「僕はリアス・グレモリーの眷属、ナイトの木場祐斗」
「お前みたいな剣士がいてくれて嬉しく思うぞ。堂々と真正面から
来るのは正気の沙汰じゃないからな」
木場君は女の人と何やら一言二言話すとお互いに剣を取り
高速で動いて斬り合いを始めた。
金属音が数回なった後、別の場所に現れ、また数回金属音が鳴った後、
違う場所に二人が現れる。
す、凄い。全く見えない。
すると、僕の視界の端にドレスを着た金髪の女の子が映った。
「あ、あのできれば邪魔は」
「悪いが彼女は戦わないよ」
倉庫から出て金髪の女の子から少し離れた場所から話しかけると
どこからともなくいきなり声が聞こえてきた。
「こっちだよ」
キョロキョロと周りを見ている僕にそんな声が掛けられ、声に従って
後ろを振り返ると顔の半分を仮面で隠した女の人が立っていた。
「やあ、お初にかかるよ。私の名はイザベラ、ルークだよ」
「あ、兵藤一誠です。ポーンやってます」
自己紹介をすると何故かイザベラさんは小さく笑みを浮かべた。
「ふふ、君は面白いね。戦場でそんなに丁寧な
あいさつをする悪魔は初めて見たよ」
いや、ま挨拶は大事だし。
「一つ聞いて良いかな?」
「あ、はい。なんですか?」
「君は本当に兵士一個しか消費していないのかい?」
「イザベラ、何を言っていますの? お兄様の婚約者様も言っていたでしょう」
いかにも私お嬢様です! みたいな恰好をした女の子からは
まったく戦意という奴を感じられない。
い、今いる場所って言うならば戦場なんだよね……な、なんかあやしい。
「レイヴェル・フェニックス様。確かにポーンとはいっていましたが
向こうは何個消費したかまでは言ってませんよ」
ん? フェニックス? ……そ、そう言えばよく見たら今回のゲームの相手も
男の人に似ているような気が……。
「き、君ってまさかあの人の妹さん?」
「そうですわ、イザベラ!」
「分かったよ。さあ、一誠君。始めようか!」
イザベラさんはいきなり僕に殴りかかってきた。
「うわっと!」
反射的に体制を後ろに反らしたからイザベラさんの初撃は
当たらなかったけど……なんだか普通のパンチと違って動きが不規則だ。
「はは! なかなか避けるのが上手だな!」
どうしよどうしよ!
こんな不規則な攻撃をされたら攻撃するタイミングが!
………ねえ、ドライグ。
『……止めてくれ相棒。これ以上特撮を真似るのは』
ね? だって僕、ドライグに頼らないとまともに戦えないからさ……
お願い! また前の時みたいにやろうよ! 僕頑張るから!
『……もう僕知らないもん!』
ドライグが壊れちゃった。
まあ、お許しも出たわけだしやっちゃいますか!
「は、恥ずかしいな」
「何がだい?」
「こっちの話。行くよ!
僕は意識を集中させて今までに倍加されてきた魔力が僕の全身、
特に足の方に集中的にまわした。
『Start! high―speed time!』
そして、ハイスピードタイムを発動させて
僕は動くとかなりの速さが出て消えたように見えた。
「き、消えた!?」
「イザベラ! 消えたのではなく高速で移動しているだけですわ!」
「だが彼の駒はくぅ!」
あらぬ方向から攻撃を受けたイザベラさんはグラリと体勢を崩した。
攻撃といってもタックルだけどね。
「うわぁ! 何故だ! ポーンなのに何故
ナイトの様に高速で移動できるんだ!」
……そんなに驚くことかな?
ま、良いや。止めと行くよドライグ!。
『もうどうでも良い! やってしまえ相棒!』
「喰らえ!」
「がっ!」
僕は魔力を足に集中させると赤色に輝き、イザベラさんを蹴ると
ものすごい勢いで飛んで行って壁に激突した。
『ライザーフェニックス様のルーク戦闘不能!』
「や、やった……勝てた!」
あまりの嬉しさに僕はガッツポーズをしてしまった。
喜んでいる僕に突然、熱風がぶつけられた。
後ろを振り返ってみると二人が戦っている場所を中心にして
炎の竜巻が発生していた。
「この熱風で僕らごと蒸し焼きにするつもりか……とまれ」
――――――ボォォッォォォ!
