ヴィラン連合の一回目の襲撃。それが今日だ。
少しずつ薄れてきている朧気な記憶が正しいのならば、ヴィラン連合はオールマイト 平和の象徴を殺す為に一年A組の救助活動の授業中に乱入。彼らの予想以上に教師、生徒の力があったことにより怪我人はいたが犠牲者はゼロ。異常を察したオールマイトとプロヒーロー達の到着によって撤退を余儀なくされる。
物語の流れが大きく変わるのが嫌な私としては、正直な話あまり関わる必要性は無い。13号や相澤先生は大怪我を負うはずだが雄英の屋台骨であるリカバリーガールのお陰で大きな後遺症が残ることも無い。
結論として私は関わらず静かにしているのが一番なのだが…勿論そんな事をするわけがない。
私は博麗 霊夢としてこの世界を思う存分楽しみたいのだ。オールマイトでも数百発の攻撃を入れねば倒せなかった敵、脳無。…なんて面白そうなのだ!
実は私は全力で戦ったことがない。それこそ小さい頃に母さんと勝負した時くらいだ。…最もあの時は相当手加減してもらっていたお遊びレベルだが。 最近で一番頑張ったのは二年前、初めてオールマイトと会った時に六割で戦った時。この間戦った時はスペルカード一枚使っただけだしいい運動になった、程度だ。
何故私が全力を出してオールマイトを倒さないか、それは全力を出したら加減ができないからだ。勿論本当の切り札を使ったら暇なだけなのでそこは考えないとしても、博麗 霊夢の本気は人間にはキツイだろう。
だが脳無なら?
オールマイトをも手こずらせたショック吸収に、圧倒的な自己再生。私が本気を出してもギリギリ生き延びてくれるのでは無いだろうか?
オールマイトが脳無を倒せたのは圧倒的なスピードと攻撃力あってこそ。私の場合、火力ならオールマイトより上だがスピードならば遥かに及ばない。
要は私は本気を出した上で負けたいのだ。
いつの間にか私は向上心というものを忘れてしまった。人間は負けて悔しい、と思うことで成長する。成長を止めてしまった人間は朽ちゆくだけだ。まぁ言ってしまうと少年漫画らしい敗北→努力→勝利をやってみたいというだけのことだ。
と、いうことで私は現在ヴィラン襲撃事件の第一回目の現場となるUSJに来ている。災害救助訓練は一年生だけでなく二、三年生もやらされる。どうせボッチでやるよりは、とミッドナイトに言ったら案外すんなり許可が下りた。因みにその時色々雑用を押し付けられた。委員長なんだからヨロシク、とかなんとか言っていたが私以外いないから強制的に委員長にさせられるのは酷いと思う。しかもボッチだから誰かを率いる統率能力を鍛えられる、という委員長の唯一の良いところすらないのだ。本当に相澤先生を恨む。
除籍処分も嫌だったが一人だけ残されるのこっちの身にもなってくれ。
暇だったので心の中で色々愚痴っていると、一年A組を乗せたバスがUSJの敷地内に入ってくる。私は入口の方に移動して13号と一緒に彼らの到着を待つことにした。バスからコスチュームを着た生徒たちが次々に下りてくる。一番最後に下りてきた相澤先生はいつも通り小汚かった。
そういえば相澤先生は脳無に負けて大怪我をするんだった。じゃあ私が脳無をぶっ飛ばしたら物語が変わってしまうのだろうか?
……ま、いっか。主人公達なら兎も角相澤先生なら大丈夫だろう。多分…。
私は余計な考えを頭から追い出して、脳無にぶつけるスペルカードを考えていることにした。
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