『ふはははははははは! ついに最後だ! 赤龍帝よ!』
見るからに悪役の怪人の格好をした敵が高笑いをしていた。
『言った筈だ! 俺は悪を許さない! バランスブレイク!』
ヒーローは悪にそう言い放つとバランスブレイクをして真っ赤な鎧を
身に纏い敵に殴りかかっていった。
おぉぉぉぉぉぉぉ! こ、こんなにも完成度が高いとは!
以前テレビ局で収録した番組の本放送を見て僕は思わず、涙を流してしまった。
「ぐす! 今まで頑張ってきた甲斐があった!」
「イッセーさん! 一生ついていきます!」
僕の隣ではギャスパーくんもこの素晴らしい価値が
分かってくれているのか目をウルウルさせている。
「ギャスパーくん!」
「イッセーさん!」
「「うわぁぁぁぁぁん!」」
僕たちはおお泣きしながら抱き合った。
まあ、分かる通りこの主人公は僕――――兵藤一誠が
主人公の特撮番組が今冥界で絶賛放送中なのである。
「……始まってすぐに大人気みたいです。特撮ヒーロー『仮面の戦士、赤龍帝』」
膝上に座っている小猫ちゃんが詳しく解説してくれた。
なにげに詳しいよね、小猫ちゃん。
「……視聴率は余裕の50%越えで早速子供たちが真似してるみたいです」
大人気なのはこの前に聞いて知っている。
あらすじは伝説の龍と契約した若手悪魔の僕が悪魔に敵対する
敵を倒していくというものである。
大人から見れば単純なんだけど主な年齢層は子供たちだからね。
ちなみに著作権などそこら辺は全部グレモリー持ちである。
これでまた稼ぎ始めたとか。
『喰らえ!ドラゴンキーック!』
主人公が魔力を流し込んで赤色に輝かせた足で敵にキックを入れる。
これまた素晴らしい再限度である。
「このブーステッド・ギアの再限度はすごく高いよ」
「そりゃそうだもん。初回だけ僕で撮ったから」
『はぁぁ!?』
「お、おいイッセー。それまじか?」
先生がめちゃくちゃ真面目な顔で僕に聞いてきた。
「勿論です!夢だったんですよね~。特撮番組に出るのが」
「イッセーさん流石です!」
うんうん、ギャスパーくんはこの価値を分かってくれている。
『赤龍帝!』
そこに普通の私服を着た部長さん…の顔をCGではめ込ませた役者さんがやってきた。
もちろんメインヒロインである。
『喰らえ!』
そこに敵の攻撃が迫る!
だがしかし、高速移動で部長さん……の顔をはめ込んだ
役者さんを僕が助けた。
おぉ~!
『……覚悟しろ!』
『Accel up!』
籠手からそんな音声が流れてくるとヒーローが高速で移動して
敵をどんどん殴っていく。
敵は何もできずじまいでそのまま攻撃を喰らっていく。
「この攻撃は全部一秒間の間に行われてるっていう設定だよ」
地味に木場君も知ってるんだね。
すると顔を真っ赤にした部長がこっちにやってきた。
「アザゼル!グレイフィアから聞いたわよ!
わ、私のヒロイン案を取材チームに送ったのわ!」
「なんだよ~別に良いじゃねえか。ヒロインだぜ?しかも
サブじゃなくてメインヒロインだ。予定では最終話で
2人はめでたく結婚するっていう噂だぞ」
「け、結婚!?……な、なら仕方がないわね」
部長は上手い子と言いくるめられたのに気づかずに
一緒に大画面で鑑賞し始めた。
「にしても幼馴染が有名になるのは鼻が高いわね。ねえ、こんな
特撮ヒーローいなかった!? さあ、地●を楽しみな!」
イリナちゃんもこの特撮番組を楽しそうに鑑賞していた。
「あぁ、いたいた! 昔はよくイリナちゃんともごっこ遊びしたよね!
昔は男の子だと思ってたけど今じゃ美少女だもんね!」
僕の言葉を受けた途端にイリナちゃんは頬に手を当てて顔を真っ赤にした。
「きゅぅぅ~ん。もうイッセー君たら! その笑顔で皆を
堕としていったのね! 堕ちちゃう! 私堕天使に堕ちちゃうぅぅぅ!」
ううぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
イリナちゃんの白い羽が黒と白、交互に点滅し始めた。
ま、まさかこれが堕転の瞬間!?
