ある日の休日、部長の顔は非常に険しかった。
さっきから何回も同じ場所に掃除機をかけたり埃が
ないかをチェックするためにウロウロしてる。
「あ、あの部長。どうかしたんですか?」
僕が訝しげに聞くと部長は真剣な面持ちで答えてくれた。
「今日お義姉さまが来るのよ」
お義姉さま? あぁ~グレイフィアさんの事。
そう言えばグレイフィアさんは部長のお兄様であるサーゼクス様の奥方様で
ミリキャス様のお母様、つまり部長からすれば義理のお姉さんという事になる。
「今日グレイフィア様はオフを貰ったらしくこちらに来るらしいですの」
朱乃さん笑みを浮かべながらそう言う。
「へ~オフですか。つまりメイドもオフだと」
「ええ、いつもはグレモリー家に仕えるメイド。娘のリアスとは
主従関係にありますがオフになるとその時はお義姉様になるのです」
「……部長はオフのグレイフィアさんがすごく
怖いらしいんです……すごくチェックが厳しくて」
小猫ちゃんは僕のお膝に座りながらそう言った。
部長にも苦手な人はいる訳か。まあ、僕にも苦手な人はいるけどね。
「イッセー、貴方もキチンとして置いて頂戴。きっとチェックするだろうから」
「は、はぁ~」
すると来客を告げるインターホンが鳴り響いた。
お客さんは……部長の顔色で分かった。
部長は早足で下に向かう。
僕らも部長についていき玄関まで来るとそこには私服のグレイフィアさんと
紅色の鱗がある未知の生き物がいた。
「ごきげんよう皆さん」
と気品あふれる微笑を浮かべつつ丁寧なあいさつをしてくれた。
マジでセレブの人ってごきげんようって言うのか。
そしてグレイフィアさんの視線が部長に移った。
「ごきげんようリアス」
「ごきげんようお義姉さま」
部長も朗らかな笑みを浮かべるけど緊張しているのが見て取れた。
「お久しゅうございますな姫様」
……ずっと気になってたんだけどこのキリンみたいな胴体に東洋の龍みたいな
顔をしている未知の生き物はなんなの?
「おぉ、貴方が赤龍帝殿ですな。お初にお目にかかる。私はサーゼクス様に
お仕えするポーン、炎駆と申すものです」
「あ、初めまして。兵藤一誠です」
めちゃくちゃ丁寧な生き物さんだな。
「イッセー、彼はお兄様に仕える伝説上の生き物、麒麟よ。
久しぶりね、元気そうで何よりだわ」
す、凄い。サーゼクス様は伝説の生き物を卷族にしているのか!
や、やば。絶対にこの人強いじゃん。
魔王様の卷属は皆バケモノゾろいと言われているのもわかるな。
「それでは私はこれで。少しでも幸運を訪れさせれば幸いです」
そう言い赤い霧となって炎駆さんは消えていった。
「そうリアスが迷惑をかけてなくてよかったわ」
「い、いえ! 私はいつも助けてもらっているばかりで」
炎駆さんが帰られたあと、グレイフィアさんをVipルームにお連れしようとしたが
グレイフィアさんが部長の部屋が良いと仰り、今は部長のお部屋でお話し中です。
ちなみに今はアーシアさんとグレイフィアさんが話している。
部長も隣で朗らかに笑みを浮かべているけどどこかぎこちない。
「良いお友達、後輩に恵まれてよかったわ」
オフのグレイフィアさんは何だか怖いってみんな言っていたけど
良いお姉さんじゃないですか。
「後は……殿方だけね」
グレイフィアさんが言い放った瞬間、部屋の空気が一気にピリピリしたものに変わった。
「……いつか来るとは思ってましたが」
何々? 何で小猫ちゃん達はそんな臨戦態勢みたいな事になってるの!?
僕とゼノヴィアさん、イリナちゃんも頭の上に?マークを浮かべている。
「悪魔はただでさえ出生率が危ぶまれています。特に名家の血を絶やす
訳にはいかないのです。貴方にも次世代を担う子の親になってもらいたい。
それが私とお義父様、お義母様の願いよ」
グレイフィアさんは真剣な表情で部長に語りかけていた。
しかし、グレイフィアさんはすぐに表情を緩和させた。
「でも、私もあの一件に関わっているのよね。どうしても貴方達に
想いを乗せてしまう……それ以前に私とあの人も自由な恋愛をしたから」
「お二人のラブロマンスは悪魔の女性にとってあこがれですわ」
なんだか朱乃さんは少し興奮気味に言いよっていた。
「……劇にもなっています」
小猫ちゃんも知っているのか少し興奮していた。
ど、どんな波乱万丈な恋愛をしたんだよぉぉぉぉぉ!
「まあ、リアスも自由に恋愛をすれば良い」
っ! 卓の端から第三者の声が聞こえてきてそっちを向いた。
……………は、はぁ!? サーゼクス様!?
なんと卓の端にサーゼクス様がいらっしゃった。
い、いつの間に……。
「サーゼクス、貴方四大魔王の大事な会議では?」
「私はここから会議に参加しようとね。ここでのリアルタイム映像を
あちらに送れば……痛い、痛いよグレイフィア」
グレイフィアさんは不機嫌な様子でサーゼクス様の頬を引っ張っていた。
すると卓上に三つの小さな魔法陣がでてきて立体映像が送られてきた。
『……ゼクスちゃん……サーゼ…ちゃん……サーゼクスちゃん!
もう!勝手に人間界に行っちゃうんだから!』
魔法少女……いや魔王少女のレヴィアタン様が映像に映っていた。
「すまない、セラフォル―。今私は兵藤一誠君の家にいるのだよ」
『あぁ~! 本当だ! もすもすひねもす~♪赤龍帝君♪』
レヴィアタン様、それだとキャラがかぶっちゃってます。
「ごきげんようレヴィアタン様」
『やあやあ、ごきげんようリアスちゃん』
そして残りの魔法陣からも、顔と声が出てきた。
『サーゼクス、お前が会議を抜けて人間界に行くという事は事件が起きたか
面白いことが起きるかだ。後者なんだろ?』
『え~? めんどいことはやめてよね~』
僕は見知らぬ人の登場に少し、戸惑っていた。
顔は以前の若手悪魔の集会のときに見ているから若干は覚えている。
四大魔王様の残りのお二方だ。
「ああ、イッセー君にはまだ紹介していなかったね。こっちの怪しい雰囲気の
男がアジュカ・ベルゼブブだ。主に術式プログラムの最高顧問だ」
『怪しい雰囲気は悪魔的には良いんだよ。赤龍帝殿、初めてだね』
「あ、は、はい!」
や、やっべ。僕の家に四大魔王様が来ちゃってるよ! まあ、映像なんだけどね。
「そして、そちらのめんどくさそうな顔をしているのがファルビウム・アスモデウスだ」
『どうも……ファルビウムです』
ファルビウム様は頬杖をつきながら本当にめんどくさそうな
表情を浮かべて軽く自己紹介をしてくださった。
なんだかだら~んとしている人だな。
『それでサーゼクス。いったい何が起こるんだ?』
「実はリアスに例の通過儀礼をしてもらおうと思ってね」
『『『おぉっ』』』
何故かお三方がサーゼクス様の言ったことに驚いていた。
何故に?
「はうぅぅぅ……イッセー……どうしましょう」
部長は僕の腕にひっついて来て目を涙でウルワしながら僕を見つめてきた。
うぅ! そんな可愛くアーシアさんみたいにこっちを見ないでぇぇぇぇぇ!
久しぶりの更新ですね。