「全く、これだから悪魔の警備は」
ブツブツ言いながらシェムハザが悪魔の警備の甘さに文句を垂れていた。
俺―――――アザゼルはさっきのさっきまでサーゼクスと酒を飲んでいたがさっきの爆音で
酒飲み大会は急遽、延期だとよ。
さっきの魔力……また新しいステージに辿り着いたか、イッセー。
「何をそんなに嬉しそうにしている、アザゼル」
俺の目の前にはでかい図体を小さくしたタンニーンが口角をニンマリと上げて座っていた。
「別に。イッセーが新しい一歩を踏み出したって言うのを聞いてな」
「当たり前だ。俺が鍛えたんだからな」
やれやれ、タンニーンもあいつに結構肩入れしてるな。
すると、俺達がいる部屋に重苦しい空気が流れ込んできた。
「やれやれ、老体を気遣う気配りもできんのか?」
「オーディン」
古ぼけた帽子をかぶり、その白いひげは今にも床につきそうなくらい長く
隻眼の爺……こりゃ、また珍客がおいでなすった。
後ろには鎧を着たヴァルキリーが待機していた。
「で? さっきの魔力はなんじゃ?」
「あぁ、俺の教え子だよ」
「兵藤一誠とか言ったかの?」
知ってんなら聞くなよクソ爺。
まあ、三大勢力が和平を組んだ今じゃ、あいつの名前はあらゆる方面に
知れ渡っているからな。オーディンの爺が知っていてもおかしくはねえか。
「お久しゅうございます。オーディン様」
そこへ、事態の収拾にあたっていたサーゼクスとレヴィアタンが戻ってきた。
サーゼクスは自分が座っていた椅子をオーディンの近くに置き、自分は
椅子には座らずに立った。
おいおい、魔王が立っているなんてどんな光景なんだ?
「全く、このくらい労われんのかの?」
そう言いながらオーディンの爺は俺の方をじっと見てくる。
けっ! 北の主神をなんで俺が労らなきゃなんねえんだよ!
「で? ゲームはどっちが勝つと思うんじゃ?」
その話かよ。まあ、仕方ねえか。
各勢力、この日の為にしこたま重役とか上役を連れてきてるからな。
シトリー卷属とグレモリー卷属の戦い……それほど見ものという訳か。
「さあな……ただ」
「ただなんじゃ?」
俺の脳裏にイッセーが若手悪魔が集まった日に言った言葉が過ぎる。
『最強』
……あいつなら最強になるかもな。
そう考えて俺はコップに入っていた酒をグビッと飲み干した。
生徒会の皆さんとのレーティングゲームの前日の夜、僕は
大きなお庭で一人、夜空を眺めていました。
「……明日か」
明日、匙君達との戦いが始まるんだ……きっと、前までの
匙君とは別人カと思うくらいに強くなっているに違いない。
でも、僕だって鍛錬したんだ……それに約束もした。
部長の夢を妨げるものは何であれ、全てを潰す。
「……兵藤先輩」
「小猫ちゃん?」
そう考えていると後ろから僕を呼ぶ声がしたので振り向くと、そこには
可愛い模様がいっぱい書かれている寝まきを着た小猫ちゃんが立っていた。
……うん、やっぱり小猫ちゃんは癒し系ですな!
そう思っていると小猫ちゃんが僕の膝の上に腰を下ろした。
「こ、小猫ちゃん?」
「……ありがとうございました」
突然、小猫ちゃんは僕にお礼を言ってきた。
別に僕は何も……あ、お姉さんとの事か。
「もしも兵藤先輩が止めてくれていなかったら
私は危うく部長を裏切るところでした」
……きっと、小猫ちゃんも部長の事を護りたいって思っているに違いない。
そうじゃないと先生のトレーニングに取り組むことなんかしないもん。
僕は小猫ちゃんの頭に手を乗せて、頭を撫で撫でしてあげると小猫ちゃんが
僕の胸にコテッともたれてきた。
「……明日、勝ちましょう」
「勿論」
僕たちは約束をかわした。
翌日、僕たちはグレモリー邸の地下にある巨大な魔法陣でスタンバイをしていた。
もうすぐ、僕達がフィールドの転送される時間帯になる。
「お姉様! 赤龍帝様! 頑張ってください!」
ミリキャス様や部長のお母様とお父様も僕達の見送りに来てくれていた。
ここにいないのはサーゼクス様とグレイフィアさんだけ。
でも、その二人はすでに会場のVip席で待っているらしい。
すると、魔法陣が一気に輝きだした。
「いってらっしゃい!」
ミリキャス様の声を聞いた瞬間に、僕たちはフィールドに転送された。
転送の光が収まったのを感じた僕は目を
開けるとそこは、テーブルなんかがたくさん置いてある場所だった。
レストランかとも思ったけど周りにはいろんな種類のお店があった。
本屋もあるし服屋もある。
僕たちはフロアから出ると奥を見渡すとそこには見知ったお店がいっぱいあった。
「まさか、駆王学園近くのショッピングモールなんてね」
『皆様、このたびはグレモリー家、シトリー家のレーティングゲームの
アービター役を担う事になりましたルシファー卷属のグレイフィアです』
確か前はグレモリー家の召使としてだった……今回のゲームの質は違うのかな。
『今、皆さまが転送された場所が本陣となります。そして、今回は特別ルールがございます。
詳しい事は本陣にあります資料に載ってありますのでご覧ください。
それでは、作戦時間です』
僕たちは放送が終わるとすぐに本陣に行くと確かにテーブルの上に
資料が一冊、置かれていた。
部長がそれに目を通す。
「ルールはデパートを破壊しつくさないこと。破壊した場合は
その破壊した下僕が即時失格みたいね」
ふむふむ、つまり僕はバランス・ブレイクはしない方がいいってわけですね。
バランス・ブレイクしただけで僕は周りの物を破壊しちゃうし、
朱乃さんの攻撃も屋上でしか駄目だろうし。
「後、ギャスパーの目も禁止みたいね」
ありゃりゃ、そこまで規制が入りましたか。
それから、僕たちは五分ほど話を詰めて後は自由時間になった。
「こ、これは!」
僕は辺りをぶらぶらしているとふと、ショーケースが目に入り
さらに飾られている物に全ての意識が向いた。
「あのヒーローの限定版フィギュア! こっちはDVD!」
そう、僕が大好きな特撮ヒーローの関連商品がズラーッと並べられていたのである。
目を輝かせながら見ていると後ろから誰かが僕に抱きついてきた。
「イッセー君、何をしているのかしら? あらあら、イッセー君が
大好きそうなものがたくさんありますわね」
「はい! あ~カッコいい! この質量感! まさに本物そっくりだ!」
そう本物そっくり……完全に本物じゃなくて摸したものだから本物じゃないんだよね~。
すると、朱乃さんが僕にさらに強く抱きついてきた。
「朱乃さん?」
「……今日、私はあなたの前で堕天使の力を使います」
っ! ……そうか、朱乃さん……とうとう使うんですね。
「頑張ってください」
「はい!」
朱乃さんは満面の笑みを浮かべた。
―――――定刻だ。
僕たちは集合場所に集まって開始の時を待っていた。
『開始のお時間です。このゲームは三時間のプリッツ形式です』
……短期決戦で終わらせろってことだね。
「さっき言ったとおりにお願いね。行くわよ!」
『はい!』
僕たちの気合いの入った声が辺りに響いた。
こんばんわ~