ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life28

「そうだよ、アザゼル」

まばゆい光を放ちながら白龍皇が一人の女性とともに

地上へと降り立ち、僕達の目の前に現れた。

す、凄い魔力を感じる……。

「もしかしてあの弱そうな彼が赤龍帝?」

「ああ、そうだよ」

するといきなり腹を抱えて笑いだした。

「アハハハハハハハ! 歴代最強の赤龍帝が現れたって聞いたけど

まさか、あんな魔力がチョビットしかない赤ん坊だったとわね!」

そっか、さっき譲渡の力で全部なくしちゃったからね……ぐすん! もう慣れたもん!

そうは思いつつも、やはり目からは涙がチョビットだけ出てくる。

「あまり笑わない方がいい。カテレア程度じゃ、倒されるぞ」

ヴァーリの言ったことにさらに、カテレアさんは大きな

笑い声を辺りに響かせた。

「はははは! あんな魔力も感じないような

子供に負けるはずがないじゃない!」

うぅ……そこまで言わなくても良いじゃないですかー!

カテレアさんは僕から隣にいるアザゼルさんに視線を移した。

「さて、アザゼル。貴方には死んでもらいます」

「おいおい馬鹿を言うな。今まだ神器についての研究が山ほどあるんだ」

「安心してください。新世界では神器などというものは作りません。

いずれは北欧のオーディン達にも動いてもらいます」

にんまりと口角をあげた後、アザゼルさんは吐き捨てる。

「それを聞いてお前らの目的にますます反吐が出そうだ。

ヴァルハラ!? アース神族!? 横合いからオーディンに掻っ攫われるつもりかよ。

というよりもな俺の楽しみを奪う奴らは……消えろ」

するとアザゼルさんがポケットから短剣を取り出した途端、

光り輝きながらその形を変化させ始めた。

カテレアさんはその輝きを見て驚きの表情で顔を染め上げた。

「アザゼル! 貴方まさか!」

「バランスブレイクっ!」

一瞬の閃光の後、そこにいた者は金色の装甲を身にまとっていた。

バサッと漆黒の12枚の翼が展開され辺りに黒い羽が散らばる。

カ、カッコいいぃぃぃぃぃぃ!

「そ、そこの少年が目をキラキラさせて貴方を見てるわよ」

「ん? あらかたカッコいいとか思ってんじゃねえの?」

僕はブンブンと音が鳴るくらいに首を縦に振った。

めっちゃかっこよすぎだろぉぉぉぉぉぉ!

ドラゴンに黒い翼が生えたみたいで超かっこいい!

ヴァーリはアザゼルさんのその姿を見て、まるで幼い子供が

面白そうなものを見つけた時のように笑い声をあげた。

「はははははは! 流石はアザゼルだ!」

「行くぜ? カテレア」

「なめるなっ!」

特大のオーラを纏ってカテレアさんがアザゼルさんに突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。

2人がすれ違ったかと思うとカテレアさんの体から鮮血が吹き出し膝をつき

女性の後ろには長い距離の地面が抉れていた。

「これほどまでに差があるのね……蛇で強化したにも

拘らず……ですが、ただでは死にません!」

そう叫ぶと女性の腕が触手の様に変化してアザゼルさんの腕に巻きついた。

「あ? なんだこりゃ」

アザゼルさんは腕に巻きついているものを取ろうとしてるけど一向に取れない。

「あれは自爆用の術式よ!」

部長の言ったことに僕は驚きを隠せなかった。

自分の命が惜しくないの!?

「とにかくここから離れるわよ!」

部長が慌ててギャスパーくんの手を引き、空いている手で

僕の肩をもって離れようと走り始めた。

「あっそ」

そう言って肩をすくめながら光の槍で自分の右腕を肩から切断した。

切断され、地面にボトッと落ちた腕は塵となって消えていった。

う、うげぇ! ま、まじかよ!

