ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life62

「うぅ!」

僕は今、誰もいない自室である物と闘っていた。

歴代所有者たちの『破壊しろ』という声に。

「い、嫌だ……僕は壊したくない!」

『破壊破壊破壊!』

くっ! さっきよりも大きくなってきてる!

覇龍を発動してからというもの周期的にこんな歴代所有者たちの

声が聞こえてくる。でも、前までは数日に一度とかだったのに

今ではほぼ毎日聞こえてくる。

『しっかり気を持て相棒』

「わ、分かってる」

ドライグの声が頭に響き、どうにか正気を保つ。

ドライグも少しでも負担を減らそうとしてくれているんだけど

ほとんど負担は変わらずにいた。

「おいイッセー。会議だ、入るぜ……どうした? 顔色が悪いぞ」

「い、いえ別に」

僕はなんとか気を確かに持って会議に臨んだ。

 

 

 

 

 

 

会議が終わってから数分後。

僕は集合時間にはまだ早い時間帯に集合場所に

指定されているホテルのロビーにいた。

歴代所有者の声は治まったけど汗が半端なく出てるから、風に当たりたくて

早めにロビーに来てみると僕よりも先に先生たちがいた。

「イッセー、ちょうどいい。こっち来い」

「は、はい」

僕はアザゼル先生に呼ばれ隣に座った。

前には相変わらず気持ち悪そうな表情をしているロスヴェイセさんが座っている。

「ロスヴェイセ、頼む」

「はい、ううぇ! 吐きそう」

ロスヴェイセさんは吐きそうなのを我慢しながら淡い光を

手のひらから出して、籠手にあてた。

その光が籠手に入ると頭の中でカチンという音が聞こえた。

「もしもお前が暴走したときに籠手の機能を

完全とまではいかないが制限する魔法だ」

「……気づいてらっしゃったんですね」

僕がそう言うとと先生にでこピンされた。

……地味に痛かった。

「あのな、俺はお前の先生だ。生徒一人一人の体調くらい把握している」

僕は先生の話を聞いて、少し感動を覚えた。

こんなグーダラな先生だけど、どの先生よりも僕たちの事を考えてくれている。

ふと、壁に掛けられている時計に視線を移すと針が集合時間の三分前を示していた。

僕は椅子から立ち上がって、

自動ドアの前に立つと扉が開き、その先でシトリー卷属と皆が既に待機していた。

「元ちゃん、無理しちゃダメよ」

「そうよ、元ちゃん。明日は皆で会長にお土産を買うんだから」

「分かってるよ。花戒、草下」

匙君が卷属の皆から激励を貰っているところだった。

……なんであんなに嬉しそうにしてるんだろ。

僕はそう思いつつも木場君達のもとに行った。

 

 

 

「やあ、イッセー君」

「うん……」

僕はふとゼノヴィアさんの方を向くと彼女は何か長い得物を持っていた。

こちらの視線に気づいたのか彼女がこっちにやってきた。

「さっき教会から届いた改良デュランダルだよ」

ただでさえ破壊力満点のデュランダルをさらに改良したの!?

「イッセー君」

「何? 木場君」

木場君が何やら真剣そうな顔で僕に話しかけてくる。

「部長がいない今このチームのキングは君だ」

僕は木場君の言ったことに一瞬、理解が出来なかったけど

数分遅れて僕は理解した。

「えぇ!? ちょっと待ってよ! 僕よりも木場君の方が」

僕がそういうと木場君は首を横に振った。

「昼間の戦闘でも君は指示を出してくれた。あの指示のお陰で

被害がでなかったのかもしれない。bestかbetterかは分からないけど

君の指示は僕たちを効率よく動かしてくれる」

「私たちも指示があった方が動きやすいからな」

ゼノヴィアさんも真剣な表情を浮かべて、僕の方を見てくる。

「私もイッセーさんの指示に従います!」

「私もよ!」

イリナちゃん、アーシアさんまでもが僕の方に視線を向けてくる。

…………そうだよね。いつまでも嫌なことから逃げていたら成長するものも

しなくなる。

「………分かった。僕がその役を引き受ける」

「悪い、話しすぎちまった」

僕がキングの役目を引き受けることを了承したのと同時に

匙君が謝りながらこっちに集合した。

これでオフェンスチームは皆そろったね。

「じゃあ、行こうか。二条城に」

僕達の九重のお母さんを取り戻す戦いが今始まった。

 

 

 

 

 

 

ホテルを出た僕たちはバス停に向かっていた。

バスで一気に二条城にまで行こうという訳である。

「うぅ! もう無理! おうぇうぇうぇうぇ~!」

「だ、大丈夫っすか?」

電柱にゲロってるロスヴェイセさんの背中を優しくさする匙君。

なんだか初めて会ったときはクールっていうイメージがあったけど今じゃ

全くその面影は見当たらないな。

とその時だった。突然何かが僕の背中に飛びついてきた。

「赤龍帝! 私も行くぞ!」

僕の背中に飛び乗ってきたのは九重だった。

「駄目だよ。先生にも待機だって」

「分かっている! だが私も母上を助けに行きたいんじゃ!」

と言われても……ん~怒られることは避けられそうにない。

かといって今の九重を説得できる自信もない。

仕方がない連れていくか。

僕が彼女の気持ちを尊重しようとした時だった。

あの時の生ぬるい感じが僕たちを包んだ。

 

