放課後、僕は木場君に言われたとおり旧校舎にあるオカルト研究部の前に立っていた。
でも、オカルト研究部と言えばあの美人が多く集まっている部活で入ろうとしても
特殊な審査らしきものがあるらしき、今まで誰も入部出来た者はいない。
確か今の部員の数は数人だったはず。
「入るべきか、入らないべきか」
『そこは入るべきだと思うが』
「だって入ったら絶対に何か言われるじゃん……うん、帰ろ帰ろ」
という訳で僕が帰ろうと後ろを向くけど一向に前に進めなかった。
「……兵藤先輩。帰らないでください」
「こ、小猫ちゃん。制服を引っ張らないで」
後ろを振り向くとそこにはムスッとした顔で僕の制服の裾を
掴んでいる塔城小猫ちゃんが立っていた。
毎度ながら凄い力だ。
「……さ、こちらへ」
僕はそのまま無理やり部屋に入れられて椅子に座らせられるとそこには
グレモリー先輩と木場君……後は……名前が分からない美人な先輩がいた。
「あら、あなたが兵藤君ね。私は姫島 朱乃(ひめじまあけの)ですわ」
「あ、手伝いますよ」
「あらあら、良いですのよ」
「いえ、そんな訳にはいきません」
そう言って僕は朱乃先輩のお手伝いをしているとどこからかグレモリー先輩も
部屋にやってきて全員集合となった。
「貴方は悪魔になったの。分かるかしら」
この前に聞いたドライグの話によると悪魔の世界には有能な種族の物を
イーヴィルピースと呼ばれるもので悪魔に転生させて、己の下僕として
手に入れることが一種のステータスとなっているらしい。
「は、はい。そこんところはドライグから聞いてます」
「ドライグ? 誰かしら」
グレモリー先輩はとても不思議そうな顔をしていた。
「こいつの事です」
そう言って僕は神器を発動させるとなぜかみんな驚いたような顔をした。
「イ、イッセー。なんでセイグリッドギアを使えるの?」
「え、えっと幼いころから僕とドライグは話していたんです。
でも話すだけでこの力を使うのは初めてですけどね」
「そう……まあ良いわ。これからよろしくね、私の可愛い下僕さん」
「はい! 頑張らせていただきます!」
部長は朗らかに笑みを浮かべながら僕にそう言った。
こうして僕はグレモリー先輩の下僕悪魔になりました。
「……お久しぶりです。兵藤先輩」
「ハハ、久しぶりだね。小猫ちゃん」
ちなみに小猫ちゃんとぼくは顔なじみだったりする。
「はぁ、はぁ、はぁ……なんでこうなるの!?」
こんばんわ、今僕は必死に自転車を漕いで契約者さんのもとに向かっています。
本当なら魔法陣を使ってバビュンと契約者さんのもとに行けるんです。
……が僕まだ悪魔になりたてのせいか、魔力がダメダメクラスしかないので
飛べなかったのでだったら自転車で行こう!
という事になって漕いでるんですが……遠すぎる。
「はぁ、はぁ……やっと着いた」
自転車をこぐこと三十分、ようやく依頼者さんのお家に着いた。
「んん!」
僕は自転車から降りて、インターホンを押すと女性の声が聞こえてきた。
『あ、新聞なら結構です』
「……って違います! 悪魔です! グレモリー先輩の悪魔です!」
「……悪魔なら飛んでくるんじゃないの?」
何故かドアを少し開けたまま小さな隙間からこっちを覗いてる。
めちゃくちゃ怖い絵面だな。
「な、なりたてなもんで」
「入って頂戴」
「お邪魔します……く、臭ぁ!」
入ったとたん、僕の鼻孔を通って凄まじい悪臭が鼻の穴に入ってきた。
な、なんだこの匂いは! っていうかこの部屋何!? 汚すぎて床が見えないよ!
廊下には大きなゴミ袋らしきものがズラッと並べられ、
居間らしき部屋に案内されるとそこはもう見るに見かねる惨状だった。
食品は食べ残したまんまで放置され、アリがわんさか集り桜吹雪の様に生ゴミ袋からは
子バエが溢れ出していた。
「ひぎゃぁぁぁぁぁ! む、む、虫ぃぃぃぃ! 虫は嫌だぁぁ!」
「うるさいわね~。ほっときなさいよ」
「嫌だぁぁぁ!」
『Boost!』
無意識のうちに神器を呼び出していた僕はBoostを一回かけて魔力を辺りに
拡散させてアリやら子バエやらどっぷり太ったゴキブリを一斉に燃やしつくした。
「うわぁぁぁぁぁぁん! 虫は嫌だぁぁ!」
「ちょ! あんた落ち着きなさいよ!」
こうして僕は契約者さんに止められてようやく落ち着いた。
「うぅ、ぐす! 片付ける」
「は?」
「こんな部屋片付けてやる!」
そう言い僕は床に散乱している洗濯物やら、ゴミやら食べカスやらを、一斉に
片付け始めた。台所に行くともう生ゴミが、何年も放置されているような悪臭を
出していたのでどうにかして、片付けると洗濯物、食器洗い、掃除から何から何まで
全部、契約者さんを無視して掃除し始めた。
「ふぅ~綺麗になった!」
大体3時間程、かけて僕は契約者さんのお家を普通に住めるくらいにまで片付けた。
「……す、凄いわね」
「何でこんな汚い所に住んでるんですか?」
「……ぐす」
そう言うと、いきなり契約者さんが泣き始めた。
なんで!?
