「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
アザゼル先生はお湯をバシャバシャ叩きながら大笑いしていた。
集会から帰ってきた僕たちは今、グレモリー家私有温泉に入っています。
「ひぃ! ひぃぃぃ! 腹が割れる!」
わ、笑いすぎだよぉぉぉ!
僕は心の中でおお泣きして現実ではお湯に鼻と目を出して後は
ブクブク言わせながら沈ませていた。
こうしないとどうにかなりそうだから。
「せ、先生。笑いすぎですよ」
木場君が止めに入るも先生は笑う事を止めようとはしなかった。
「いや~悪い悪い。魔王に喧嘩売る奴なんか初めてだからよ!
つい、ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「うぅぅぅぅぅ! 言わなきゃよかった!」
「それは違うぜ」
僕の言ったことにいきなり真面目モードに入った先生が異議を立ててきた。
「お前の目標はそれで良いんだよ。ていうかそれしかねえんだよ。
良いか? お前の強さはどの組織の奴らも認めるほどだ。そんな奴が
最強を目指さないでどうする」
「そ、そこまで僕は」
僕の反論にアザゼル先生はさらに続ける。
「強いんだよ、お前は。ライザー然り、コカビエル然り、ヴァーリ然り。
こいつらは上から数えた方が早いくらいに強い奴らだ。
それを倒す、または互角に戦ってんだ。もっと自信もて」
――――――――これが男子風呂でのお話。
―――――――続いて女子風呂のお話。
……皆さん私――――小猫、よりも胸大きいです。
今、私達は温泉に入ってるのですが……正直一緒にいるのがつらいです。
私の視線にはメロンサイズのおっぱいが揺れていました。
何を食べたらあんなに大きな実が二つも実るのでしょうか。
「ねえ、アーシア」
「はい? 何ですか部長さん」
「あの時のイッセーどうだったかしら?」
「はぅぅぅぅぅぅぅ~」
部長のその言葉にアーシア先輩は顔を真っ赤にしました。
「ふふふ、アーシアさんは正直ですわね。あの時のイッセーくん、
いつもとは違って男らしかったですわ」
朱乃さんも頬を少し赤くして、笑みを浮かべていた。
そこにいる先輩は普段の先輩じゃなくて、年相応な女の子でした。
「流石はイッセーだ。私の子供を産む男だけはある」
こんなふうにいつもゼノヴィア先輩は言ってます。
なんでも悪魔になって信徒時代の制約もなくなったから女の幸せが
欲しいと言い出して何故か子供を、しかもイッセーさんとの
子供を産むという結論に至ったみたいです。
「ふふ、残念だけどイッセーの子供を産むのは私よ、
ゼノヴィア。イッセーは私のものなんだから」
……もうこんな甘ったるい空間にいたくありません。
そう言うことで私は一足先にお風呂から上がって着替えて
出るとちょうど噂の兵藤先輩に遭遇しました。
「あ、小猫ちゃんも今上がったの?」
「……はい」
……あれ? 今なんかいつもよりも間隔が長くなかった?
いつもなら『……はい』なのに今日は長かった。
「あ、良かったらちょっと外で涼みに行かない?」
「………結構です」
うわーん! さっきよりも長くなったよー!
「え、えっと何か怒ってる?」
「……………………………別に」
小猫ちゃんは先ほどよりも長い間隔を開けて僕の誘いを断った。
うわーん! とうとう某女優さんみたいに振られちゃったよ――――――!
次の日の翌朝、全員庭に呼び出されていた。
そこにはジャージ姿で椅子に座っていろいろな資料を見ているアザゼル先生がいた。
「今から俺が言うトレーニングメニューは将来を見据えたメニューだ。
すぐに効果が出る奴もいれば長期的に見ないと出てこない奴もいる。まずはリアスからだ」
先生が初めに呼んだのは部長だった。
「お前は最初から魔力、身体能力、才能。全て高スペックの悪魔だ。
このまま普通に暮らしていてもお前は将来最上級悪魔の候補になるが
将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」
「ええ、もう二度と負けたくないもの」
部長は強くうなづいた。
「ならこのメニューをやれ」
先生は部長に一枚の紙を渡した。
そんな感じでそれぞれにメニューが書かれた紙を渡していったんだけど
………僕は?
僕だけ最後になっても紙すらくれなかった。
「最後はイッセーだが……ああ、来た来た」
先生が空を見上げたのにつられて僕も空を見上げると雲ひとつない
快晴の空に、小さな点があった。
……何あれ?
そんな事を思っていると徐々に、小さな点が大きくなっていく。
そして凄まじい地響きを響かせながら、巨大な存在が僕の目の前に降り立った。
「ド、ドラゴン!?」
「そうだ、ドラゴンだ」
空から地面に落ちてきた点はとっても大きなドラゴンだった。
しかもめちゃくちゃ強そう。
「よくもまあ悪魔領に堂々と入ってこれたものだなアザゼル」
「サーゼクスにはお呼ばれしてきたんだぜ? タンニーン」
先生が言った目の前のドラゴンの名前に僕は聞き覚えがあった。
タンニーン……ってあのタンニーン!?
