校舎内に入ると警備の人なのか、甲冑を着た悪魔の方が何人も壁沿いに
横一列に並んでいて、僕たちの姿を見るや否や全員が頭を下げた。
部長は周りの光景をもう慣れた感じでスタスタと歩いていくけど
僕とアーシアさんはなんか僕たちも頭を下げないとだめな感じがして
ずっと会釈しながら歩いていった。
やっぱり、部長は普段から召使の皆さんにこうやられているんだろうな。
歩くこと数分、皆が止まったので僕も止まると目の前には先ほどと
同じように警備の人がドアの両脇に立っていて部長の顔を見ると
すぐにドアを開いた。
「な、何これ」
ドあの中に広がっている光景は普段、見ている会議室とは
まったく違う光景が広がっていた。
床には赤いじゅうたんが轢かれ、部屋の真ん中あたりには大きい
丸テーブルが置かれ、天井にはどうやってつけたのかシャンデリアが設置されており、
それぞれ三種族のお偉いさんが中央に円卓を囲うようにに座っており、
壁に沿って会長が先に座っていた。。
「やあ、よく来てくれた。座ってくれ」
サーゼクス様に言われ僕たちは用意されていた座席に座り会議が始まるのを待った。
「よし、全員来たようだし。始めようか」
「ええ」
「俺も良いぞ」
「よし、ではこれより悪魔、天使、堕天使の三大勢力による会議を行う」
サーゼクス様のその言葉が会議が始まるきっかけとなった。
対談が始まってから約30分くらい経った。
さっきからシステムやらユグドラシルやらなんちゃらで
専門用語ばかりで頭がこんがらがりそうだ。
「さて、そろそろ俺たち以外に世界に影響を与えそうな
奴らに意見を聞こうか。まずは白龍皇、ヴァーリ、お前は世界をどうする」
アザゼルさんに言われて立ち上がったのは僕よりも年下の様な
風貌をした青年だった。
「俺は強い奴と闘えればいい」
アザゼルさんは納得したかのように首を縦に振った。
「だろうな。赤龍帝、お前はどうする」
不意に僕に質問をぶつけられて焦ってしまった。
「え、えぇぇ!? 僕にも聞くんですか!?」
「当たり前だ。お前は二天竜の片割れを宿しているんだ。現にお前は
コカビエルを圧倒しただろ? 報告は受けてるぜ」
それを言った瞬間、堕天使さん達のお偉いさん達と
天使さんのお偉いさん達が驚いたように少しざわめき始めた。
そのざわめきはすぐに消えたものの室内は妙な空気になっていた。
「え、い、いやでも僕は世界をどうこうできるほど強くは」
「まあ、そう言うな。俺達の考えは『今回の赤龍帝は手を出す必要は無』
それが見解だった。だがまあ、それは大きく外れたわけだ。
お前だって護りたいもんぐらいあんだろ?」
……確かにある。
部長や朱乃さん、木場君や小猫ちゃんやアーシアさん、他にも
学校の友達も全て護りたい。
「僕は別に世界をどうこうする気はありません。楽しく
オカルト研究部の皆と生きていければそれで構いません」
「んじゃ~私事になるがお前は目標はあるか?」
アザゼルさんにそう言われ僕は考えたけど目標なんかなかった。
いや、作る気はなかった。
「……ありません」
「目標があった方が強くなれるぞ」
「目標――――――」
その時、旧校舎で何度か経験したことのある感覚が全身に広がり、
僕はすぐさまセイグリッドギアを起動させて、一回だけ倍加した魔力を
爆発させた。
時間が停止してから数分後、室内ではサーゼクス様とミカエルさんが
慎重な趣で話をされていた。
僕は今、窓の外を見ている。
窓の外にはローブを着た大勢の魔法使いの姿があった。
「イッセーくん、どうやら下僕で動けるのは君と僕とゼノヴィア、
そして部長だね。お偉いさん達はみんな動けてる」
木場君の言うとおり僕たち以外の皆は座ったまんま……
停止しているという事にすら気付かずにいるんだろう。
「そうみたいだね。でも、まさかね」
「僕も安心しきってたよ。三組織のトップが来るから何も起こらないって。
でも、その考えは甘かったね。現に来てしまった」
視線を移すと小猫ちゃん達が停止した状態でそこにいた。
まさか朱乃さんまで停止するなんて。
「ま、そう考えるのも仕方ねえさ」
アザゼルさんが僕たち二人に話しかけてきた。
妙にこの人は余裕綽々だな。
すると新校舎がグラグラと、揺れ始めた。
「攻撃を受けてんだな。いつの時代も和平を結ぼうって
時は攻撃を仕掛けてくるもんさ」
「今、この校舎全体に私とミカエルで結界を張った」
サーゼクス様の声が聞こえ、そちらを向いた。
「作戦は決まったよ。ギャスパーくんは旧校舎にいる
みたいだからね。キャスリングを使いたいんだが」
「駒は部室にあります」
キャスリング――――それは王と戦車の位置を瞬間的に入れ替えることができるもの。
確か旧校舎には最後の駒である戦車の駒が残してあるって聞いている。
こんなことを予想していたらしいけど……。
「よし、じゃあグレイフィア。私の魔力方式で何人飛ばせるかな?」
「ここでは簡易術式でしか展開できそうにありませんのでお嬢様と
後もう一方が限界かと」
「なら僕が行きます」
僕は真っ先に手をあげて名乗り出た。
「ふふ、だろうね。分かった、君とリアスに任せよう」
よっしゃ! ギャスパー君、待っててね。
すぐに助けに行くから!
