僕はイッセー君が転送されるのを見届けてから部長達の元へと急いだ。
さっきの放送で真羅先輩が転送されたとは言っていなかった!
つまり、あの爆発の中でも生き残っていたんだ!
僕はナイトの特性である高速移動をフルに使って部長達の元へと急いだ。
「部長!」
「祐斗!」
急ぐこと二分。僕はようやく部長達の元へたどり着いたけど部長達が
いた場所も爆発の被害をかなり受けていてデパートは大きく破損していた。
「さっきの爆発は一体」
「匙がやってくれたのでしょう」
「ソーナ!」
目の前からソーナ様とボロボロの状態の真森先輩が立っていた。
やっぱり、さっきの爆発を完全には避けきれなかったのか。
そういう僕もちょっと、服が焦げてしまった。
「彼の魔力は異常な質をしています。それを外に出せば」
そうか……だから、さっきあんなにも広範囲に爆発が起きたのか。
確かに彼の魔力は異常なほどの質だ。一回の倍加で並の上級悪魔を
超えるほどの魔力に増大する。それが外に出されれば抑える物は
何もなくなり一気に、炎のように広がる……そして、イッセー君は
まだ転生して日が浅い。それも魔力が暴走するのを手伝ったのか。
「ですが、私も想定外の威力でした。まさか、私の下僕までも
巻き込んで爆発するだなんて」
やはりソーナ会長でも彼は完全には把握することはできないのか。
その時、僕の視界に金色のオーラを纏わせてバチバチと音を立て
涙を流している朱乃さんが映った。
「彼の前でこの嫌な力を使って乗り越えようと思ったのに……許さない」
朱乃さんの掌から膨大な質量の雷が辺りに無造作に放たれ、
辺りを無差別に破壊し始めた!
「な、なんて威力!」
ソーナ会長も真羅先輩も朱乃さんの雷を避けるので精一杯で
とても僕たちの攻撃を仕掛けるなんて出来なかった。
「彼を……イッセー君を傷つけるものは私がすべて破壊する!」
さらに朱乃さんの放つ雷の威力が格段に上がった!
「朱乃! 落ち着きなさい!」
部長が止めに入るけど朱乃さんは聞こえていないのかずっと、
何を狙う訳でもなくただ、ひたすら雷を地面に落とし続けていた。
これじゃ、僕たちにまで被害が及んでしまう!
「会長!」
会長めがけて落ちてきた雷を真羅先輩が庇い、雷が直撃した。
「がっ!」
真羅先輩は煙をプスプスと出しながら地面に倒れ、
光が彼女を包み込んで転送された。
「今のはただの雷ではありませんわ。光も含んでいます」
朱乃さんは会長に手に平を向けて雷を放ち、雷が会長を貫いた!
「あ、あれは!」
でも、直撃したはずなのに会長の姿はどこにもなかった。
転送されたのか? ……いや、もしそうだとしたら放送が入るはずだ……
つまり、さっきまでいた会長は幻術か何かで本物はまだ、どこかにいるのか。
僕達を見下ろせる場所にいる可能性が高いね……どこかの屋上だったり。
僕は辺りを見渡してまだ、形を保っている建物を探すと一つだけ見つかった。
「部長。恐らく、会長はあそこにいます」
僕は剣を向けて部長に教えるとすぐに、朱乃さんが雷を撃とうと掌を向けた。
「うっ!」
でも、雷が放たれる前に部長が朱乃さんの首筋に手刀をいれて意識を刈り取った。
「こうでもしないと朱乃まで転送されかねないわ」
確かに……今の、朱乃さんは正気じゃない。
確実に彼女の頭の中にはルールという二文字は存在していない筈だ。
「行くわよ。アーシアは朱乃をお願い」
「はい!」
僕と部長はアーシアさんに朱乃さんを頼んで部長がいる場所へと向かった。
「どうかしら? 私の戦略は」
僕達が屋上に辿り着くと、すぐにその声が聞こえてきた。
「ええ、お陰でプライドはボロボロね。それよりも……
イッセーのために勝つわ。評価は頭には今はないわ。ソーナ、貴方に勝つ」
2人に徐々に魔力が集まっていく。
ソーナ様は水の魔力が、部長には滅びの魔力が。
お互いに手に平を相手にかざすと魔力と魔力がぶつかり合った。
―――――ザブンッ! ザバァァァァァァァァァン!