「も、もしかして元六大龍王のうちの一人だったタンニーンさん!?」
「ああ、そうだ。何だガキ俺を知ってるのか」
僕がそう言うと巨大な目がギョロッと動いて僕の方を見てきた。
『久しいな、タンニーン』
元龍王とあってドライグも懐かしそうな声を出した。
「……気のせいか? 俺は今こいつからドライグの声が聞こえてきたんだが」
籠手が勝手に現れてタンニーンさんに聞こえるように話しかけるが
タンニーンさんはキョロキョロと辺りを見回していた。
「気のせいじゃねえよタンニーン。こいつが今の赤龍帝だ。
そしてこいつがイッセー、お前の先生だ」
タンニーンさんは、僕が赤龍帝であることに驚き、僕は元龍王が
鍛錬の先生であることに驚きを隠せないでいた。
……マジでかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
一瞬、何故か浮遊感を感じた。
「リアス嬢、あそこに見える山を借りる」
上から野太い声が聞こえ、見上げるとそこにはとても大きな口があった。
―――――――あ、僕今口に咥えられてるんだ。
ようやく、その事実に気づくことができた。
「ええ、イッセー! 頑張ってきなさい!」
部長は笑顔で親指を立てた。
「い、嫌だぁぁぁ!」
「ええい! 少し黙っていろ!」
こうして僕はドラゴンに連れられて山ごもりの特訓が始まった。
皆は特撮の番組を見たことがあるかな?
大きな怪獣が町を放射熱線や溶解液で破壊しながら進んでいくよね?
まあ、これは特撮って言ってるんだから特別な方法で撮影してるわけ。
今僕はそれを……実際に体験しています。
「嫌だぁぁぁぁぁぁ! 死にたくなぁぁぁぁい!」
僕は泣きながらタンニーンさんが吐いた巨大な火球を避けると地面に
巨大な穴が開いた。
「こら、避けるな! アザゼルからは俺と戦えと言われてるだろうが!」
「こんなの勝てる筈がなぁぁぁぁい!」
僕はいつものように魔力を足に流し込んで、高速で移動して大きな岩に
隠れて息を殺し、身を潜めてタンニーンさんが過ぎるのを待つ。
「ふぅ~あっち行った」
もう嫌だよぉぉぉぉ~。
ここ数日、タンニーンさんと闘ってるけど勝てる訳もないから僕はずっと逃げまどってる。
もう涙もでまくりで目が腫れて痛い。
「うぅ~嫌だ、なんで僕だけがこんな目うわぁ!」
突然、大きな岩が砕け散ってタンニーンさんが見えた。
「隠れんぼはお終いか?」
目の前にタンニーンさんの大きな口が見えてぱっくり開くと炎が集まってきた。
「※※tauhemnrkeiytrw!」
僕はそんな奇声をあげて気を失った。
「あう?」
「起きたか」
僕が目を覚まして、体を起こすと目の前に巨大な口があった。
「ひぃぃ!」
「もう止めだ」
僕が恐怖で震えているのを見ながらタンニーンさんは残念そうな声を上げた。
え?もう止めって
「お前と闘っていても時間の無駄だ。アザゼルはお前に
期待しているようだが……どうやらあいつの思い込みらしい」
そう言って目を閉じて大きないびきをかいて寝始めた。
止めか……。
僕は憂鬱になりながらもその日は寝た。
「眠ったか……出て来い、アザゼル」
「ん~ばれてたか」
俺はタンニーンに言われて岩から出て、眠っているイッセーの近くに座った。
しかし、よくこの状況で安心して寝れるもんだ。
いつタンニーンが襲ってくるかも分からないのによ。
「アザゼル、俺は正直こいつには失望したぞ。お前は
こいつの何をそこまで評価しているんだ」
「ん? まあ、強いて言うならば可能性かな?」
タンニーンは俺の言っている事に驚いたような表情をしていた。
はっ! まさかこの俺がこんな事を言うなんてな。
正直俺もこいつの何に期待しているのかも分からない、
でもこいつは誰かに惹かれるものを持っている。
「可能性か……まさか、お前にそう言わせるとわな」
俺は眠っているイッセーの頭を撫でながらタンニーンとの会話をつづけていく。
「こいつは既に異常だ。ヴァーリと同じ域にある。だが、完全に
力を出し切れていない。異様なまでの恐怖心がこいつを邪魔している」
「恐怖心……ふん、そんな物ねじふせればいいものを」
「出来る奴と出来ない奴がいる。こいつは後者だ。ま、根気よく
修行してやってくれや。こいつは化けるぞ」
夢を見ていた。
いつも通り、エルシャさんとの夢。
「だいぶ強くなったわね、イッセー」
「………」
エルシャさんはニコニコ笑いながら僕の頭を撫でて、
そう言うけど僕は俯いたまま何も言えなかった。
「ん? どうかしたの? イッセー」
「……僕は強くなんかありませんよ。相手の攻撃が怖くて
攻撃すらできない赤龍帝なんてどこにいるんですか」
「………」
僕の言う事にエルシャさんは何も言えずにいた。
隣にはドライグもいるけど彼も困っている。
「まあ、イッセーは怖がりすぎなのよ。自分に自信を持ちなさい」
エルシャさんは僕の頭を撫でてそう言うけど、僕は僕自身に自信なんて持てない。
そんな感じで数分くらいダンマリをしているとエルシャさんがこう言い始めた。
「貴方の護りたいものは何?」
え? 僕の護りたいもの………。
「護りたいものを護るには力、強さがいるわ。
それでもあなたは最強になる気なの?イッセー」
今日はその言葉を最後に夢が途絶えた。
「起きたか」
僕が体を起こすとすでに起きていたタンニーンさんが目の前にいた。
「……タンニーンさん、もう一回だけ特訓に付き合って下さい!」
僕は覚悟を決めてタンニーンさんに頭を下げてそう言うとタンニーンさんは
大きな翼を広げ、立ちあがった。
「……いいだろう。ここから先は泣くなよ!」
「はい!」
僕は籠手を出し、目の前の大きなドラゴンに戦いを挑んでいった。
おはようございます!