「早速だが式の日取りを決めよう。もう場所は決めてあるんだ」
「ライザー、前にも言ったけど私は貴方とは結婚しないわ」
部長は心底鬱陶しそうな表情をしてライザーという男の手を払った。
「ぶ、部長結婚するんですか!?」
そういった途端に何故か皆の目線がきつくなって僕に注がれた。
うぅ、そんな怖い目で僕を見ないで。
「なんだこいつ?」
「兵藤一誠、私の可愛い下僕よ」
「はははははははは!」
いきなりライザーとか言う人は僕を指差しながら盛大に笑い始めた。
「おいおいリアス、正気か?こんな魔力もない奴を下僕にしたのか?
てっきり一般人化と思って一瞬、焦ったぞ」
うぅ、やっぱりそれ言われた。
『……気に食わん奴だ。相棒、ふっ飛ばしてやれ』
む、無理だって! だってあんな強そうな人に勝てるはずないし!
それに炎使うんだよ!? めちゃくちゃ熱いじゃん!
「笑わないで頂戴ライザー」
部長はかなり怒っているのか怖い表情でライザーさんを叱るけど
ライザーさんは特に何も思っていないのか、華麗にスルーしていた。
「いや~あまりにも傑作でな。こいつの駒はなんだ?」
「ポーンよ」
「はははははははははは! そうかそうか! お似合いだな!
兵士一個しか消費出来ない奴にはお似合いの駒だよ!」
ライザーという男は未だに腹を抱えて僕を笑っていた。
そして、ついに我慢できなくなったのか
部長がバン! と机をたたいて、怒りをあらわにして立ち上がった。
「イッセーを笑わないで頂戴! 貴方よりも何倍も彼の方が強いわ!」
ひぃ! 部長! ハードル上げないでくださいよ!
「くく、こいつがね~。ほら」
―――――ボォォ!
「アチ! アチチチ! 水水!」
いきなりライザーさんは僕に小さな火球を飛ばしてきた。
突然の事に、何もできずに僕は火球を腕にあたって火傷してしまった。
「イ、イッセーさん!」
「ひぃ! 熱いよ~」
アーシアさんが慌てて僕に近づいてきてトワイライトヒーリングの
癒しの光で僕の火傷を治療してくれた。
「こんな弱い奴が俺よりも強いだと? いくらリアスでも怒るぞ」
「ライザー! 貴方って人は!」
部長は手に消滅の魔力を集めてライザーって人にぶつけようとしていた。
ダメだ! 部長!
僕は慌てて近づいて部長の手を掴んでどうにかして止めた。
「イッセー! 離して!」
「駄目です! 僕なら大丈夫ですから!」
「でも!」
するとグレイフィアさんが二人の間に入って仲裁をしてくれた。
「ライザー様もおやめ下さい。フェニックス家の名に泥を塗るおつもりですか?」
「……最強のクイーンと謳われている貴方に言われたら断れませんね」
「お譲様も下僕を馬鹿にされて怒るのは構いませんが貴方は
次期グレモリ-家の当主。立場をわきまえて行動してください」
そう言われてようやく部長は手に集めていた魔力を消して手を下してくれた。
よ、良かった~。
てな訳で平和な話し合いにはなったんだけど話の発端は部長のお家と相手の
お家が勝手に婚姻関係を結んだことに合った。
部長はライザーさんとの結婚は断固拒否。でもライザーさんも
お家事情がどうとかで一切引く気無。
「ではお嬢様、レーティングゲームで決めたらどうですか?」
「レーティングゲーム……」
「俺は別にかまわないぜ。負ける気はしないがな」
「……言ってくれるじゃない、分かったわ。私もそうするわ」
「畏まりました。では、ゲームの開催は10日後とします」
「あ、その前に俺の可愛い下僕ちゃん達を見せてやるよ」
ライザーさんが指をパチンと鳴らすと魔法陣が輝きだして総勢、15人の
下僕さん達が全員姿を現した。しかも全員美人美女ばかり。
「リアス、お前のへなちょこポーンが俺よりも強いと
いうならば俺のポーンには勝てるよな?」
「当たり前じゃない!」
ちょ! む、無理ですって! そんなにハードルを上げないで!
世界記録を更新しちゃうから!
