ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life53

「ふふ、可愛い」

何故、こうなった。

今、僕は保健室のベッドで横になりながら部長に頭を撫で撫でされています。

体育の時間、最近の激戦の連続で疲れが抜けきっていなかったのか

体調が芳しくなかったので保健室に来て少しベッドで休ませてもらっていた。

そして目を覚ますと今の状況、という訳である。

「ねえ、イッセー」

「はい?」

「最近はバランスブレイクの調子はどう?」

「っ!」

何度も鍛錬の時間に試しているものの一度もバランスブレイクは成功していない。

アザゼル先生曰く僕の心の深い所に恐怖が芽生えてそれが邪魔してるんだとか。

「すみません、まだできてません」

「そう……イッセー」

「はい」

「当分の間、修行は禁止ね」

「え?」

「アザゼルにも言っておくから。当分の間貴方には契約を取ってもらうわ」

部長は笑顔で僕にそういった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、僕はアーシアさんとともに部室に足を運んでいました。

「いらっしゃいイッセー君。お茶は如何?」

相変わらず美しい朱乃さんです。

まっすぐに髪を下ろしたのも良いけどポニーテールがなんだか一番

朱乃さんっぽくて良いです。

「あ、いただきます」

僕の返事で急須からお茶を淹れてくれた。

「小猫ちゃん」

「……どうも」

相変わらずぶっきらぼうというかなんというか。

まあ、これでも大分明るくなったというか。

「やあ」

出たな!わが校で最もイケメンだと言われている木場君。

大概の男子は彼に敵意を持ってるとか。

それってただの醜い嫉妬じゃない?

「全員そろったわね」

部長のその一言で定例会議が始まった。

 

 

 

 

 

 

「そう言う訳で私が監督役としてイッセーについていくわ」

夜の会議が僕の話になった。

まあ、僕はまだ契約一回も取ってないんだよね~。

すると床に青白い輝きを発している魔法陣が出現し、部室を照らした。

朱乃さんがそれに触れて何かを調べていた。

「部長、イッセーくんでも解決できそうな依頼ですわ」

「そう、じゃあ行きましょうか」

「はい!」

さあ!今度こそ僕は契約を取るんだ!

そして部長を喜ばせるんだ!

そんな決意を胸に僕は部長とともに魔法陣に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

ジャンプした先はアパートの一室らしく、生活感あふれる部屋で

辺りには大量の戦国グッズが山ほど飾られていた。

壁には風林火山と書かれた紙が貼られており周りには行燈なんかが淡い光を発していた。

「うわ!これ凄いよ!初代忠吉じゃん!あの勝海舟が使ってたって

言われてる最上大業物の刀じゃん!うわこっちなんか虎徹だし!」

「よく知ってるのねイッセー」

「まあ、暇人何でネットサーフィンしてたら

某フリー百科事典で調べてたんですよね~」

僕は壁に飾られている刀を見ていくと、隣に鎧兜があった。

「へぇ~鎧兜まで……ん?」

一瞬、兜に穴があいているところに光がともっていたように見えたので

僕はもう一度、目の部分をよく見てみると突然、ギョロッと動いた。

「ぎゃぁぁぁ!」

「どうしたのイッセー!」

「よ、よ、よ、鎧兜が!」

真っ暗な中でいきなり鎧兜の目が前にギョロッと動いたらそりゃ誰だって叫ぶじゃん。

「あの……」

――――――ガシャン。

そんな音を響かせて鎧兜が立ちあがった。

「ひぃぃ! き、斬らないでぇぇぇ!」

僕はもう怖くて怖くて部長の背中に隠れた。

「えっと、貴方が私たちを呼んだのよね?」

「あ、はい。スーザンです」

ス、スーザン!?が、外国人な訳!?それでもこれは集め過ぎでしょうが!

「こんな姿で申し訳ありません。深夜はこうやって武装してるんです」

いやいやいや!こんな真っ暗な中でヌ~ンと鎧兜があったら

どんな極悪人でも逃げるでしょうが!

「それで私達を呼び出した理由は何でしょうか?」

部長がそう言うと鎧兜の奥からクスンクスンと鳴き声が聞こえてきた。

「大学に忘れたノートを一緒に取りに行って欲しいんです」

鎧兜着てれば大丈夫じゃないの?

