という訳で僕は今レッドと対峙しています。
正直言うと僕、死ぬかもしれません。
今、僕が戦おうとしているのはレッド――――――その正体は魔王様であるサーゼクス様です。
「イッセーしっかりやりなさい! 貴方なら勝てるわ!」
いやいや、部長さん。貴方も正体を知ったら確実に顔を青ざめますよ。
「ところでイッセー君よ」
「はい」
ふと、サタンレッドが僕に質問をしてきた。
「君は確かバランスブレイクが出来ないと聞いているが」
「はい……ですが手加減は無用です」
『Boost!』
僕は籠手を呼び出し戦闘態勢に入った。
「ふむ、良い魔の波動だ。では私も本気で行こうか」
あちらさんは紅色のオーラを身にまとった。
「さあ、どちらが冥界のヒーローにふさわしいか決着をつけようぞ!」
「っしゃ!」
僕はレッドに向かっていった。
そんな感じで調子よく戦闘を開始してから10分。
「はぁ、はぁ」
「どうした! そんなものか!」
格が違いすぎる!
最高速度ではないとはいえ今まで誰も反応できなかったナイトの
速度を余裕で上回る速度で向こうは移動するしドラゴンショットを撃っても
片手で軌道を変えられるわだし。
「赤龍帝~頑張りなさいな☆」
「サーゼクス相手にバランスブレイクなしで10分耐えられる時点で
君ももう規格外だ。将来が有望だな」
「……ZZZZZZZZ……」
魔王様方(アスモデウス様除く)は応援席で応援してくれている。
だったら即興で考えた技を見せてやる!
「喰らえ!」
僕は何発も魔力弾を細かく撃ちだしていく。
「同じ攻撃は私にはきかんぞ!」
でもそれらは全て辺りに浮いてる消滅の力の球体によってかき消されていく。
今だ!
――――――ズボォォ!
「ほう」
レッドの後ろにいきなり地面からタケノコが生えるみたいにドラゴンの腕が出てきた。
龍の腕は伸ばしたり縮ませたりできるんだ!
さっきの魔力弾は意識をそっちに集中させて地面に潜り込ませた腕に
気付かせないようにするための囮だ!
これなら!
「甘い!」
「っ!」
レッドは後ろを見ずに前を見たまま足を後ろに引いてドラゴンの腕を蹴り飛ばした。
「良い考えだとは思うが少し腕に意識を集中させすぎだ」
つ、強すぎる!これが魔王の力。
『壊せ』
っ!や、やば!
「うぅが!」
「イッセー!? どうしたの!?」
『壊せ壊せ! 覇龍で奴を壊せ!』
や、ヤバい!このままじゃ意識持っていかれて暴走する!
「こんなものか!?」
突然レッドの…いやサーゼクス様の怒ったような声が聞こえてきた。
「君のリアスを想う気持ちよりも破壊欲の方が強いというのか!?」
……だよな。
――――――ドゴォォン!
僕は一発自分の顔面を殴って意識を集中させた。
「お見苦しいところすみません。これで最後です!」
『Boost!』
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
僕の感情に伴い魔力が上がっていく。
「ほう、この魔力量。四大魔王と変わらない量だ。なら私も!」
サーゼクス様の魔力も格段に上がっていく!
これが魔王の力!
「ドライグ! 今持つすべての力をドラゴンショットに乗せる!」
『おう! 任せろ!』
徐々に籠手に魔力が集まっていく。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!フルバーストドラゴンショットォォォォォ!」
僕は今持つすべての力をつぎ込んだドラゴンショットを前方に放った!
「はぇ?」
「ふふ、起きた?イッセー」
僕が気が付いたら部長さんに膝枕をされている状態だった。
上半身だけ起こして周りを見てみると…全壊したコロシアムが目に映った。
『さっきのドラゴンショットでコロシアムが吹き飛んだんだ』
ドライグ……レッドは?
『全員爆発にまぎれてどっかに行ったさ。だが…あいつの強さは異常だな』
ドライグが異常って言うんだ。僕らからすれば規格外ってことなんだろうね。
「や、お疲れ様イッセー君」
「サーゼクス様」
隣にはグレイフィアさんもいる。
「そろそろ終わるころだと思ってね。二人とも合格だ」
そ、そっか……ていうかなんで僕はこれに受けさせられたわけ?
ねえ、ドライグ。
『……自分で気づくことだな』
そう言って神器の奥底に戻っちゃった。
ありり……そう言えば最近エルシャさんに会いに行ってないな……今度会いに行こう。
すると魔王様方がこちらに来ていた。
「お疲れ様☆」
「……あ~やっと終わった」
そのうちの1人…アジュカ様が僕の方をじろじろと…いや、正確には
神器の方をジロジロと見ていた。
「少し君のイーヴィルピースを見てもいいかな?」
「え、あ、はい」
僕に断りを入れたアジュカ様は僕の胸に指を突きつけて小さな魔法陣を幾重にも展開させた。
「ふむ、なかなか面白いことになっているな。ほう、これは初めて見るな」
何だかアジュカ様がニヤニヤしながら顎に手を当てて考えている。
「君の駒なんだがね、ナイトの特性に異様なほど注いでいるね。
だが、それに比べてルークの特性が異様に低い。割り振りが無茶苦茶だ」
「え、えっと」
「まあ、それが君の強さの根源でもあるんだがね。頑張りたまえ」
そう言ってアジュカ様は僕から離れられ魔法陣で転移した。
良く見るとアスモデウス様もいつの間にかいなくなっている。
「さあ屋敷で試練突破の催し物をするんだ。行こうか…あ、その前に
言わなきゃいけないことがあるね。次の相手が決まったよ」
「「っ!」」
だ、誰なんだろ。まだ戦っていないのはアガレス家とバアル家くらいか。
「その相手は?」
「サイラオーグだよ」
その答えを聞いてまたまた僕と部長の顔に戦慄が走った。
若手ナンバーワンと謳われているあのサイラオーグさんと闘えるのか。
あり?グレイフィアさんが魔法陣を展開してる。
そこから以前に乗ったグリフォンがでてきた。
「私達は先に帰るから君達はそれで帰ってくると良い」
―――――――ひゅぅぅぅ~。
強すぎず、弱すぎない強さの風が僕の顔を撫でていく。
ん~いい風だな~。
僕らはあの時みたいにグリフォンの背中にのって優雅に空中散歩をしていた。
「あの時みたいね」
「そうですね~」
部長も同じことを考えていたんですね。
「……あの時言ってくれたこと覚えてる?」
「何度でも貴方を助けに行きます」
そう言うと部長は僕の背中に抱きついてきた。
「ふふ、ずっと一緒よ。愛しのイッセー」
「……」
僕は言葉で返事はせずに部長の手を軽く握った。
恋……それがどんな感情なのかは僕は知らない。
経験したことがないとかじゃなくて僕は本当に知らない。
心の中にそんな感情が芽生えたことはない。
……なのに…この気持は何なんだろう。