「っ! 正気ですか!?」

カテレアさんもアザゼルさんの行動に驚きを隠せないでいた。

「片腕程度ならてめえにくれてやる」

刹那、カテレアさんの腹部にアザゼルさんの光の槍が貫き一瞬にして塵になって消えた。

それと同時に金色の鎧も消え去った。

「流石はアザゼルだ」

そう言いながらヴァーリはアザゼルさんの近くに歩み寄っていった。

「闘うか? 片腕でもお前とは戦えるぜ」

……え、えっと2人が戦ってくれるなら僕はお邪魔なので帰ります。

そのまま僕は帰ろうとすると……。

「どこに行く気だい? 赤龍帝」

ヴァーリの声が僕を呼びとめた。

お願いだから帰らせてよ!

君みたいな強そうな相手はめちゃくちゃ強い

アザゼルさんに頼めばいいじゃないか!

ヴァーリは失望したような表情を浮かべ、さらに続けた。

「君は本当に普通だね」

しかし、ヴァーリの顔が失望した顔から嬉しそうな表情へと変わる。

「だが、君はコカビエルを倒した。これを聞いた時、俺は歓喜に打ち震えたね。

あれほど弱いといわれている赤龍帝がコカビエルを倒したんだ。これで

ようやく俺も戦いを楽しむことができる。俺は今、全身が戦いたくて

うずうずしているよ。君だってそうだろ?」

「そ、そんな事ないですよ。僕は」

「でも、ドラゴンの腕は正直だ」

ヴァーリが僕のドラゴンの腕を指差しながらそう尋ねる。

僕もその方向に視線を向けると――――――。

「ッッッッ!」

いつの間にか封印が解けた龍の腕がまるで僕に戦えとでも言っているかのように

ぴくぴく動いていた。

それに彼の言うとおり僕の全身の血液は、沸騰するくらいに熱くなっていて

目の前の相手と戦いたくて仕方がなかった。

「さあ戦おうじゃないか赤龍帝! 己の感情を解き放て!」

「うぅぅぅぁぁぁぁぁ!」

「イッセー!?」

僕は感情に動かされるまま目の前の相手に殴りかかった。

なんだか分からないけどもう止められない!

「はぁぁぁぁぁぁ!」

向こうも拳を打ち出して来てお互いの拳が直撃した瞬間、

辺りに凄まじい衝撃波が拡散して地面を抉った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ! それで良い! さあ! 楽しもうじゃないか!」