「そこまで言うなら、ミラ」
「はい」
ライザーさんが呼んだ女の子は棒をもった人だった。
「こいつはおれの下僕の中でも最弱だ。だがお前よりかは強いぞ」
「イッセー! やってしまいなさい!」
「だから無理ですって! あ、あんな強そうな人に
勝てるはずないじゃないですか! ライザーさんだって言ってますよ!」
「堕天使を倒した貴方なら大丈夫よ!」
僕は部長に押されてミラって言う人の前に無理やり押しだされた。
「む、無理ですって」
『相棒やってやれ!』
「余所見をするな!」
「ひぃ!」
ミラって言う人が棒を持ってこっちに向かってきたけど僕はあまりの恐さに逃げた。
逃げたと言っても部室から逃げたんじゃなくて遠くの方に逃げたって言うこと。
だってあんな棒持ってて強そうなのに勝てっこないよ。
「なに~? あの人弱~い」
「剣士を侮辱しているな」
「ぷっ! 弱すぎ」
ライザーさんの下僕さん達が口々に僕を蔑んでいく。
そりゃ仕方がないよ、僕は蔑まれるくらい弱いんだから。
「……これは俺も驚いたな。弱いというよりも虫けらか。リアス、
お前の眼も狂ってしまったのか?」
「っ!」
部長は悔しそうに歯を食いしばっていた。
……ごめんなさい、部長。僕のせいで。
その後、ライザーさん達は魔法陣で帰っていった。
ライザーさんがいなくなった部室は静かだった。
皆、何やら集まって話をしてるけど僕は隅っこの方で縮こまって
恐怖で震えながら座っていた。
「イッセー」
「……すみません部長。僕、部長を恥さらしにして」
「良いのよそんな事。私の方が悪かったわ」
部長は優しく僕の頬に手をあてて撫でてくれた。
なんで? 何で部長が悪いの? 悪いのは弱い僕なのに。
「私が感情のままに貴方に行かせたのがダメだった。イッセー、
明日から私達は山に行って合宿をするわ。少しでも強くなるために。
でも、イッセー。もし、あなたが来たくないのなら来なくていいわ。
ゲームの時も戦いたくないなら闘わなくていい。なんならゲームが終わるまで
隠れてたっていい。貴方が傷つくところをもう見たくないの」
―――っ! もしかして部長、この前のレイナーレの事言ってるのかな。
そのまま部長と部員の皆は部室から出ていった。
アーシアさんは木場君が送ってくれるらしい。
部室に一人残った僕はずっと考えていた。
「……」
「イッセー、見つけた」
「オ、オーフィス。何でここに」
声がした方向を見ると窓からオーフィスが部室に入ってきた。
「イッセーが悲しんでるの感じた。だから我ここに来た」
オーフィスは僕の隣に同じように座ると頭を僕の肩に乗せてきた。
「イッセー、何かあった?」
「……うん、まあね」
「力欲しい?」
「……欲しい。欲しいけど僕には無理だよ」
「なんで?」
「僕は弱いもん」
するとオーフィスが聞いたことのある言葉を言いだした。
「弱いというだけで何もしなくていい理由にはならない……」
っ!それ、僕が言った言葉だ。
「我、この言葉好き。気にいった」
『相棒』
怖い……誰かと殴り合うのも、ライザーさんの炎を受けるのも怖い……でも、
このままじゃ部長の顔に泥を塗り続けることになっちゃう!
そんなことは絶対にあったらダメなんだ!
「うん……行くよ、でも、部長さん達のところにはいかない。
オーフィス、僕と闘ってくれる?」
「何故?」
「強くなるために」
「……分かった。我、イッセーと闘う」
そして10日間というのはあっという間に過ぎ去っていった。
この10日間、僕は食事と睡眠以外はずっとオーフィスと闘っていた。
おかげで籠手の新しい力もいくつか手に入れられた。
何回も死にかけたし何回恐怖のあまり泣きじゃくったか分からない。
いくつもの怪我が体中についた。
骨折だってしたし脱臼だってした。
でも、オーフィスの力で全部治して戦い続けた。
「イッセー、強くなった。フェニックスに負けないくらい」
「……そうだったらいいな。じゃ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
僕はオーフィスと分かれて部室に行った。
「……アルビオン、何か用?」
『いや。次元のはざまで妙な事をしてるからヴァーリに
見つからないように見に来たらまさかオーフィスと闘っている奴がいたとはな』
「今代の赤と白、どっちも強い。歴代最強」
『ああ、そうだな。ヴァーリは既にバランスブレイカーになっている』
「それはイッセー同じ」
『だが、あいつは気づいていないようだが』
「……」
『まあ、良い。今回の戦いは一番楽しくなりそうだ』
どうも