ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life50

僕が意識を取り戻すと馬車の中でアーシアさんの治療を受けていた。

「……アーシアさん、ありがとう」

「良かったですイッセーさん」

アーシアさんは目に涙を浮かべて喜んでくれた。

「……兵藤先輩」

「小猫ちゃんもありがと」

小猫ちゃんも僕に馬乗りになって手に気を纏い、僕自身の自己回復力を高めていてくれた。

「みんなは」

「外で話しています……白龍皇さんとも」

僕は大体の治療が済んだので小猫ちゃんの支えを借りて

外に出ると既に学校の校庭に馬車はついていた。

夜だからか人の気配は全くない。

グラウンドで何人かの集まりが見えたので近づいていくとヴァーリの声が聞こえてきた。

「赤龍帝はともかくとして、お前たちだけではロキとフェンリルは無理だ」

きっぱりと言い切ったヴァーリの意見に誰も言い返せなかった。

……今の僕の状態でも無理だよ。

するとヴァーリと目があった。

「いや、そういえばこいつは今不調か」

「イッセー! 傷はもう大丈夫なの!?」

「はい、傷は大丈夫です」

「良かった……」

部長は心配そうに言いよってくるが僕がそう言うと本当にうれしそうに笑っていた。

「赤龍帝」

「なに?」

「今ここでバランスブレイクをしてみろ」

……やっぱり、気づいていたんだ。

「おいおい、ヴァーリ。こんな所でしたら潰れちまうぞ」

「黙っていろ美猴。さあ赤龍帝、してみてくれ」

ヴァーリの言葉に部員の皆の視線が僕に集まった。

……もし、ここでバランスブレイクできなかったら今まで以上の不安を

皆に抱かせてしまう……ここは何としてでも成功させる!

「バランスブレイク!」

『Burst』

直後、全身から力が抜け、地面に膝をついてしまった。

やっぱり成功しなかった。

失敗の代償として、タダでさせ少ない魔力がさらに少なくなってしまった。

「やはりな」

「イ、イッセー? どうしたの?」

「分からないんです。この前の覇龍を発動してから全く使えないんです」

皆、僕の状態に不安そうな表情をしていた。

「さて、こいつもこんな状況だ。ここは共同戦線と行こうじゃないか」

「どういう意味かしら?」

「そのままだ。俺は今回赤龍帝と一緒に戦ってもいいと言っている」

 

 

 

 

 

 

 

その後、僕たちグレモリー卷属+イリナちゃん、シトリー卷属、アザゼル先生、

バラキエルさん……そしてヴァーリ達が僕の家に来た。

ヴァーリ達が僕の家にいるっていうのはかなり妙な感覚だ。

「さてまずはヴァーリ、俺たちと共闘する理由は」

そうだよね。まずはそれを知らないと無理だ。

「俺はただフェンリルとロキ、そいつらと闘いだけだ。美猴達も了承済みだ」

やはり、僕とは違うな。戦いの中に面白さを見出しているのがヴァーリ、

戦いのさなかでも恐怖を抱いているのが僕……宿しているものが正反対なら

性格も正反対……か。

「ヴァーリに関しては置いておく。一番の問題はイッセー、お前についてだ」

アザゼル先生の視線が貫いていたものがヴァーリから僕に移った。

「お前はこの前の覇龍発動以来、バランスブレイクが出来なくなっている。そうだな」

「……はい」

そう言うとアーシアが悲しそうな表情をした。

多分、彼女は自分の所為だと思っているに違いない。

だから僕は彼女の手をそっと握った。

「俺の推測にすぎないが恐らくお前は力を使う事に恐怖を抱いている」

「恐怖ですか?」

「ああ、以前の前は覇龍を使い暴走し仲間を傷付けた。

その時の恐怖が心の底にでもあるんだろう」

……こればっかりは自分で乗り越えていくしかないか。

「次にロキとフェンリルの対策だがそれはある奴に訊く」

「ロキとフェンリルの対策を訊く?」

部長の言葉に先生がうなづく。

「そう、あいつらに詳しい奴がいんだよ」

「誰ですか?」

「龍王の一匹、スリーピング・ドラゴンだ」

……っ。龍王か、なんでそんなのが関係してくるんだ?

「ミドガルズオルムか。あいつは俺達の声に耳を傾けるのか?」

「さあな、やってみるだけだ。タンニーンと連絡がつくまでお前らは待機。

バラキエルはちょっと来てくれ」

「了解した」

先生とバラキエルさんはそう言って大広間から出ていく。

「赤龍帝!」

突然、美猴は僕の名を呼んだ。

「屋内プール入っていいか?」

……返す言葉もない。

「痛え! いきなり叩くなよ!」

僕が呆れていると怒った表情を浮かべた部長がどこから持ってきたのか

大きめのハリセンを使って美候の頭を容赦なくたたいた。

「ここは私とイッセーの家よ。勝手な行動は許さない」

「けっ! 堅いこった。仮面の戦士のヒロインのくせに」

「なぁ!」

部長はそう言われるとまた顔を赤くした。

「俺見てるんだぜ? いつもお前が出てきて攻撃されて赤龍帝が

怒って敵を倒す。まさしくスイッチ姫だ!」

「っ! ど、どうしてくれましょうか」

……もう好きにしてくれ。

 

