ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life45

僕は聖魔剣を幾重にも生成しシェルターの様にするとそのなかに卷属達を避難させて

外の様子をうかがっていた。

神殿の崩壊する音が止んだのを確認すると剣を開放し外の様子を確認する。

……完全に神殿は崩壊していた。

例のロンギヌスで創られた結界も各所が砕けていた。

その時、瓦礫を吹き飛ばして出てきたイッセーくんは神殿だった場所に立ち

上を向いた。

「アァァァァァァァァ!」

悲哀がこもった叫び声をあげていた。

我を失ってもアーシアさんを失った悲しみは失わない。

するとイッセーくんがこちらを向いた。

「っ!」

どうしてだか知らないけど――――ただ単に友人にチラッと見られただけなのに

僕は無意識のうちに聖魔剣を作り出して構えた。

その瞬間、龍の腕が聖魔剣の刀身を掴んで剣ごと僕を押し込んできた。

「うあぁぁぁおぁぁ!」

「くぅ!」

僕はそのまま投げられ、かなりの距離まで飛ばされた。

皆、突然の事に何も出来なかった。

「おぉぉぉぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁ!」

「うわぁ!」

イッセーくんは辺りに魔の波動を放出して辺りにいた皆を吹き飛ばした。

「イッセー! 止めなさい! 私よ!」

「うあぁぁぁぁぁ! アーシアぁぁぁぁぁぁ!」

部長の声も耳に届かずイッセーくんは龍の腕を部長に振り上げた。

この距離じゃ間に合わない!

 

 

 

 

 

 

「何やら凄いことになっているな」

「ヴァ、ヴァーリ!」

空間に穴が開き、そこから腕が出てきてイッセー君の龍の腕を掴んだ。

現れたのは白の鎧を纏ったヴァーリだった。

「おぉぁぁぁぁ!」

「ちっ! 美猴!」

「おう!」

ヴァーリはイッセー君の攻撃を避けて、美猴に言うと

美猴抱えていたものを部長に渡した。

「ア、アーシア!」

遠くからで顔までは分からないけど金色の髪をしていたのと

部長の声でアーシアさんだと分かった。

僕も急いで皆の所に行くと確かにアーシアさんだった。

その体には傷一つ付いていなかった。

「イッセー! アーシアよ! アーシアは生きてたのよ!」

部長はイッセーくんに抱いたアーシアさんを見せた。

良かった、これで彼の暴走も。

「おあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「え? イッセー?」

イッセーくんは急に叫び声を上げだしてヴァーリ君に襲いかかった!

「ちっ! 逆効果だったようだな」

ヴァーリはイッセー君の攻撃を避けながら鬱陶しそうに舌打ちをした。

「どういう意味だよ、ヴァーリ」

「簡単な事だ。こいつは初めはあの女を失ったことで暴走し

今はこいつらを傷つけたということで暴走してるんだろう」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「くっ!」

辺りに魔力が放出されて次々に大きなクレーターが地面に空いていく!

このままじゃ全滅だ!

「ヴァーリ! あの状態はどうやったら戻るの!」

「さあな! こいつが命尽きる頃には終わっているだろうな!」

ヴァーリは部長に叫び返しながらイッセーくんが振るう龍の腕をかわしていく。

「伸びろ! 如意棒!」

「うがぁぁぁぁ!」

イッセーくんは伸びてきた棒を翼で弾いて口から大きな魔力弾を吐きだした。

「あっぶね!」

美猴は身をひるがえして魔力弾を避けると、

向こうのほうで着弾した瞬間、広範囲に爆風が広がった。

な、なんて威力だ……この空間自体が揺れている!