今度は風が吹き荒れ、暑い風を巻き込んで、消滅した。
「……複数のセイグリッドギア所有者か」
「いや、僕の神器はソード・バース。魔剣を作るんだ」
「魔剣を作る神器とはな」
『Boost!』
早々とケリをつけて少しでも多くの人数で部長の所に行こう!
で、でも相手は剣があるから……遠くから行くしかない!
僕は籠手に魔力を集中させて、修行で編み出した遠距離攻撃を思い出しながら、
籠手の先に超巨大な魔力弾を作り出して、カーラマインさんに放った。
「木場君! 離れて! 喰らえ! ドラゴンショット!」
僕の声を聞き、慌てて木場君はその場から消えさった。
「っ! こんなもの!」
「避けなさいカーラマイン!」
レイヴェルさんの声が響き渡ってカーラマインさんは攻撃を受け止めるのをやめ、
ナイトの特性の高速移動でその場から離れた。
―――――ドォォォォォォォォォォォォン!
「あ、避けられた!」
カーラマインさんがさっきまでいた場所に、巨大な魔力弾が直撃し、
巨大なクレーターを地面に開けていた。
「な、なんて威力だ……彼は戦力外と思っていたが……」
ふん! こっちだって修行して前よりも強くなってるもん!
「あれ? イザベラ姉さんは?」
「もしかしてやられちゃった?」
複数の声が聞こえ、その方向を向くとゾロゾロと残りの
卷属さん達が僕たちのいる運動場に集まって来ていた。
……やっば、残りの下僕悪魔さん達大集合じゃん。
今、グラウンドにいるのは僕と木場君以外はみんな敵。
「ね~ね~兵士君」
「ひゃっ! な、何!?」
突然、肩をトントンと叩かれて後ろを振り返ると卷族の一人が
僕の後ろに立っていて、屋上の方を指さしていた。
「ライザー様とね、君ん所のお姫様が一騎打ちするんだって」
指を差された方向を見てみると部長とライザーさんが
対峙しているのか屋上から炎が一瞬だけ見えた。
「ま、お兄様も意外にもリアス様が善戦するものですから高揚したんでしょう。
でも、貴方達に勝ち目はありませんわ。ニィ、リィ、シーリス。そんな雑魚やって
おしまいなさい。お兄様は絶対に勝つものです」
「にゃ」
「にゃにゃ」
獣耳を生やした二人の女の子が僕に殴りかかってきた。
部長がやられる? やられたら部長は……よ、よし! こんな時こそ
修行で生み出したこの籠手のもう一つの新たな力だ!
「木場君、セイグリッドギアを発動させて」
「よく分からないけど君を信じるよ! ソードバース!」
『Transfer!』
木場君が魔剣を地面に突き刺した瞬間に地面に籠手をぶつけ、譲渡の力を発動して、
地面から生えてくるセイグリッドギアの力を大幅に強化すると、
地面からすさまじい速度で魔剣が次々に生成され、
近くにいた卷族たちが全員、貫かれた。
うぅ……結構、見たくない光景だ。
「ガハッ! こ、これも龍の力なのか」
その一言を最後に、運動場に集まっていた相手はすべて、転移された。
「ふぅ、これでなんとか……やったね、木場く」
――――――ドォォォン!
『リアスグレモリー様のクイーン、ナイト戦闘不能!』
「え?」
僕が後ろを振り返った瞬間、爆音が聞こえるとともに血を辺りに散らしながら
目の前を飛んでいく彼の姿が見えた。
その数秒後にリタイヤを告げる放送が聞こえ、木場君は消え去った。
「テイク」
その言葉を呟きながら、朱乃さんと戦っていたクイーンの人が
地面に降り立った。
「ふふ、よくやりましたわ。ユーベルーナ」
「不思議そうな顔をしてるわね。なんで私がここにいるのかって。
確かに彼女は強かったわ。でも私にはこれがある」
ポケットから液体の入った小瓶を取り出した。
「フェニックスの涙!」
確かあれをかければどんな傷でも一瞬にして治療してしまうっていう
言うならばポーションみたいな液体!