天使は悪魔のささやきなんかを聞くとこうなるらしい。
「おぉぉ~。大歓迎だぜ、ミカエルの直属の部下だしな」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ! ボスが勧誘してくるぅぅぅぅ!
ミカエルさまお助けをぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
アザゼル先生の部下というものがそんなに嫌なのかイリナちゃんの
翼の点滅は無くなってしまった。
「イッセーさんが有名になるのは大歓迎です!」
「そうだな。我々卷属の名も広まる」
ふふふ、僕の諦めかけていた夢の一つが叶ったよ!
冥界を歩いていたら指を差されるのかな~?
あ、もしかしたらサインを申し込まれたりとか!?
ねえ、ドライグどう思う!?
『どうでもいいですよ~♪』
うわぁ! それ懐かしいネタだね! ……ってそれよりもドライグの
声がいつもよりも落ちている。
後で励ます……うん、励ます。
「イッセー君♪」
「あ、朱乃さん!?」
突然、可愛い声を発しながら朱乃さんが僕の背中にくっついてきた。
「ふふ、この前の約束覚えてます?」
……もしかしてディオドラの時の約束かな?
「ええ、デートですよね?良いですよ、行きましょう!」
「ふふ! イッセー君とデート♪!」
今、僕たちは町にある廃工場に来ていた。
理由はカオスブリゲードの英雄派が暴れているから。
廃工場に入ると殺意と敵意に満ちていた。
「……グレモリー卷属のものか。嗅ぎつけるのが早い」
現れたのは黒いコートを着た男性……その後ろには異形なモンスターが100ほど。
「英雄派ね?私はリアス・グレモリーよ」
「ああ知っているとも。我々の使命はこの町を救うことだ」
相変わらず英雄派の人たちは僕達をまるで汚いものを見るような眼で見てくる。
同じ人間なのにね~……あ、僕たちは悪魔か。
「部長?良いですか?」
「良いわ、ただし後ろの雑魚だけよ」
「了解!」
僕は籠手を発動させナイトにプロモーション後、いつもの高速移動で
気付かれないうちに全ての異形なモンスターを潰した。
カウントが終了と同時に全てのモンスターが地面に落ちた。
この前、ドライグにこの速度を扱える時間を決めた方が良いと
云われ、十秒ほどのカウントをつけてみた。
「な! バ、バカな!」
「何が? 僕たちを相手するならこんな事で驚かないでよ」
「ふふ、見違えたね。イッセー君」
「んじゃ行こうか。高速コンビ」
「オッケー」
僕と木場君が同時に動き出した瞬間、相手の背後にいた大量の化けものが
血を噴き出し、断末魔を上げながら次々と地面に倒れ伏していく。
「な、なんだこれは!?」
僕たちの速度に目がついてこれないらしく、相手は目の前の
状況に驚きを隠せないでいた。
「「はぁ!」」
「がっ!」
僕たちは高速で移動しながら相手に蹴りを入れ、壁にぶつけた。
蹴られた相手はその一撃で意識を失ったのか、地面に倒れ伏したまま
動かなくなってしまった。
「よし、次は」
安心するのもつかの間、僕たちの視界に光り輝く物が見えた。
「光はお任せ!」
イリナちゃんが手に光の力を収束させ、手を横に引くと
光で出来た帯のようなものが僕達を包み込み、放たれた光の槍を防いだ。
「さあ! 皆、早いとこ終わらせるわよ!」
部長のその一声で全員が一斉に相手の排除に動き始めた。
「終了~♪」
僕たちの目の前には気を失い、魔力で拘束されている人たちが倒れていた。
ものの数分で全員を片付け終わった。
しかし、その時――――――。
「ウオォォォォォォォ!」
倒した筈の敵の一人が、叫びをあげながら魔力の拘束を力づくで破り、立ち上がった。
「まだ動くのか!」
僕は高速で移動して殴りつけようと思ったけどそれよりも先に
魔法陣が展開されどこかへと消え去った。
「木場君……あの感じ」
「うん、恐らくは禁手に至ったんだろうね」
その後は色々と憶測が飛び交ったけど所詮憶測は憶測。
結論は出ずにその日はアザゼル先生に相談してみようということで終了した。
どうも、数日ぶりです。
最近、大学が楽しいんですが……朝のバスの列が長すぎて泣きます。
それでは!