 

 

 

 

 

手に負えない2人を置いて僕はふと辺りを見回すと一組のやり取りが見えた。

「………」

「…にゃん♪」

黒歌と小猫ちゃん姉妹のやり取りである。

小猫ちゃんは警戒心マックスの状態を維持したまま黒歌を睨みつけ

黒歌は妖艶な笑みで小猫ちゃんを見ていた。

「……何してるんですか」

「あら、赤龍帝の少年じゃない。ふふ♪私好みのいい男になったわね」

黒歌の妖艶な笑みを見た瞬間、僕の背筋に冷たい何かが通った

僕は妖艶な笑みを浮かべてじろじろ見てくる黒歌さんの視線に耐えきれずに

何歩か後ずさった。

「ふふ♪でも気弱なのは変わらないわね……ねねね、ちょっと良い?」

黒歌はズズイッと笑みを浮かべながら僕に近づいてきた。

「な、なんですか」

「子供作ってみない?」

………は、はい? い、今何と?子供作ってみない?

子ども、子ども、子ども……な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!

「は、はぁぁ!?」

「私ねドラゴンの子が欲しいにゃん♪しかもとびっきり強いドラゴンの子供。

ヴァーリに頼んだんだけど断られちゃったの♪後はあんただけ。見たところ女性経験

ないっぽいから一から教えてあげるにゃん♪君を男にしてあげる♥」

ううぅ! こ、怖いな。

「お、お姉さまに兵藤先輩は渡しません」

すると、小猫ちゃんが僕と黒歌の間に入った。

「にゃにゃ~♪昔はお姉さまってばっかり言って頼り過ぎていた白音

が私に反旗を翻したにゃん♪」

黒歌さんは楽しそうに笑いながら僕らを交互に見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

先生が帰ってきたあと、僕たちは転移魔法陣を利用して特殊な

結界を使い、ミドガルズオルムの意識を呼び起こすことにした。

先生の召集を受けてタンニーンさんも僕たちのもとへと来てくれた。

魔法陣が輝き、大きな立体映像が出てきたんだけど……で、でか過ぎるでしょ!

立体映像はどんどん大きくなっていきその光景に匙君も口を開けて驚いていた。

『………ぐごごごごごごごごごぉぉん』

で、でかいいびきだなおい!

「たっくまだ寝てるか。起きろ!」

『……懐かしい龍の波動だぁ~。ふああぁぁぁあ~ん』

タンニーンさんよりも余裕で大きい口が大きく開けられた。

な、何でも飲み込めるんじゃないのかな。

『おぉ~タンニーンじゃん。それにアルビオンも

ファーブニルもヴリトラもいるな~。皆懐かしいな~』

………あ、あれ僕たちは?

皆、呼ばれたのに僕らだけ呼ばれてない。

「ミドガルズオルム。ドライグもいるぞ」

『えぇ~? いないよ~』

タンニーンさんの言葉でキョロキョロと辺りを見回すけど

見当たらないらしい。

何往復か目を動かした後にようやく、大きな目が僕を捕えた。

『……あれ~? この子誰~?』

それを聞いた瞬間、僕の眼から涙があふれ出てきた。

ぐす! なんで僕はこうもいじられ役なんだ!

「ミドガルズオルム、こいつがドライグの宿主だ」

『………え~嘘だ~。こんなにちっこいのが赤龍帝~?』

そこからも僕を信用してくれずに説得するのに数分かかった。

 

 

 

 

『な~んだ~。君が赤龍帝なんだ~』

「お前も苦労してるんだな赤龍帝」

「もう慣れた」

ヴァーリに慰められた僕はようやく、涙を止めることができた。

「無駄話はもう良い。聞きたいのはお前の親父と兄弟についてだ」

『う~んとダディはミョルニルでも打ち込んでドカ~んとして~。ワンワンは

魔法の鎖、グレイプニルでガシャンガシャンに動きを止めればいいよ~』

ミドガルズオルムの話を聞いているとまるで、幼い子供と話しているかのような感覚に陥る。

「それは確認済みだ。北欧では効果がないという報告を受けている」

『だったらダークエルフに聞きに行ってみなよ~。そこの長老が

ドワーフの加工品に施す魔術に詳しいからさ~』

「物知りで助かる。ありがとう」

『別に良いよ~。ね~ね~白と赤は戦わないの~?』

「今は戦わない」

ミドガルズオルムの質問に先生はそう言った。

『ふ~ん。今回はどっちが勝つかな~白かな~?赤かな~?

う~んとね~僕の予想は赤だと思うな~』

え、えぇぇ!? ぼ、僕ですか!?

『う~んと何だかわからないんだけど君弱いも~ん』

意味が分からない。というよりも文章がぐちゃぐちゃだ。

勝つと言っておきながら弱いっていうし。

『まあ、頑張ってね~ば~いば~い』

その言葉とともに大きな立体映像は徐々に、小さくなっていき

最終的に消えた。

なんだか子供っぽい龍王様だったな。




どうも~
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