「ん~うるしゃい!」
ガシャン! という何かが粉砕する音が聞こえた。
『は~、相棒。これで何度目だ、目覚まし時計を壊したのは』
寝起きで覚醒しきっていない僕の頭の中にドライグの声が響いてくる。
「んにゅ~眠いもん~」
「イッセー! さっさと起きなさーい!」
「は~い」
母さんの声が一階から二階の僕の部屋にまで響き渡る。
ベッドから起き上がろうとするけど、いつも以上に頭が重くて
体もまるで、鉛の様に重たく感じた。
うぅ~朝はいつも辛い……なのにその辛さがいつもよりも十倍以上
きつくなってる様な……着替えよ。
「………」
『どうした相棒。固まって』
「……いや……気のせいかな?」
日光の光が当たらない位置に行ったら、一瞬、体が楽になったような気がした。
「おっす! イッセーって……なんだなんだ? 眠そうだなこの野郎!」
「んん~おはよ、元山君、松田君」
……頭が痛い……。
家を出た時からずっと、頭痛がしてたまらなかった。
頭痛を抱えながら僕は学校に向かった。
そして教室に入るといつもの通り女子たちと松田君と元山君の戦いが始まる。
いつも通りの時間に、いつも通りの勝敗だったのに……なんでだろ。
心にぽっかりと大きな穴があいたような感じがして仕方がない。
「ねえ……あれ」
「本物よ……」
すると教室にいた何人かの生徒が廊下を見て何やらこそこそと話していた。
僕もその方向を向いてみるとそこには、赤色の髪をしたグレモリー先輩がいた。
ジッとこちらの方を向いて。
「い、今俺見つめられてるんじゃ!?」
「バーカ、お前じゃねえよ! 俺だよ!」
「何を!?」
『相棒、少し話すことがある。人気のいない所に行ってくれ』
「……分かった」
そう言って僕は教室から出て、ほとんど誰も近寄らない旧校舎に足を運んだ。
「どうかしたの? ドライグ」
『ああ、実はな。昨日のことなんだが』
「っ!」
それを聞いたとたんに僕の背筋が凍りついて体中を悪寒が走った。
血圧も下がってきてるんだろう、だんだん立ってられなくなってペタンと
床に座り込んでしまった。
『大丈夫か!?』
「う、うん。続けて」
『あ、ああ。それでだ、昨日相棒は堕天使に殺された……はずだった』
「はずだった?」
『ああ、お前が死ぬ直前にグレモリーがやってきてお前を悪魔へと転生させたんだ』
「………悪魔になっちゃった?」
『なっちゃった』
「マ、まじまじか?」
『まじまじまじか』
はい、僕! 人間卒業いたしました。
まあ、それからは普通に授業を受けて友達と駄弁って放課後になった。
悪魔になった影響なのか僕が英語を読むと英語の先生が大絶賛してくれたり
暗い所では身体能力って奴? それが格段に上がったんだ。
それと耳もよくなった。何メートルも離れたところにいる人の会話も聞こえちゃう。
そんな事を考えながら昨日、人間の僕が殺された公園とは
別のところにある公園に立ち寄ってベンチに座った。
「は~、まさか僕が悪魔とは」
『仕方があるまい。そうせねばお前は死んでいたんだ』
「今度お礼に行こうかな。悪魔にしてくれてありがとうございます?」
『それは……相棒』
「ん?……ま、また」
ふと、顔をあげるとそこには黒い翼を生やした堕天使のおっちゃんがいました。
「まさかこんな所でお前のような存在に会うとわ。お前の属している主の名を言え」
「え、えっと……あ、悪魔になりたてです」
「つまりはぐれか。なら狩ってもなにをあるまい」
そう言っておっちゃんは光の槍を一本作って僕に投げてきた。
「ひぃ!」
僕は慌ててベンチから離れるとベンチに光の槍が直撃して砂ぼこりを
たててベンチが消滅した。
「し、し、死ぬ! 絶対に死ぬ! 無理無理無理! 勝てないよ!」
「逃げる気か? これだからクズは困る」
「クズでごめんなさい!」
僕はそう叫びながら逃げようとするけどドライグにまた怒られた。
『馬鹿野郎! 俺を使え!』
「で、できないよ!」
『良いから使え!』
「何をごちゃごちゃ言っている!」
おっちゃんは新に槍を生成して僕に放ってきた。
うわぁ! またおっちゃん投げてきたし! ええいままよ!
