それは俺がやったんだけどと言い出すムードではなく、それでも何か言うべきかと声をかけたヨコシマだが。
「おお! あんたも疑って悪かったなっ! 油断させるためとは思わなかったんで、ついバカにしちまったぜ、許してくれ! 俺はレオリオだ、よろしくな」
「私はクラピカだ。 閃光手榴弾か、あの目くらましは? うっかり、私達もひっかかってしまったよ」
「俺はゴン。 お兄さんは?」
「ああ──、おれはヨコシマ・タダオ。 ……まあ、よろしくな」
すっかり、歓迎ムードの三人に何もいえなくなったヨコシマはポリポリと痒くもないのに人差し指だけで頬をかきながら、名乗り返した。
「ヨコシマさん。 よかったわ──無事で」
それと同時にミューズのほっとした声がピアスから聞こえてくる。
「ヴェーゼさんも心配してたわよ。 あともうすぐ二次試験会場につくみたいよ」
ピピピとそのときヒソカのポケットからも電子音がなり、一同を驚かせることになった。
「うはあっ!?」
びくりとしたヨコシマに、ミューズが安心させるように言う。
「だいじょうぶ。 ただの通信音よ。 ヒソカは目覚める気配はないわ」
それを聞いていないのに、警戒するような雰囲気の中、ゴンは倒れたヒソカに近寄り、ポケットから通信機を取り出した。
「えーっと! これ、どうやって使うの?」
しかし、使い方がわからずに、ヨコシマ達のほうを見る。
「ああっと、これはだな──」
ヴェーゼから渡されていたのと同社の通信機兼受信機だったので、ヨコシマはゴンから通信機を受け取るとスイッチを入れてやる。
「ヒソカ、そろそろ戻ってこいよ。 どうやら、もうすぐ二次会場につくみたいだぜ」
その途端、通信機からの声もそう情報を伝えてくる。
「ヒソカは行けないよ。 オレ達が倒したから」
すっかり勘違いしてしまったゴンがそう告げると通信機の向こうで空気が一瞬止まった気配がした。
「へえ、本当だったらスゴイね。 だったらヒソカをこっちまで運んできてくれないか? そこにおいといたらいくらヒソカでも死んじゃうだろうし」
信じていないのか、そう軽く言うと声はそれ以上何も言わずに通信を切る。
その後、ヒソカを連れて行く行かないで一悶着あったのだが、結局、ゴンが運ぶと押し切り、重い荷物を抱えてギリギリの試験会場到着となる。
生かされたヒソカが、それを悲劇と感じ取るのかどうかは判らない。
それはヒソカがこれからを新しいゲームだと取るのか、人生だととるのかでも変わってくるだろう。
しかし、今までのゲームをヨコシマに壊されたヒソカが取れる選択肢が、極端に少ないものであるのは間違いはなかった。