「今後二度と教会に近づいちゃダメよ」
只今、僕は部長にお叱りのお言葉を受けています。
シスターさんをこの街にある教会に連れていった後教室へ向かうと再び
木場君に部長からの伝言を告げられ、
放課後、伝言に従って部室に行くと部長に座らされて、お説教が始まった。
「え、えっとですね。いい訳をしてもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ。私が怒らない程度に」
そうは言うが部長のオーラはすでに怒りで染められていて
目つきも普段と比べるとかなり細いものになっていた。
「シ、シスターを」
「イッセー!」
「はいぃぃ!」
僕がいい訳をする前に部長の怒鳴り声が聞こえてきた。
「シスターを送っていたって貴方は言いたいんでしょうけども貴方はさっきまで
どこから光の槍を受けてもおかしくない状況だったのよ! 今の天使と悪魔の関係は
最悪なものになってるわ。シスターと一緒に悪魔がいたというだけで糾弾される。
……ごめんなさい、少し熱くなりすぎたわ」
「は、はい。す、すみませんでした」
ヤ、やっぱり人に怒鳴られるのは怖いよ!
「分かってくれればいいわ。イッセー」
すると真剣な表情をした朱乃さんが部屋に入ってきた。
「部長。大公から討伐の命令が来ましたわ」
はぐれ悪魔、そんな存在がいるらしい。
せっかく下僕にしてもらったにもかかわらず主を殺したり裏切ったりした悪魔のことを
はぐれ悪魔というんだってさ。そう言えばドライグに昔に聞いたっけ。
そんな訳で僕たちは今町のはずれにある廃屋に来ていた。
電灯も全くなく周りは真っ暗。
「うぅ、こ、怖い」
真っ暗なところが苦手な僕はガクガク震えながら小猫ちゃんの腕を掴んで歩いていた。
「……兵藤先輩。動きにくいです」
鬱陶しそうに小猫ちゃんは僕の手を離す。
「ひぃ! こ、小猫ちゃん! 腕を放さないで!」
「ふふ、イッセーくんは怖がりなんですのね」
隣から姫島先輩の優しい声が聞こえてくる。
「は、はい」
「でしたらこう言うのは」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
僕は朱乃先輩がライトを顔にあてて近寄って来たからダッシュで逃げて今度は
木場君の腕にしがみついた。
「イ、イッセーくん。重いよ」
「き、木場君しかいないんだ! お願いだから腕を離さないで!」
「……血の匂い」
いつの間にか廃屋のすぐ近くにまで来ていたようだった。
怖くてほとんど気付かなかった。
「イッセー、いい機会だから悪魔としての戦いを経験しなさい」
「え? ぼ、僕も戦うんですか?」
「当たり前じゃない。貴方はポーンなのよ?」
悪魔の駒(イーヴィルピース)。
悪魔はその昔、天使とのいざこざで純粋な悪魔の同胞を失いその数は激減した。
ただでさえ出生率が低い悪魔はこの事態にさっき挙げた悪魔の駒を使い僕のような
神器を宿した人間を悪魔に転生させてその数を増やそうとしている。
さらに上級悪魔が下僕を持ちお互いの駒を戦わせるという
レーティングゲームというものが流行っている。
「いやいやいや! ぼ、僕は」
「良い匂いがするぞ? 不味そうな匂いもするぞ」
「ひぃぃぃぃ! 出たぁ!」
廃屋の中に入ると声が聞こえ、ジッと目を凝らすと
向こうのほうに物凄い恰好の女性が立っていた。
その格好は上半身は裸の女性で下半身は四本の脚がうねうねしている足だった。
「はぐれ悪魔バイザー! 主の元を離れ己の欲求を満たすために
動く悪魔は万死に値するわ! グレモリー侯爵の名のもとに滅してあげる!」
部長は凛々しく、恐ろしい姿をしている悪魔に向かって言い放つ。
か、かっこいいな~。部長がお姉さまって慕われているのが分かる気がするよ。
「こざかしぃぃぃ! 小娘ごと気がぁぁぁぁぁぁぁ!」
「祐斗!」
「はい!」
部長に名前を呼ばれた木場君は持っている剣を構えた。
次の瞬間には、先程まであった場所に木場君の姿がなかった。
あ、あれ? 木場君が消えた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然、バイザーが叫んだかと思うと腕を切られて血の噴水を出していた。
その足もとにはいつの間にか移動していた木場君がいる。
さらに木場君は追い打ちをかけるように
いくつかのステップを加えながら高速で移動しながらバイザーを切り刻んでいく。
「祐斗の駒はナイト、ナイトの特性はその速度よ」
その動きは徐々に速くなっていき遂には見えなくなってしまった。
「次は小猫ね。あの子の駒はルーク。ルークの特性は簡単よ」
小猫ちゃんはスタスタとバイザーの近くに歩いて行く。
「踏み潰してくれるわぁぁぁぁぁ!」
―――――ドォォン!
