たった一人でヒーローアカデミア   作:かいんせあ

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私の朝は早い。染み付いた習慣のお陰で日が昇ると同時に、勝手に起きてしまうのだ。

朝起きたらまずは冷たい水で顔を洗ってしまう。体は勝手に起きるが意識は勝手に覚醒してくれないのだ。

そして、神社の境内を掃除してから神社の周りをランニング。そこまで終えて漸く朝六時。 そうしたら朝食の準備をしながら寝間着から制服に着替える。これでも現役高校生なのだ。

朝ご飯ができたらとっとと食べてしまって直ぐに家を出る。と、その前に…

 

「行ってきます、母さん」

 

二年前、私が中学三年生だった頃に母さんは亡くなった。元々プロヒーローだったが、私を産んでから引退して神社を継いだ母さんは、困っている人を見たら助けずにはいられない質だった。ヴィランに襲われている少女を助けたところで致命傷を負い、病院に搬送されたけれど間も無く死亡。

悲しかったけれど何だかんだで私は立ち直れた。目下の目標は母さんを殺した挙句、逃走したヴィランを取っ捕まえること。この世界を楽しみ尽くしてから元の世界に帰りたい、とは思っているがまずはヴィランを捕まえることが先だ。

 

閑話休題。

 

美しい微笑みを浮かべた母さんの写真に声を掛けた私は、教科書一式を突っ込んだ鞄を肩にかけ、母屋から飛び出す。

今日は雄英の始業式兼入学式。風の噂では今年もヒーロー科 一年A組の担任は相澤先生らしい。可哀想に、としか言いようがない。見込みが無ければ即除籍のあの人の授業は気が休まらない。事実去年のA組も私以外は一学期が終わる前に全員除籍処分を受けていた。…更にいうとB組の面々も恐れをなしてか全員自主退学していた。お陰様で私は去年一年間ほぼ全ての授業をボッチで受けていた。寂しかった。本当に寂しかった。

 

だがその悲しい現実も今年で終わり(かもしれないの)だ!

 

私は駅に向かって猛ダッシュしながら口元に笑みを浮かべる。あぁ、嬉しい!嬉し過ぎて意識しないでも勝手に口角が上がってしまう。気を付けねば。

私の唯一の友人と呼べる存在によると私が心から笑っている時の顔は、完全に悪巧みしてる時の顔らしい。事実そのせいでご近所さんの幼稚園生に泣かれた。あれは傷付いた。ガラスのハートが砕け散るかと思った。

 

 

話が脱線してしまった。

なぜ今年で終わり(かもしれない)か。何でも今年の一年生は有望株が揃っているらしい。相澤先生に除籍されなかったら、私もヒーロー学などの実技教科ではその子達と授業を受けられるのだ!

 

長かったボッチ学園生活の終わり!喜ばないでいられる訳が無い。……実技科目以外は相変わらずボッチだが。私は辛い現実から目を背け、電車に飛び乗った。

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