「どうするんだ!? ヴァーリ!」

「ひとまずこいつを止めないと俺たちも危ないからな」

『Divid!』

「うぅ! げほぉ!」

ヴァーリが白龍皇の力を使った瞬間、いきなり口から

吐瀉物を吐きだして膝をついた。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!」

「しまっ!」

イッセーくんは動けないヴァーリに向かって口から再び魔力弾を吐きだすが

その魔力弾はヴァーリに直撃する前に別の魔力の攻撃を受け消滅した。

「これはひどい」

「おいおい、暴走なんて御免だぜ」

突然現れた二つの声。一つは普段聞いている声、そしてもう一つは僕たち悪魔の

長の声……サーゼクス様とアザゼル先生が救援に来てくれた。

「お、お兄様! イッセーが!」

「ああ、分かっている。一刻も早く彼を止めないと死んでしまう」

「おい、ヴァーリ。今のあいつに間違ってもDividはするなよ。あいつの魔力の濃さ

半端ねえから取り込んだら一瞬でキャパを超え……その様子じゃしたな」

「それを先に言ってくれ。くらくらする」

ヴァーリはまるで二日酔いの状態に陥っていた。

「にしてもこれは骨が折れるな」

「あぁぁぁぁあぁぁぁ!」

目の前には口からだらしなく涎を垂らし四つん這いになってこっちを

睨んでいる小型のドラゴンと化したイッセーがいた。

「うあぁおぉあっぉあおぁおぉあぉあお!」

イッセーが叫び出したかと思えば右足が

ドラゴンの足になって地面を踏み砕いた。

「おいおい、まさか無意識のうちに代価を払ってんのか?」

「いや、それだと力が上がるはずだが上がっていない。つまり」

「ドラゴンに飲み込まれてるってのか」

「おぎゅぁぁぁぁぁぁぁあおあぉあぁぁぁぁぁ!」

「恨まないでくれ!」

襲いかかってきたイッセーにサーゼクスは滅びの魔力をぶつけて龍の腕を消滅させた。

「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁ!」

「な! 消滅させた腕が!」

消滅したはずの腕がトカゲのしっぽみてえに復活しやがった!

それに伴ってか魔力の量もさっき以上に膨れ上がってやがる!

「あぁぁぁ!」

「ちっ!」

口からこれまた巨大な魔力弾を吐きだしてきたのを期に俺達は

二手に分かれてそれぞれ攻撃し始めた。

「さっさとこっちに帰って来い!」

俺は光の槍で死なない程度にイッセーに突き刺そうとするが赤い鎧に

阻まれ傷一つ付けられなかった。

「固えなおい!」

一度、離れてから何本も槍を作りイッセーに投げつけるが

鎧にある宝玉が怪しく光全ての光の槍が停止した。

「くそ! 赤龍帝のスペックはそこ知らずかよ!」

イッセーは上を向いたかと思うと口のあたりに周りから魔力が集まって来て

一つの巨大な球になっていった。

こんな所であんなもんぶっ放されたらこの空間ごと俺達まで消えるぞ!

「おいおい、勘弁してくれよ」

「うあぁ!」

イッセーの口から放たれたそれは辺りにいた奴ら全員を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、イタタタタ」

一瞬、イッセーくんのあたりから輝きが発せられたかと思うとその瞬間に

爆風で吹き飛ばされた僕は受け身すら取れずにそのまま地面に倒れていた。

「み、皆は!」

辺りを見回すと僕たちは紅色の魔力に包まれていて、皆無事だった。

「ふぅ、危なかった」

どうやらサーゼクス様が滅びの魔力を広範囲に広げて僕達を護ってくれたみたいだ。

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

魔力が晴れると目の前には天に向かって咆哮を上げているイッセー君が見えた。

「いっつ~。どうすんだよヴァーリ!」

「ちっ! いつの時代も暴走は歌によって止められてきた。

だが赤龍帝なんていう歌は存在しない」

「お―――――い!」

するとどこからか声が聞こえてきた。

僕の近くに降り立ったのは天使のイリナさんだった。

何やら超巨大な荷物を持って。

「うわぁ! 聞いていたけど凄いことになってるわね」

「ああ、それでその荷物は?」

「イッセーくんを止められる道具よ!」

僕が尋ねるとイリナさんは自信満々に答えた。

それを聞いた皆はほっと安堵したような表情になっていたが

今の彼を止められるものなんてあるのか?

「そ、それは?」

「じゃじゃ――――ん! 天界中からかきよせてきたアイスクリームよ!」

袋の中身は様々な種類のアイスが入っていた。

………期待した僕が馬鹿だった。

「そんなものでいけるのか?」

アザゼル先生が若干不信感を抱いていた。

「むぅ! 信じてないわね!? イッセー君のアイスクリームに

対する愛情は凄まじいのよ!」

そう言ってイリナさんは一個アイスを部長に手渡した。

「え、えっとこれは?」

「イッセー君に食べさせてあげるのよ! さあ!」

いや、そんな自信ありげに言われても。

「……分かったわ」

部長!?

「可能性があるのならば私はそれにかける!」

部長はいたって真剣な顔でおっしゃってるけど周りにいる皆、

特にアザゼル先生とサーゼクス様、ヴァーリ、美猴は呆れてものも言えなかった。

部長は気合いを入れるとアイスとスプーンを持ってイッセー君に近づいていった。

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁおあぁぁぁぁぁ!」

「さあ、イッセー! 貴方の大好きなアイスよ!」

そう言ってひと口分、スプーンですくってイッセー君の口のあたりに持っていった。

「………ア……イス」

先程まで、誰の声も聞かなかったイッセー君が初めて反応した。

……まさか、アイスで反応するなんて。

「そうよ!アイスよ! まだまだいっぱいあるから安心して食べなさい!」

部長のその一言で吹っ切れたのかイッセー君はアイスを食べ始めた。

「イッセー。もう良いのよ? アーシアはちゃんと生きてるわ。

私たちも無事。だからこっちに帰ってらっしゃい」

「……ぶ……ちょ……う」

直後、イッセー君の鎧がパキンと音をたてて砕け散り元の姿に戻って

部長の膝に落ちるようにして眠った。

……アイスって凄いんだね。

恐らく、ここにいる皆がそう思ったに違いない。




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