僕は会場から出て黒猫を追いかけていくと大きな森に出た……
のは良いんだけど肝心の黒猫は見失ってしまったうえに迷子になってしまった。
「あっれ~どこに行ったんだ?」
「久しぶりじゃない?」
どこからか声が聞こえてきて、そちらのほうに行くとそこには
小猫ちゃんと黒い着物に身を包んだ女性がいた。
その女性にも猫耳としっぽがあって、どことなく雰囲気が小猫ちゃんに似ていた。
「姉様」
小猫ちゃんが言った一言に僕は驚きを隠せないでいたけど、
ひとまず息を殺して2人の会話を聞いた。
「一匹の黒猫を入れるだけでお姉ちゃんの所に来てくれるなんて感動だにゃん!」
か、可愛い!
お姉さんは手を猫みたいにして可愛くしぐさをした。
やはり、猫又の女性は皆可愛いですねぇ!
「何の用ですか」
それに対して小猫ちゃんは警戒心をむき出しにしてお姉さんを睨みつけていた。
「いやあまあ野暮用なんだけどね。ここで
悪魔さんが大きな催し物を開催してると聞いたにゃん!」
お姉さんの声の調子とは裏腹に、彼女の表情は邪悪さを感じるものだった。
と、そこに一人の人物がおりたった。
「ハハハハハ、もしかしてこいつグレモリー卷属か?」
猿に似た人物が小猫ちゃんのお姉さんの隣に降り立つとこちらを振り向いた。
「お~い赤龍帝さん。俺っちと闘わねえか?あのヴァーリと
互角以上にやったんだろ?あいつが毎日うるさくてよ」
気づいていたんだ……仕方がない。
僕は隠れていた茂みから出て、小猫ちゃんの隣へと立った。
「俺っちの名前は美猴だ!」
姿からして孫悟空の力を受け継ぐ妖怪ってところかな?
「ところで何か御用ですか? 小猫ちゃんに」
「……兵藤先輩」
僕は小猫ちゃんを目の前の二人から護るように立った。
「ふふ、あの時連れていけなかったから今日連れていくにゃん♪」
小猫ちゃんは黒歌さんが近づいてくるたびに僕の服をギュっと握って
体全体を震わして怖がってる。
「やらせるとでも? ドライグ!」
『おう!』
僕の腕に赤色の籠手が現れた瞬間――――――あまりの重さに僕は腕を地面にぶつけてしまった。
両足も若干地面に食い込むほど、体全体が重くなっていた。
「お、重!」
すぐに体勢を立て直そうとしてもあまりの重さに一歩も
その場から動くことが出来なかった。
ど、どうなってるのドライグ!
『相棒、どうやら神器は迷っているらしい』
籠手から僕の頭の中にドライグの声が響いてきた。
『このまま行くか、はたまた別の道に行くかをだ』
「おいおい俺っち達を相手にできる……あ、出来るか。
ヴァーリが言うんだ。二対一で戦っても勝つよな?」
ど、どうしよう……こんな状況じゃまともに……。
そんな事を思っていると空から何か大きなものが地面に降り立った。
「タ、タンニーンさん!」
「よう、お前が出ていくのが見えたんでな来てみればまさかな」
タンニーンさんの姿を見た美猴珍しいものを見たような表情を浮かべ
嬉しそうにはしゃぎ出した。
「おぉ! これはこれ龍王様じゃん! 戦わなきゃ損っしょ!」
「良いだろう。格の差を見せてやる」
美猴は金色の雲に乗り、タンニーンさんは翼を羽ばたかせて空へと昇っていった。
「ん~まあ殺すにゃん♪」
その瞬間、何とも言えない感覚が僕を襲った。
「ここら一帯を結果いで覆ったにゃん♪
どれだけ叫んでも誰も助けは来ないにゃん♪」
その可愛らしい喋り方とは裏腹に小猫ちゃんのお姉さんが言っている事は
恐怖を感じさせるものだった。
「じゃあ、私たちも行くにゃん♪」
突然辺りに黒い霧が発生し、僕たちを囲んできた。
「うぅ!」
「小猫ちゃん!?」
急に小猫ちゃんが口元を押さえて膝をついてしまった。
「むぅ、やっぱり赤龍帝だから効かないのかにゃん?」
や、やばいよ! 神器は動かないし体は重くていつものように高速で
動くことなんてできない!
