たった一人でヒーローアカデミア   作:かいんせあ

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対平和の象徴 脳無。

非人道的な実験によって生み出された複数の個性を持つ怪物。

 

原作ではあのオールマイトをも苦戦させる力を持っていた強敵だった。

油断などしていない…筈だった。いや、よく考えれば私は慢心していたのだろう。本気を出せばオールマイトも倒せる私が脳無に負けるわけがない。むしろストレス発散になってもらおう、とすら考えていた。

 

…だが私と脳無では相性が悪かった。いざ脳無と戦ってみると、被弾を恐れない脳無は私の弾幕を避けようとする意志さえみせず、最短ルートで私へと向かい結界を突破した。結界がいかに強固であろうと脳無の力は異常だ。オールマイトと違い怪我を恐れないが故にとれる強行突破。

もう私と脳無の距離は数メートル。ここまで近寄られてしまったら……

 

「博麗!?」

 

驚いた様な相澤先生の声をBGMに脳無の拳が迫り来る。アレが直撃したら即死だろう。迫り来る死を前に世界がスローになる。不意に脳裏に亡き母との思い出が浮かぶ。

嗚呼、此れが走馬灯なのだろうか?

 

「霊夢さん!!!」

 

緑谷 出久の声も聞こえた。悲鳴も聞こえた気がする。数秒後には私がミンチになっていると思ったのだろう。

にしても……

 

「これもう飽きた」

「「「……へ?」」」

 

外野が阿呆面晒しているのを見物しながら、私は辺りを見渡す。いつの間にか結構人数が揃っている。この分だと直ぐにオールマイトが来るだろう。ならばその前に脳無でストレス発散しなければ。

ふと自分の体を見ると、私の体は“半透明”になっている。これを見るのも本当に久し振りだ。

 

「え?……なんで透けてんの?」

「…アイツほんと何なんだよ」

「れ、霊夢さんがミンチになってない!?」

 

相澤先生、私は人間ね。博麗 霊夢はスペックは化け物じみてるけど人間だから。妖怪でも化け物でも無いから。博麗の巫女は人間辞めてるけど私は人間だから。

それと緑谷 出久は勝手にミンチにするな。というか美少女が化け物にミンチにされるシーンとか誰得だ?

 

色んなとこにツッコミ入れていると脳無が再び私に向かって拳を振るってきた。まぁ当然今の状態の私にそんな攻撃が当たるはずも無く、風圧で地面にクレーターが出来るだけだ。…クレーターが出来るだけってよく考えると可笑しい件。

 

「そういえば宣言するの忘れてたわね…。『夢想天生』」

 

スペルカード宣言と同時に私は目を瞑り脱力する。目を瞑っているからわからないが、恐らく私の周りには本来のスペルカードと同じように八つの陰陽玉が並んでお札をばら撒いてくれているのだろう。

夢想天生、弾幕勝負において博麗 霊夢が最強と言われる所以…らしい。結局の所私の知識は全て親友の受け売りだ。

 

きっかり三十秒後に目を開けると、目の前にいたのは呆然とするヴィラン連合と地に伏して動かない脳無だった。微妙にシュールな絵面だ。というか後ろからの視線が凄いんだが。これは十中八九相澤先生だろう。あの人ドライアイのはずなんだがなぁ…。

 

「うーん…まぁいいストレス解消になっ「もう大丈夫。私が来…ってえ?もう終わってるのこれ?」

「オールマ「そこ五月蝿い。というかオールマイト遅い。まぁそこの改造人間さんと楽しく戯れてただけだからいいけど」

 

大きく伸びをしながら言った言葉は例の如く、突如乱入してきたオールマイトに遮られる。いい加減これにも慣れてきたので…私も憎悪を込めた死柄木の言葉を遮る。うわぁ殺気凄い。

 

「ヴィラン連合…だっけ? もう今日は疲れたから帰って。もうゲームオーバーでしょ?」

「……チッ。次はお前も殺す」

「死柄木、今日はもう行きましょう」

 

捨て台詞を吐くだけ吐いて、ヴィラン連合は黒霧のワープゲートをくぐって逃げていく。さりげなく脳無も回収しているが今回は見逃してあげよう。

 

「あ、ちょっ。待て!」

 

少し遅れて状況把握をしたらしいオールマイトが追いかけようとしているがもう無理だろう。

 

「残念。もう無理ね」

「なんで君は残念と言いながらそんな嬉しそうに笑ってるんだい?」

「そりゃあ…負け犬の遠吠えって聞いてて楽しいでしょ?」

 

オールマイト含むヒーローの卵達がドン引きしている気がする。敵の捨て台詞聞いてると勝ったって実感できるから好きなのに何故そんなに引かれなきゃいけないんだ。

 

 

 

結果、USJ事件は私と一年A組の間の溝が更に深まる形で終了した。なんで仲良くなりたいのに引かれるのだろうか…。

因みに相澤先生にはあんな技があるなら最初から使えと言われた。夢想天生は正直今回はちょっとだけ生命の危機を感じたからやったけれど消耗が激しいから普段は使いたくない、と言い訳したがアレは絶対信じてくれていない。実際のところ夢想天生、疲れはするがそこまでのものでは無い。私があれを使わないのはあれを使うと完全な蹂躙になってしまうからにほかならないのだ。

 

 

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