 

 

 

 

 

気づけばそこは地下鉄のホームだった。

背中の九重が無事か、視線を背中に移すと彼女も無事だった。

「大丈夫?」

「うむ、じゃがきゃつらの技術には目を見張るものがあるの」

「そうだね。ひとまず上に行こう」

僕は襲撃を予想して籠手を呼び出して倍加を開始した。

「この籠手は綺麗な赤じゃの」

九重は興味があるのか僕の腕に現れた籠手をぺちぺちと叩いていた。

そういえばファンの子供たちにもこうやられたような気が。

すると目の前に英雄派の制服を着た男性がこちらに歩いていた。

「やあ、赤龍帝。覚えているかな?」

「……確か前にバランスブレイクに目覚めた……」

あの時、町の廃工場で戦い逃がしてしまったセイグリッドギア所有者が

僕の目の前に立ちはだかっていた。

「こんな雑魚を覚えてくれているとわな。俺達はあの時、あんたらに

ボコボコにされた。その時の悔しさなんかが俺を次の領域へと導いてくれた」

辺りにある自販機や電柱の影がウネウネ動き出し男性のもとに集結していた。

「バランスブレイクっ!」

影が地面から溢れ出してきて、男性を包み込まれ、影そのものになっていた。

……影を自由に使えるセイグリッドギアか……。

影そのものとなった男性の声が僕の耳に響いてきた。

「今のあんたはバランスブレイクが使えない。

俺は使える。勝負は決まったも同然だ!」

男性は影を身にまといこちらに向かってきた。

「うわっ!」

男性を避けようとすると地面の影が伸びて僕の足に巻きついていた。

「こんの!」

僕はアスカロンで影を切って距離を取った。

『Boost!』

「ドラゴンショット」

籠手から放った魔力弾は男性を突き抜けて消滅した。

「無駄だ! 今の俺にいかなる攻撃も効かない!」

物理攻撃は全て受け流す……アスカロンを使ってもあの人に

ダメージを与えることはできないか……光の力も人間には効果はあまりないからね。

「えい!」

男性の対策を考えていると、

肩に乗っていた九重が手のひらから小さな火球を飛ばした。

しかし、影となった男性にダメージを与えられずにそのまま消滅した。

「これはこれは可愛い攻撃だ。こんな熱量じゃ意味がないぞ」

……熱量……つまり、あの人は熱いっていうこと自体は感じているのか。

僕は男性が口にした言葉を聞いて対策が思い浮かんだ。

「九重、僕に炎を少し貸してくれる?」

「う、うむ。良いがどうするのじゃ?」

僕は彼女に耳打ちをすると彼女は快く承諾してくれた。

「うむ、分かった!行くぞ!」

僕は彼女が掌から放った小さな火球をそのまま、飲み込んだ。

熱! なかなかの火力。

『Transfer!』

僕は飲み込んだ炎に譲渡の力で十倍に強化すると、さらに魔力を

炎に次々と変換していき、小さい炎が僕の中でとてつもなく巨大なものになった。

「ぶはぁ!」

僕が口から炎を吐きだした瞬間、駅一帯を炎に包みこんだ。

「おおぉぉぉぉぉぉぉ!」

男性は凄まじい熱量で大火傷を全身に負い、

あまりの痛みに地面にのたうちまわっていた。

いくら影だとしても根本は人間の体だ。

「……龍の炎……」

「……バランスブレイクなしでこの強さなのか」

男性は体中に痛々しい火傷を負っていた。

っ! は、吐きそうだ!

僕は倒れている男性の傷を見て、吐瀉物を吐きだしそうになったのを

どうにか我慢していると、男性が体を震わせながら立とうとしていた。

「お、俺はこんな所では死なん!」

「……何故そこまでして」

「……セイグリッドギア所有者は誰しも幸せに生きれるわけではない」

ああ、知ってるさ。同僚に悲しい経験をした人がいるからね。

「気味悪がられ迫害される……そんな人生の中で俺の力を

素晴らしいと言ってくれる奴がいた」

男性の顔には笑みが浮かんでいた。

……曹操か。

「俺はそいつのために生きたいと思える奴が初めて見つけた!

それが悪いかぁぁ! 赤龍帝ッッッ!」

そして男性は遂に立ち上がりこちらに向かってくる。

僕は拳を前に繰り出して、男性を殴りとばした。

「いくら綺麗に着飾っても貴方たちのやってる事で

泣いている子がいるんだ。僕はそれを許す気はない」

男性は電柱にぶつかり気を失った。

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