「ガハッ!」
血反吐を吐いて木場君が倒された。
二人が戦闘を開始してから数分、最初は拮抗していた実力も
徐々に天秤が相手の方に向いていった。
「もう少し冷静になってかかってくると良い……君もやるのか」
「い、いえいえ! 僕はやりませんよ」
「そうよ、ゼノヴィア。イッセー君は切っちゃダメ」
そう言うイリナちゃんの言葉を聞いて、ゼノヴィアさんは少し驚いたような
表情をしたけど、すぐに剣に布を巻きつけた。
よ、よかった。これでいざこざはなんとか終わったよ。
「今回は私闘ということにしておこう。行くぞ、イリナ」
「オッケー。じゃ、また会おうね。イッセー君」
イリナちゃんは笑みを浮かべて腕を振りながら去っていった。
僕も思わず手を振りかけたけどすぐ近くの木場君の雰囲気に
押されてすぐに手を引っ込めた。
翌日、きつ~いお叱りを受けた木場君は部長から自宅謹慎を命じられました。
まあ、そりゃそうか。今の悪魔と天使の関係は最悪クラス。
今回の戦いで戦争が起きなかっただけまし。
でも、僕はそんなのどうでも良かった。
僕の友達が苦しんでるんだ。
だから僕は部長さんには秘密裏に、ある計画を進めることにした。
「……何か用ですか? 兵藤先輩」
「ごめんね、わざわざ来てもらって。小猫ちゃん」
「……別にかまいませんが」
「で、なんで俺もここに連れてこられてるんだ?」
小猫ちゃんの隣には縄でぐるぐるに縛られた匙くんが座っていた。
彼も一応僕の計画には必要な存在……なのかな? まあ闘うことができる
人数が多ければいいし。
「ひと先ず、小猫ちゃん、匙くん、木場君、
そして僕で聖剣を破壊しようと思う」
これを言うとやっぱり予想通り2人は驚いたような顔をした。
「……でも、そうすると天使側が」
「大丈夫。その辺はちゃんと手は準備してあるよ」
そう言って僕は二人にPCの画面を見せた。
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁ! 俺は帰るんだー!」
僕と小猫ちゃんと叫んでいる人一名の団体はある場所に向かっていた。
さっき見せた画面には掲示板にこんな記事が載っていた。
『変人発見!』
その掲示板を見た僕は間違いなくあの二人だと気付いた。
「えー、迷える子羊に天の恵みを~」
「どうか天の父に代わって哀れな私たちにお慈悲をぉぉぉぉぉぉ!」
道行く人は変なものでも見るような眼で通りざまにちらっと見ては
苦笑したり動画で撮影したりしていた。
後ろの2人も目の前の光景を見て苦笑いしていた。
ひと先ず僕は財布から降ろしてきた万札を一枚乗っけてあげた。
「おぉ! 見てゼノヴィア! ここでもお慈悲が!」
「な、なんてことだ! 信仰の匂いもしない国で慈悲を貰うとは!
「じゃあ、その慈悲をあげた僕の言う事は聞いてくれるかな?」
「もちろ……な、なんで」
僕らを見た2人は心底絶望した顔をしていた。
「うん!? うまいうまい!」
「うんうん! これよ! これが故郷の味なのよ!」
……頼むから叫びながら食事をするのは辞めて、周りの視線が痛いのなんの。
彼女達は注文したメニューを食べ終わると僕たちの方向に向いた。
でも、イリナちゃんの僕を見る視線には少し、恐怖が感じられた。
「さて、なぜ私たちに接触してきた」
「簡単な話さ。交渉がしたい」
「交渉ね……話だけでも聞こう」
彼女達は渋々、僕の話を聞いてくれた。
「僕たちにも聖剣破壊の任務、手伝わせてくれないか?」
そう言うと二人は驚いたような顔をした。
そりゃ、そうだよね。
対立してる側の奴らに借りを作れば後々厄介な事になりかねない。
あの時あれをやってやったろ? だったらその時の借りを耳そろえて返せや!
みたいな感覚。
相手に弱みを握られればその時点で戦争なんかはゲームオーバ。
さあ、どう出る?
「そうだな。一本くらいは君たちに任せてもいいかもしれない」
「ちょ、ちょっとゼノヴィア。いくらイッセーくんだと言っても悪魔なんだよ?」
「イリナ、聖剣三本とコカビエルとの戦闘を私たち二人だけで出来るとも思えない」
「だから私達は死ぬ覚悟で」
「生きて帰り、主のために再び戦う。これこそが信仰だとは思わないか?」
「っ! それはそうだけど」
ゼノヴィアっていう人が言っている事に何も言い返せないのか
イリナちゃんはバツが悪そうな表情を浮かべていた。
「それに悪魔の力は借りないさ。あくまでのドラゴンの力を借りるんだ」
そう言ってゼノヴィアさんは僕の腕を見てきた。
今は人間の腕になってるけど今の僕の腕はドラゴンの腕、そして
僕に宿っているセイグリッドギアのこと。
「じゃ、交渉成立で良いかな?」
「ああ、いいさ」
「だったらパートナーを呼ぶけどいいよね?」
「構わないさ」
そう言って僕は木場君に電話をした。
「話は大体分かったよ」
木場君はその後ものの数分でお店にやってきてコーヒーを飲んでいた。
……なんで木場君はこんなにもコーヒーを飲んでるのが似あうんだろ。
「まさかエクスカリバー使いに破壊を承諾されるとはね」
「やはり聖剣計画に恨みを持ってるのね? 教会と――――――エクスカリバーに」
イリナちゃんがそう言うと木場君の表情は硬いものになった。
「でもね、あれのお陰で聖剣の研究は飛躍的に上がったわ」
「研究のためなら被験者を処分していいのか?」
確かに処分はひどい。イリナちゃんも応答にかなり困っている。
するとそこにゼノヴィアさんが割り込んできた。
「その件は私達の間でも最大級に嫌悪されたものだ。その主犯格は
今では烙印を押され堕天使側だ」
「その人物の名は」
「バルパー・ガリレイ。皆殺しの大司教と呼ばれた男だ」
「……堕天使をたどっていけばその男にもたどり着けるのか」
木場君の瞳には新たな決意みたいなものが宿っていた。
さ~てとお話もここまでにして行きますか!
僕たちは店を出て目的のために動き出した。
こんばんわ~