「んじゃ行くにゃん!」
黒歌さんは魔力の弾を僕に撃ってきた。
けど、いつもなら避けれるんだけど体が重いせいで碌に動くことができず、
彼女が売ってきた魔力弾を腹部にもろに喰らった。
「兵藤先輩!」
魔力弾が直撃した僕はノーバウンドで地面に叩きつけられてしまった。
「何何~? これくらい避けてにゃん!」
さらにもう一発、僕に魔力弾が僕に襲いかかって僕は吹き飛ばされた。
「うぎゃっ!」
僕は魔力弾に吹き飛ばされて、大木に叩きつけられた。
「んもう何~?ヴァーリが言ってたことはなんだったの~?」
……クソ……いつもの状態なら……。
「もう止めてくださいお姉さま!」
そんな事を思っていると近づいてくるお姉さんを
遮るように小猫ちゃんが立ちはだかった。
「こ、小猫ちゃん!」
「貴方についていきますから兵藤先輩には手を出さないでください!」
小猫ちゃんは涙を流しながらお姉さんに懇願し、お姉さんも
満面の笑みを浮かべてそれを了承した。
「ふふ、分かったにゃん♪」
小猫ちゃんはこちらを振り向き、頭を下げた。
「兵藤先輩、ありがとうございました。部長にもよろしくお伝えください」
小猫ちゃんはそう言って黒歌さんに近づいていく。
………だ、駄目だ!
僕はもう何が何か分からないまま、重たい体をどうにかして
動かし小猫ちゃんをお姉さんの方へ、行かせまいと抱きしめた。
「ちょ! 兵藤せ」
「護るから!」
「っ!」
小猫ちゃんは突然の大声に驚いたのか肩をビクつかせた。
「小猫ちゃんを怖がらせるものは何でも壊す! 君が笑っていられるように
僕が君を護るから! だから! だから行っちゃ駄目だ!」
「……馬鹿です。先輩は」
僕の泣きながらの懇願に小猫ちゃんも泣きながら僕に抱きついてきた。
この子は卷族に必要なんだ……どこにも行かしやしない!
「あぁもう! もう少しで白音がこっちに来たのに!」
黒歌さんは怒気を含ませた声を叫び散らし、僕に魔力の弾を撃ってきた。
僕は魔力弾をはじこうとするけど、重すぎて動かせなかった。
―――――――お願い、セイグリッドギア! 動いてくれ! 僕が……僕が
この子を護るんだ! 僕の手で!
そう願った瞬間、籠手全体が紅色に輝きだして辺りが紅色の輝きで明るくなった。
「な、何が起きてるにゃん!?」
籠手から発せられた魔力の波動で黒歌さんが僕に放ってきた
魔力弾が消滅し籠手の宝玉が真っ赤に光り輝いていた。
そして、僕の体も軽くなり今まで以上の速さが出せそうな感じがしている。
「よく分からないけど死ぬにゃん!」
さらに、魔力弾を放とうとして来るが――――――。
「にゃにゃ!?」
僕は普段よりも少ない魔力を足に流し込んで移動すると、黒歌さんは
追いきれなかったのか驚きに顔を染めていた。
す、すごい……前よりも少ない魔力で前以上の速度が出る。
「だったら数で行くにゃん!」
そう言うと、彼女の両手から五発ほどの魔力弾が僕めがけて飛んできた。
「バランスブレイク!」
『Welsh Dragon バランスブレイカー!』
僕がそう叫ぶとともに籠手の宝玉が今まで以上に光り輝き、魔力が放出され
黒歌さんが放った魔力の弾が消滅した。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
僕の叫びとともに辺りに暴風が吹き荒れ、木々が大きく揺さぶられた。
「っ! 凄い魔力だにゃん♪でもでも!」
「はぁ!」
黒歌さんが放ってきた魔力弾を僕は片腕だけで別の方向へと逸らすと