『Boost!』

「うらぁぁぁぁぁぁぁ!」

僕はもう一発、彼にお見舞いしてやろうと振るったが彼は空に

浮かび上がりそれを避けた。

空を切った拳は地面にあたり巨大なクレーターを生みだした。

「おぉぉぉぉぉぉぉ! バランスブレイク!」

その単語を発した瞬間、籠手全体が赤色に輝きはじめ宝玉からも

凄まじい光量の光と音声が、夜の学園に響いた。

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

僕の叫びとともに魔力が辺りに放出され、地面に大きな穴が開いた。

『BoostBoostBoostBoostBoost

BoostBoostBoostBoostBoost

BoostBoostBoostBoostBoost!』

僕の魔力がBoostにより増大していくにつれて、僕の近くの

地面から大きな穴が開いていき、遠くの方の地面にはヒビが入った。

ヴァーリはその光景を見て歓喜の声をあげる。

「ははははははは! やっぱり今回は当たりの

様だ! 魔力の増幅の振り幅が異常だ!」

「うらぁぁぁぁぁぁぁ!」

「っ!」

僕はヴァーリが動き出すよりも前に莫大な量の魔力を足に送り込み、

それで生み出した速度で動きだし顔の側面に

拳を打ち込み地面に直撃させた。

僕が殴った部分の鎧が砕け散って、ヴァーリの顔の側面が見えた。

「がはっ! はははははははは!」

「あははははははははははは!」

彼は殴られて痛みもあるはずなのに、高笑いを上げ始め

僕も彼につられて大笑いを始めた。

もう何が何だか分からないや。

『DividDividDividDivid

DividDividDividDivid

DividDividDividDivid!』

『BoostBoostBoostBoostBoost

BoostBoostBoostBoostBoost

BoostBoostBoostBoostBoost!』

魔力は減ったり増えたりを繰り返しながら凄まじい速度でループし始めた。

「あはははははははははははは!」

「はははははははははは!」

僕は高速で動きだしヴァーリに殴りかかるけど彼も同等の速度で動いてそれをかわした。

「見えてるんだよ!」

僕は魔力を足に流し込んで赤色に輝かせるとそのまま高速でUターンして

彼の胴体に蹴りを入れようとする――――――けど、彼も予測していたのか

真っ白な籠手から巨大な魔力の塊を撃ちだしてきた。

蹴りと魔力の球がぶつかり合い辺りは凄まじい閃光と爆風に襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

おいおいおい、俺はいったい何を見てるんだ?

怪獣映画でも見てるのかよ。

あいつらの攻撃がぶつかり合うたびに地面に巨大なクレーターを作り出していく。

そんな穴がもういくつも出来上がっていた。

2人は姿が消えたかと思うと別の場所に現れて殴り合いまた消えると

別の場所で殴り合う。

そんなむちゃくちゃ激しい戦闘を繰り返していた。

「イッセー! もう止めなさい! これ以上したら貴方は戻れなくなってしまう!」

俺の隣で紅髪の女性悪魔―――――リアス・グレモリーが叫んでいた。

「止めとけリアス・グレモリー。もうあいつに

お前の声は聞こえねえよ。どちらかが倒れるまで戦い続ける」

「貴方は黙ってて! イッセーは! イッセーなら私の声で止まってくれる!」

そう言うとあいつは二人が戦っている場所へと走っていった。

「あ、おい! あの馬鹿!」

俺はリアス・グレモリーを追って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「うぁ!」

「がはぁ!」

お互いの拳が鎧を砕き、同時に飛ばされて地面に直撃した。

もう既に僕の鎧も彼の鎧も、ボロボロで鎧の役目は果たしていなかった。

「はぁ、はぁ。君のパワーはルークにプロモーションしなければ

一般人以下だ。だがスピードはバランスブレイク状態の俺を超えている」

「はぁ、はぁ。そっちのパワーは異常に強いね。殴られるたびに意識が飛びかけるよ。

くはははははは! でも楽しいなぁぁぁぁ! こんな楽しい戦いがあるなんて

知らなかったよぉぉぉぉぉ! もっと闘おうよぉぉぉ!

ヴァーリくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」

「ハハハハハハハハハハ! 兵藤一誠ー!」

僕らと拳がぶつかろうとした瞬間

「そこまでだよ、君たち」

僕とヴァーリはお互いに方向を真逆に変えられてまったく違う所に激突した。

慌てて振り向くとそこにはサーゼクス様がいた。

「はぁ、はぁ。サーゼクス・ルシファーか……分が悪いな。帰らせてもらおう」

彼は白い閃光となって空へと飛び去った。

「待ってよ! まだ戦いは終わってないじゃないか!」

僕は籠手からあり余った膨大な魔力を球状にして彼に撃ちだそうとしたけど

目の前を紅色の髪をした女性が壁のように立ち塞がった。

「もう止めなさい! イッセー!」

「退いて下さいよ~。楽しいんですから」

「っ! 馬鹿!」

直後、再生しかけていた顔の部分の鎧の上からたたかれた。

「貴方が学校を、皆を傷つけてどうするのよ!

これじゃあただのテロリストと一緒じゃない!」

っ! 部長……泣いてる。

「貴方はリアス・グレモリーの眷属なのよ! こんな失態は許さない!」

今まで沸騰するくらいに暑かった体中の血液が徐々にその温度を下げていった。

「すみません、部長」

この一言で今回の戦いは幕を閉じた。




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