僕が宥めて訳を聞くと今から1か月前、高校生の時から付き合っていた
彼氏が浮気をしたらしい。それも一目惚れだとか言って一方的に
別れを告げて出ていったらしい。
「それでね! 私との数年間はなんだったのって聞いたらなんていったと思う!?」
「さ、さあ~?」
契約者さんはかなり興奮気味に僕に迫ってきた。
「そんなもん知るかだよ!? 今まで尽くしてきたのに! たった
一回しか会わなかった女に私は負けたのよ! それからは何事もやる気がでなくなって」
「そんな事が……確かに、彼氏さんは悪いです」
「でしょ!? 仕方無いのよ」
僕の意見に契約者さんは開き直るけど僕は続ける。
「でも、その後はあなたが決める事です。いつまでも前の恋愛を引きづってると
本当の運命の人が見えないですよ? 失恋したならきっぱり諦める!
その別れられた彼氏が後悔するような良い女になれば良いんですよ!」
「………私もう一回頑張ってみようかな」
その後はずっと契約者さんのケアに回りました。
翌日の放課後、部室に行くと不機嫌そうな顔をした部長がいました。
「イッセー、前代未聞よ」
「え、えっと何がでしょうか?」
「契約をした後に感想を書いてもらうんだけど……まあ、聞くよりもこれを見て頂戴」
部長は机の引き出しから一枚の紙を取り出して机に置き、僕に見せてきた。
『よかった』
「これは?」
「それよりも次を見て頂戴」
部長は僕に感想の一覧の様なものを見せてくれるとその一番上に、
昨日僕が担当した契約者さんの感想があった。
『イッセーくんのお陰でふっ切ることができました! イッセーくん!
良かったら今度家に来てね! 料理作っちゃうんだから!』
「あ、あのこれは」
「さっきの感想を書いた人と昨日あなたが担当した人は同じ人よ」
「え? ……う、嘘ですよね?」
「本当よ。契約者を復活させてどうするのよ」
部長はかなり呆れているのか大きなため息をついた。
悪魔の夜のお仕事は契約を取り、代価を貰うこと。
それが悪魔のお仕事らしく、僕がやったことは模範的な回答から見れば
ゼロ点をつけられるくらいのことらしい。
「す、すみません」
「ふふ、まあ良いわ。これからもがんばって頂戴ねイッセー」
「はい!」
部長は少し、呆れ気味に笑いながらも僕を許してくれた。
翌日の朝、なんとか太陽が出ている日中でも、
いつも通りの力に近い状態で動けるようになった。
なんでも悪魔は太陽の光、そして聖なるものに弱いんだって。
「んん~。眠いな~」
「ひゃん!」
突然、女性の声が聞こえてきたので聞こえてきた方向を向くと
何もないところでこけているシスターさんがいた。
大事な事だからもう一回言うよ、シスターさんがいます。
「イタタタ、あ!」
風が一瞬強く吹いて被っていたヴェールが飛んで行ってしまった。
「とう!」
それを僕はジャンプしてキャッチしてシスターに近づいていった。
「あ、ありがとうございます~」
伏せていた顔が上がり、彼女の顔が僕の目に映ると僕はフリーズしてしまった。
めちゃくちゃ美人です!
どこぞの怖いヤンキーみたいにエセ金髪ではなくて純粋な金色の髪に
グリーン色の双眸が僕を射抜いていた。
逆に僕は射抜かれていた。
「あ、あの~」
「あ、だ、大丈夫!?」
「はいぃ~。えっと、ここら辺に教会ってありますか?」
「あ、うん! 教会ならあるよ、もしかして迷子?」
「はい。ここに来たばっかりで日本語もあまり上手ではなくて」
あ、そっか。
僕は悪魔だから外国の言葉でも日本語に聞こえるんだ。
「良いよ、着いて来て」
そうして僕はシスターを教会に連れていきました
どうも~