「あら? ご存じだったの? そうよ、これで私は回復して彼女を討ったのよ」
「ふふ、これで残っているのは貴方と王、そして僧侶。でも僧侶は
戦闘向きではない。貴方はただの雑魚。
この勝負私たちの勝ちですわね」
……小猫ちゃんも……朱乃さんも皆やられちゃった?
……僕がここで負けると……ぶ、部長はあの人に取られて……。
『Boost!』
何回目か分からない倍加が行われ、ドクン! と体の中で
何かが大きく、鼓動を打った。
「確かに、あなたのその魔力の振り幅とセイグリッドギアの力は
絶大なものですわ。ですが、レーティングゲームは個人戦ではなく、
団体戦ですわ。いくら、配下が強くてもキングを取られればお終い」
ぼ、僕のせいで…………また、僕のせいで……。
『お、おい相棒。落ち着け、魔力が不安定になっている』
「カーラマイン。そろそろと止めを」
「はい」
相手のクイーンの女性が杖を僕に向けて魔力を集中させていく。
ダメダメダメ! ぼ、僕がやらなきゃダメなんだ! 僕が負けたら!
「ん? ……まだ、何かやるつもりですか」
『Boost!』
「ぼ、僕がやらなきゃ」
『マズイ!』
『Release!』
「え?」
「こ、これ――――――」
そんな音声が辺りに流れた直後、僕の籠手が赤色の輝きを放ち、
その輝きはグラウンドにいた僕たちをあっという間に飲み込んでいった。
「――――――っっ!?」
私――――リアス・グレモリーがライザーと一対一をしている最中、
突然、グラウンドから空に向かって魔力の柱が立ち上り、校舎全体が……いや、
この空間自体が揺れているんじゃないかと感じるほどの強い揺れが校舎を襲った。
「うぉぉ! な、なんだ!?」
ライザーは突然のことに驚きながらもどうにか、
踏ん張って強い揺れに耐えていた。
その柱は徐々に大きさを収縮させていき、現れてから数秒程度で
光の柱は消え去った。
この魔力は……もしかして、イッセー?
『ライザーフェニックス様のクイーン一名、ビショップ一名リタイア!
リアス・グレモリー様のポーン一名リタイア!』
強い揺れが収まった直後にリタイアした者の通告が放送された。
ポーン……私のポーンはあの子だけだから……いったい、何をすれば
校舎をここまで大きく揺らしてクイーンとビショップの二人を
倒したのかしら……。
「ぶ、部長さん!」
「どうしたの……あれは」
アーシアがグラウンドの方を見てかなり驚いていたから私も
ライザーに注意しながらもグラウンドの方を見ると、そこには
とても悪魔一人で作り出せないような巨大な穴がグラウンドに空いていた。
「底が見えません」
「え、ええ……」
「たまげたな。まさか、あのガキがあの魔力でここまでの
穴をあけるとは……いや、どちらかと言えば暴走か。転生したての
悪魔にゃよく聞くが……これほどのものとはな」
転生したての悪魔はまだ、魔力の扱いが不安定なために強い精神的な不安が
発生した場合、魔力を制御しきれずに全身から放出してしまう、いわば
一種の暴走状態に陥ることが確認されている。
でも、ここまでの暴走は事例がないわ!
「ま、自滅に終わったな……リアス。そろそろ投了したらどうだ?」
……確かに今の私の実力じゃライザーには勝てない……
でも……みんなが傷つきながらも倒してくれたのに……
ここで私は……。
「リザインするわ。ライザー」
私のリザイン宣告とともに放送から試合終了のベルが鳴り響いた。
私達の初めてのレーティングゲームは黒星となって幕を閉じた。
こんにちわ