「こ、怖い!」
僕と小猫ちゃんはフロア内から敵の本陣へと向かっている……んだけど、
通っている場所には明かりがついておらず、めちゃくちゃ怖かった。
「うぅぅ、うにゃぁ!」
歩いていると急に何かをふんづけてそのまま滑って転んでしまった。
イタタ……た、玉ねぎ!?
僕は踏んだのはよく見る玉ねぎだった。
小猫ちゃんは僕のあり様を見て苦笑いを浮かべていた。
「うぅぅぅ! この馬鹿玉ねぎ!」
僕は恥ずかしさの余り玉ねぎを蹴とばすとうまい具合につま先に
辺り、さらにうまい具合に壁に当たって天井へとぶつかった。
「どわぁ!」
「な、なんなの!?」
突然、上から何かが落ちてきた!
僕と小猫ちゃんは警戒していると
その落ちてきたものが起き上がった……って匙君!?
「何で玉ねぎが……ひょ、兵藤!」
お互いに暗いせいですぐには分からなかったけどやっぱり匙君だ!
『Boost!』
僕は籠手を発動させて、倍加を始めた。
『リアス・グレモリー様のビショップ一名。リタイア』
「――――ッッッ!?」
僕は放送の内容を聞いて驚きのあまり何も言えなかった。
まだ始ってから五分しか経ってないんだよ!?
「ギャスパーくんだな」
匙君は嬉しそうにニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。
……そうか、多分会長の事だからこのショッピングモールを利用して
ギャスパーくんの苦手なガーリックがいっぱいある所に誘い込んだってわけね。
「先手必勝!」
匙君が何やら細い管の様なものを
伸ばしてきたから僕は小猫ちゃんを抱えて高速で移動して、かわした。
「速いなやっぱり」
匙君の右腕には黒い蛇が何匹もとぐろを巻いている状態だった。
……以前とは形が違う。鍛錬した成果か。
「小猫ちゃんは女の子をお願い」
「了解です」
小猫ちゃんには匙君と一緒にいた女の子を担当してもらい僕は匙君を向かい合った。
やっぱり、以前とはまるで別人だ。
「兵藤。悪いがお前を倒すぜ!」
匙君は右腕の蛇を何匹も僕に向けて飛ばしてきた。
『Boost!』
二度目の倍加が行われた瞬間、僕は足に魔力を流し込み
高速で移動しながらこっちに来る蛇を避けていく。
……この狭さならいけるね。
「逃がすか!」
僕は匙君から離れるけど、蛇が更に数を増して僕に放たれてきた。
僕はフロアの中をジグザグに動いていき、柱を一周したり
敢えて建物内の同じ個所を何度もグルグルと回りながら蛇を避けていく。
「すばしっこいな!」
さらに匙君は右腕から蛇を増やして動いている僕に直接、狙いを定めてきた。
「ありゃ? 行き止まり?」
「貰った!」
僕が行き止まりで動きを止めた瞬間、大量の蛇が僕に襲いかかってきた。
「終わりだ! 兵藤!」
匙君がそう言った瞬間、突然、大量の蛇の動きが同時に止まった……いや、
止まったんじゃなくてこれ以上前に進めなくなったと言った方が正しいかな?
「な!? どうなってんだ! 動け! 動けよぉ!」
匙君は突然、動かなくなった蛇達を必死に動かそうとしているけど
蛇達は全く動く気配を見せなかった。
「無駄だよ」
「―――――兵藤! てめえ何しやがった!」
「匙君。確かに君のセイグリッドギアの能力は厄介だよ。力を吸うからね。
でも、ここみたいに狭い場所であまり長いものを振り回さない方が良い」
「――――ッッッ!」
匙君もようやく理解したのか、辺りを見回した。
辺りには柱などにグルグルに巻きついた蛇が見えていた。
「お前、わざと蛇に攻撃をせずに周りに絡みつかせるために動きまわってたのかよ!」
「そうだよ。見たところ、もう今の数以上蛇を出すことはできないみたいだし
右腕から蛇を切り離すこともできないみたいだね」
もし、腕から切り離されるならもうとっくに切り離して動けていたはずだ。
なのに、それをしないという事は出来ないんだ。
突如、辺りに何かを殴りつける音が響いた。
不思議に思ってそちらの方を向くと匙君と一緒にいた後輩が膝をついていて、
拳を突き出している小猫ちゃんの姿があった。
……そうか……小猫ちゃんも猫又の力を。
「こんなところで」
ふと、僕の耳に匙君の声が聞こえてくる。
「こんな所で諦めれるかぁぁぁぁ!」
―――――ブチブチブチッ!