バイザーが小猫ちゃんをその巨大な足で踏み潰そうとするけど
小猫ちゃんは片腕だけでバイザーの攻撃を受け止めていた。
「……吹き飛ばす」
小猫ちゃんはそのまま足を一本持つとジャイアントスイングの
要領で振り回してバイザーを床に叩きつけた。
「ガッ!」
バイザーは苦しそうな苦悶の表情を浮かべ肺から息を吐きだした。
「最後は朱乃ね」
「はい、部長。あらあらどうしましょう」
姫島先輩は上品な笑顔を浮かべながらバイザーに近づいて行く。
「ぐぅぅぅぅぅ!」
バイザーは先輩を潰そうとその、巨大な蛇の胴体を叩きつけようとするが
「ふふ、しつけの悪い子にはこうですわ」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
胴体が先輩に叩きつけられる前に雷がバイザーに直撃した。
「朱乃はクイーン、私の次に強い駒よ。彼女は雷を使うから
雷の巫女って呼ばれてるわ。後Sね」
……朱乃先輩はさっきからずっとバイザーに雷を落とし続けている。
どれだけあいつが泣き叫ぼうとも。
朱乃さんが攻撃を止めるころには既にバイザーは戦意を喪失していた。
動かなくなったバイザーの元に部長が静かに近づいて行く。
「最後に言う事は?」
「殺せ」
「そう、さよなら」
そう言ってバイザーは部長の魔力を受けて消滅した。
「あ、あの所で僕の駒はポーンですよね? 何か特性はあるんですか?」
「ポーンはねプロモーションというものがあるわ。キングを
除くすべての駒になることができるの」
なんかすごいのか凄くないのかよく分からない駒でした。
そして僕はいつもの悪魔稼業に戻っていた。
今度こそは契約を取る! と意気込みながらも
まあ、そんな都合よく行くものではなく再び僕は契約者さんを復活させてしまった。
なんでも受験に失敗した人でもう俺は駄目だとか言って首をつりかけてた。
その時は腰が砕けそうになったけど何とか保って自殺を止めた。
そこから話を聞いていったらあら不思議、もう一年頑張るよって。
僕は復活の呪文でも使えるのだろうか?
『相棒の性格上、悪魔稼業は無理だな』
「な、何を言うか! よ、よし! 今日の契約は必ず取ってやる!」
『ほほ~俺は出来ないに500だ』
「出来たら五十だかんね!」
この500とか100というのはいつもしている鍛錬の回数である。
腕立て伏せなどがあるがいつもは100回を5セットやっている。
それだけでもキツイのに500とか死ぬし。
「えっと、ここかな……空いてる」
僕はインターホンを押そうとするとギィっと音がして
ドアが半開きになっていた。
『相棒、俺を準備しておけ』
「う、うん」
『Boost!』
僕はドライグの言うとおり赤龍帝の籠手を発動させて中に入っていった。
「グ、グレモリー家の悪魔で~す。だ、誰かいませんか~」
なんだか知らないけど廊下にはろうそくが
何本も立てられてるし電気をつけようにも点かないし。もう嫌だ!帰りたいよ~!
「あ、あの~だ、誰か~……誰もいないの?」
リビングに入っても誰もいないから今日のところは帰ろう。
―――――ピチャ。
「うわぁ!……あ~びっくりした。下が濡れて……う、嘘」
僕は靴下の裏側を見てみるとそれはただの水じゃなくて赤色をしていた。
その赤色の液体はある一点から川みたいに流れててその源流を辿っていくとそこには
「あぁぁぁぁぁぁ!」
そこには壁に貼り付けられ、無残に斬りつけられたあとから
内臓らしきものが顔を出していたこの家の主であろう人物が貼り付けられていた。
余りのショッキングな光景に僕は腰を抜かしてしまった。
「んん~!? 誰ですか~!? おやおや!? 悪魔君ではあ~りませんか!」
後ろから声が聞こえてきて、振り向くとそこには
白色の髪をした神父らしき男性が立っていた。
「あ、貴方が殺したんですか?」
「ん~ザッツライト! 悪魔に頼ろうなんて人間は屑ですよ!
そんな奴はみ~んな死んじゃえば良いんですよ~!」
な、何この人! く、狂ってる! 悪魔に頼っただけで殺すだなんて。
『相棒、今は十分Boostがかかっている。あいつ程度なら倒せるさ』
む、無理だって! じゅ、銃も持ってるし!
「てな訳でバイチャ!」
「ひぃぃぃ!」
僕はもう無我夢中で急いでその場を離れると壁に穴があいた。
「んん~? おかしいですね~。何で銃声も聞こえないのに避けれんだ?
ま、いっか~殺しちゃいますからねー!」
神父は何かをポケットから取り出し、僕に向けると何もなかったところから
光が吹き出し、それがビームサーベルのような光輝く刀身をつくって、斬りかかってきた。
「わっ! わっ!」
『相棒、落ち着いて奴の剣と銃を見ろ。剣だけに集中すれば銃でやられる、良いな?』
うぅ、こんな所で死にたくないから頑張ってみるけど。
「てな訳でバイチャ!」
「ひぃ!」
僕は情けない声を出しながらギリギリでかわすと神父が銃をこっちに向けてきたから
撃たれる前に手で銃を力いっぱい払って顎を思いっきり殴りつけた。
「ごめんなさい!」
「ぐべぇ!」
―――――バコォォン!
顎を殴られた神父は数歩、後ろに後ずさった。
『やれば出来るじゃないか、やはり少し臆病な方がいい。
臆病であればある程、相手の攻撃をよく見てかわせる』
「い、今のうちに」
「ところがギッちょん!」
「あぎゃぁぁ! あ、足が!」
帰ろうとすると、あの神父に足を撃たれてしまって、
あまりの痛さに動けなくなってしまった。
「たっく、クズな悪魔の癖に調子こいてんじゃねえよ!」
「あぎゃぁ! はっ、はっ!」
神父はまるで木を切る感じで何の戸惑いもなく僕を斬ってきた。
「じゃあ、そろそろ」
「きゃー!」
女の子の悲鳴が聞こえたかと思うとそこにはシスターさんがいた。
こんばんわ~