滅びの魔力によってその分、水は消滅するがショッピングモール中から
水を集めているのか回復が早かった。
「リアス、私の水芸を見せてあげるわ」
姉であるレヴィアタン様は氷の扱いに長け、妹である会長は水の扱いに長けているのか。
こうして見ていると会長は魔力を操る事に長け、部長はパワーに長けている。
僕は何もせずにただただ、二人の戦いを見ていた。
そして決着はついた。
『ソーナ・シトリー様の投了(リザイン)を確認』
こうして僕たちは勝った。
僕が目を覚ましたのは治療ルームだった。
あれだけの傷を治療するのは凄いな、全く。
ゲームは僕たちの勝利で終わったらしいけど、
赤龍帝である僕を失ったことにより評価は下がっていた。
「弱いな……僕は」
「そんなことはないわ」
「部長」
いつの間にか病室に部長がいた。
「貴方は必死に戦ってくれたわ。ただ、私の戦略よりもソーナの
戦略の方が上だっただけ。私もまだまだね」
そう言って部長は悔しそうな表情をした。
確かに、会長の立てる戦略はすごかった。
ゲームは予想外な事が起こることもある。
にしても僕たちは完勝に恵まれないな~。全部辛勝って感じだよ。
「でもね、朱乃と小猫が自分の抱えている物を超えてくれたわ。
こんなに嬉しいことはないわ。イッセーのお陰よ」
部長は本当にうれしそうに笑い、僕の頬を撫でてくれた。
……やっぱり部長は綺麗だな~
そんな風に思っていると誰かが病室に入ってきた。
「中々の強さじゃな赤龍帝」
病室に入ってきた人物は帽子を被り、隻眼で白くて長いひげを蓄えていた。
それに後ろには鎧を纏った女の人も立っていた。
「どれ、一戦やってみるか?」
「駄目ですオーディン様」
僕はその一言を聞き逃さなかった。
オーディン様? ………え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
お、オーディンてあのオーディン!?
「も、もしかして北欧のオーディン様!?」
「そうじゃよ」
な、なんで僕はこんなにもビックな方たちと出会うんだろうね。
ミカエルさま然りサーゼクス様然りアザゼル先生然り。
僕の周りにはすんごい有名な人たちがいっぱいいるよ。
「彼はまだ回復しきっていません」
「むぅ~相変わらず堅いヴァルキリーじゃて……おい、サーゼクスの妹よ」
「はい」
部長はオーディン様に呼ばれてベッドから立ち上がった。
「そ奴は味方にもなれば敵にもなりえる。心しておけよ」
そう言い残して女性と一緒に出ていかれた。
な、なんだったんだ一体。
八月も後半になり僕たちは帰ることになりました。
「また来ると良い。ここを自分の家だと思ってくれたまえ」
部長のお父様は朗らかに笑うけど正直、こんなにも大きな豪邸を
我が家と思うのは庶民には無理です。
「赤龍帝様! また来てくださいね!」
「イッセーでいいですよ、ミリキャス様」
僕らはミリキャス様と分かれて列車に乗った。
そしてその時に視界に映った光景に僕は気づいた。
サーゼクス様とグレイフィアさん、そしてミリキャス様のお姿を見て
僕はあることを確信した。
「そっか、あの方々は」
三人とも幸せそうに笑っていたのだから。
僕はそんな微笑ましい光景を目に収めてゆったりとしていた。
夏休みの宿題はこっちに来る前に終わらせたからね。
すると、いきなり小猫ちゃんが猫耳、尻尾を出して僕の膝に座ってきた。
「小猫ちゃん?」
「にゃん♪」
か、かわえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
余りの可愛さについ、僕は小猫ちゃんをギュッと抱きしめてしまった。
夏休みを冥界で過ごしたことは一生の思い出に残る。
そんな風に考ながら列車からホームに降りるとアーシアさんに一人の男性が近づいてきた。
「アーシア・アルジェント……やっと会えた」
だ、誰? このめちゃくちゃ優しそうな男の方は。
「え、えっと」
困惑している彼女にやさしい男は胸を開いて深い傷を見せた。
アーシアさんはその深い傷を見て何かを思い出したような表情をした。
「あ! もしかして!」
「そうだよ! 思い出してくれたかい?」
「ディオドラ? ディオドラね?」
部長は知っているようだった。
そういえば若手悪魔の会合にこんな人いたっけ。
「あの時は忙しくて話に行けなかったんだ。アーシア」
すると急に膝まづいて手の甲にキスをした。
な、何この光景。
「僕の妻になってほしい。結婚してくれ」
はい、出た~。公開プロポーズ!
長~い秋が始まり、そして僕にとっても転機が訪れる季節になった。
こんにちわ~。感想ください~