匙君は柱に絡みついて動かすことのできない
拳を無理やりに動かしながらこっちを睨みつけていた。
「兵藤! 俺はおまえを倒す! 弱いセイグリッドギアでも
ロンギヌスに対抗出来るってことを見せるんだ!」
さらに匙君の魔力が上がっていく。
休暇を過ごしている際にとある評論家の今回のゲームに関する予想を
纏めていた雑誌を読んでいた。
そこでは匙君のセイグリッドギアは弱いっていうような意味の
ことを話していた。
…………匙君。僕は弱いなんて思わないよ。
『Explosion!』
僕は今まで倍加してきた魔力を一気に爆発させて、籠手にすべて集めると
暗かった辺りが赤色の輝きを受けて明るくなった。
だから僕は全力で君を倒すんだ!
「はぁ!」
「がっ!」
僕は高速で匙君との距離を詰め、彼の腹部に全ての魔力を集めた拳を
ぶつけると、口から血反吐を吐いてダランを腕を落とした。
―――――ガシッ!
「なっ!」
「これで本当にお終いだ」
匙君は右腕で僕の籠手を掴むと、蛇が僕の籠手に絡みついて籠手に集めていた
全ての魔力が徐々に外へと放出され始めた。
ヤ、ヤバい! また魔力が暴走して―――――!
「一緒に逝こうぜ。兵藤!」
「な、なんだ!?」
立体駐車場を経由して敵の本陣へと向かっていた僕――――木場祐斗と
ゼノヴィアは突如、デパートの一角から爆音が鳴り響いたところを振り向いた。
こっちに魔力の波が向かってくる!
「こ、これは!」
真羅先輩や他のシトリー卷族の人たちも逃げようと必死になっていた!
くそ! このままじゃ僕たちまで!
突然、浮遊感を感じた。
「ゼノヴィア!」
ゼノヴィアが僕を空中に投げとばしていた。
僕は彼女も助けようと翼を羽ばたかして下に降りようとするけど
魔力がゼノヴィアやシトリー卷属を飲み込んで、大爆発を起こした!
「くそっ! ゼノヴィア! ゼノヴィアァァァ!」
僕は地面に魔剣を突き刺して、支えとしながら爆風に耐えていた。
この魔力はイッセー君の物だ! でも、なんでイッセー君の魔力がこんな所にまで!
爆風が収まり、すぐにゼノヴィアの所に向かうけど既に彼女の姿はなかった。
『リアス・グレモリー様のルーク、ナイト各一名。シトリー卷属の
ポーン、ルーク、ナイト、同じく一名ずつリタイア』
小猫ちゃんとゼノヴィアか……イッセー君は……ん?
後ろに何かが落ちてきた音が聞こえて後ろを振り向くとそこには
血だらけのイッセー君がいた。
「イッセー君!」
僕は慌てて近寄り、彼の肩を支えるけど彼は
本当にボロボロで自分で立つので精一杯な様子だった。
「ごめ……ん………僕の所為で………皆が」
イッセー君は涙を流しながらそう呟いた。
すると、彼を光が包み込み始めた。
『ルール違反により兵藤一誠様は強制的にリタイヤです』
「そっか………じゃあ、せめて」
『Transfer!』
イッセー君は僕に触れてから、籠手の力を発動して、僕にギフトをくれた。
「後は……お願い」
そう呟いた直後に、イッセー君が転送された。
おはようございます。Kueです。
アクセス数が見やすくなりましたね~。