「おい赤龍帝、これ持っていけ」
「兵藤一誠です」
そうは言いながらも僕はアザゼルさんが投げてきたものを受け取った。
なんだこれ?
アザゼルさんから投げられたものは指にはめるようなリングだった。
「それは神器の力を抑える力を持つ。ハーフヴァンパイアを
見つけたらそいつをはめてやれ」
「了解です」
グレイフィアさんの術式を待っている間、サーゼクス様と
アザゼルさんが話しこんでいた。
「アザゼル、神器を集めて何をしようとしていた」
「ん? ああ、備えてたんだよ。つってもお前らからの攻撃じゃねえぞ。
とある組織からの攻撃だ」
「その組織とは?」
「カオスブリゲード。簡単にいえばテロリストだ」
どの時代にもテロリストはいるもんだね~。
「そして最も厄介なのはその組織のトップだ。そいつは最強の龍だからな」
………最強の龍と言って思いつくのはあの子なんだけど……まさか、
彼女がテロリストの親玉なんて。
『そう、彼がカオスブリゲードのトップです』
突然室内に知らないところの魔法陣が展開された。
「グレイフィア! すぐに二人を飛ばすんだ!」
「はっ! 二人ともご武運を!」
そう言うことで僕らは飛ばされた。
魔法陣の光が消え、目の前に映ったのは旧校舎にある
部室で、椅子に縄で拘束されたギャスパー君とローブを着た
人たちが何人もいた。
「っ! まさかここに来るとはね!」
「悪魔が!」
僕達が飛ばされたのは普段使っている部室なんだけど今は
不気味なローブを着た魔法使いに占領されていた。
「部長! イッセー先輩!」
「良かったわ、ギャスパーが無事で」
部長はギャスパーくんの無事を確認してホッと安心していた。
「おろかね貴方達は。こんなハーフヴァンパイアを下僕にするなんてね!」
「ぎゃっ!」
っ! な! 抵抗できないギャスパーくんを一方的に殴るなんて!
既にセイグリッドギアはギャスパー君の力に対抗するために魔力を爆発させてから
ずっと起動させてあるから結構、倍加は進んでいる……。
「堕天使の領域内にこいつを放り込んで神器を暴走させれば幹部くらいは
始末できたものを。本当に貴方達はバカね」
『Boost!』
僕の怒りに反応してかは分からないけど魔力が辺りに放出され
部室がある旧校舎の壁がミシミシと軋んでいた。
「馬鹿は貴方です。ギャスパー君は道具なんかじゃないです……大切な仲間です。
ギャスパー君、僕が渡した奴は」
「口の中に」
ギャスパーくんは舌を使って僕に頬張っていた飴玉サイズの物を見せてきた。
おぉ、結構度胸があるんだね……僕だったら不審者が来たらすぐに
ビビりまくって腰が抜けちゃうんだけどね。
「じゃあ、こいつらをやっつけようか。ギャスパー君の力が必要なんだ!」
「はい!」
ギャスパーくんが僕が渡した奴をかみ砕いた。
するとギャスパーくんはさっきまでいた場所にはいなかった。
時間が止まったんだ……アザゼルさんの言うとおり赤龍帝である僕の血を
ギャスパー君が飲んだら一定時間はセイグリッドギアを操れるみたいだね。
魔力を爆発させた状態の僕でもほんの一瞬だけ意識が止まった……気がする。
「ど、どこに行った!」
室内全域に視線を張り巡らせると――――――
チチチチチというコウモリの鳴き声が聞こえてきた。
次の瞬間、赤い瞳をしたコウモリが次々に魔法使いたちに襲いかかっていく!
おぉ! ギャスパー君変身できるんだ!
「クッ! 変化したのか!」
毒づく彼女達はコウモリに向けて魔法を放とうとするが足元を
何かに引っ張られ大きく体勢を崩した。
「な! か、影が!」
「吸血鬼の能力か!」
彼ばっかりに任せるわけにはいかないね!
「アスカロン!」
『Blade!』
「そして!」
『Boost!』
倍加させてからの! 今までに倍加させた分を合わせて!
『Transfer!』
アスカロンに力を譲渡すると刀身が紅色に輝き始めた。
う、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
こ、これってまさかあの特撮の必殺技じゃん!
うっはー! カッコいい!
『ぐすん』
ドライグのかなり上ずった声が僕の頭の中に響いて
僕までなんだか、悲しい気持ちになってしまった。
「ギャスパー君!」
『はい!』
僕が声をかけるとコウモリの赤色の瞳がさらに
怪しげな光を発して光って、魔法使いたちの時間が停止した。
「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇ!」
僕がアスカロンを振るうとものすごい衝撃波が放たれて魔法使いたちは
何も出来ぬまま部室の壁を突き破って飛んでいった!
……壁に穴があいちゃったけどこれは不可抗力だもんね。
「よっし!」
『やりましたね!』
辺りのたくさんのコウモリが嬉しそうに踊っていた。
「よくやったわ二人とも。さ、帰りましょう」
ギャスパーくんが元の姿に戻ったのを確認した部長は
僕達を連れて玄関から出た瞬間!
「わっ!」
「きゃっ!」
「けほっ!」
何かが地面に落下して土ぼこりを盛大に上げた。
埃が晴れるとそこにいたのはアザゼルさんだった。
「こんなところで反旗か? ヴァーリ!」
空中には白い鎧を纏ったヴァーリさんがいた。
どうもっす。
今、中間テストの勉強の休憩中ですわ。
はぁ~。中間テストはあるわ、校外学習はあるわ、公募制推薦はあるわ…
3年ってこんなに忙しかったっけ?