「ブ、ブーステッドギア!」
『Boost!』
そう叫ぶと僕の腕に真っ赤な籠手が装着され音声が辺りに響き
僕の体の中で何かが膨れ上がると同時に全身から何かが発せられて、
その何かに当てられた光輝く槍が一瞬で砕け散った。
え? え? い、いったい何が起こったの?
おっちゃんもこの事態を想定していなかったのかかなり驚いた表情をしていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……さ、さよならー!」
「待て! 逃がすものぐぁ!」
い、今がチャーンス!
何か堕天使のおっちゃんにすんごい衝撃波みたいなのが
ぶつかって動きを止めている隙に僕はもうダッシュで逃げた。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。し、死ぬかと思った」
『相棒、頼むから戦ってくれ、ぐず』
何故かドライグは泣きながら僕にそう訴えかけてきた。
「だ、だってあんな強そうな堕天使と戦ったら絶対に!
それこそ確実に死んじゃうよ!」
『そうならない様に俺がいるんだよー!』
なんだか最近ドライグの一言一言が哀愁に満ちてきている。
「あ、いたいた、兵藤君だね」
「いぎゃー!」
突然、聞こえてきた声に僕は反射的にその場から逃げてしまった。
「ちょ! まっ!……すみません、部長。逃げられてしまいました」
「ふふ、構わないわ。祐斗、見つけてくれてありがと」
そう言い紅色の髪をした女性が僕の家に近づいて
行っている事に気付きもしなかった。
いつも通りの時間に目覚ましのけたましい音が聞こえてきた。
「うぅ、時計」
けたましい音を止めるべく布団の中から腕をヒョイッと出してベッドの
頭のうえらへんを動かして言っている最中にかちっという音が聞こえ、
時計のアラームの音が止められた。
時間がたつとアラームは自動的に止まる……でも、今のカチっていう
音って誰かが止めたってことだよね?
恐る恐る布団から顔を出して外を見てみると―――――――。
「おはよ、イッセー。寝顔も可愛いわね」
紅の髪に惚れぼれするように綺麗な笑顔を浮かべた学校のアイドルでマドンナの
リアス・グレモリー先輩が座っていた。
…………え、えっと。
「なんでぼくの部屋に」
「イッセー! さっさとおき」
最悪なタイミングでお母さんが部屋に入ってきてしまった。
「…………」
母さんは何も言わないまま、バタンと扉を閉めて不自然くらいに音を
立てずに階段を下りていき、そして一階で何やらギャーギャ―叫び始めた。
「ふふふ、朝からにぎやかなお家ね」
嫌、にぎやかなお家にしたのは先輩が原因であります!
「いただきます」
なんだかんだいってグレモリー先輩は普通に僕の家の食卓に入っていた。
それを母さんと父さんは珍しいものでも見るかのようにジッと見つめていた。
「とても美味しいですわ、お母様」
「は、はぁ~。それはどうもありがとうございますですわ」
母さん、それは言葉じゃないよ。
「そ、そのお嬢さんはどちらさんかな? イ、イッセー」
あ、明らかに父さんが動揺している……あんなに冷静な父さんなのに。
「あ、これは失礼致しましたわ。私としたことが
自己紹介をし忘れていたなんて……グレモリー家の恥ですわ」
先輩はそうブツブツとつぶやくとお茶碗をおいて自己紹介をし始めた。
「改めまして、リアス・グレモリーです。
イッセーくんとは良い先輩後輩ですわ」
「嘘だ!」
母さん、もうそのあり得ないような事に出くわした時に
ひ●●しネタをするのはやめようよ。
どれだけハマったとしてもだよ。
まあ、それからは先輩の自己紹介をして学校に向かった。
……一緒に。
「もう無理」
教室に着いた時には既に僕のエネルギーはきれていた。
だってしつこく皆が質問に来るから。
どうしてお姉様と一緒に登校してきたの!? とか色々な事を
一気に訊かれたから色々と疲れた。
『まあ……なんだ。おめでとう』
おめでとうじゃないよー!
『良いじゃねえか。女がいっぱいいるんだ。以前の宿主の中には
俺のドラゴンの特性を使って毎日違う女を抱いていたぞ』
僕はそんな事には興味ありません!
『……相棒は少し欲を持とうな』
すると教室の所々から黄色い声が上がってきた。
僕も気になって顔をあげてみるとそこにいたのは
学校でイケメンと名高い木場祐斗君がいた。
「やあ、部長……じゃなかった。グレモリー先輩から通達だよ。放課後、
旧校舎のオカルト研究部に来てだって」
「は、は~」
そう言い木場君は教室を去っていった。
こんにちわ~