そんな事を思った今日この頃です。

 

 

 

―――――――ガシャン、ガシャン。

深夜、真っ暗な街を徘徊する鎧兜。

いやいや、僕らがいるんだから鎧は外しなよ。

「おおおおおおおおん」

夜の道が怖いのか鎧兜の奥からそんな声が聞こえてくるけど貴方の方がよっぽど怖いです。

影武者みたいで怨念を晴らせねば!みたいな感じで。

「あ、ここが私が留学している大学です。ね?雰囲気があるでしょ?」

うん、貴方の方が何十倍も雰囲気がでてるんだけどね。

僕はそうツッコミたいのを我慢して大学の学内に

忘れたという大切なノートを取りに行った。

 

 

 

 

 

 

無事ノートを手にいれ僕たちはスーザンさんの自室に戻って帰り支度をしていました。

「じゃあこれで僕たちは」

家に帰ってまずは復習、予習してから赤本して、センターの過去問して。

「あ、あの」

そんな風に家に帰ってやるべきことを考えているとスーザンさんが

もじもじしながら話しかけてきました。

「もしよろしければもう一つ叶えてもらえませんか?」

え~僕は帰って

「いいわよ」

はぁ~。仕方がない、部長さんが言うならば。

「じ、実は…こ、今度同じ大学の彼にアタックしてみようと思うんです!」

ありゃりゃ、僕にはちょっとできない内容ですね~。

「ふふ、良いじゃない。私達を何をすればいいかしら?華やか演出?

それとも一気に魔力でメロメロにしちゃうとか?」

「い、いえ!わ、私の力で何とかしたいんです!」

あ、そこは悪魔に頼るんじゃなくて自分でするんだ……じゃあ、なんで僕たちに?

「じゃあ告白?」

「そ、そんなの無理ですぅ!」

鎧兜がクネクネと右に左に動く。

僕はそれを頭の中で鎧兜ではなく、乙女に自動変換して想像していた。

「じゃあ、ラブレターなんかどうです?」

僕の意見に部長もうなづいてくれた。

「わ、分かりました!か、書いてみます!」

突然、スーザンさんは毛筆セットを机の上に広げ、セットが入っていたカバンの

中から墨と墨を入れるものを取り出し、そこに水を垂らして墨をすり始めた。

いやね、スーザンさん。

今この時代を生きている人間でどこのどいつが恋文を

すずりで墨をすって小筆を持って書くのかな?

というよりも何か妙にマッチしていて合っているのが怖い。

「えっと『然したる儀にてこれ無きの条、御心安かるべく候』」

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ! 貴方はなんで古語で特別なようはないので

安心して下さいってかくの!? 普通は今の日本語を書くでしょうが!」

「え? 駄目なんですか?」

スーザンさんは可愛らしく首を傾げるけど鎧兜越しだからめちゃくちゃ奇妙だ。

「駄目も何も今は古語を使う人はほぼいません! あぁもう! タイムマシンで

貴方を古語を使うのが常識だった時代に送りたい!」

「それじゃあ駄目です! 日本人はサムライの子孫! 礼儀を

もって接しなければいけません!」

「そう言えばこの国でまだ侍に会ってないわね」

部長もスーザンさんの言っている事に共感したのか首を可愛く傾げた。

部長もそのパターンの人ですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!

侍はもうとっくの昔にマゲは落として刀も捨てて商人やら

なんやらに転職しましたぁぁぁぁぁぁぁ!

「仕方がないわね。徹夜で書き方を教えてあげるわ」

言ってることはロマンチックなんだろうけど僕の近くにいるのは鎧武者。

ラブレター……というよりも恋文の書き方講座が今ここに始まった!

 

 

 

 

数日後、僕たちは公園にいました。

目の前には何かの家紋が書かれた旗を何本も立てた本陣に

鎧を着たスーザンさんが座っていました。

こっちにまでピリピリ来る殺気を放っています。

「ねえ、ママあれ何~」

「こら!見ちゃいけません!」

小さなお子様の目を隠して保護者が慌ててその場から離れた。

うん、小さい子は見ちゃだめだよ~。ロクな大人にならないからね~。

でもこんなスーザンがここまで虜になるんだ。きっとめちゃくちゃ良い人なんだよ!

イケメンかな?それとも爽やか系の人?あ!もしかして体育系の人かな?

――――――ガシャンガシャン。

「来たみたいよ」

僕は公園に来たスーザンさんの意中の人を見て地面に手をついて項垂れていた。

「一体何のために僕は今まで」

だってその人は騎士の鎧を着て手にはランスを持っていたんだから。

武士が惚れたのは騎士だってね。

しかもよく見たら頭に矢が刺さってる!

「……この手紙読ませてもらったよ……」

おいおい、頭に矢が刺さってるのはスルーですかい?

「僕ともあろう男が隙を狙われて射抜かれるなんてね」

はい?

僕は騎士の言っている事が理解できなかった。

「僕でよければ付き合って欲しい」

「堀井君!」

―――――ガシャン!

騎士の鎧と鎧兜がぶつかり合った音が辺りに響いた。

「スーザン……」

2人はガシャガシャ云わせながら抱き合った。

もうやってらんない。

結果として二人の仲を一つ上の段階に昇華させたんだけど

その過程が結果に釣り合っていないような……まあ、どうでも良いか。

 

 

 

 

 

 

その後、僕のもとに武士と騎士の中睦まじい写真が送られてきた。

あのラブラブ大合戦……じゃなくて大作戦は一応成功し代価としてランスを貰った。

たまに木場君がそれを持って遊んでる。

ちなみに新聞に落ち武者と落ち騎士がデート!? みたいな記事が出ていた。

もうこういうけいは勘弁してくれ!

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