黒歌さんは顔を驚きに染めた。
「にゃにゃ!?」
「集中していてくださいね。僕は」
「っ!? き、消え」
「あまりに早すぎるから。うらぁ!」
「きゃぁ!」
僕は高速で黒歌さんの後ろに移動し、裏拳を入れて黒歌さんを
殴りとばそうとするけど黒歌さんはギリギリのところで腕でガードした。
でも、衝撃まではガードできず数メートルほど後ろに吹き飛ばされた。
「はははははは! 面白いじゃないの! だったら
仙術妖術をミックスした攻撃はどうかにゃん!?」
黒歌さんはどうにかして体制を立て直すと
両手からそれぞれ違う力を放出し、さっきまで放っていた
魔力弾と同じ形にすると僕に向けて二種類の波動が飛ばしてきた。
『相棒、やってやれ』
「うん」
『Boost! Boost! Boost!』
僕は三回、倍加をかけて籠手から魔力の弾を撃ちだすといつも
以上にでかい弾が出てきて黒歌さんの攻撃を飲み込んで彼女の
顔すれすれを通って向こうの山に直撃した。
凄まじい爆音をあげるとともに大量の砂を巻き上げながら、
山が一つ消滅した。
「ハハハハハハハハハハ! 久しいな! この赤の一撃!
それこそドライグを宿した赤龍帝の攻撃だ! 見ろ! 今の一撃で
山が一瞬にして消滅したぞ! ついでに結界も消えた!」
タンニーンさんは今の攻撃を見て、歓喜の声を上げた。
『これが神器の出した答えだ。力ではなく速さを重視した
神器に変わったわけだ。まあ、攻撃も修行のお陰で格段に上がったがな』
「う、嘘! かなりの魔力を込めたのに!」
黒歌さんはさらに何度も僕に魔力弾を放ってくるけど僕はそれを
弾いたり、避けたりしながら近づいていく。
「こんの!」
「遅いよ」
僕は彼女が魔力弾を放とうとした瞬間に、
目の前に高速で移動して彼女の腕を掴んだ。
「―――――ッッッ!」
高速で移動した際の衝撃波が辺りの木々を大きく揺らした。
「二度と小猫ちゃんを連れていくとか言うな。もしも今度
同じ用事で来れば……容赦はしない」
「っ! クソガキが!」
黒歌さんは僕の腕を弾いて、離れるけどその眼には恐怖が宿っていた。
こっちも終わったからタンニーンさんの援護でも!
そう思って飛び立とうとした時、空間に穴が開いて一人の人物が出てきた。
「そこまでです。黒歌、美猴」
だ、誰あれ? 眼鏡をかけてて……あの極大に輝いてる剣って聖剣?
「お前ヴァーリの付添じゃなかったっけ?」
「そのヴァーリから言われてきたんです。あまりにも遅いんでね」
その会話を聞いている僕の隣にタンニーンさんが降りてきた。
「赤龍帝とその猫よ、あ奴には近づくなよ? あいつの持っている剣は厄介だ」
「聖王剣コールブランド。またの名をカリバーン、地上最強の剣です」
タンニーンさんと僕の話に男性が割り込んできた。
男性はもう片方の手に持っている剣を僕に見せながら説明を始めた。
「そしてこちらは最近発見された七本のエクスカリバーの中で
最強のエクスカリバー・ルーラーですよ」
っ!? 最強のエクスカリバーに地上最強の剣!?
や、やばくない!?
「敵の僕たちにそんなに話して大丈夫なの?」
僕がそう尋ねると男性は笑みを浮かべべながら首を縦に振った。
「ええ、私はあなた方の所にいる聖魔剣使いと
デュランダル使いによろしくとお伝えください」
男性がコールブランドを振るうと小さかった穴が少し大きくなり数人が
入れる大きさにまで広がり全員がそこに入って消えた。
その後、悪魔さん達が来て僕たちは保護された。
こんばんわっす