「格好から入るってのも大事なことだぜ、少年少女!! 自覚するんだ!! 今日から自分は…ヒーローなのだと!! さぁ、始めようか有精卵共!!!」
一斉に二十人のヒーローの卵が演習場に入ってくる。緑谷 出久は…あ、いたいた。確かあの兎みたいなマスクはオールマイトの髪の毛のマネなんだっけ?
「いいじゃないか皆、カッコいいぜ!!」
そこには同意。特に轟 焦凍なんかはカッコいい。爆豪 勝己はカッコいいけど…どっちかっていうとヴィランっぽい。歩き方とか含めて。目つきも怖いし、“俺の前を歩いたから殺しただけだ”位言いそう。もうちょっとヒーローっぽくするべきだ。今時は人気も無いとやってけないんだから。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地訓練を行うのでしょうか!?」
ガシャン、という効果音を立てて見た目ガンダムな飯田 天哉が挙手する。なんか動きにくそうだけど、小学生男子に人気でそうなコスチュームだ。経営科が目を付ける予感がする。
「いいや! もう二歩先に踏み込む。屋内での対人訓練さ!!」
屋内での対人訓練…嫌な思い出しか無い。去年は初っ端のこの訓練で一気に三人が除籍されていた。というかあれは普通に怖かった。いや、だっていきなり隣で一緒に戦って奴が「はい、除籍」されるとか普通に怖い。今年はオールマイトの授業だから大丈夫だろうけど…。
「いいかい!? 状況設定は敵がアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間以内に敵を捕まえるか、核兵器を回収すること。敵は制限時間までにヒーローを捕まえるか、核兵器を守ること」
いつの間にか話が進んでいたようで、オールマイトは紙を見ながら状況設定を言っている。それにしても…
「設定アメリカンね。貴方の趣味?」
思わずツッコんでしまった。二十人の視線が私に向く。
「なんか校長に渡されたんだよね」
「へぇ、あのリスだか犬だかよく分かんない校長、アメリカンな設定好きなんだ」
「…君校長のこと嫌いなの?」
「全く。というか興味ない」
「君たまに毒舌なことあるよね」
「先生! その方は誰ですか?」
オールマイトと会話していると、痺れを切らしたのか飯田 天哉は質問してくる。因みに今の私は巫女服だ。最も普通の巫女服ではなく、肩が空いている博麗 霊夢の赤い巫女服だが。これが私のコスチューム。本当は体育着が良かったのだが私も戦わされるらしいので巫女服で来た。
「彼女は「自分で紹介するから黙ってて」
「私は博麗 霊夢。貴方達の一つ上の二年A組よ。ここにいるのは貴方達の担任が去年私を除き、一クラス全員
除籍しやがったから。因みにB組の面々はその時に恐れをなしたのか、全員が自主退学しちゃってね。だから二年のヒーロー科は私しかいないのよ。年も近いし宜しくね」
余計なことを言われたくないのでオールマイトの言葉を遮ると、ヒーローの卵達は目を見開く。あのオールマイトにこんな風に話す人なんて中々いないから驚いているのだろう。
「彼女には君たちの戦闘訓練が終わった後に私と戦ってもらう。ついでにいうと彼女は既にプロヒーローと遜色がないくらいの腕前だから色々学ぶといい!」
「ちょっと待ちなさいよ。私がプロ並みの腕前であるのは事実だからいいとして、なんで貴方と戦う事になってるの?」
客観的に見ても、私はプロ並みの実力は擁している。これは事実だ。何せ博麗 霊夢の程度の能力は妖怪揃いの幻想郷で最強と呼べるものだ。その上勘もいい。これでプロ並の実力が無かったらこの世界はどんだけ化け物揃いなのだ、という話だ。
だがまぁ一年生達には信じられないようで、私を凝視してくる。
「だって君暇だろ?」
「…仕方ないわね」
「HA HA HA! じゃあコンビ及び対戦相手を決めるクジをしようか!」
その後は記憶通り。緑谷 出久は爆豪 勝己と戦い、勝利はしたが大怪我を負い医務室に運ばれていった。
試合はどんどん進んでいき、あっという間に最終グループまでが終了する。
「じゃあ博麗少女!私たちもやろうか!!」
「はぁ、面倒くさい。私がヴィラン側でいい?」
「じゃあ私がヒーロー側をやろう! 君たちはモニタールームで見ててくれ!!」
核兵器を置く位置は自由らしい…ならば。
「一階以外あり得ないわね」
敢えて入り口に一番近い部屋の中に核兵器を置いた私は、二階へ上がる階段部分で待機する。オールマイトならば、私が核兵器を置くのは最上階と考える筈。二階に上がる階段はここしかない以上、それこそジャンプで上の階に行かなければ必ずここを通る。入り口から階段までは、一度曲がればあとは一直線だ。その一直線部分で弾幕を放つのがパーフェクトだろう。制限時間まで逃げ回るのはオールマイト相手には不利。ならば私の得意な中距離からの狙い撃ちがベストだ。
屋内対人戦闘訓練 スタート!!
私はいつでも弾幕を放てるようにお祓い棒を構えて、オールマイトを待つ。
一回だけオールマイトと戦ったことがある。あの時は完膚なきまでに負けた。だが今回は…
「絶対に勝つ」