翌日のお昼休み、僕は桐生さん、アーシア、ゼノヴィアさん、
イリナちゃん達とお食事をとっていた。
今日は天気もいいから屋上で皆と食べている。
「そう言えばもうすぐ修学旅行ですね」
あ、そっか。僕もアーシアさんが言ってくれる今の今まですっかり忘れていた。
二年生の修学旅行の行先はすでに決まっているらしく昔から、ある場所へ行っている。
無論、朱乃さんも部長も去年に僕たちと同じ場所に修学旅行に行っている。
「あ、そうね~。ねえ、このメンバーで組まない?」
「ふむ、私はイッセーがいればどこの班でも構わない」
「私もです!」
「うん、そうしようか」
僕は笑顔でそう答えるけど桐生さんが何やら僕を変な目で見てきた。
「ねえ、兵藤」
「はい?」
「あんたお箸握りつぶしてるけど」
「あ、あれ?」
桐生さんに言われてお箸を持っている手を見てみると確かに
お箸を握りつぶしていた。
あ、本当だ……もしかしてあの一件の影響かな。
ディオドラの時に覇龍を発動させてからというものの僕は無意識のうちに
色々なものを壊してしまっている。
シャーペンだったり今みたいにお箸だったり。
「ハハ、ちょっと力入れすぎちゃったのかな?」
「ふ~ん。まあ、良いや。ひとまずこのメンバーで決定ね」
翌日、僕は朱乃さんとの待ち合わせ場所のコンビニ前へ向かっていた。
今日は前に言っていた朱乃さんとのデートの日である。
僕はいつもの通りジャージで行こうとしたら先生に全力で止められて
『馬鹿か! そんな格好でデートに行く男がいるか! 俺がコーディネイトしてやる!』
と言われ家じゅうのタンスを探し回ったけど全てジャージだったことに落胆していた。
うん、まあ服なんてどれも一緒だし興味無いしね。
そう言う訳で僕は従来よりも超動きやすいジャージを着た。
「えっと、朱乃さんは」
「イッセー君♪」
「あ、朱乃さん」
「正解ですわ♪」
後ろには可愛いフリルのついたワンピースを着て括っている髪の毛を
下している朱乃さんの姿があった。
か、可愛すぎるだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
僕と同じことを思っているのか通り過ぎていく男性達は
皆、朱乃さんをチラッと見ていた。
な、何このいつもとは違うギャップは!
「ふふ、今日一日イッセー君は彼氏ですわ。イッセーって呼んでもいいかしら?」
「は、はい」
「やった♪」
ボハッ!
僕は心の中で血を吐きました。
その位、今の朱乃さんは可愛すぎる。
す、すごく可愛すぎる。
いつもはお姉さまな感じなんだけど今は年相応というか僕と同い年
ないしは年下にしか見えなかった。
「にしても浮気調査には少し多いわね」
朱乃さんがそう呟くと僕の視界の端に紅髪が見えた。
……何してるんですか部長。
「ふふ、こんなふうに腕に抱きついたらどうでしょうね」
そんな事を想っていると朱乃さんは不敵な笑みを浮かべて僕の腕に抱きついてきた。
直後! 部長が触れていた電柱にヒビが入った!
ひぃ! で、電柱が! 電柱がひび割れたぁぁぁぁぁ!
「撒いちゃいましょう!」
「ちょ! 朱乃さん!」
朱乃さんは急に僕の手をひっぱり走り始めた。
部長達を撒いた僕たちはさっそくデートを開始した。
ブランド服のあるところに行けば「ねえねえこれどう?」とか
「可愛い?」とか言って来てもう心臓はバクバクしっぱなし。
さらに露店でクレープを買うと「おいしいね♥」とか言って可愛らしく
ほほ笑んだり腕に抱きついたりとなんだかもう僕爆発しちゃいそう。
僕たちは楽しくお話しながら歩いてきたもんだから辺りは
「宿泊○円」とか「休憩●円」とか看板がいっぱいあった。
うん、ラブホに来ちゃったね。
「朱乃さん、こっちに」
「イッセー」
「はい?」
離れようとする僕の袖を朱乃さんは可愛らしくつまんで止めた。
「イ、イッセーなら良いよ」
うっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!
『相棒! 気を確かにもて!』
無理無理無理無理無理!もう正気保てましぇーーーーん!
僕は朱乃さんの手を取ってホテルに向かおうとした瞬間に
横から凄まじいオーラを感じて意識を取り戻した。
「真昼間から女子を抱こうとはおぬしもやるのう」
「オーディン様、何故こんな所に」
横に視線を向けるとそこにいたのは相変わらず煙管を口にくわえている
オーディン様とその護衛の女性が後ろに立っていた。
「ふぉっふぉっふぉ。まあいろいろとな」
すると後ろのスーツを着た女の人が喋りかけてきた。
「君たち学生よね?こんな時間から遊ばないで勉強なさい!」
「……オーディン様? 少しは神らしくしたらどうです?」
「ほっほっほ! まさか若造に言われるとわの!」
「わ、私を無視するなぁぁぁ!」
女性は泣きながら僕にそう言う。
「いまどきそんな堅い人はモテませんよ」
「っ!」
僕の言ったことに女性は口を大きく開けて固まってしまった。
……なんか行けないこと言っちゃった?
「うむ、若造よくいった!」
「ふん! どうせ私は色気もなくて年齢=彼氏いない歴のヴァルキリーですよ!」
そう言ってヴァルキリーさんは目に涙を浮かべ、頬をふくらましていじけだした。
こ、この人ヴァルキリーだったんだ。
そんな事を思いつつも朱乃さんの方を向くと
彼女がオーディン様の近くにいたガタイのいい人に詰め寄られていた。
「……あ、貴方は」
「朱乃、これはどういうことだ」
男性は目を見開いて怒っていて朱乃さんは心底嫌な顔をしていた。
「貴方には関係ないわ! なんでここにいるのよ!」
「今は関係ない! お前にはまだ早すぎる!」
「いや離して!」
僕は朱乃さんの腕を男性が掴んだ瞬間に籠手を呼び出し、
男性の腕を掴んだ。
「いやがってるじゃないですか」
「貴殿が赤龍帝か」
「イ、イッセー君」
朱乃さんは僕の腕に抱きつき、体を震わして目に涙をためていた。
「貴方は誰ですか」
とりあえず、籠手はなおして相手に尋ねた。
「今日はオーディン様の護衛で来ている。グレゴリ幹部のバラキエルだ」
朱乃さんのお父様でした。
「ほっほっほ! 来てやったぞい!」
オーディン様ご一行を僕達はVIPルームにお呼びしてお茶を出していた。
あれから朱乃さんの機嫌はさっきまでの機嫌とは真逆ですこぶる悪い。
「お茶ですわ、オーディン様」
「ほっほっほ! 相変わらずデカイ乳じゃのう」
オーディン様は部長の大きな胸を見て、イヤらしい目つきでそう言うと
バシィィィンン! という音が部屋中に響き渡るくらいに強く、ヴァルキリーさんが
オーディン様の頭をはたいていた。
「オーディン様! 神としてしっかりしてください! んん!
ご紹介が遅れました。私はヴァルキリーのロスヴェイセです」
ロスヴェイセさんっていうのか……なんか色々と苦労しているんだね~。
「ところで爺少し早くねえか?」
「まあの、我が国の内情でな」
先生曰くオーディン様は日本の神々と対談をするべくこの国に来たらしく
オーディン様が日本にいる間の警護を僕達が務めることになっているらしい。
「にしても異常じゃの。ここにいる若造達は」
オーディン様は僕たちをグルっと見回してお茶を飲みながらそう言った。
「まあな。歴代最強にふさわしい赤龍帝のイッセー、聖魔剣の木場、
聖剣デュランダル使いのゼノヴィア、ハーフヴァンパイアのギャスパー、雷の巫女の
朱乃、そしてサーゼクスの妹のリアス。これほど異常なメンバーはそうそういねえよ」
「せ、先生。歴代最強は言いすぎですよ」
「そうか~?こっちではそういう見解が多いぜ?なあ、バラキエル」
「……まあ」
先生がバラキエルさんにそう尋ねるとバラキエルさんも渋々、認めていると、
言う風な感じの声音で答えた。
ぜ、絶対この人認めてないよぉぉぉぉ!
だってだって!辺りのオーラが冷え冷えしてるもん!
「んじゃ爺、楽しいところに連れてってやる!」
「ほほぉ~! 楽しみじゃわい!」
「だ、駄目です! わ、私も行きます!」
ヴァルキリーさんは必死にそう言って先生たちについていった。
ロスヴェイセさんは、あの人たちが行くところは大体は予測はついてるんだろうね~。
「朱乃、お前と話し合いがしたい」
「気安く呼ばないで」
キッチンに行っていた僕は最上階に戻る途中で話し声が聞こえてきたから
物陰に隠れて2人の話を盗み聞きしていた。
「赤龍帝と逢い引きをしていたとはどういうことだ」
逢い引きってこれまた古風な言い方ですな~。
「私の勝手でしょ。貴方にとやかく言われる筋合いはないわ」
「噂を聞いている。なんでも奴は魔力を暴走させかねないと聞く。
そんな危険な輩の近くにお前を」
「黙って!」
朱乃さんは怒りのままに辺りに雷を放出しながらバラキエルさんを睨みつけた。
「彼は強い! 貴方よりも何倍も強い! 私には彼が必要なの!
また貴方は私の必要な人を奪う気!?」
「……すまない」
そう言ってバラキエルさんはどっかに行っちゃった。
あの二人に何があったんだろ。
僕は朱乃さんにばれないように、その場を後にした。
こんばんわ!